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第五話:物語姫


 勝利宣言が響く。俺たちの勝利で。それは俺たちの覚悟が真那のそれを上回ったことを意味した。

「やったわよ。ミコちゃん。……これで大丈夫だよね?」

 紫貴が画面の向こうから俺に向かって問いを投げ掛けてくる。俺のやっていることを俺自身が分かっているかということだ。それには今なら迷いなく答えられる。

「ああ。これでいい」
「OK。なら、私はなにも言わないわよ? 蒼貴はどう?」
「私は初めから一生仕える覚悟をしています。オーナーを信じていますよ 」
「そうね。聞くまでもなかったわ。ミコちゃん。後は自分で選んで」
「……ああ」

 二人に後押しされて真那に顔を向ける。彼女は負けた悔しさからか、はたまた俺を止められなかったからか、涙をこらえているようだった。お前もお前で背負っていた。そういうことだったんだな。

「真那……」
「わかってるわよ……。約束は守るから……」
「ああ。このままだ」
「何であんたはそんな無茶をして、私には頼ってくれないの? 私だって……」
「それは違う。もう頼りにしていたんだ。お前は何だかんだ言って、いつも一緒にいてくれてる。それがどれだけありがたいことか、さっきの戦いと話を通して知ったよ。だからこそ待っていて欲しいんだ。約束を果たせるその時までな」
「本当にそれをやれるの?」
「ああ。お前は俺にとって一番大切な奴なんだ。お前を安心させるためにもとっとと済ませる。イリーガルマインド回収のサービスが確立すれば、俺個人の役目も段々と小さくなるさ。できる所までやるよ」
「い、一番大切……?」
「そうだ。最初に会ってから、何だかんだ振り回されちゃいたが、お前といるのはいいと思っている」
「な、ななな、何を言ってんのよ!? バカ!!」
「あん? だから俺は……」
「それ以上言うな! もう知らない!!」

 それだけ言うと真那は慌てた様にルナを置いて神姫センターを飛び出していってしまった。呼び止めようと手を伸ばそうとしたが、そんな時間もなかった。

「……伝わらなかった、か」

 何とか自分の気持ちを伝えようとやってはみたが、結果がこれか。もう少し、考えるべきだったのだろうか。後悔の念ばかりしか思い浮かんでこなかった。

「いや、その……なんだ……」
「むしろ大成功かと……」
「うん……。僕でもなんとなくわかる気がする……」
「え?」

 そんな中、言ってきたアキラと蒼貴、健五の言葉に俺は思わず、間の抜けた返事を返してしまった。失敗したと思っていたがまだ、チャンスはあるのだろうか。

「何、間の抜けた顔をしてんの? 追いかけなさいな。神姫なら見ていてあげるから」
「いってらっしゃい。ミコちゃん。ハートをガッチリつかんできてね」
「……ああ」

 セツナと紫貴に促される形で俺は真那の後を追った。まだ、チャンスはあるのなら、手を尽くしてみたい。
 センターの外を出てみると、彼女はいた。後ろ姿から見ても、随分と恥ずかしそうにしている。そんなに俺の言葉はすごかったのだろうか。蒼貴とアキラ曰く、大成功らしいが果たしてどうなのか俺自身にはわからないが、聞こう。

「……おい」
「何よ……随分と大胆な事言うじゃない」

 後ろを向いたまま、彼女は喋り出す。その口調はどうにも俺の言葉を悪くは取ってないらしい。チャンスはまだ、あるか。

「思った事を言っただけさ。お前みたいにいつでもそうできれば楽だろうけどよ」
「それって誉めてんの?」
「ああ。そういう所は好きだ」
「ふぅん……。じゃあさ。証明しなさいよ。好きって事」

 そう言うと真那は振り向いてきた。何かを求めるように見つめてくる。それは頭のなかを巡らせてみても一つしか思い浮かばなかった。

「……ここでか」
「そうよ。そうでもしないとミコちゃんはすぐ逃げようとするんだから」
「仕方ねぇな……」

 人目のある中での宣言を迫られ、逃げ道を塞がれた俺は……真那の要求通り、人目を気にしながらも、彼女を抱き締めた。細かいことも気にしない自由奔放な真那は柔らかく繊細な感じがあった。これが彼女なのかと思うと意外だった。

「これでいいか?」
「満点じゃないわね」
「わがままな奴だ」
「そうよ。私はわがままなのよ。……今から満点にしてあげよっか」
 そんなことを言うと、真那は抱き返してきて、俺にキスをしてきた。
「な……っ!?」

