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番外その三  「にっくきむねのにく」







 西暦20XX年、ある神姫センターが憎しみの炎に包まれた。




「キャーーーッッ!!」

「エレベーターだ! 下の階に逃げろ!!」

「ダメだ! 全部ふさがれてる!!」

「奴らだ! 奴らの仕業だ!!」

「お願いですマスター!置いていかないで!」

「マスターだけは見逃して! たのっ……キャアアア!!」

 人が神姫を恐れ、神姫が人を、神姫が神姫を憎む。砲弾とレーザーの焦熱地獄に残された人々は逃げ惑い、退路を求め先を争う。恐怖が疑念を生み、疑念が新たな抗争の火種を生む。略奪と征服の横行。力ある者が弱者を虐げる、ここはまさに世紀末、現代に目覚めたソドムとゴモラ。人と神姫が手を取り合うべき神姫センターの姿は、もはや失われたかに見えた。



 そしてここに、騒ぎの中心となった者がいる。

「……まさか、あんたとこんな形でやりあうとは思ってなかったわ」


「ふふっ、私もです。でも薄々予感はしてましたよ。だってずっと気に入らなかったんですから」



「もうやめて下さい! こんなことしてもなんにもなりませんよ!」


「うるさいッ!! あなたは持ってるからそんな悠長なことを言っていられるんですよ。そんな立派な……」



 これは、

「そんな立派な、ムネをねっ!!!」

 己に与えられた運命に憤激した者たちの繰り広げちまった、ある晴れた日の馬鹿騒ぎを、できる限り克明に記録したものである。





 ※※※






 その日は朝から天気が良く、俺はなんだか良いことでもありそうだと神姫センターの入り口をくぐった。
 今日は健五のたっての頼みで、新しくなったクレアの力を試す目的で、直也と初菜を誘って遠征をすることにしたのだ。普段試合をしたがらない初菜から珍しくOKサインが出て、不思議なこともあるもんだと俺はなんともなしに考えていた。
丁度、「輝さん、初菜さんってどんな戦い方をするの?」と健五が聞いたので俺は、
「あいつは面倒くさいぞ。本当に気が長くて、面倒くさい」とだけ答えておいた。
「気が長くて、面倒くさい……?」
「ま、行けば分かるんじゃねーのか」
 しかし初菜は例によって到着が遅れるらしいので、俺たちは先に神姫センターに向かうことにした、というわけである。




 入ってすぐに、あるものが目に付いた。
「おっ、アルトレーネだ」
 戦乙女型、アルトレーネ。白を基調とした武装に、青いクリアパーツが映える、なんとも清涼感のある外見の神姫である。中身というか性格が見た目に反しており、個人によって好みの割れるところらしいが、俺はユーザーではないのでその辺の議論はパスさせて頂こう。今日連れて来ているメリエンダとこひる以上に手の掛かる神姫を俺は知らない。
 直也と健五も、すぐにアルトレーネの姿が目に入ったようだ。というか、この神姫センターは他に比べてアルトレーネがやけに目立つような気がする。
「マスター、勝ったのです!」
「よぅし、偉いぞエル!」
 俺たち以外にも団体の人間がいる。直也が、そのうちの一人らしいストラーフのオーナーを見て鼻の下を伸ばし始めたが、すぐさま側頭部をアッシュにどつかれた。まあ美人だし仕方が……俺も雅にどつかれた。
 しかし……、アルトレーネか。俺はなんとなく直也に言った。



「アルトレーネってさ、やっぱデカいよな」


「!?」
 メリーが反応したが、俺は理由が分からず、特にこの時気にしなかった。直也は周りの服やら武装やらで着飾った神姫を値踏みするように見て、にやけて言った。
「ああ、そう言われりゃそうだな。……おっ、アークだ。いいねぇ、俺あんくらいのサイズの見ると興奮しちまうわ。男の子の血が騒ぐっつーか」

「……!!」

「おお、分かる分かる。ツヤとか形がいいもんな。エウクランテのとか、毛色が違うが紗羅檀のも好みだな俺的に」

「な……な……!!」

「おおっ、じゃあ同じ会社つながりでイーアネイラとか……」


「ぶぁぁかあああああーーーーーーっ!!!!!」


 いきなし耳元で叫ばれたもんだから、鼓膜が悲鳴を上げた上に周りの客がなんだなんだと俺たちを見た。
「んがっ。……なんだよメリー」
「知りませんっ! ほら、早く行きますよ! オトコのコの血が騒いじゃいますからね!」
 はあ、この間新しく作ったツクモとモガミの性能を試したいってんだろうか。その意気やよしだ。だが、考えている間にメリーはさっさと一人でぴょんぴょん筐体に向かってしまった。
「なんなんだ、あいつ」
「……アキラ、あんたたちなんの話してたの?」
「え? 武装の話だよ。アルトレーネとかアークのはボリュームあって造形もいいなぁと」
「……聞きようによっちゃ、違う話みたいにも聞こえたけど」





