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えむえむえす ~My marriage story~

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「静香。本当に、これでいいんですか?」
 与えられた短めのベストを羽織りながら、私は静香に問い掛けた。
「約束でしょ? せめてそれくらいはいいじゃない」
 さっきまで私の着ていたダッフルコートとセーターをトートバッグに片付けて、静香は苦笑する。
「いえ、それはいいんですが……」
 ベスト着用は、私の戦闘に集中したいという意見に静香が出した妥協案だった。いつものような格好をしない代わり、せめてこれくらいは着て欲しいのだという。
 それは問題ないのだが、私が言いたかったのはベストのことではなかった。
「ライトセイバーだけ、ですか」
 私に与えられた装備は、アーンヴァル用のライトセイバーが一本きり。
 他には火器はおろか、ナイフ一本もない。
「いくらあたしでも、そんな昨日の今日で新兵器の調達なんか出来ないわよ」
 いくら静香が神姫の武装を持っていないと言っても、私の基本セットに入っていた十手や蓬莱、変身前に使っていた装備類はあるはずなのだけれど……。
 まさか、捨てたなんてことはない……よね?
「今日はそれ一本と……ドキドキロッドなら、あるんだけどなー」
「……セイバーでいいです」
 まあ、ライトセイバーなら何度か使ったことがある。いつもの短剣やハンドガンさえ無いのは落ち着かないが、何とかなるだろう。
「獣王も付けてるし、一つの武器で出来る限りやってみなさいな」
「……獣王?」
 私の足元には、いつの間にか小型の多脚戦車が控えていた。メインカメラと観測機器が納まるべき場所には、以前バスターウルフに付けられていたマスィーンズの頭部が組み付けられている。
 そうか。だから『獣王』か。
「……よろしく。相棒」
 小さな三本指が付けられたマニピュレーターを軽く上げて答えてくれる、獣王。
「じゃ、頑張ってね。ココ」
「はい!」
 そしてシステムに灯がともり。
 私と獣王は、バトルフィールドへと転送されていく。


魔女っ子神姫ドキドキハウリン

その11



 私の目の前に広がった世界は、一面の銀色だった。
「雪原ステージか……」
 ステージ選択はランダムだったから、こういう戦闘経験の少ないステージも当たる。
「……みたいねぇ。敵は四人だから、多くて三戦ってとこかしらね」
 雪原ステージとはいうものの、膝まで沈むような積もり方はしていない。厚さ数ミリの雪が固い大地を彩っているだけだ。
 戦闘に大きな影響があるようには思えなかった。
「……寒い」
 それよりも、寒い。
 もちろん神姫自身は寒さなど感じないが、低温に晒されたオイルに悪影響が及ぶことはある。
 さっき着てたコート、着てくれば良かったかな……。
「寒くない? コート、送ろうか?」
「い、いえ、大丈夫ですっ!」
 考えを静香に見透かされたようなのが嫌で、ついそう答えてしまう。
 私が望むのは真剣な戦いだ。
 間違っても、ダッフルコートを着てファンシーな杖を振り回すような戦いじゃない。
 そうだ。そんな戦いは、真剣勝負じゃない。
(でも、寒いな……)
 そういえば今日はスカートもはいてないし、セーターも着てないんだっけ。
 いつも何枚か服を着せてもらっているから、一枚も着ていないと落ち着かない。

 あれ?

 ……という、事は?
「……どうでもいいけど、お尻まる見えね」
「ひっ!?」
 いきなり核心を突かれて、私は反射的に胸元とお尻を両手で覆い隠す。
 そうだ。
 今日、私は一枚も服を着ていなくて……。
「か、からかわないでください、静香っ!」
 い、いや、神姫はそもそも素体状態がデフォルトじゃないか。この状態が正常なんだ。服を一枚も着ていなくたって、何も恥ずかしいことなんか……恥ずかしいことなんか……!
「どうしたんだ。ココちゃん、宗旨替え?」
 相手が来るまで自分自身に必死でそう言い聞かせていると、レシーバーから外の声が聞こえてきた。
「ええ。ドキドキハウリンが嫌なんですって」
 どうやら、静香と友人の誰かが話しているようだけれど……。
「へぇ。あんなに可愛いのに、勿体ない」
 世間話は良いけど、レシーバーの通話スイッチくらい切ってください、静香。
「ま、無理にやらせるものでもないしね」
 今まで無理にやらせてたのは誰ですか……。
「それにあたしとしては、一糸まとわぬ姿で戦うココっていうのも、なかなか……」
「し、静香っ!」
 だから、神姫はこの状態が本来の姿なんですって!
「ココ。来たわよ」
「へっ!?」
 呆気にとられた私の前に、その一撃はいきなり来た。


