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7月25日(月)

 その翌日、つまり月曜日。私はまたもや炎天下の元に歩いていた。
 今日は神姫センターに行って、マスター登録をするそうだ。そうすることで公式大会にも出られるらしい。出る気はないんだけど。

「いいじゃん、無料だし色々特典ついてくるし」
「でも暑い」
「仕方ないでしょ。仁さんはお店あるんだし」

 定休日とか言ってなかったっけ?

「樹羽はちょっと外に出て散歩した方がいいんじゃない?」

 肩掛け鞄の中から、シリアがひょっこり顔を出す。

「シリアまで華凛の味方だ」
「私は樹羽のためを思って言ってるんだよ」

 それくらいわかっている。が、やっばり不思議だな、神姫って。
 その時、華凛がこちらを見て笑っていることに気が付いた。

「不思議でしょ、神姫って」
「……うん」
「??」

 シリアは何のことかわからずキョトンとしている。
 神姫は小さな人。見た目は人形そのものだけど、ちゃんと人の「心」を持っている。後8年早く神姫に触れていたら、私はあの時、笑っていられただろう。

「シリア、ありがとね」
「?? どういたしまして……」



 やって来たのは駅前だった。ビルには「武装神姫」と書かれた垂れ幕がかかっており、さらに武装したアーンヴァルmk,2の写真や、TVにも神姫についての特集をやっている。

「ここまで人気だったんだ」
「元々2031年の発売から人気だったし、4年前の神姫ライドシステムの開発に3年前の大会ラッシュでさらに人気が高まったのよ」

 3年前は神姫を使った事件とかもあったんだけどね、と華凛は付け足した。

「ま、今はそんなことも無くなって、みんな安心して神姫と一緒にいられるんだけどね」
「安心」

 最近の世の中に関して、私はよく知らない。テレビはあまり見ないし、新聞(今時紙性の新聞をとっている家は割と珍しい)だって見ない。

「神姫を悪いことに使う、か」

 鞄の中で、シリアは小さく呟いた。
 3年前の事件、神姫は物として扱われたに違いない。それは、神姫のことなど考えていないと言うことだ。
 それはシリアにも共通している。シリアはそれを思っているのだろう。

「今は安心」
「うん、そうだね」

 私が言うと、シリアは笑ってくれた。でも、その笑いはどこか悲しそうに見えたのは気のせいだろうか。

「ほら樹羽、ここだよ」

 華凛が指差す先、そこには一際大きなビルが建っていた。大きく「神姫センター」と書かれている。
 なんか、今から不安になってきた。



 建物の中は、人で賑わっていた。みんな神姫と一緒にいるか、中には買ったばかりの神姫を紙袋に入れている人もいる。
 あの猫みたいな神姫は、マオチャオ型だ。思えばあの日、ゲームセンターで神姫バトルを見たことから始まったような気がする。

「まずカウンターに行ってカード作ってもらわないとね」
「……うん」

 私は華凛の手を握った。人込みはそれほどではないが、はぐれたら嫌だ。華凛もそれをわかってくれたのか、無言で手を握り返してくれた。そのまま進んで行く。

「え~と、確か3番だったかな……?」

 華凛の背は私より高い。よって手を引かれた状態だと、華凛がどこへ向かっているのかイマイチよく分からない。

「あ、いたいた!」

 華凛の歩く速度が上がる。どうやら目的の場所を見つけたらしい。視界が軽く開ける。白いカウンターが目に写った。

「いらっしゃいませ、神姫センターへようこそ!」

 その緩やかなソプラノに、私は懐かしさを覚えた。思わず顔をあげる。

「長谷川……さん?」
「あ、覚えててくれたんだ。お久しぶりね、奏萩さん」

 そう言って微笑んでいるのは、私の中学生の時のクラスメイト、長谷川碧(はせがわみどり)だった。
 わずかにウェーブのかかった薄緑色の髪に、きっちりとした制服。未だにあどけなさが残る顔立ちはだいぶ大人びた感じがする。

「何で長谷川さんがここに?」
「そりゃ、私がここで働いてるからよ」

 それはそうだろう。でなかったらカウンターの向こう側で制服を着ているわけがない。

「私に自ら話しかけてくるとは、華凛にしかなついてなかった子がねぇ……」
「話しやすくなった?」
「そうそう、なんか空気って言うかオーラみたいな物が変わった気がするわ」

 華凛と長谷川さんが笑い合う。
 変わった――私は変わったのだろうか?
 だとすれば、その要因はやはりシリアとの出会いだったんだろう。

「で、今日は何の用? 昔話しに来た訳じゃないんでしょう?」
「ああそうだった。碧、樹羽に神姫カード作ってくれない?」

 華凛がそう言うと、長谷川さんは一回微笑んでから、

「では、新しく神姫カードをお作りいたします」

 すっかり様になった受付嬢になった。

「まず、お客様の名前や生年月日など、こちらのタブレットにご記入下さい」

 渡されたのは、B5サイズのタブレットとタッチペン。赤い縁で囲われた部分を書けばいいらしい。自分の携帯の番号など覚えてなかったが、すかさず華凛が教えてくれた。
 最後に、自分が持っている神姫とその名前を記入する。

「ありがとうございます。少々お待ちください」

 長谷川さんはタブレットを受け取ると、慣れた手付きでタブレットを操作した。カウンターの向こうのパソコンと一緒に動かしていく。
 やがて全ての作業が終わると、長谷川さんは一枚のカードを出した。銀色のカードで、エウクランテのシルエットと「武装神姫」と言う文字がプリントされている。

「お待たせ致しました。こちらがお客様のカードになります」

 カードを受け取る。裏面には、細かい文字で注意書きがビッシリと書いてあった。ま、進んで読もうとは思わない。

「なお、お客様のランクは3からとなっております」
「ランク?」

 ランクとは何だろう。3とは高いのだろうか?