 ※※※



 さて、バトルであるが、一つ問題があった。
 メリーの向かった先を俺たちが追うと、ちょっとしたいざこざが起こっているようだったのだ。

「オラオラぁ! 威勢がいいのは最初だけかぁ!?」
「ひ~ん、やめて下さいですわぁ」

 筐体の中で、アークが対戦相手のイーダを執拗に攻撃しているのだ。イーダは武装の前腕部がイカレているようで、その場から離脱することもできずにアークに足蹴にされている。
 遠巻きに周りで見ている奴らもいたが、誰も止めに入ろうとしなかった。イーダにしちゃ気の弱そうな奴だと俺は思ったが、今はそれが問題なんではない。戦意の無い相手を攻撃するのは、こと神姫センターにおいては御法度、マナー違反もいいとこだろう。
 健五と直也、神姫たちもそう感じたようで、文句の一つでもつけてやろうかと俺が一歩を踏み出した、その時。


「どっせええええーーーーーーいぃ!!!」


 筐体の外側を青くて小さいものが素早く駆け上っていったかと思うと、そいつが突然アークに跳び蹴りをお見舞いしたのである。
「ぬおおっ!?」横に吹っ飛んだアークに目もくれず、そいつはイーダに手を貸し、立ち上がらせた。
「ほら、立って下さい」
「あ、ありがとうございます……ですわ」
 おお、あれはメリーじゃないか。どこに消えちまったのかと思っていたが、いいとこに出てきてくれた。
 しかしアークがすぐさま起き上がる。
「ぐっ……おいお前! 勝手に入って来てなにすんだ!」
「うるさいですよ。ムネの大きい人はおバカなんだって本当なんですね」
「なんだと!?」
 よしメリー、その調子だぜ。言ってやれ。
「イーダさぁん、大体あなたもあなたですよぉ。あんなムネが大きいだけの神姫に負けて、悔しいと思わないんですかぁ?」
「えっ……」
 ……はて、メリーの目が光を宿しておらず、口調が投げやりというかやさぐれているようなんだが。どういうことだろうね、健五君。「どういうこともなにもないと思うけど」はあ、さいですか。
「あんな玉っころが二つくっついてさえいれば、大抵のことは人間に、特に男性に許してもらえちゃったりするんですよ。不公平だと思いませんか?」
「はあ……」
「そのせいで正当な評価を受けていない神姫だって大勢いるんです。そりゃ貧乳はステータスとかいう言葉もありますけど、使うのはいつだって私たちの苦しみを理解していない人だけで、結局はネタとしてしか扱われないんです! なーにがむっちんプリンですか、しゃらくさいな、笑わせないでくださいってなもんですよ!!」
「あの、わたくし特に胸に不満は……」
「だまらっしゃーい!!」
「へぶっ!?」メリーがイーダに平手打ちをした。ああ、オーナーの人に申し訳ねえだろうが。
「そんなこと言って! あなただって本当は輝きたいって! 変わりたいって思ってるはずなんです!」
「……変わりたい、輝きたい……?」
 なんか話がおかしな方向へずれまくっているような気もしたが、そんなものは意に介さない様子でメリーは熱弁をふるいつづける。俺の目がおかしくなければ、さっきまで気弱そうだったイーダの表情が少しずつだが輝き始めている。
「イーダさん、あなたのそのムネをよく見て下さい」
「こ、このパーツがどうかしましたの?」
「あなたはトライク型です。ならばその胸部パーツは、誰よりも速く、優雅に走ることを運命づけられたあなたにとって、むしろ誇るべきものなんですよ」
 メリーは己の言葉とは裏腹に、アーマーをつけた胸を張って見せた。先日俺と直也が手を加えて強度を増したものだったが、残念ながら『厚さ』を考慮していなかった。別に薄い方がいいとかそういうのではないが。
「見て下さい私の胸を。清潔感と機能美にあふれ、余計な色香を振りまいてお客様を困らせることはありません。どっかの赤いのとは違うんですよ」
「あたしを引き合いに出すな」
「そうだぞメリーいい加減にしろよな! こいつだってなぁ、言うほど胸はなく……ぐああ! 眉間に箸がぁあ!」
「とにかく、私たちは一刻も早く正当な評価を得なければなりません。そのためになすべきことを、貴女はもう理解できるはずですよね?」
「なすべき……こと……」イーダは自分のオーナーの顔と、相手方のアークの顔を交互に見比べ、やがていっそすがすがしいほどの―――元のイーダらしくサドい顔で、言った。
「……やってやりますわ、メリエンダのお姉さま」