「ちぃっ!」
 最初に接敵した相手は、両手に十手を装備したハウリンタイプだった。基本ボディに胸甲、腰には遠距離用の蓬莱がセッティングされている、至極ノーマルな……って、胸甲……。
「静香っ! このコ、服着て……上着着てっ!」
「……?」
 間合をとって隙を窺う相手は、首を傾げたまま。
「……何錯乱してるの、ココ」
 なんかズルい。
「……うぅ」
 いや、ハウリンが胸甲を付けるのはしごく当たり前で……別に付けていないからって恥ずかしいわけでもなくて……。
「ココぉ。そんなことじゃ、いつまで経っても強くなれないわよ?」
「なら、あんなこと言わないでくださいっ!」
 ええい、もう知らない!
 恥ずかしさは思考の隅に追いやって、ライトセイバーを構え直す。
 不意打ちの初撃を凌げたんだ。戦って勝てない相手じゃないはず。
「はあああっ!」
 羞恥を振り払うように、私は駆け出した。
「てえいっ!」
 一撃、二撃、三撃。
 振り下ろし、横に薙ぎ、翻す刀で切り返す。
 その全てが、受け切られ、流された。
「くっ!」
 武器のリーチこそセイバーの方が長いが、対エネルギー処理の施された十手には正面から受けられてしまう。
 もともと十手は攻めより守りに長けた武器。さらにそれが二本あるとなれば、近接でその防壁を抜けるのは並大抵のことではない。
(せめて……)
 蓬莱とは言わない。
 せめて、マシンガンの一丁でもあれば、と思う。
「無い物ねだりしても、何にも出てこないわよー」
(く……っ!)
 見透かしたような、静香の言葉。
 空を切るセイバーの独特の音と、十手のぶつかる鋼の音。
 距離を開けられては蓬莱が来る。そうなれば、こちらには勝ち目など無い。
(……そうか)
 そして私は気が付いた。
 先程の初撃がもし蓬莱だったら、その場で負けていただろう事に。
「……そういう、わけか」
 こちらが強かったワケじゃない。
 相手の判断がほんの少し甘く、私の運がほんの少し良かっただけ。
「さぁて。どうする? ココ」
 レシーバーには、静香の楽しそうな声。
 何か秘策があるのか、それとも何も考えていないのか、その声からは想像のしようもない。
「行くよっ!」
 今度は相手が動いた。
 拙い。
 攻撃力はこちらより低いとはいえ、二本の十手をどこまで一本のセイバーで受けきれるか……。
「ココ、ブレードオフ!」
 その時、レシーバーから静香の声が響いた。
「へっ!?」
 相手は目の前。
 私は、静香の言葉に反応しきれない。
「セイバーをオフに!」
「は、はいっ!」
 言われるがまま、防御に構えていたライトセイバーの出力をオフにする。
 相手が左の十手を叩き付けてきた。
「右ステップ!」
「はいっ!」
 刃を消した以上、回避に専念するしかない。身軽になった身で、左の攻撃を右へのステップで回避する。
 セイバーで受ければ動作は止まる。その瞬間に右の一撃が来ただろう。静香の判断は正しい。
 けれど、避けた後に来るのも右の十手の一撃だ。
「クロックアップ!」
「へっ!?」
 クロックアップは、神姫に掛かる負担が大きすぎて実用には向いていない。
 それは静香も分かっているはず。
「……くっ!」
 だから、大きく飛び退がった。
 とっさの動きでモーションが大きい。眼下、相手がこちらの着地地点に蓬莱を構えているのが分かる。
 ……最悪だ。
 私に翼はない。
 姿勢を変えて、落下速度をほんのわずか変えることは出来るが……それだけだ。
「獣王!」
 その時、静香の声に獣王が小型ガトリングを乱射した。砲を構えたハウリンの足元に鋭い火花が飛び、来るはずだった致命の一撃を振り払う。
 無事、着地。
 即座にダッシュ。
「ココ、クロックアップは?」
「あれはクロックオーバー時の負担が大きすぎます。長期戦には向きません」
 それは開発者の静香が一番良く分かっているはず。以前使ったときは、マイティとの一対一、しかもお互いを理解した相手だから有効だったけれど。
 この一戦が最終戦ならまだしも、バトルロイヤルはまだ始まったばかりなのだ。
「オーバーまで使う必要ないわよ。相手のタイミングをずらせば良いだけだから、0.5秒も起動させれば十分でしょ」
「……はい?」
 オーバーまで使わない?
 確かに、そういう設定はあるけれど……。
「来るわよ! ステップで回避!」
 作戦会議が終わるより先に、相手の追撃が来た。
「はいっ!」
 先程と同じだ。セイバーの光刃は切ったまま、相手の攻撃の回避に専念する。
「クロックアップ!」
 その瞬間、時の流れが止まった。
 設定時間は静香の指示通り、ほんの半秒。回避や攻撃には足りない微妙な時間だ。ステップを一歩余分に踏んで、相手の攻撃タイミングをずらす事くらいしか出来はしない。
 けれど。
 それだけで、十分だった。
「セイバー!」
 光剣発動。
 相手のハウリンがカウンター気味に発動した刃に向けて、自ら飛び込んできたようにさえ見えた。
「まず、一人」
 私はその場に呆然と立ったまま、ポリゴンの欠片となって消えていくハウリンを眺めるのみだ。
「…………」
 さすが開発者、というべきなのか。
「さて、次に行くわよ」
「あ……はい」
 静香の声に我に返り、私は獣王と共に移動を開始した。



