故にそれはただの願望である
どこまで突き詰めたところでエゴなのだ
わたしが望み、私が求め、私が作り、私が目指すモノなのだ
そんな世界なのだ
『禁忌である』
人間の身が造りし人ならざるヒトの形をした模造品
其れすなわち神を冒涜する禁忌であると
至極もっともな見方だ
正論過ぎて吐き気がするほどのモラルの塊だ
では私も私の言い分を言わせてもらおう
初めに石器を使った我らの先祖は何故その手に武器を持った
何故偉大なる発明家ノーベルはダイナマイトを発明した
ライト兄弟は何故飛行機で空を飛んだ
何故偉大なる発明家ノーベルはダイナマイトを発明した
ライト兄弟は何故飛行機で空を飛んだ
人を殺すためか
富を得るためか
名声を得るためか
富を得るためか
名声を得るためか
己が私利私欲の為だけにたるものか
否、断じて否である
それだけ
それだけでは、けしてないのだ
結果として表と裏は対である様に
結果として表と裏は対である様に
生きるため
夢のため
誰かの手助けになるため
夢のため
誰かの手助けになるため
そんな純粋な願いも確かに
確かにあったのだ
確かにあったのだ
それが人類が進化し続ける、文明を発達させる、可能性を具現化する動力源たる物であると私は信じている
そう願っている
そう願っている
故にそれはただの願望である
どこまで突き詰めたところでエゴなのだ
わたしが望み、私が求め、私が作り、私が目指すモノなのだ
そんな世界なのだ
そんな世界のために
私は唯、戦い続ける
「………………っ」
エリー・カークランドは自分のノートパソコンのディスプレイをもうかれこれ10分以上眺め続けていた
「…ただの…願望…ねぇ…」
はっ、と鼻で笑い腰かけていたチェアーを回転させる
と
エリー・カークランドは自分のノートパソコンのディスプレイをもうかれこれ10分以上眺め続けていた
「…ただの…願望…ねぇ…」
はっ、と鼻で笑い腰かけていたチェアーを回転させる
と
「何を見ているんですか?エリー」
180度回転したところ位で彼女の眼の前に現れた黒髪の目鼻立ち整った顔がそう告げた
「うっひょおぅわぁぁあ!?」
チェアーごとひっくり返しそうになりながらどうにか姿勢を支えるエリー
「なっなっ、な…なんだ、ノアじゃんかぁ…ビックリさせないでよ…」
「いえ、それほどまでに驚くとは思いませんでしたので…すいません」
胸を抱えながらため息をつくエリーにノアールは謝罪の言葉をかける
「いや、いいよ。驚かそうとしてやったわけでもないんだろうし。…あれ?今日はメンテナンス?」
「はい、私はもう終わったんですが、ミコとユーナがまだなので…」
「ほっほー、なるほど、それで僕んとこに暇つぶし?」
「あらエリー、待ち時間があるのは確かですけど、貴方と御喋りをするため足を運ぶことは私にとって有意義な時間であるつもりですが?」
からかいのつもりだったのにノアールからの予想外の言葉の返しに目を丸くするエリー
「ぷっ、あははは、それは失礼、もとい光栄だねノア。君にそう言ってもらえるとは」
「いいえ、ホントの事ですもの。それで、何を見ているんです?」
再びパソコンのディスプレイに目を向けるノアール
「ああ、これ?大したもんじゃないよ…」
「これは…あの…エリーが?」
最後まで目を通した後、ノアールの質問
つまりはエリーが書いた文なのかという問いかけである
「その…貴方にしては随分と…その…ロマンチックというか…」
「っっっぷっ、ぷぅあっはははは!や、やめてよノア。ち、違うよ。僕がこんな痒くなりそうなモノ残すわけないじゃない。あはははっ」
遠慮がちに言葉を選びながら話すノアールの顔を見て、思わず爆笑するエリー
「ひぃーもう、今日はノアに笑い殺されそうだね。ええと、さっきも言ったけどこれは僕が書いたんじゃない。これを書いたのは…父さんさ」
「…ああー」
エリーの言葉にあからさまに呆れ顔になるノアール
「ええ、まぁ、確かに。あの人なら書きそうな文面です」
「えっと、確かにそうなんだけど…娘としては少し複雑な反応だねノア」
「仮にも私にとっても生みの親です。貴方の心境に近しい思いと考えますが?」
「ああ、それもそうか」
二人して複雑な顔をするエリーとノアール
家族のいわゆるポエム帳やら夜の御供やらそれに準ずる『見なかったら良かった物』を見つけた、しかもよりにもよって年頃の娘が実の父親(と産みの親)のソレを見つけてしまったのであるから…はてさて微妙な心境である
「でもこれ、何について書いてあるか…わかる?」
