家に帰ったら予習と復習。これはもう習慣みたいなもので疲れたからって辞める日は無いなものだ。勉強が好きなわけじゃないけれど御蔭で授業の内容は頭の中に入るしテストで高得点を取れるから我慢我慢。
本当は真っ先にイシュタルの整備がしたいのだけど神姫なんかよりも学生の本分を優先すべきだと拒否された。前に神姫が存在しない世界でも生きていけるようになるべきだとか言われたし本当にイシュタルは神姫とは思えない考え方をしていると思う。
数学の問題集と復習用ノートと予習用ノートと筆箱を広げ後は問題を読んで答えを導き出すだけ。そう書くだけなら簡単なんだろうけどやっぱり勉強は好きにはなれないから結構辛い。
今日は数学が二時限あったから重点的に予習復習を行うことにした。国語や社会なんかは授業だけでも十分だから少なめに。それに神姫関係の職業を希望しているから余計に理数系には強くならなければならない。
どうしても分からない問題がある場合は学校に居れば先生に尋ねればいいし家にいればイシュタルに尋ねればいい。神姫自体が科学の申し子なだけであって中学の数学くらいは簡単に解いてくれるからありがたい。
本当は真っ先にイシュタルの整備がしたいのだけど神姫なんかよりも学生の本分を優先すべきだと拒否された。前に神姫が存在しない世界でも生きていけるようになるべきだとか言われたし本当にイシュタルは神姫とは思えない考え方をしていると思う。
数学の問題集と復習用ノートと予習用ノートと筆箱を広げ後は問題を読んで答えを導き出すだけ。そう書くだけなら簡単なんだろうけどやっぱり勉強は好きにはなれないから結構辛い。
今日は数学が二時限あったから重点的に予習復習を行うことにした。国語や社会なんかは授業だけでも十分だから少なめに。それに神姫関係の職業を希望しているから余計に理数系には強くならなければならない。
どうしても分からない問題がある場合は学校に居れば先生に尋ねればいいし家にいればイシュタルに尋ねればいい。神姫自体が科学の申し子なだけであって中学の数学くらいは簡単に解いてくれるからありがたい。
「すると角A=角Bが証明出来る。ここまではいいか?」
「分かったような、気がする」
「しっかしりてくれマスター。三年生になればより複雑な図形が出てくるぞ」
「もう図形は見たくないよ…」
「嘘泣きをする暇があったら頭を働かせることだ。新しい問題文を作ってくるから私が戻ってくるまで基礎問題を反復!」
「うわーい、イシュタルさんスパルター」
「分かったような、気がする」
「しっかしりてくれマスター。三年生になればより複雑な図形が出てくるぞ」
「もう図形は見たくないよ…」
「嘘泣きをする暇があったら頭を働かせることだ。新しい問題文を作ってくるから私が戻ってくるまで基礎問題を反復!」
「うわーい、イシュタルさんスパルター」
そんなこんなを繰り返して夕食の時間前後には予習復習を終える。まだ中学生だから早く終わるけど進級進学をする度に授業の内容も高度になっていくから高校生になったら夕食後も自習は続くかもしれない。早い内にその辺りの時間調整を考えておいた方が良さそうだ。
しかし腹が減っては戦は出来ぬでござる。先ず夕餉の準備でござる。今日はチャーハンと野菜のスープ。下準備は朝の内に済ませておいたから後は鍋とフライパンで食材を煮たり炒めたり調味料を吹っ掛けたりするだけ。簡単な調理だけど栄養は十分に取れるとはイシュタルのお墨付き。
一人分だけだからパッと作れる。チャーハンは僕、スープはイシュタルが担当して十~二十分で完成。両手を重ねて頂きます。
しかし腹が減っては戦は出来ぬでござる。先ず夕餉の準備でござる。今日はチャーハンと野菜のスープ。下準備は朝の内に済ませておいたから後は鍋とフライパンで食材を煮たり炒めたり調味料を吹っ掛けたりするだけ。簡単な調理だけど栄養は十分に取れるとはイシュタルのお墨付き。
一人分だけだからパッと作れる。チャーハンは僕、スープはイシュタルが担当して十~二十分で完成。両手を重ねて頂きます。
「この高校なんかはどうだ。学生寮は有るし、近くに神姫センターもあるぞ」
「でもアルバイト禁止なのは辛くない? 高校生になるんだから自由に出来るお金は欲しいよ」
「でもアルバイト禁止なのは辛くない? 高校生になるんだから自由に出来るお金は欲しいよ」
