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 始めに目に映ったのは今にも崩れそうなビル群だった。瓦礫が至るところに散乱し、車が放置されている。ステージ『廃墟』だ。荒廃した都会をイメージされており、このステージは他のステージに比べて僅かに広い。さらに不定期に濃い霧が発生する。

(相手はアーク型、地上は危険)
(あの大きいビルの屋上に行こう。あそこなら辺りを見回せる)

 2時の方向に、一際大きなビルがあった。まずはあそこに行って、不意打ちの可能性を減らさなければならない。
 武装を展開、そして相手の武装も確認する。
 ハイスピードトライク型神姫、アーク。前が1輪、後ろが2輪のトライクモードになることが可能でその速さは神姫の中でもトップクラスの速さだ。その姿はトライク版のフォーミュラカーが一番近いかもしれない。
 武装は少し大きなナイフが2本、アサルトライフルが一丁に大型ライフルが一丁。他には何もない。またしても純正装備だけだ。神姫は様々な武装が可能なのに、なんで純正装備だけなんだろう。もっとも、自分も純正装備だけだからそんなこと言えた義理ではないが。

(それでも、バランスが取れてるよね。近接武器がナイフ2本だけっていうのがこころもとないけど)
(ナイフ1本で人は殺せるけど?)
(物騒だからそれ)

 ともあれ、確かにクロスレンジではリーチの差でこっちが有利だ。問題は、速い相手をどうやって捉えるかと言うこと。

(路地に誘い込めばなんとかなりそう)
(なるほど、その先が行き止まりならなおよしだね)

 そうすれば相手はナイフで応戦せざるを得ないはずだ。あとはこっちの腕次第。

(勝とうね、樹羽)
(うん、勝つ)

 上空にスクリーンが投影される。バトルの始まりだ。

『Ready…GO!』

 スクリーンが消えたのを確認する前に素早くバイザーを降ろす。

(行くよ、樹羽!)
(うん!)

 大地を蹴るように跳躍する。私の体は重力に逆らい、上へ上へと上昇する。冷たい風が頬を切るこの感じ、これがバーチャルなんて今でも信じられない。
 やがて目標のビルの屋上まで上がってきた。静かに着地し、辺りを見回す。幸いなことに霧はまだ発生しておらず、ステージを一望出来た。のだが……

(いない……)
(赤いからわかりやすいはずなんだけどな)

 大きい通りはもちろんのこと、小さな路地にまで目を向けたが、動く影すら見えない。
 やがて霧が発生し、辺りの状況が掴めなくなった。これでは高いところに登った意味がない。

(下が全然見えない)
(だね、こんなに濃いと飛んでも探せそうにないし……ん?)

 その時、どこかからうるさいエンジン音がした。どこから響いてくるのか、イマイチわからない。

(……この音)
(間違いなく相手のだよね、でも、場所が特定出来ないよ)

 とにかくエウロスとゼピュロスは出しておき、いつ相手が来てもいいようにする。
 静かだった廃墟に、やかましいエンジン音。なんだか、一昔前の暴走族を思い出す。
 音が次第に大きくなっていく。相手が近い。やがて音は上から聞こえてくるように――。

(4時の方向! 上70度!)

 言われた方向からは、エンジン音が響いてきていた。振り返る。見上げた場所の霧は、不自然に歪んでいた。

(っ!)

 とっさに右にサイドステップ。次の瞬間、さっきまで私がいた場所のコンクリートに、何かが3発跳ねた。

(ロックっ!)

 バイザー越しの風景に丸いサイトが現れる。そこにアークがいるのだ。霧が濃すぎて、辛うじて相手の赤い色がわかる程度。
 相手のアサルトライフルのマズル・フラッシュで霧が歪む。

(くっ!)

 それを走って回避する。10㎡程しかないビルの屋上は走ってみると意外と狭く、すぐに端まで追い込まれた。
 そこで空中に逃げると言う選択肢をすぐに取れなかったのは、あまりにもビルが高かったせいだ。人間、ビルの上から飛ぶにはかなりの勇気がいる。
 一瞬の躊躇い。それがこの場合命取りとなる。

「はぁっ!」

 霧の中からアーク型が突撃してきた。手には2本のナイフ。それをゼピュロスで反らすが、相手の勢いは消えることはなかった。
 体当たりのような形で、私たちはもつれあいながらビルの上から落下。

「がっ!?」

 落下しながら腕を取られ、さらに首を腕で押さえられる。力が入らない。足をばたつかせるがそれも効果なし。取られていない方の手を動かしても、相手のリアパーツをカツカツと鳴らすだけだった。
 シリアがリアパーツをガチャガチャと動かしたり、バーニアを動かしたりしているが、僅かに体が動くだけで私が下であることに変わりはない。
 私は上を向いているため、後どれくらいで地面に衝突するのかわからなかった。
 その時、相手の力が一層強くなったかと思うと、不意に相手が私を解放した。だが次の瞬間には私を踏み台に後方へと跳躍し――。