少し真面目な顔になってエリーはノアールに問いかける
「何について…ですか?」
その言葉にノアールはもう一度パソコンを覗き込む
初めから読み直し目に留まったのは
チェアーごとひっくり返しそうになりながらどうにか姿勢を支えるエリー
「なっなっ、な…なんだ、ノアじゃんかぁ…ビックリさせないでよ…」
「いえ、それほどまでに驚くとは思いませんでしたので…すいません」
胸を抱えながらため息をつくエリーにノアールは謝罪の言葉をかける
「いや、いいよ。驚かそうとしてやったわけでもないんだろうし。…あれ?今日はメンテナンス?」
「はい、私はもう終わったんですが、ミコとユーナがまだなので…」
「ほっほー、なるほど、それで僕んとこに暇つぶし?」
「あらエリー、待ち時間があるのは確かですけど、貴方と御喋りをするため足を運ぶことは私にとって有意義な時間であるつもりですが?」
からかいのつもりだったのにノアールからの予想外の言葉の返しに目を丸くするエリー
「ぷっ、あははは、それは失礼、もとい光栄だねノア。君にそう言ってもらえるとは」
「いいえ、ホントの事ですもの。それで、何を見ているんです?」
再びパソコンのディスプレイに目を向けるノアール
「ああ、これ?大したもんじゃないよ…」
「これは…あの…エリーが?」
最後まで目を通した後、ノアールの質問
つまりはエリーが書いた文なのかという問いかけである
「その…貴方にしては随分と…その…ロマンチックというか…」
「っっっぷっ、ぷぅあっはははは!や、やめてよノア。ち、違うよ。僕がこんな痒くなりそうなモノ残すわけないじゃない。あはははっ」
遠慮がちに言葉を選びながら話すノアールの顔を見て、思わず爆笑するエリー
「ひぃーもう、今日はノアに笑い殺されそうだね。ええと、さっきも言ったけどこれは僕が書いたんじゃない。これを書いたのは…父さんさ」
「…ああー」
エリーの言葉にあからさまに呆れ顔になるノアール
「ええ、まぁ、確かに。あの人なら書きそうな文面です」
「えっと、確かにそうなんだけど…娘としては少し複雑な反応だねノア」
「仮にも私にとっても生みの親です。貴方の心境に近しい思いと考えますが?」
「ああ、それもそうか」
二人して複雑な顔をするエリーとノアール
家族のいわゆるポエム帳やら夜の御供やらそれに準ずる『見なかったら良かった物』を見つけた、しかもよりにもよって年頃の娘が実の父親(と産みの親)のソレを見つけてしまったのであるから…はてさて微妙な心境である
「でもこれ、何について書いてあるか…わかる?」
少し真面目な顔になってエリーはノアールに問いかける
「何について…ですか?」
その言葉にノアールはもう一度パソコンを覗き込む
初めから読み直し目に留まったのは
『人間の身が造りし人ならざるヒトの形をした模造品』
の一文
「もしかして…HIVF?」
「ご明察、そのとおりだよ」
ノアールのつぶやきに部屋に備え付けてあるコーヒーメーカーに歩み寄りながら答えるエリー
「これはね、父さんがHIVFの基本構想と実践プロジェクトの推進計画をまとめた後に最後に後付けた言葉なのさ。つまるところ、ノアやミコやユーナ。君たちを生み出そうと志した時の想い、覚悟、決意ってやつ…かな?」
「私達を…」
ジッとディスプレイを見つめるノアール
「我が変態なるダメ親ながら、ここだけは認めてるんだよね、僕も。かわってないんだなぁって今も昔も…あはは」
ノアールにはエリーの笑い声が照れ笑いに聞こえた
「あの人は、きっと今も悩み続けているんだと思う。HIVFの可能性を追い続けながらその可能性と同じ分だけ危険性も孕んでいることを。普段ちゃらんぽらんに見えて、悩んでるとこはしっかり悩んでんだなぁって…僕も柄にもなく考えちゃったよ」
ノアールに紙コップに入ったコーヒーを渡しながらため息をつくエリー
「あ、淹れてからで何なんだけど、ブラックでよかったよね?」
「ええ、大丈夫です」
「ノアは大人な感じがするから」
「そんなことはないですが…その…『ノアール』なんて名前なのに、コーヒーのブラックが飲めないなんて…可笑しくないですか?」
少し照れたように笑いながらコーヒーを口にするノアール
それを見ながら口をあけて微動だにしないエリー
「?如何したんですかエリー」
「…っちょっとノアールさん?」
「は、はい…」
「貴方ちょっと、可愛さ警報ですよ?」
「………は?」
「イエローカードですよ?いや、警報だからむしろレッドカード?ええい!!とにかく何なんだよ今の!!そんな発言したら奴が来るってば!!」