夕食ついでに進路相談。イシュタルの教育方針として出来るだけ両親にお金を集らないように生活をしているんだけどやっぱりお金は欲しい。だからアルバイト有りで学力高め、神姫バトルを出来る場所が近くにある高校を探している。
と言っても実は真面目には考えていない。卒業はまだ一年先だから極々偶に暗示してくる程度。両手を合わせて御馳走様と唱えれば進路相談は打ち切られる。
そして皿の片付けが終わればいよいよ武装神姫の時間だ。鼻唄混じりに戦友達を机に並べて意気揚々。
と言っても実は真面目には考えていない。卒業はまだ一年先だから極々偶に暗示してくる程度。両手を合わせて御馳走様と唱えれば進路相談は打ち切られる。
そして皿の片付けが終わればいよいよ武装神姫の時間だ。鼻唄混じりに戦友達を机に並べて意気揚々。
「じゃ、体の隅々まで検査させてもらうからね」
「頼む」
「頼む」
決して変な意味では言っていない。ネジ、ピンを触診。頭の中で理想形のイシュタルを想像して理想と現実を比較する作業をひたすら繰り返す。検査の結果、現状は目標からは程遠いコンディションであることが嫌でも理解出来た。昔と違って今の素体は特別製だからオーダーメイドの部品が居る。それを手に入れるまで我慢しなければならない。
最後の仕上げとして僕はゴーグル付きのヘッドギアを取り出した。これは何時でも何処でも神姫と一体化出来るライドオンギア…の試作品である。
試作品だから公式では使えないんだけれど僕はこれを検査道具として使っていた。イシュタルに疑似的なライドオンをしセンサーには異常が無いと判断すると直ぐにライドオンを解除する。
最後の仕上げとして僕はゴーグル付きのヘッドギアを取り出した。これは何時でも何処でも神姫と一体化出来るライドオンギア…の試作品である。
試作品だから公式では使えないんだけれど僕はこれを検査道具として使っていた。イシュタルに疑似的なライドオンをしセンサーには異常が無いと判断すると直ぐにライドオンを解除する。
「はい終わり。やっぱりガタ付いてる部分が多いね」
「明日に修理するのだろう? 不快ではあるがもう少しだけ我慢しよう」
「明日に修理するのだろう? 不快ではあるがもう少しだけ我慢しよう」
そう言って作業用の机から颯爽と跳び出したイシュタルはパソコンと繋いだクレイドルに腰を下ろしスリープモードに。僕もパソコンの方を操作してイシュタルのAIを素体からパソコンの中へと移動させる。公式で配布されているネット対戦用ソフトを起動、普段通りの装備させ、後は公式掲示板に張り付き対戦相手を見つけるか見つけられるかを待った。
『対戦、宜しくお願いします』
『はい、いいですよ』
『はい、いいですよ』
しばらくして希望する条件と一致するマスターを見つけたので対戦の申し込み。お互いに見ず知らずの相手だから適度の挨拶を交わしキーボードを気障っぽくターン! してバトル開始。これで僕の神姫マスターとしての仕事は終わり。
イシュタルが戦っている間に対戦記録用ノートに今日の日付、対戦相手の名前と神姫の型名と使用武装と戦術とを書き込む。相手はサイフォス、武装を見る限りミドルから牽制ショートから攻め始めクロスに持ち込むインファイター、と相手の情報を全部書き終える前に戦いが終わってしまった。画面一杯に『You Win』が浮かび上がりバトルフィールドはチャット画面に入れ替わる。
イシュタルが戦っている間に対戦記録用ノートに今日の日付、対戦相手の名前と神姫の型名と使用武装と戦術とを書き込む。相手はサイフォス、武装を見る限りミドルから牽制ショートから攻め始めクロスに持ち込むインファイター、と相手の情報を全部書き終える前に戦いが終わってしまった。画面一杯に『You Win』が浮かび上がりバトルフィールドはチャット画面に入れ替わる。
『対戦ありがとうござました! もの凄く強いですね、瞬殺されちゃいました!』
『ミス・アスタロト(イシュタルのHN)!』
『ミス・アスタロト(イシュタルのHN)!』
向こうのサイフォスが姿勢を正してイシュタルに向き直った。…またか。
『私を弟子にしてくれぇ!』
『ちょ、ちょっと、ルシア、いきなりどうしたの!?』
『マスターこそ先の戦いを見て何も思わなかったのか? 彼女の動きは完成された武術家のもの、正に我々の理想とするものではないか!』
『ちょ、ちょっと、ルシア、いきなりどうしたの!?』
