今回の01の暴走の原因はCSCに登録されたアーンヴァルとしての意識と、01として我々がプログラムした意識が体の主導権を巡って衝突したことが原因として考えられます。カラーリングの変化は01の意識がボディを制御下に置いていく際に、表面に使われていた保護用のナノセルが変調をきたして起こるようです。簡単に言えばCSCの支配権を巡って二つの意識が戦った結果01がアーンヴァルを喰っていったわけです。
-某研究所での事故検証レポート
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連続神姫ラジオ
浸食機械
浸食機械
19:スクラップのお姫様
レッドランプに照らし出されたそこは異様な空間だった。
「うう…ああ」「あうあう…」「いや…いやぁ」「もう…入ってきて欲しく…ないのです」
通風口を破って僕たちが降り立ったのは井戸の底のような場所だった。天井は吹き抜けになっており見上げた空にはいつの間にか美しく星がまたたいていた。しかし井戸の底はそんな清浄さとは無縁だった。
レッドランプに照らし出されたそこは異様な空間だった。
「うう…ああ」「あうあう…」「いや…いやぁ」「もう…入ってきて欲しく…ないのです」
通風口を破って僕たちが降り立ったのは井戸の底のような場所だった。天井は吹き抜けになっており見上げた空にはいつの間にか美しく星がまたたいていた。しかし井戸の底はそんな清浄さとは無縁だった。
その部屋には多くの神姫がいた。しかし彼女達はあるものはポッドに入れられ、あるものはさながらスパゲティのようにケーブルにつながれ、あるものは壁に埋め込まれ、誰も身動きがとれないままCSCをむきだしにされ、ただ力なく悲鳴を上げていた。
壁一面には機械かびっしり据え付けられており、それぞれが点灯して様々なデータをはき出していた。
それらか全てから個別にケーブルが伸びている。それらは束ねられ太いケーブルとなり部屋の中央につながっていた。
中央にはケーブルと計器が折り混ざった不気味な機械の木がそびえ立っている。空には満天の星空、地面には赤く照らされた神姫達の姿、その間にそびえ立つ計器の光りで不気味に照らし出された葉も実もつけぬ死体のような木。
<バベルの塔・・・>
僕はその光景を見て思わず美術の教科書でしか見たことがない神に挑んだ伝説の塔の名前を口にしていた。
「ようこそ王子様」
その塔の頂上にコウガはいた。ケーブルとパーツでくみ上げられたイスの上にまるでお姫様のように座っていた。
「私を助けに来てくれたそうでうれしく思います。でも王子様、私にあなたは必要ありません」
コウガの顔は優しく微笑んでいた、しかしその表情が変わることはない。西園寺のファイルには彼女は他に表情を作れないと書かれていた。必要ないからだ。
「私にはこの子がいます。床に転がっている子達のCSCと連結してやっと起動できるようになったこの『デルセトナ』が」
彼女が玉座を愛おしそうになでると周りから神姫のか細い悲鳴が上がった。彼女達のむき出しのCSCが激しく点滅する。木がぶるりと震え、あちらこちらのパーツが動き始める。
「あのごだち、こころをたべられでる」
「マスター!あれはCSCからエネルギーを吸い上げています。それだけじゃない、あの子達の記憶や思いも」
同じ神姫だから分かるのかもしれないプルミエとヘンゼルが悲痛な表情を浮かべていた。
「後は西園寺からrootを取り上げれば完璧と。ねえ、知ってた?この装置は西園寺がrootのために作った破壊兵器なのよ。もっとも、今は私のものだけど」
いつの間にかコウガはケーブルに絡め取られ、彼女がデルセトナと呼んだものに体の半分が埋まっていた。
「私はこの兵器を使って人間の社会を無茶苦茶にしてやるの。機械と人間を全面戦争させてやるの」
ケーブルが混じり合い、木はアギトを広げた巨大な竜のフォルムを形作っていた。足下のケーブルも周辺のパーツを取り込んで剣呑なトゲをはやした触手を作っている。
「こんなことを考えてこんなものと一体化した私を、どうやって救ってくださるのかしら、王子様」
壁一面には機械かびっしり据え付けられており、それぞれが点灯して様々なデータをはき出していた。
それらか全てから個別にケーブルが伸びている。それらは束ねられ太いケーブルとなり部屋の中央につながっていた。
中央にはケーブルと計器が折り混ざった不気味な機械の木がそびえ立っている。空には満天の星空、地面には赤く照らされた神姫達の姿、その間にそびえ立つ計器の光りで不気味に照らし出された葉も実もつけぬ死体のような木。
<バベルの塔・・・>
僕はその光景を見て思わず美術の教科書でしか見たことがない神に挑んだ伝説の塔の名前を口にしていた。
「ようこそ王子様」
その塔の頂上にコウガはいた。ケーブルとパーツでくみ上げられたイスの上にまるでお姫様のように座っていた。
「私を助けに来てくれたそうでうれしく思います。でも王子様、私にあなたは必要ありません」
コウガの顔は優しく微笑んでいた、しかしその表情が変わることはない。西園寺のファイルには彼女は他に表情を作れないと書かれていた。必要ないからだ。
「私にはこの子がいます。床に転がっている子達のCSCと連結してやっと起動できるようになったこの『デルセトナ』が」
彼女が玉座を愛おしそうになでると周りから神姫のか細い悲鳴が上がった。彼女達のむき出しのCSCが激しく点滅する。木がぶるりと震え、あちらこちらのパーツが動き始める。
「あのごだち、こころをたべられでる」
「マスター!あれはCSCからエネルギーを吸い上げています。それだけじゃない、あの子達の記憶や思いも」
同じ神姫だから分かるのかもしれないプルミエとヘンゼルが悲痛な表情を浮かべていた。
「後は西園寺からrootを取り上げれば完璧と。ねえ、知ってた?この装置は西園寺がrootのために作った破壊兵器なのよ。もっとも、今は私のものだけど」
いつの間にかコウガはケーブルに絡め取られ、彼女がデルセトナと呼んだものに体の半分が埋まっていた。
「私はこの兵器を使って人間の社会を無茶苦茶にしてやるの。機械と人間を全面戦争させてやるの」
ケーブルが混じり合い、木はアギトを広げた巨大な竜のフォルムを形作っていた。足下のケーブルも周辺のパーツを取り込んで剣呑なトゲをはやした触手を作っている。
「こんなことを考えてこんなものと一体化した私を、どうやって救ってくださるのかしら、王子様」