 広い雪原の戦場に、炸裂が連打する。
「ちっ!」
 次の相手は大量のミサイルコンテナを背負ったストラーフだった。
 間断無いミサイルの弾幕は、私が近付くことさえ許しはしない。
 ライトセイバーでミサイルを撃ち落とすことは出来なかった。不可能ではないが、斬った瞬間に誘爆に巻き込まれれば、直撃と大差ないダメージが来る。
 迎撃手段がない以上、走る速さに緩急を付けて、誘導弾の誤爆を誘うのが精一杯だった。
「くぅっ!」
 視界の隅にロックオン反応が来る。
「静香!」
 このストラーフで三人目だが、最初の十手使いを倒して以来、静香が指示をくれる気配はない。
 二人目のライフル使いのバニーは近接戦に持ち込んで何とか倒せたけれど、この相手は分が悪すぎる。間合に持ち込むどころか、近付けもしない。
 残念なことにストラーフは最初の相手を余裕で打ち倒したらしく、ミサイルの残弾は十分あるようだった。
「最終戦だから、大盤振る舞いねぇ」
 静香。そんな呑気な感想は良いですから、指示の一つもくれませんか?
「ま、構わないわ。突撃なさい。ココ」
 そこにようやく来た指示に、私は耳を疑った。
「え? ちょっと!」
 いくら何でもそれは無茶だ。
 いや、無茶を通り越して無謀でしかない。
「いいから、あたしの言うとおりに」
 とは言え、それ以外に私に選択肢がないのもまた事実。
「……了解です」
 諦めて、正面の相手めがけて走り出す。
「左右に揺さぶって」
「はいっ!」
 ただの直進ではすぐにロックオンを掛けられてしまう。相手の視界から外れるよう左右に身を振りながら、雪を蹴る。
「ロックオン来ました!」
 視界の隅に、ロックオンアラートが点灯。
「セイバーで前の雪を斬りつけて!」
「は、はいっ!?」
 言われるがままにセイバーを引き抜き、雪面に打ち付ける。
 ぼぅ、という音を立てて目の前が炸裂し、それと同時に耳障りな音を立てていたロックオンアラートがかき消えた。
 視界の隅の警告もない。
「煙幕……?」
 セイバーの高熱に瞬間的にさらされた雪が爆発し、それに近い状態になったらしい。
 雪乃煙幕を抜け、さらに真っ直ぐ。
「静香!」
 ついに相手がロックオン無しでミサイルを撃ってきた。いくら無照準とはいえ……。
「そんなもの当たらないわ!」
「は、はいっ!」
 この距離ではまともなホーミングなど期待できないらしい。静香の言うとおり、不規則な軌道を描いたミサイルは私が駆け抜けた後の雪原に突き刺さり、意味のない爆発を繰り返すばかりだ。
「抜け……っ!?」
 眼前に、ミサイル。
「ミサイルにセイバー投擲!」
「あ、はいっ!」
 反射的にセイバーのブレードを起動。レーザーの刃が安定するよりも早く、ミサイルに投げ付ける。
 直進するミサイルに不安定な刃をまとったセイバーが真っ直ぐ突き刺さり。
 爆発。
「あ……」
「走りなさい、ココ!」
「は、はい……っ!」
 煙幕代わりの爆風の中、さらに突き進む。
 相手はこれで打ち止めだったのか、追撃のミサイルが来る気配はない。けれど、こちらにも武器は……。
「送るわよ」
 ……へ?
「静香?」
 走る私の目の前に転送されてきたのは、見慣れた白い柄だった。
 相手は既に目の前。セイバーを掴むと同時にブレードを起動させ、斬りかかろうとして……。
「ココ、タックル!」
「はいっ!?」
 飛んできたのは、さらにおかしな指示だった。
「体当たりで相手を弾き飛ばしなさい!」
 そんな事をしなくても、ここで一撃打ち込めば終わりのはずなのに。
「てええいっ!」
 ほら。
 相手は避けることも出来はしない。
 手応え、あり。
「……え?」
 けれど、相手にダメージが入った様子がない。
「ココ!」
 至近距離の戦いで一瞬の油断は致命傷となる。
 呆然とした私に、空になったミサイルランチャーの横殴りの一撃が来て……。
「獣王っ!」
 静香の鋭い声が、戦場に響き渡る。