『マスターこそ先の戦いを見て何も思わなかったのか? 彼女の動きは完成された武術家のもの、正に我々の理想とするものではないか!』
サイフォスの興奮は収まりそうにない。かと言って通信を勝手に切断するのはマナー違反なので落ち着くまで待つことに。
『私は家事や勉学の補助もしていて忙しい。師事をするなら別の神姫にしてくれ』
イシュタルがそう答えるとサイフィスは弟子入りを諦めてくれた。実力が有るから弟子入りを志願してくる神姫は多いのだけれどしつこい神姫は本当にしつこい。そいつらに比べたら何て爽やかなサイフォスだろう。
『対戦ありがとうございました』
『次に戦った時はもっと頑張れるようになります』
『次に戦った時はもっと頑張れるようになります』
別れの挨拶もそこそこに向こうのとの通信を切断してパソコンのディスプレイは元の対戦待ち合わせロビーに戻る。一旦対戦待機状態を解除してイシュタルにメッセージを送った。
『そっちの方の調子はどう? ちゃんと動く?』
『CPU、メモリ、キャッシュ、どれも問題無い。情報処理を妨げるバグも許容範囲内だ。戦闘に支障は出ない』
『オッケー、そっちの新品は買い替えなくていいわけだね』
『CPU、メモリ、キャッシュ、どれも問題無い。情報処理を妨げるバグも許容範囲内だ。戦闘に支障は出ない』
『オッケー、そっちの新品は買い替えなくていいわけだね』
ホッとした。これで残りの悩みの種は素体の不具合のみ。それも明日には解決する。
『問題無いようなら募集を再開させるよ』
『出来れば歯応えの有る相手を集めてくれ。数をこなしても相手が弱過ぎるとカンが鈍る気がするんだ』
『分かった。じゃあ、レート2000(セカンドリーグ上位)以上を条件に追記しておくから』
『レート2300(ファーストリーグ中位)は駄目なのか』
『それは厳し過ぎるって』
『出来れば歯応えの有る相手を集めてくれ。数をこなしても相手が弱過ぎるとカンが鈍る気がするんだ』
『分かった。じゃあ、レート2000(セカンドリーグ上位)以上を条件に追記しておくから』
『レート2300(ファーストリーグ中位)は駄目なのか』
『それは厳し過ぎるって』
説得してレート2000で落ち着いてもらった。
募集を再開すると観戦希望者がドッと増える。1800(セカンドリーグ中位)位にすべきだったかなと反省するけど実力差が有り過ぎる相手と戦っても実るものが少ないのは確かだから気長に待とう。
それに五月蠅い神姫はパソコンの中。今なら今月の神姫グラビアをじっくり眺める事が出来る。
募集を再開すると観戦希望者がドッと増える。1800(セカンドリーグ中位)位にすべきだったかなと反省するけど実力差が有り過ぎる相手と戦っても実るものが少ないのは確かだから気長に待とう。
それに五月蠅い神姫はパソコンの中。今なら今月の神姫グラビアをじっくり眺める事が出来る。
「「紗羅檀」と「ナース服」! この世にこれほど相性のいいものがあるだろうかッ!?」
『…後で覚えていろ、地獄に落としてやる』
『…後で覚えていろ、地獄に落としてやる』
…。
…。
…。
…。
…。
二時間ほど待って戦えた回数は僅か二十前後。その内の半分は冷やかし。冷やかしを含んだ勝率はキッチリ80%。戦術の相性とかステージの有利不利とかを考えると運が良い。就寝時間が間近に迫って来ているのでネット対戦を止めてAIを素体に戻した。
湯船のお湯を張っている間に新聞を読むことに。政治は機械が担った方がいいと主張する派閥と政治に人心は必要だと主張する派閥が争っているらしい。僕にはまだ投票権は無いけれど日本国民として真面目に考えるべきかなーなんて考えながら暇潰し。
湯船のお湯を張っている間に新聞を読むことに。政治は機械が担った方がいいと主張する派閥と政治に人心は必要だと主張する派閥が争っているらしい。僕にはまだ投票権は無いけれど日本国民として真面目に考えるべきかなーなんて考えながら暇潰し。
「バスタオルは持ったか? 着替えは? シャンプーの残量は?」
「そこまで心配しなくても大丈夫よ。小学生じゃないんだから」
「私にとってはいつまでも手の掛かるマスターだよ」
「はいはい。分かりましたよ、お母様」
「そこまで心配しなくても大丈夫よ。小学生じゃないんだから」
「私にとってはいつまでも手の掛かるマスターだよ」
「はいはい。分かりましたよ、お母様」
いざ、お風呂へ。の前に何となく振り返る。イシュタルが笑っていた。