「奴って…もしかして」
ノアールの発言を遮るようにドドドドドっと地響きを立てながら何かが近づいてくる
「ノッッッッアーーーーーーーーール!!!」
「やっぱり…」
絶叫とともにあらわれたのは
若くしてその天才的な頭脳で英国国立大学の名誉教授にして博士の称号を持つ現代のネット社会における国際的重要人物ことフェレンツェ・カークランドその人であった
「何か今、ノアールがすっっっごく可愛い事言わなかったかい?どうなんだい我が愛しの愛娘エリー?」
「愛の字二回も使うのは文章的にちょっとどうかと思うけど?父さん」
「HAHAHA!君たちには愛、美、萌の字を何回、何十回、何百回使おうが私の気持ちを表現し足りないのだよ」
仁王立ちしながら高笑いをするフェレンツェ
「ところでのノアール?」
「…何なんですか博士?」
突然高笑いを止め両手でノアールの両肩を持つフェレンツェ
「君が可愛いのは常日頃、通常、日常、オールウェイズなことなのだ・が!今先程のは『さり気無さ』、『ギャップ』、『品性』において高得点であったと私のレーダーがビンビンに訴えかけて来ているのだよ!ついてはだね!いまから明人君を呼び出して先ほどの再現を行い彼をメロメロにっ…って……あwせdrftgyふじこlp;!!!!!!」
「ご明察、そのとおりだよ」
ノアールのつぶやきに部屋に備え付けてあるコーヒーメーカーに歩み寄りながら答えるエリー
「これはね、父さんがHIVFの基本構想と実践プロジェクトの推進計画をまとめた後に最後に後付けた言葉なのさ。つまるところ、ノアやミコやユーナ。君たちを生み出そうと志した時の想い、覚悟、決意ってやつ…かな?」
「私達を…」
ジッとディスプレイを見つめるノアール
「我が変態なるダメ親ながら、ここだけは認めてるんだよね、僕も。かわってないんだなぁって今も昔も…あはは」
ノアールにはエリーの笑い声が照れ笑いに聞こえた
「あの人は、きっと今も悩み続けているんだと思う。HIVFの可能性を追い続けながらその可能性と同じ分だけ危険性も孕んでいることを。普段ちゃらんぽらんに見えて、悩んでるとこはしっかり悩んでんだなぁって…僕も柄にもなく考えちゃったよ」
ノアールに紙コップに入ったコーヒーを渡しながらため息をつくエリー
「あ、淹れてからで何なんだけど、ブラックでよかったよね?」
「ええ、大丈夫です」
「ノアは大人な感じがするから」
「そんなことはないですが…その…『ノアール』なんて名前なのに、コーヒーのブラックが飲めないなんて…可笑しくないですか?」
少し照れたように笑いながらコーヒーを口にするノアール
それを見ながら口をあけて微動だにしないエリー
「?如何したんですかエリー」
「…っちょっとノアールさん?」
「は、はい…」
「貴方ちょっと、可愛さ警報ですよ?」
「………は?」
「イエローカードですよ?いや、警報だからむしろレッドカード?ええい!!とにかく何なんだよ今の!!そんな発言したら奴が来るってば!!」
「奴って…もしかして」
ノアールの発言を遮るようにドドドドドっと地響きを立てながら何かが近づいてくる
「ノッッッッアーーーーーーーーール!!!」
「やっぱり…」
絶叫とともにあらわれたのは
若くしてその天才的な頭脳で英国国立大学の名誉教授にして博士の称号を持つ現代のネット社会における国際的重要人物ことフェレンツェ・カークランドその人であった
「何か今、ノアールがすっっっごく可愛い事言わなかったかい?どうなんだい我が愛しの愛娘エリー?」
「愛の字二回も使うのは文章的にちょっとどうかと思うけど?父さん」
「HAHAHA!君たちには愛、美、萌の字を何回、何十回、何百回使おうが私の気持ちを表現し足りないのだよ」
仁王立ちしながら高笑いをするフェレンツェ
「ところでのノアール?」
「…何なんですか博士?」
突然高笑いを止め両手でノアールの両肩を持つフェレンツェ
「君が可愛いのは常日頃、通常、日常、オールウェイズなことなのだ・が!今先程のは『さり気無さ』、『ギャップ』、『品性』において高得点であったと私のレーダーがビンビンに訴えかけて来ているのだよ!ついてはだね!いまから明人君を呼び出して先ほどの再現を行い彼をメロメロにっ…って……あwせdrftgyふじこlp;!!!!!!」
エリーは見事な背負い投げをくらい宙に舞う父親の姿をみて苦笑いをしながら、そっとパソコンの電源を落とした。
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