くそっ、なぜ誰もMMSの価値を理解しない。これは革新的なシステムだ。機械を完全に支配し人がより豊かに生きるための重要な布石だ。それをたかだか人形遊びに費やすなんてばかげている。単なるオモチャに堕しているからMMSの普及はこんな規模に過ぎないのだ。やはりMMSは兵器であるべきだ。力があれば人はそれにすりよってくる。そして恐怖と経済効果をかねそろえた時MMSは新たな世界の支配者になるのだ。その時私の側で女王として世界に君臨するのはお前だよ…root
連続神姫ラジオ
浸食機械
浸食機械
12:選択肢3:脱出
西園寺を前にして思わず身構える。目の前にいるのは自分の欲のために神姫の大量破壊を行った男だ。
「まあ、管理者といってもここに閉じ込められて何もできない身だがね」
西園寺がにやりと笑いかけたところでハッとする。いつの間にか銃を向けていたのだ。
「神姫を愛する者として私を信じられないのは分かるが話ぐらいは聞いていく価値はあると思うよ」
銃を向けられたことなどはたいした問題ではないと言わんばかりに余裕綽々の西園寺を見ていらいらが募る。
「さて、手短に行こうじゃないか。君達に脱出の手段を提供してあげよう、その代わりといっては何だが一仕事してもらいたい」
もしライドしていなければプルミエと僕は思わず顔を見合わせただろう。
「内容を聞かなければお答えできません。マスターを危険にさらすわけにはいきませんから」
西園寺はもっともだといわんばかりに頷く。
「仕事は簡単さ。このルートを一緒に脱出させて欲しい。彼女は大事な試作品でね」
西園寺が優しくにルートを抱き寄せた。彼女もいとおしげに西園寺を見ている。
「君達も見ただろう、彼女の武装を。未完成の上にあんな物を積んだおかげで彼女はこの通信塔からの指示電波が届かないと指一本動かせなくなる。一人での脱出は不可能だ。ここから連れ出してもらう以上ただの人間に頼むこともできない。ライドしている神姫とそのマスターが必要だったというわけさ」
いつしかプルミエは銃をおろしていた。神姫をいとおしげに抱く男、彼がその神姫を逃がして欲しいと頼んできているのだから彼女にとって信憑性のある話に聞こえたのだろう。
「脱出の手段は?」
「それはまだ教えるわけにはいかないね。もっと賢い質問をしたまえ、柴田勝君」
僕の名前が出た瞬間ドキリとした。
「ルートから聞いているよ柴田勝君。きみは神姫愛にあふれ、賢明な少年のようだ。だから質問がなければ早くその機械人形からではなくきみの口から答えを聞きたい」
<…脱出に成功したとしたら、この島に残った人達や神姫はどうなります?>
「それは私の知ったことではない。ましてやきみが責任を取ることでもない」
西園寺はやれやれといった感じで首をふる。
「ここに来て博愛主義かね?君の最大の関心事はその機械人形との脱出だろう?なら他のことなど捨てておけばいい。助けを呼んだ後に警察なりMMS管理機構なりがうまくやってくれるさ」
僕はこの西園寺の魅力的な提案を前に…
西園寺を前にして思わず身構える。目の前にいるのは自分の欲のために神姫の大量破壊を行った男だ。
「まあ、管理者といってもここに閉じ込められて何もできない身だがね」
西園寺がにやりと笑いかけたところでハッとする。いつの間にか銃を向けていたのだ。
「神姫を愛する者として私を信じられないのは分かるが話ぐらいは聞いていく価値はあると思うよ」
銃を向けられたことなどはたいした問題ではないと言わんばかりに余裕綽々の西園寺を見ていらいらが募る。
「さて、手短に行こうじゃないか。君達に脱出の手段を提供してあげよう、その代わりといっては何だが一仕事してもらいたい」
もしライドしていなければプルミエと僕は思わず顔を見合わせただろう。
「内容を聞かなければお答えできません。マスターを危険にさらすわけにはいきませんから」