 端末から出て来た私を迎えたのは、穏やかに笑う静香だった。
「おめでと、ココ」
 画面には私の勝利を告げるメッセージが浮かんでいる。
 あの後、獣王の体当たりで体勢が崩れた相手を煙の外へ弾き飛ばし、セイバーの一撃を叩き付けて勝利を勝ち取ったのだ。
「……」
 勝ちはしたが、実感は全くない。
「……すみません、静香」
 静香の指示と獣王のサポートがなければ、戦いの最後……いや、十手使いのハウリンと戦ったところで、私は負けていたはずだから。
「ま、とりあえず移動しましょ」
 後ろがつかえていたので、とりあえず静香の肩に飛び移る。獣王がトートバッグにもぐり込んだのを見届けて、静香はテーブルのある休憩コーナーへと。
 紙パックのコーヒー牛乳を一つ買って、席に着いた。
「……そっか。ココは、ライトセイバーがレーザー系装備だって、知らなかったか」
 ああ、そうか。
「普段使わないもんねぇ」
 だから、誘爆の煙でセイバーの光線が減衰して……。
「ま、一つ勉強になったから……ミサイルランチャーで殴れるってのも分かったから、二つかな?」
 普段なら扱いに慎重を要するミサイルランチャーも、弾が切れていればただの箱。
 あの大きさの箱を振り回せば、十分に武器になる。
 確かに、勉強にはなった。
 勉強にはなったけれど……。
「……でも、静香もひどいです」
 静香からセーターを受け取りながら、私は思わずそう呟いた。
「何が?」
「セイバーに予備があるのなら、言ってくれれば良かったのに……」
 最後のミサイルを迎撃したときもそうだけれど。
 セイバーが二本あれば、最初の十手使いももう少し苦戦せずに倒せたはずだ。
「あれはミサイルが爆発するより早く転送回収しただけよ。今日はサイドボードには何も入れてないわ」
「……え?」
 コーヒーのストローに口を付けようとして、私はその言葉に動きを止めた。
 そういえば、今日は戦いが終わって席を立つまでが妙に早かったような……。
「最初に、今日はセイバーと獣王で出来る所までやってみなさいって言ったでしょ?」
 正直、言葉もなかった。
 ライトセイバーとクロックアップ、そして獣王。
 静香はこの三つの要素で、バトルロイヤルを勝ち抜いて見せた。
 けれど、私は……。
「ま、初めてだし、こんなもんでしょ」
 そっと撫でてくれる静香の手さえ、今は心苦しい。
「そろそろ帰りましょうか。色々と課題も見つかったみたいだし、ね」
「……はい」
 強くなりたい。
 私は心からそう、思った。





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