 ※※※




 それからはもう、阿鼻叫喚であった。
「あーーーーーっはははははは!! 最高ッ、 最高ですわお姉さま! これが、これが自分に正直になるということでしたのね!」
 メリーとイーダの二人でアークを目も当てられないほどメタメタにボコったあげく、メリーは筐体の外に向かって宣言したのだ。
「さあ胸が無いと嘆く皆さん、今こそ立ち上がる時です! 私たちを見下す巨乳ども、そして私たちを作った人間たちに見せつけてやろうじゃないですか! 私たちはやれるんだと! 変革の時は今です!」
まるで檀上から演説をする社長か政治家のように、メリーは両手を広げて宣言した。すると、筐体の周りで事態を見守っていた俺たち群衆の間から、神姫が数体飛び出したではないか。
「……わたしも、あっちに行くんです」俺のすぐ隣で騒ぐオーナーから、また一体神姫が離れた。二体、三体。数を続々と増してゆく。そして、それを止めようとするやつも、同じくらいいたのだが、なんなんだこの神姫センターは! 祭りのごとき騒がしさで、あっという間に、あっちこっちで小競り合いが始まる。中には明らかに面白半分で参加するもの、「これで何回目だよ」とかうそぶくものもいる。
 当然辺りは大騒ぎで、俺はどこかへ消えてしまったメリーを探そうとするも、直也に両手を引っ張られ、フロアの外へと連れ出された。
 いや本当、どうしてこうなった。








 ※※※




 ……さて、今俺たちは他の客と神姫、それからツクモ・モガミと共に一つ下のフロアまで逃げてきたのだが、状況としてはよろしくない。健五とはぐれた上に、この上は恐らくばっちりソドムっちまっていることだろう。いや、ソドムってるってなんだ。
「お前いいから黙ってろよ」直也につつかれ、口をつぐむ。だって仕方ないじゃないか。俺たちと偶然居合わせて、そのまま下のフロアまで避難することになった神姫と人間全員の視線が、俺に刺さっているのだから。
「直也、これは……」
「ああ、どう見ても『おいお前の神姫だろ、早くなんとかしろよ』って視線だな」
 涙が出ちゃう。男の子だけど。
 ……それはさておき、逃げてきた人間は全員焦燥しきっている様子だった。自分の神姫に逃げられたか、あるいは攻撃をされたのかは分からんが、とにもかくにもほうほうの体である。よくフィクションであるだろう、何らかの理由で暴走したロボットが人間に反乱を起こすというのが。今はまさにあれと、ゾンビを銃器で倒しつつ脱出を図るゲームの状況を合わせたようなものだ。
「あ、あの……」ん、なんだ。見れば、さっきの団体客の一人、ストラーフのオーナーだった。本当に美人である。あっ、あのアルトレーネのオーナーは彼氏らしい。うらやましいぞこんちくしょう。
「どうかしました?」
「さっきのメリエンダって、あなたの神姫ですよね?」
「……ええ、恥ずかしながら」
「なんだ、それならさっさと止めなさいよ! それでも神姫オーナーなのかアンタは!」
 なんだこの口の悪い神姫は。型式が思い出せねえが、「アンタ、レラカムイ型を知らないなんざ、も一度幼稚園かさもなきゃママンの胎内からやり直してきな」
「……ちょっとアンタ、今の聞き捨てならないんだけど。アキラの母様はね……! って」雅は突然、はたと口をつぐんだ。レラカムイとかいう神姫のオーナーらしい女性の顔をまじまじ見つめている。
「あれ、アンタ前にお店で会ったわね」
「え? ……ああっ、そういえば食堂の娘やん。久しぶりやね」
「なんだ雅、知り合いか」
「前にお客としてうちに来たのよ(にゃー様作 消えた犬とカツカレー にて。この場を借りてお礼申し上げます)。あんたは居なかったみたいだから、あたしとあのバカ貧乳で応対したけど。なに? 神姫買い換えたの?」
「買い換えられるならぜひともそうしたいんやけどねぇ」
「コラちょっと鉄子ちゃん」
 鉄子さんというらしい。ほほう、ストラーフのオーナーと同じく美人だ。一体彼女らはどういった団体なんだろうか。少し聞いてみた。
「ああ、うちらは同じ大学の仲間なんよ。うちが竹櫛鉄子。で、この子が傘姫、彼が背比ね」
 ん、ちょっと待て。背比さん、連れてたはずのアルトレーネがいないんだが。
「ええっと、さっきの騒ぎで行方が分からなくなっちまって」
「すいませんっしたああああああ!」
 速攻で土下座した。 まずいな、これが他のオーナーに対しても続くと俺の精神が持たん。
「いや、エルがそんなに簡単にやられるとは思えんし、それにこういう状況も今まで無かったわけじゃなくて……。それはいいとして、どうしてあの子は暴れだしてしまったんやろ」
「ねえアンタ、あいつと『腐れ縁』だとか言ってたでしょ。ちっとは分かんないの」
 レラカムイが雅に聞いた。雅はしばし考え込んだ後、もはやこれまでといった素振りでため息をつき、言った。