「どうした? 風呂にお化けでもいたか?」
「幾つの頃の話をしてるんだか」
「幾つの頃の話をしてるんだか」
僕は小学生の頃そう言ってイシュタルに泣きついたことがあった。それを思い出しても自分でも分かるくらいに顔が真っ赤になり、ニヤニヤと笑う視線から逃げるようにお風呂場に向かう。
男子中学生の入浴シーン? 誰得なんだよ。その辺りはカットして洗面所を歯を磨いてから居間に戻る。イシュタルは図書館で借りた武術関係の本を読んでいた。
男子中学生の入浴シーン? 誰得なんだよ。その辺りはカットして洗面所を歯を磨いてから居間に戻る。イシュタルは図書館で借りた武術関係の本を読んでいた。
「いつものことだけど、熱心だね」
「私は武術神姫だからな。熱心にもなる」
「誰が上手いことを言えと」
「…ふふっ」
「私は武術神姫だからな。熱心にもなる」
「誰が上手いことを言えと」
「…ふふっ」
イシュタルが冗談を言うなんて珍しい。今読んでいる本が好みなのかな。新しい武装を買ってもらうより新しい武術との出会いを喜ぶなんて正に武術神姫と言える。マスターとしてもわざわざ遠くの図書館に行った甲斐があった。
が、感傷に浸り掛けたところでハッとなる。僕はその笑顔の正体を思い出した。イシュタルがああいう笑顔をするのは決まって僕を如何に甚振るかを考えている時だ。恐る恐る盗み見すれば内容は如何に武術に適した身体を作るかと言うもの。
機械である神姫にそんなもの必要は無い。今この場に人間は僕一人。何だか嫌な予感がしてきた。君子危うきに近寄らずとは言うが虎穴入らずんば虎児を得ず。僕には一歩進まなければならない。
が、感傷に浸り掛けたところでハッとなる。僕はその笑顔の正体を思い出した。イシュタルがああいう笑顔をするのは決まって僕を如何に甚振るかを考えている時だ。恐る恐る盗み見すれば内容は如何に武術に適した身体を作るかと言うもの。
機械である神姫にそんなもの必要は無い。今この場に人間は僕一人。何だか嫌な予感がしてきた。君子危うきに近寄らずとは言うが虎穴入らずんば虎児を得ず。僕には一歩進まなければならない。
「ねぇ、イシュタル。今一体何を考えているのかなぁ…」
「マスター、修業道具に呼吸制限をするマスクを選ぶと言うのは中々いいセンスをしていると思わないか」
「オー! ノー! 俺の嫌いな言葉は一番が「努力」で二番目が「頑張る」なんだぜーッ!」
「マスター、修業道具に呼吸制限をするマスクを選ぶと言うのは中々いいセンスをしていると思わないか」
「オー! ノー! 俺の嫌いな言葉は一番が「努力」で二番目が「頑張る」なんだぜーッ!」
まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい何時何処で何時何分に地獄の特訓が始まるのかは分からないけどバケツに血を吐くような想いなんて何とか何としても何があっても回避しなければならない落ち着けそして考えろ一瞬を争う場でも限り何事も先ず考えてからだパッと思いついた案は①特訓をさぼる②特訓をなかったことにする③諦める、現実は非常であるの三択僕としては①に○を付けたいんだけど唯でさえ優れている神姫のセンサーをさらに改良したイシュタルを騙すのは怪盗三世でも難しいから却下となると②、イシュタルの機嫌を取って考え直してもらうしかないしばらくセクハラ言動は慎もう涙が出そうだけど血反吐を撒き散らすよりはマシだ。
「マスター。さっきからブツブツと、一体どうしたんだ?」
「アニメ・ジョジョの奇妙な冒険第二部戦闘潮流、主役ジョセフ・ジョースターの声優は杉田智一氏」
「何故そっちの宣伝をするんだ」
「次回・黒野白太に人間の恋人が」
「猿も騙せない嘘予告だな」
「酷い」
「アニメ・ジョジョの奇妙な冒険第二部戦闘潮流、主役ジョセフ・ジョースターの声優は杉田智一氏」
「何故そっちの宣伝をするんだ」
「次回・黒野白太に人間の恋人が」
「猿も騙せない嘘予告だな」
「酷い」
自分の神姫の容赦無い言葉に落ち着いてきた心が傷付けられる。いつものことだから別にいいけど。それよりも眠い。お風呂から上がると眠くなる。
「もう僕は寝るから、消灯はお願いね。おやすみー」
「おやすみなさい、マスター」
「おやすみなさい、マスター」
頭の中ではイシュタルの機嫌を取る方法を考えていたけど体内時計には勝てなかったよ…。