 私はアスファルトの上に落下していた。



 バトルが始まると、あたしはビルの影に隠れた。このまま、霧が発生するのを待つ。

(姉貴、やっぱりガツンと正面から行かないかい? こうコソコソしてるのは性に合わないよ)
(大丈夫だ、ちゃんと真っ正面から突撃するよ)

 相手の射撃武器はランチャーしかないから、相手は近距離に近付きたいはず。あたしが思うに、たぶん相手は高い場所からこちらを探すだろう。飛んで探せば、こちらに発見される恐れがあるから、それはないと思いたい。
 高い場所。この場合、あの一番高いビルだ。ビルの影からチラッと覗く。思った通り、灰色の背景にポツンと白と紫色の点が見えた。

(霧が出たら時間との勝負だ。いいかい、トライクであのビルを登るよ)

 何を言っているんだと思われるかもしれないが、やって出来ないこともない。あの廃ビルは南に僅かに傾いている。私はビルの北。ビーダマを転がすと少しコロコロと転がる程度だが、それで十分だ。後は猛スピードで駆け上がるだけ。

(あと、サーリットカウルはMM付きのだよな)
(そうそう、霧の中じゃあれじゃねぇと見えねぇからな)

 楕円形のヘルメットパーツであるサーリットカウルには、いくつかカスタマイズしてある。MM(ミストマスク)もその内の一つだ。
 霧の中では、視覚が役にたたなくなる。そうなると神姫のセンサー頼りになってしまう。それを避けるための装置だ。
 この“霧”というステージギミックは、厳密に言えばプレイヤーの視覚を遮るようなフィールドが発生している。この装置はそのフィールドを無効化する効果があり、この装置を通して見れば、例え辺りが10cm先も見えない濃霧だろうと、非常にクリアーになる。
 そうこうしているうちに霧が出てきた。さぁ、突っ走ろうではないか。

(やるよ紅葉!)
(おうよ!)

 タイヤの付いたリアパーツが変形し、トライクモードに移行する。さらに大型ライフルであるシルバーストーンにジェネレーターを付け、前輪に合体させる。目指すはあの廃ビルだ。
 けたたましいエンジン音が廃墟に木霊し、トライクは発進した。もう曲がらずに、真っ直ぐと。
 廃ビルの下には、お誂え向きにジャンプ台になりそうなプレートがあった。そこを上がり、一気に加速する。

(跳べぇっ!)

 跳躍。トライクは後ろの方が重いため、ビルの側面に平行に接触。全力で体重を前に傾け、落ちないようにする。ここが成功すれば、後は鯉の滝登り。相手という登竜門目がけて一直線だ。
 機体が安定する。タイヤが回転し、あたしは壁を登り始めた。体重を前に傾けたままでいれば、ダウンフォースで機体は壁に張り付いたままとなる。
 やがてそれは見えてきた。ビルの縁、ゴールでありスタートである場所。一気にラストスパートをかける。
 そして機体は灰色の空へと舞った。

(ライフル!)

 意識の中で叫ぶ。すでに機体は形を変え、元の状態へと戻っている。
 手に赤いアサルトライフルが出現する。MMのお陰で相手の姿ははっきりと視認出来る。あたしはアサルトライフルを相手に向かって撃った。撃ちすぎると反動でまたビルの下に落下するから、少ししかトリガーを引かない。それでも3発は飛んだ。
 相手はすんででそれをかわす。逃がさない。地面に着地。そこからアサルトライフルをセミオートで乱射。相手はちまちまと回避しながらビルの縁へと逃げていく。
 そこに追いやられているとも知らずに。

(ナイフ2本!)

 短い意志伝達。それだけでそれは相棒に伝わる。手にしたアサルトライフルは消え、代わりにナイフが両手に現れる。
 右手のナイフを突き出しながら体当たり。さすがにナイフは反らされたが、勢いまでは殺しきれない。
 あたしは相手を中空へと押し倒した。もうナイフは手にない。紅葉が回収したあとだ。
 さらにあたしは右腕を相手の首に押し付けた。さらに左手で相手の右手を押さえる。このまま後は地面に叩き付けるだけ。
 相手は足をばたばたと動かす。無駄なあがきだ。さらに左手を動かすが、こっちの足に付いた後輪をカンカンと鳴らすだけだった。リアパーツもガチャガチャと動いたり、スラスターを噴射したりするも、それも効果がない。
 やがて地面が近付いてくる。このまま落ちればこっちもただでは済まないが、そんなもの承知の上だ。
 相手を解放した後、その腹を両足で踏みつける。その反動でこっちは後方へ待避。向こうは成す術なく地面へと叩き付けられた。
 廃と埃が辺りに舞う。相手はピクリとも動かない。

(ちっ、クリティカルはなかったか)

 だがしかし、ヒットポイントはかなり削れたはずだ。後はどうにでもなる。

(今のうちにライフルをリロードするよ)
(ああ)

 出現したライフルの側面から、まだ数発弾が入っている丸い弾倉を放る。そして左手に出てきた新しい弾倉をライフルに取りつける。
 だんだんと霧が晴れてくる。あたしは相手が起き上がってくるのを待った。不意打ちはやるが動けない相手にトドメを刺すほど腐っていない。

(さぁ、起き上がってきな、樹羽ちゃん)

 相手の指がピクリと動いたのを、楓は見逃さなかった。



 全身が痛い。それはもう立ち上がりたくないほどに。

(樹羽、無事?)
(シリア……体が痛い……)
(わかってる、私も痛いから。立てる?)
(なんとか……なりそう……)

 膝を曲げ、ゆっくりと立ち上がる。頭がふらふらする。たちくらみが酷くて立ってるのがやっとだ。

(アイオロスは、大丈夫?)