「ランクって言うのは、まあ武装制限みたいなものね。このランクの登場で、初心者でも金を積めば勝てるって風潮が無くなったの。後、その人がどれぐらい強いのか、だいたいの目あすかな?」
「へぇ……」

 確かに一里あるが、やっぱり武器が強くても使う人が駄目では宝の持ち腐れではないだろうか? だとすれば、このランクという制度が出来る前も、金を積んで勝てたのは初級から中級の人までだっただろう。つまり、真に強い人にはあまり意味のない制度なのかもしれない。
 まあそれはそれとして、

「何で3から?」

 シリアが疑問の声をあげる。普通ランクは1からではないのだろうか?

「あ、あなたが奏萩さんの神姫? シリアっていうんだよね」
「あ、はいそうです。よろしくお願いします、長谷川さん」
「やっぱえうえうはマジメよねぇ、ウチとはおお違い」
「ウチ?」
「私もオーナーだからね。後、そのランクは私からのプレゼント」
「長谷川さんからの?」
「強いんでしょ? 奏萩さん」

 後ろで華凛がニヤニヤしている。絶対華凛の差し金だ。

「まあいいじゃない、ランク3からなら、公式でも今まで通り純正装備で戦えるんだから」
「そうなの?」
「そうなの。あと、ヴァーチャルバトルでは、武装データで武装するのは知ってるでしょ? その武装にはポイントがあるの。ランクが上がると、装備出来る武装の種類だけじゃなくて、武装が装備出来るキャパシティも増えていくのよ」

 つまり、神姫には790や530と言ったようにキャパシティが設けられており、そのキャパシティ以内で武装をやりくりしなければならないらしい。

「めんどう……」
「そこが楽しいんじゃない。オリジナルの武装パターンを作りだすのよ!」

 カードゲームに近いものがある気がする。余談だが、最近新しい決闘板がKCから発売されるとかビルの広告に書いてあった。
 と、その時だった。

「う~うっさいじゃん。人が静かにロックを聞いてる上でごちゃごちゃ喋らないで欲しいじゃん」

 カウンターの下から神姫が顔だけ出した。シンバルみたいな物(むしろシンバルそのもの)が頭に付いているその神姫は、確かベイビーラズ型だったはずだ。

「ちょっとグリーン、今接客中……」
「マスターが楽しくお喋り出来てるなら問題ないじゃん。マスターの友達ってことじゃん?」

 独特な語尾で喋るグリーンと呼ばれた神姫は、こちらを――正確にはシリアを見た。

「私はグリーンって言うじゃん! よろしくじゃん!」
「よろしく」
「あ、よ、よろしくお願いします」

 シリアは突然のハイテンションについていけていない様子。

「かー! 噂には聞いてたけどやっぱエウクランテはマジメじゃん! もっと羽目を外すくらいでちょうどいいじゃん?」
「は、はぁ……」

 なんと言うか、元気な子だった。ある意味シリアとは対称的な感じ。

「碧も神姫持ってたんだ」
「うん、この仕事してるとさ、自然と惹かれるものがあって、つい……」
「なんの予備知識もなく買ってしまったと?」
「うん。元気なのはいいんだけど、家で留守番させるとすねるし、かと言ってこっちも接客業だから……」

 なるほど、つまりカウンターの下でロックを聞いてて貰うので妥協してもらったのか。
 そのグリーンは、今シリアと話している。思えば、シリアも私同様交友関係は少ないはずだ。これは交友関係を築くいい機会かもしれない。

「…………」

 ふと見ると、華凛がグリーンのことをじっと見ていた。

「どうしたの?」
「あ、ううん! なんでもない」

 華凛はまた長谷川と話し始めた。

(華凛?)

 さっきまでの華凛の表情は、まるで無くしてしまった何かを想っているような、そんな顔だった。



「明日はバトルしに行きましょう」

 帰り道、華凛はそう宣言した。

「明日、月曜日」
「夏休み」

 そう言えばもうそんな時期である。

「ゲームセンター行ってさ、バトルしに行こうよ!」
「…………」

 正直、乗り気ではない。バトル事態が嫌な訳ではないが、初対面の人とバトルするのは、まだ抵抗がある。

「いいですね、行きましょう」
「シリア……」

 シリアは鞄の中から手を上げた。神姫はやる気があるらしい。
 つまり後は私次第。

「……わかった」
「よし、決まり! じゃあまた明日ね! 迎えに行くから、ちゃんと服着て寝ててよ! あられもない姿晒してたら問答無用で襲うからね!」

 華凛は早口で巻くし立て、自らの帰路についた。

「……帰ろっか」
「うん、そうだね」

 私たちも、帰り道を歩きだした。
 夕日がコンクリートの地面を紅く染める頃、私は翌日の来訪を僅かながらに楽しみにしていた。








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