 突然の事に俺の頭の中が真っ白になってしまった。こいつ、周りに人がいるのになんてことしてくれやがる。周りを見ると、どう考えてもリア充爆発しろという痛い視線が突き刺さってくるぞ。

「……ふぅ。どう? 満点の方がいいでしょ?」
「お前なぁ……。人目ってもんを気にしろって……」
「ミコちゃんのわがままを聞いてやる代わり。逃げられないようにしてやったのよ」
「さいで……」

 これで俺は真那と付き合うことを公で宣言してしまったことになる。これは輝との約束をこいつを泣かす事なく、済まして目の前にいてやらないとならないわけだ。だが、悪い気はしない。このわがままで自由な彼女が好きだから、な。

「無茶はしない事、蒼貴と紫貴を死なせない事、私を泣かせない。このぐらいは守ってよね」

 まだ抱き着きながら、約束を迫ってくる。嬉しさからなのか、無茶をしているらしい俺への心配からなのかはわからないが、その顔は少し涙が出ていた。
 勝手気ままにやっているだけなのかと思っていたが、こんなに俺を思っていたんだな。

「ああ。ちゃんと約束は守る。すぐにあいつとの約束は果たすさ」
「破ったら許してやらないんだから」
「もう泣いているじゃないか」
「これはノーカンよ。あんたを想って泣いてやってるんだから」
「そうか。ありがとう。……帰るぞ。お互いの神姫は待ってるし、何より視線がいてぇ」
「それはミコちゃんのわがままのせいよ」
「そうですか。悪うございました……」
「ふっふっふっ……」

 酷い理不尽を受ける中、俺と、それを何とも思ってくれない真那は神姫センターに戻っていく。どうにか問題は片付いたが、待っている奴らにいったい、どう話をすればいいかと思うと内心、頭を抱える。絶対、蒼貴も紫貴もニヤついているだろうし、巻き込んでいる二人も……。

 とはいえ、巻き込んでいるのだから、なんとか説明してみるか……。



「おう。話はついたか?」
「ええ。何とか話をして真那はわかってくれました」

 神姫センターに戻った後、何があったのかをアキラやセツナに説明した。俺が首輪狩りをする際に条件として無茶をしない事、ちゃんと真那の前に帰ってくる事などなど、彼女を泣かさないために必要な事をたくさん話した。それをしている間、蒼貴と紫貴、ルナはニヤニヤしていた。こいつらは長い付き合いだからか。もう察しているのかもしれない。

「ま、条件付きだけどね~」
「条件付き? あんたの事だから何かとんでもない事をしでかしてそうだけど」
「実はね~」
「さっき話した以上の話はないっ。約束は守るっ。それでいいだろっ」

 あの事をバラそうとする真那に俺は焦って、それをどうにか遮ろうとする。さすがにあれを知り合った人に聞かせるのはいささか以上に困る。

「あらあら、泣く子も黙るミコちゃんが何を焦っているのかなぁ~?」
「オーナー。私も聞きたいです。どんな事をして、真那さんを納得させたんですか?」

 やはり食いついてきた蒼貴と紫貴が容赦ない質問攻めをしてくる。特に蒼貴は恋愛が好きだからか目をとてつもなく輝かせている。答えない事を許さないようだ。 

「そ、それは……」
「それはね~。ミコちゃんが抱き着いてくれたの~」
「な!? オーナーがそんな事を!? さ、流石です。オーナー!」
「へぇ。ミコちゃん、大胆~。私たちにもその内やってもらおうかしら?」
「はっはっはっ。やるねぇ。あんたも。こりゃ、俺も負けてらんねぇなぁ」
「いいな……。僕も尊さんや真那さんみたいにできたら……」

 あっさり真那の口からバレた。反応はといえば、クールそうなセツナ以外はニヤニヤして俺を見ていた。何とかこの困った状況を打開しようと頭を回転させようとするのだが、どうにも調子が狂って、これといった考えも出ずに恥ずかしがって黙り込むしかなかった。
 何とかしようと一番、話のわかりそうなセツナに目を向けてみるが……。

「頑張れ。青年」

 フッと笑いながら放った適当な一言で済まされてしまった。かくして俺の望みがこれで全て絶たれたのだった。

「ははは。さてと、俺はそろそろ仕事があるから先に帰るわ。健五はどうする?」
「皆さんが良ければ、僕も対戦したいんですけど、いいですか?」
「ああ。いいな。そうしよう。俺は大賛成だ」

