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えむえむえす ~My marriage story~

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 バトルも終わり、私たちは一息ついていた。バトルの後のココアと言うのも、また一味違ったものがある。

「うー、モウヤメルダッって感じで撃った渾身の壁抜きチャージショットをかわされるとは思いませんでした」
「勘で避けた」
「嘘ですっ!」

 嘘は言ってない。むしろ事実しか言ってない。

「まぁまぁエリーゼも落ち着いて下さい。今回のバトルは僕の判断ミスです」

 レールアクションからのインファイトは柏木さんの指示らしい。「アーンヴァルは基本的に高高度からの射撃戦がメインなんだから自分から近距離戦を仕掛けちゃダメ。M8ライトセイバーとかの近距離武器はあくまで保険。どうしてもインファイトしたかったら高高度射撃型のペガサスモードじゃなくて近接型のユニコーンモードでよ」と華凛は言っていた。

「華凛、私はどうだった?」
「んー、100点ではないけどいいんじゃないかしら。シリアとの息もピッタリみたいだったし」

 確かに戦闘中、言葉にしなくてもお互いの考えがわかった。最近私は自分でブースターを使っていない。それでも、相手に肉薄するときブースト移動するとき、まるで自分がブースターを使っているような感覚だった。武器の出し入れもそう。あれが、神姫と一つになると言うことなのだろうか。

「自信、ついた」
「うん、あれなら本番で使っても問題ないよね」

 これで武装面の今のところの問題点は解決された。これならまた宮下さんのようなマスターが来てもいい勝負が出来るだろう。

「名前はどうしよう」
「そうだなぁ、短機関銃をストーム。薙刀は……トルネードとか?」

 嵐と竜巻を意味する英語だ。なるほど、銃弾の嵐、薙刀の竜巻というわけか。わかりやすい、ありだ。

「ねぇ、どうかな華凛……華凛?」

 ふと横を見ると華凛がこっくりこっくりと船を漕いでいた。何だかうなされているように見える。

「華凛」
「えっ……あ、樹羽……」

 顔をあげた華凛は額に大粒の汗を掻いていた。さっきまで起きて話をしていたのに、何があったのだろう。

「ごめん、ちょっと日々の疲れがね。今日なんてこの炎天下に学校行ってたし」

 立ち上がる華凛だが、足元がおぼつかない。やはりすぐにソファに座り直してしまう。

「華凛、今日は帰った方がいい」
「……でも」
「てい」

 何か言おうとする華凛の唇に人指し指を立てる。触ってみてわかったが、華凛の唇はカサカサだった。

「だめ。今日は帰って早く寝て」
「樹羽……」
「そうですよ。華凛さん、顔色悪いですし……」
「女の子なんですから、体は大切にしてくださいよ?」
「ま、そういうことですね」

 渋った華凛だが、みんなに諭されようやく折れたらしい。

「……わかったわ。その代わり、明日もゲームセンターだからね」
「うん、元からそのつもり」

 華凛は柏木さんが送ることになった。その間、私が店番をすることに。

「じゃあ、すみませんが店はお願いします」
「華凛をよろしく」

 ばたんと扉が閉められる。一応カウンターに接客マニュアルと言うのがあって、これを見ればだいたいのことはわかるらしい。パラッとめくってみる。『お客様が来店したら大きな声でいらっしゃいませ!』。うん、いきなり無理難題。

「そんなことないって。やってみたら案外出来るかもよ?」
「……ぃ、ぃらっしゃいませ……」
「もっと大きな声で!」
「い、いらっしゃいませ」
「複式呼吸で大きく息を吸って、はい!」
「いらっしゃいませ!」
「ほら、やれば出来たじゃん」

 今のでいいのだろうか。まぁ、シリアが良いと言っているのだ。いいんだろう。
 しかし、この店はえらく客入りが悪い。こんなことをしても無駄ではないだろうか?

「備えあれば憂いなし。転ばぬ先の杖って昔から言うでしょ?」

 確かにその通りではあるし、納得も出来る。だが、私にとって大声をあげると言うのはかなりの重労働なのだ。もし来なかったらどうしてくれよう。柏木さん辺りに何か請求すればいいのか。
 その時、店の扉がゆっくりと開けられた。そこから戸惑いがありありと伝わってくる。どうやら、発声練習は無駄にならなかったらしい。
 顔を覗かせているのは少年だった。私と同じくらいの身長で雰囲気的には中学生と言ったところか。入り口のところでしきりに店内を確認している。
 なにはともあれ、呼んでもいない客が来たのである。私はさっきの発声練習通りに言った。

「いらっしゃいませ!」
「おうわっ!?」

 何故かいきなり扉を閉められた。

「……冷やかし?」
「違うと思う……思いたい」

 しばらくして、再び扉が開かれる。少年は今度はこちらを見ている。どこかで見たことがあるような気がする。気のせいだろうか?

「あ、あの……ここってお店なんですか?」

 やっと喋ったと思ったら、内容がおかしかった。内装から見てここはお店に見えないだろうか?