 リアパーツであるアイオロス・リアウイングは先程の落下でかなりのダメージを受けたはずだ。動かせるかどうか怪しい。

(起動力が48%ダウン、スラスターの出力が42%ダウン、ブースター出力が82%ダウン。かなり絶望的だよ)

 やっぱりだ。となると、アルトアイネス戦でやったあの攻撃は出来ず、むしろ飛ぶことすら出来ない。しまった方がいいかもしれない。
 前を見ると、相手は腕組みして待っていた。楓さんが容赦も仁義もない人だったら、今頃アサルトライフルで蜂の巣だろう。

(樹羽……どうする?)

 シリアが不安そうに聞いてくる。無理もない。こっちは満身創痍、相手は無傷だ。この状況で絶望ないし不安にならない人はいない。中にはこう言った絶望的な状況からの劇的脱出に喜びを覚える人種もいるらしいが、私はそうではない。シリアもまた同じだ。

(ノトスは無事?)

 これはレッグパーツのこと。レッグにも小型のスラスターが付いており、飛ぶことは出来なくても動くのを楽にする程度は動くのだ。

(出力は12%ダウン。損傷は軽微だよ)

 地面に衝突した際、背中から落ちたため、足はそれほどダメージを負わなかったらしい。
 なら、もしかしたらなんとかなるかもしれない。

(アイオロスはしまって。エウロスも……いい。スキロンも外して)

 ショルダーパーツのスキロンまで外す。つまり、ゼピュロスだけ残すのだ。

(……勝算はあるの?)
(……ないとは言えない)

 うまくいけばイケる。ただし、その為にはまず相手とのインファイトをしなければならない。

(わかった。私は樹羽を信じるよ)

 背中から重みが消える。両手に掴んでいた物も消える。驚いたことに、私はエウロスを放していなかったらしい。手首に付いたジョイントパーツにゼピュロスは装備されている。これだけで戦うのは、より相手に接近するためだ。エウロスは、少し長すぎる。スキロンは、肩の動きが阻害されてしまうから外した。
 頬を軽く叩き、頭をはっきりさせる。その後構えを取る。相手もナイフとライフルを構えた。距離は、10メートルはあるか。
 僅かな沈黙。今回は私から仕掛けた。
 スラスターも使って相手に近付く。相手はアサルトライフルを乱射するが、サイドステップだけで回避する。数発、股や腕をかすったが、止まったらそれこそ終わりだ。
 やがて相手はアサルトライフルをしまい、ナイフをもう一本出した。向かえ討つつもりだ。
 互いに交錯する。ゼピュロスを突き刺すように打ち込む。しかし相手はそれをうまくかわす。相手もナイフを振るう。私はそれを身を捻って回避し、またはゼピュロスで反らしたりした。
 そのうちの一発がこちらのバイザーを割る。今の一撃、もう少し力が強かったらやられていたかもしれない。
 一進一退の攻防。だがそれも長くは続かせなかった。
 相手のナイフを後ろへ下がってかわす際、わざと体制を崩す。相手はこれと言わんばかりに右手のナイフを突きだして――

(かかった……!)

 左足を前に出しながら右足を引き、同時に左手を上げながらギリギリでそれをかわす。ブレストパーツに傷が入るが、それを今気にはしていられない。体重は、後ろへ。
 上げた左手を一気に相手の手首へ振り下ろす。相手はナイフを取り落とし、体制が僅かに崩れる。

「なっ!?」

 そして、引いた右足をスラスター全快で振り、相手の足を払う。体重はを前に出しながらだ。さらに右手も上げる。
 最後に、見事に足を掬われた相手の首筋に向かって右手で手刀を決める。結果としてどうなるか。答えは相手は一回転する。
 相手のリアパーツは大きく、後ろにタイヤが付いていて相手の体は地面から数十センチ浮かんだ状態になる。

(シリア、エウロス! レールアクション!)
(わかった!)

 シリアがレールアクションを発動させる。私の体は相手の真上に移動する。右手にはエウロスが現れている。後は落下するだけ。スラスターもフルで入れて。

(終わりだ……)

 レールアクションを使ったから、ジャミングがかかり、相手は緊急バリアが使えないはず。
 だから私が突きだした刃は

 その赤いボディスーツを

 容易く貫いた









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