「……あのね、あのバカ貧乳はうちのスカポンタンマスターがしてた武装の話を、そのね、胸のサイズの話と勘違いしたみたいなのよ」

 ……………。

 ―――しばし、彼女らに沈黙が降りた。

「……っはあああああ!? なに? そんな理由で暴れてんのあいつは!?」
 レラカムイが大声を上げた。俺たちは顔に手を当てて、ため息をつくしかなかった。
「胸の話で暴れるって、どういうことなん?」
「や、あいつはッスね、自分の胸が小さいのを気にしてるっつーか、コンプレックスを抱いてるんです」
「はッ、くっだらないね」
「まったくだなコタマ。そういうのは気にするべきじゃなく、もっと胸を張って自信を……なんだイルミ、え? 俺はやましいことなんて何一つ考えちゃいないぞ。本当だ、別に姫乃のムネがどうとか考えちゃいな……いや姫乃、違うんだ、真に受けないでくれ」
 男女間の苦労ってのはどこにでもあるらしい。しかし何故だろう、背比さんを見ていると他人事と思えない。いや、それは置いといてだ、
「じゃあ、目下の問題はどうやってメリーを説得するかってとこだな」
 とりあえずは、俺がメリーに謝罪するのが一番いいように見える。だが、上階はすでに大量の神姫に占領されている。そこで、他の誰かの力が必要だということになる。
「じゃあ皆さん、一つ力を貸しちゃくれませんか」







 作戦は一つ。全員で上階の神姫を鎮圧する、一大反攻作戦だ。
「早くエル姉を助けにいかなくちゃね。エル姉はその、“大きい”から」背比さんはアルトアイネスも連れていたのだが、聞くところによるとアイネスは彼の神姫ではないらしい。
「貞方の奴はどこ行ったんだ」
「ショウくん、コーヒー買ってくるって言ってまだ帰ってこないんだよ」
「なにあいつ。バカなのか、死ぬのか」
 アッシュ、メル、そしてコタマ。俺はその後ろで待機。「しかし、見事に“薄い”神姫がそろっ……あじゃぱッ」直也の一言は、アッシュが顔面に撃ち込んだハンドガン数発で消された。
「たわごとを抜かさないでください。我々はこれからあなた方の尻拭いのために戦場へ送られるのですから」しかし、言葉とは裏腹にアッシュは楽しそうでもあった。
「フフ、なにをおっしゃる。別にこんなお祭り騒ぎはめったに体験できないとか、そんなことはこれっぽっちも考えていませんよ」嬉々としてサブアームのショットガンを排莢しながらアッシュは言った。世の中は、こういった思考の持ち主のせいで戦争がなくならないに違いない。きっとそうだ。
「まあ、自重はしますよ。しかし別に、彼女らを鎮圧してしまっても構わないのでしょう?」
「おいおい、そのセリフは死亡フラグだからやめときなって。ま、そん時になったらアタシが墓碑銘を彫ってやるよ」
「コタマ姉さんたち、喧嘩してる場合じゃないでしょ」
 どの程度役に立つかは分からないが、とりあえずはこれが先発隊だ。その後、状況をかんがみて後発の部隊が切り込むことになる。ストラーフのイルミ、俺の雅に加え、その他逃げてきた人々の神姫。背比さんは「大丈夫だって。イルミも、来れば貞方のハナコだってかなり実力あるし、心配しなくていいぞ」と言った。できることなら、俺たちの神姫以外は傷つけずに済ませたい。
 さて、俺は俺の仕事を全うするとしよう。上手くすれば終わる。









 ―――などと考えていた俺は、甘すぎた。


 ※※※











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