「看板、見なかった?」
「いや、見たんですけど、ここって前まで幽霊屋敷だったものですから……」

 曰く、長い間放置されていた空き家だったここは少年たち中学生の肝試し場所になっていたらしい。久しぶりにやって来たらお店になっていて、どうなっているのか見に来たらしい。

「でもここにホビーショップが出来ても、大抵駅前の神姫センターに客が流れると思うんですが……」
「お察しの通りガラガラ」
「ですよね……」

 少年は同情の意味を込めて肩をすくませた。

「とりあえず、いらっしゃい」
「そうですね、せっかくだから見ていきます」

 少年は店内の商品を見ていく。主に大剣類の売られている棚を。

「あれ? これ向こうより安いや。こっちも、これもだ!」

 そう、ここの品物は神姫センターの物より若干安い。こんなことで経営は成り立つのか不安になったが、柏木さんは「わかる人にはわかるんです。大丈夫、売れます!」と断言していたが、現実は各も無惨だ。
 少年は神姫カードを取り出した。値段と自分のポイントとを相談しているのだろう。やがて一つの武器を手にとり、カウンターへとやって来た。

「これお願いします」
「はい」

 商品の値札に書いてある番号をパソコンに入力する。『カラミティブレード』と名打たれたそれは、やけに大きい大剣だった。目測15cm以上は絶対ある。

「ここに神姫カードをお願いします」

 カードリーダーを差し出す。少年はそこに神姫カードを通す。

「ご購入ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」

 マニュアル通りのセリフを淡々と言って頭を下げる。もっと抑揚を付けて、とカウンター下からペチペチ叩かれたが、今は無視。
 しかし顔をあげても少年はそこにいた。こちらの顔をじっと見つめている。

「……何か」
「あ、えっと、つかぬことをお聞きしますが……」

 少年は慌てて顔の前で手を振り、一言聞いてきた。

「あの、もしかして奏萩先輩……ですか?」

 それを聞いた時、私の頭の中で数少ない知り合いリストが再生された。はたしてこの少年と私はどこかで会っているのだろうか?

「もしかしなくてもその通り」
「あぁ、やっぱり。覚えてませんか? 僕です、朱野和也(あけのかずや)です」

 朱野和也、その単語でようやく思い出した。
 朱野和也くん、私が中学生だった頃の後輩で華凛と同じ陸上部だった。華凛にくっついていた私は、彼に何度か会っている。すっかり忘れていた。一応言っておくが私は帰宅部である。

「朱野くん、久しぶり」
「はい、奏萩先輩はこのお店でバイトしてるんですか?」
「お手伝い。ただの店番」

 給料はない。あくまでごれは一時的な処置だ。

「もったいないなぁ、奏萩先輩が売り子なら絶対行くのに……」
「朱野くん?」
「ああいやっ! なんでもありませんよ!?」

 ぶつぶつ何か言っていたのだが、さすがに聞き取れなかった。あとでシリアに聞いてみよう。神姫の耳なら聞こえていたかもしれない。

「あのっ、秋已先輩は一緒じゃないんですか? いつも一緒にいましたけど……」
「華凛は体調不良で先に帰った」
「あの秋已先輩が体調不良? 雨の中3000m走ってなんともないあの先輩が?」

 それは華凛伝説のうちの一つだった。台風が直撃している中「ちょっとそこまで走ってくるわね」とまるで散歩に行ってくるかのような軽さでふらっと出ていって3km走ったとか、走ってないとか。

「まさに謎の行動」
「え、奏萩先輩。秋已先輩のあの暴走の原因知らないんですか?」
「あったんだ、理由。でも……まだ知らなくていい」

 知りたい気もしたが、なんとなくそれは華凛から直接話して欲しかった。今度それと無くに聞いてみよう。

「あ、そろそろ僕行きますね」

 朱野くんが時計を見る。ちょうど4時を回ったあたり。

「お買い上げありがとうございました」
「あはは、また来ますよ! 今度はみんなを連れて!」

 そう宣言して、朱野くんは去っていった。扉が閉まるのを確認した私は、ふっと一息ついた。やっぱり他人と話すと疲れる。

「最初よりは進歩したんじゃないかな。ほら、話すら出来なかった時に比べれば」

 カウンター下からシリアが出てくる。

「ところで、さっき聞き取れなかった部分があったけど、シリアは聞こえた?」
「え!? ああ、えっと、聞こえなかったカナー……」

 私が聞くと、シリアはあからさまに態度を変えた。何か隠しているような素振り。シリアは嘘がうまくない。

「……悪口?」
「ち、違うよ!」
「聞こえなかったのに?」
「うぐっ、それは……えっと……」

 シリアはしばらく黙った後、

「ごめん、聞いてたけど本人に後で聞いて……」

 とだけ言った。
 まぁ確かにそれが一番だろう。彼はまたお店に来ると言っていたし、聞くチャンスはいくらでもあるはずだ。が、なぜシリアは今教えてくれないのだろう。謎だ。



 その後柏木さんが帰ってきた。華凛は無事自宅に送り届けられたらしい。

「商品が売れました」
「いぇーーーいっ! やったーーーっ! トロピカルやっほーーっ!!!」

 その事を報告すると、エリーゼは紙吹雪を散らしながらクルクルとトリプルアクセルを決めた。紙吹雪はどこにあったんだろう。

「エリーゼ、はしゃぎすぎです」
「と言いつつも、店長だって小踊りしたいぐらい嬉しいですよね?」
「当然です」
「ついでに今度は友人を誘うとか」
「天は我等を見捨ててはいなかったーー!!」

 柏木さんは天に向かって両手を組んだ。もう何がなんやら。
 私は二人に感謝されながら店を後にした。たかだか商品が売れたことであんなに喜べるものだろうか? それほどまでに危機的状況だった場合、あの店は一ヶ月持たないかもしれない。
 ともあれ、そうしてその日は終わった。翌日は華凛と一緒にゲームセンターだ。昨日から今日にかけて使い込んだ二つの武器。これなら、明日もいいバトルが出来ると思う。
 そして私は、そんな思いを胸に自宅の扉を開けた。






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