CSCによって作られた感情はそれまでのAIとは違いゆらぎと呼べるものを持っておる。それは神姫に個性や成長と言った他の機械にはない独自性を与えたのじゃ。しかしそれゆえに神姫は特定の条件を満たせば催眠状態とも言えるような状況になる。これはとある一人の技術者によってその危険性と共に証明されたのじゃ、そなたも知っておろう。神姫は心ある魅力的な機械じゃが、心があるが故にこれまでとは全く違うアプローチによるクラッキングが発生することが分かった以上我々はその脅威に対応する必要がある。伝統あるPANDOOR社の名にかけて。さあ、今こそマスターの信仰心が試されておるぞ!
- 新入社員に対するセミナー蓮華様のお言葉
連続神姫ラジオ
浸食機械
浸食機械
20:アンビバレンス
『どうして、どうして…』
レッドランプに照らし出された室内に神姫達の悲鳴のコーラスがこだまする。中央の樹につながれた彼女達は一様に泣き顔を浮かべながら叫んでいる。それはそうだろう、と僕は思う。ここにいるのは全てマスターの引き離された神姫達なのだから。彼女達はここにつながれてからずっと泣いていたのだろう。でもいまは余計に悲しみの声が大きく響いているのかもしれない。なぜなら僕たちはここにいるたった二人だけのマスターと神姫のチームなのだから。
「うぁ、ごれじゃちかづげない」
中央の樹を守るように鋼とケーブルで作られた触手が僕たちに襲いかかる一本一本の早さは大したことはないけれどとにかく数が多い。縦横無尽に襲い来る触手に阻まれてプルミエとヘンゼルは樹の中心、コウガの元に近づけなかった。
「くすくす、どうしたの、言う割には何にもできてないわよ」
樹の上からコウガがほほえみかける。確かに僕たちは何もできていない、でもそれで問題ない。
<スキルポイントはもうたまったのだわ。カウント、合わせて>
「マスター、衝撃に備えてください。行きます」
ジグザグに動いていたプルミエとヘンゼルが一線上に並ぶ、そしてスキル発動。ライドレシオを最大までため込んだヘンゼルの背面武装が変形する。変形したヘンゼルにプルミエがまたがるとトライクはコウガの元に疾走していく。阻むべく触手が襲い来るがヘンゼルのスキルスリルドライブの前になすすべ無く貫かれ、被害総額がスコアに加算されていく。しかしコウガは焦ることはない。
「わあ、すごい。でも」
コウガが手をふるうと地面から光が浮かび上がってくる。その光に触れた途端ヘンゼルの動きが止まる。
<永劫の沈黙“shutdown -h!?。バトルロンドの頃のスキルを何であなたが>
動きを止めたヘンゼルをさらに光りの槍が貫く。コウガの背後にまるで曼荼羅絵のように現れた光球から伸ばされた槍に貫かれたヘンゼルはその動きを完全に止める。
「別におかしくはないでしょう?この『デルセトナ』は元々あの西園寺が作った物。彼の神姫root使って世界を支配するために作った武装なのだから元々の装備ぐらいあって当然よ」
勝利を確信したコウガの表情は次の瞬間驚きに変わる。光りの槍が貫いたのはヘンゼルのみ。僕たちは
「づーがまえだ」
ヘンゼルがにやっと笑い天井の穴を見上げる。釣られて上を見上げたコウガのあごを下から急上昇した僕たちの拳が打ち上げた。あまりの衝撃に一瞬全ての防御機能が停止する。僕たちはコウガの肩をつかむとその目を見つめた。
「回線解放、マスター、今です」
神姫同士は目に赤外線通信機能が備わっている。僕たちの狙いはそれを経由して彼女の心に入り込み説得を行うこと。それ以外に彼女を破壊しないで止める方法が思いつかなかった。
「届け、マスターの思い!!」
『どうして、どうして…』
レッドランプに照らし出された室内に神姫達の悲鳴のコーラスがこだまする。中央の樹につながれた彼女達は一様に泣き顔を浮かべながら叫んでいる。それはそうだろう、と僕は思う。ここにいるのは全てマスターの引き離された神姫達なのだから。彼女達はここにつながれてからずっと泣いていたのだろう。でもいまは余計に悲しみの声が大きく響いているのかもしれない。なぜなら僕たちはここにいるたった二人だけのマスターと神姫のチームなのだから。
「うぁ、ごれじゃちかづげない」
中央の樹を守るように鋼とケーブルで作られた触手が僕たちに襲いかかる一本一本の早さは大したことはないけれどとにかく数が多い。縦横無尽に襲い来る触手に阻まれてプルミエとヘンゼルは樹の中心、コウガの元に近づけなかった。
「くすくす、どうしたの、言う割には何にもできてないわよ」
樹の上からコウガがほほえみかける。確かに僕たちは何もできていない、でもそれで問題ない。
<スキルポイントはもうたまったのだわ。カウント、合わせて>
「マスター、衝撃に備えてください。行きます」
ジグザグに動いていたプルミエとヘンゼルが一線上に並ぶ、そしてスキル発動。ライドレシオを最大までため込んだヘンゼルの背面武装が変形する。変形したヘンゼルにプルミエがまたがるとトライクはコウガの元に疾走していく。阻むべく触手が襲い来るがヘンゼルのスキルスリルドライブの前になすすべ無く貫かれ、被害総額がスコアに加算されていく。しかしコウガは焦ることはない。
「わあ、すごい。でも」
コウガが手をふるうと地面から光が浮かび上がってくる。その光に触れた途端ヘンゼルの動きが止まる。
<永劫の沈黙“shutdown -h!?。バトルロンドの頃のスキルを何であなたが>
動きを止めたヘンゼルをさらに光りの槍が貫く。コウガの背後にまるで曼荼羅絵のように現れた光球から伸ばされた槍に貫かれたヘンゼルはその動きを完全に止める。
「別におかしくはないでしょう?この『デルセトナ』は元々あの西園寺が作った物。彼の神姫root使って世界を支配するために作った武装なのだから元々の装備ぐらいあって当然よ」
勝利を確信したコウガの表情は次の瞬間驚きに変わる。光りの槍が貫いたのはヘンゼルのみ。僕たちは
「づーがまえだ」
ヘンゼルがにやっと笑い天井の穴を見上げる。釣られて上を見上げたコウガのあごを下から急上昇した僕たちの拳が打ち上げた。あまりの衝撃に一瞬全ての防御機能が停止する。僕たちはコウガの肩をつかむとその目を見つめた。
「回線解放、マスター、今です」
神姫同士は目に赤外線通信機能が備わっている。僕たちの狙いはそれを経由して彼女の心に入り込み説得を行うこと。それ以外に彼女を破壊しないで止める方法が思いつかなかった。
「届け、マスターの思い!!」
「残念、それ無理」