西園寺はもっともだといわんばかりに頷く。
「仕事は簡単さ。このルートを一緒に脱出させて欲しい。彼女は大事な試作品でね」
西園寺が優しくにルートを抱き寄せた。彼女もいとおしげに西園寺を見ている。
「君達も見ただろう、彼女の武装を。未完成の上にあんな物を積んだおかげで彼女はこの通信塔からの指示電波が届かないと指一本動かせなくなる。一人での脱出は不可能だ。ここから連れ出してもらう以上ただの人間に頼むこともできない。ライドしている神姫とそのマスターが必要だったというわけさ」
いつしかプルミエは銃をおろしていた。神姫をいとおしげに抱く男、彼がその神姫を逃がして欲しいと頼んできているのだから彼女にとって信憑性のある話に聞こえたのだろう。
「脱出の手段は?」
「それはまだ教えるわけにはいかないね。もっと賢い質問をしたまえ、柴田勝君」
僕の名前が出た瞬間ドキリとした。
「ルートから聞いているよ柴田勝君。きみは神姫愛にあふれ、賢明な少年のようだ。だから質問がなければ早くその機械人形からではなくきみの口から答えを聞きたい」
<…脱出に成功したとしたら、この島に残った人達や神姫はどうなります?>
「それは私の知ったことではない。ましてやきみが責任を取ることでもない」
西園寺はやれやれといった感じで首をふる。
「ここに来て博愛主義かね?君の最大の関心事はその機械人形との脱出だろう?なら他のことなど捨てておけばいい。助けを呼んだ後に警察なりMMS管理機構なりがうまくやってくれるさ」
僕はこの西園寺の魅力的な提案を前に…
「全く、理解に苦しむ少年だ。今君は確実に脱出する手立てを失った上にこの島に残った者達が助かるチャンスも奪ったんだよ」
<それでも構いません。この島でコウガとマスターが、神姫とマスターが憎しみあったまま幕が引かれるなんてほっとけない>
僕は心の底から叫んだ。
「マスターの馬鹿!どうして自分の身を大事にしてくれないんですか。この島にだって大人はたくさんいます。あなたがそんなことまで背負う必要なんて無いんです!」
プルミエが涙ながらに訴えかける。僕はイメージの中で彼女をできるだけ優しく抱きしめようとした。
<僕はこの島に残って何がしたいのかずっと考えてた。プルミエとただ脱出するだけじゃなくて、これまでみたいにずっと笑いあえる解決法を>
ステベロスさんから地図を受け取った時から神姫と人との関係についてずっと考えていた。大地さん、グレーテルさん、浩太さん、他にも神姫やマスターに会って僕はプルミエとどんな付き合いをしたいのか考えてきた。
<この島では神姫とマスターの悲しい別れが多すぎる。でも僕たちはまだやり直せるはずだ。そのために力尽くでの解決じゃなくて真相を明らかしたい。>
僕の叫びを西園寺の笑い声がかき消した。
<それでも構いません。この島でコウガとマスターが、神姫とマスターが憎しみあったまま幕が引かれるなんてほっとけない>
僕は心の底から叫んだ。
「マスターの馬鹿!どうして自分の身を大事にしてくれないんですか。この島にだって大人はたくさんいます。あなたがそんなことまで背負う必要なんて無いんです!」
プルミエが涙ながらに訴えかける。僕はイメージの中で彼女をできるだけ優しく抱きしめようとした。
<僕はこの島に残って何がしたいのかずっと考えてた。プルミエとただ脱出するだけじゃなくて、これまでみたいにずっと笑いあえる解決法を>
ステベロスさんから地図を受け取った時から神姫と人との関係についてずっと考えていた。大地さん、グレーテルさん、浩太さん、他にも神姫やマスターに会って僕はプルミエとどんな付き合いをしたいのか考えてきた。
<この島では神姫とマスターの悲しい別れが多すぎる。でも僕たちはまだやり直せるはずだ。そのために力尽くでの解決じゃなくて真相を明らかしたい。>
僕の叫びを西園寺の笑い声がかき消した。