 アキラと健吾が俺を見かねたのか、助け船を出してくれた。俺はそれにすぐに賛成し、この話題から逃れるべく、蒼貴と紫貴を引き連れて健吾との対戦の準備をする。

「お、オーナー? 真那さんとの話を……」
「そうよ。しっかり聴かせてちょうだい」
「それは帰ったら聞かせてやる。それで手を打て。とにかくこの場を逃れることが最優先なんだ」
「わかりました。帰ったら絶対ですよ」
「覚えたからね」

 もはや最小限のダメージにとどめる事だけを考えた俺はその話をネタに蒼貴と紫貴を買収し、さっさとシミュレータの席に収まった。
 キリの良い所になったと考えたアキラは笑いながら手を振って、仕事に戻るために神姫センターを後にした。

「あっ! ずるい!!」
「うるせぇ! お前の方がずるい!!」
「言ったわね!? 健五君! この陰険メガネをブッ飛ばすのよ! 私が許す!!」
「え……。あの……」
「なんでそうなんだよ!?」
「いいとこで逃げたからよ! さぁ! やっておしまい!!」
「一応、私達負けたんだから、でかい顔できないんだけどね……」
「細かいとこはいいのよ! 健五君が終わったらまたリベンジして勝ったら、言う事を聞いてもらうわ!!」

 負けず嫌いもそこまで来ると見上げたものである。だが、こうなれば真那の思うようにはさせない。あの話はホイホイ話されたらたまったものじゃないからな。

「健五。こいつらには構わなくていいからな。正々堂々、対戦しよう」
「はいっ!」



 その後はお祭り騒ぎだった。健五との対戦から始まり、真那やセツナとの一騎打ちやら三人の対戦の観戦と戦いを休む暇もないイベントが目白押しだった。
 対戦の方は健五とクレアは強かった。中学生だと聞いたが、それであれだけできるとはとんでもない可能性をある。将来が楽しみな二人だ。
 セツナはセツナで一騎打ち用の装備を引っさげて勝負を仕掛けてきた。真那とチーム戦という事もあって足並みをそろえていただけらしく、飛ばずにバックユニットからの攻撃から太刀を振るう戦い方だった様だ。チーム戦と個人戦の違いを知るいい機会になった。真那は……まぁ、頑張ったんじゃないか。善戦はしていたさな。
それが終わったら終わったで飲み会だと言って、明石食堂で仕事を終えたアキラを交えての宴会となった。さすがに食堂という事もあって派手な風にはできなかったが、それでもお酒も出てきて、皆が楽しめるものになった。
 その中でアキラと健五の話も聞く事ができた。彼らがひったくりから出会った事から、ウラノスのメンバーの子を命がけで救った事までと彼らの歩んできた道を聞くと彼らもまた、誰かのために身体を張ったり、神姫とマスターとして絆をもって進んだりする事のできる強い意志を感じられた。
 俺もまた、楽じゃない道を進んできたが、こういった角度の道もあると思うと一人一人、大きな物語を胸の内に秘めているんだなと感じる事ができた。



「ふぅん。キスまでしちゃったんだぁ」
「オーナーがそこまで行けただなんて……最高です」

 そして今に至る。家に帰って、何とか話題を無理やり変えるための代償の支払い中というわけだ。さすがに素直に話した。抱き合った事も、キスした事も。そうしたらこれだ。茶化すのが好きな紫貴はニヤニヤしているし、恋愛大好きな蒼貴は恍惚とした表情で俺を見ている。困った奴らである。

「これは誰にも言うなよ? 本人はとんでもなく恥ずかしいんだからな?」
「ま、そのぐらいは守って差し上げましょうか」
「ええ。カップル成立の快挙を聞けただけでも十分すぎますよ」
「ならいいがな……」

 こいつらは口が堅いから、多分、どうにかなりそうだが、正直これ以上は聞かないでくれることを切に願う。

「それにしてもアキラさんと健五さんは日常の中で起きた出来事をお話になってくれましたが、その中の話がすごかったですね。裏バトルを潰したり、アイドルの子を助けたりするなんて普通はありえない話ですが……」
「まぁな。でも、あいつらの道にはそうしてあったんだ。そしてあいつらも俺達もそういう場面に直面して選択をする事で自分の物語として話せるってもんさ」

 話題を変えた蒼貴の言葉に俺は頷く。今に至るまでの道はどんなにありえなさそうな話でも何が起きるかわからないし、起きてもおかしくない。

「そうね。セツナの物語も聞きたかったけど」
「あいつは自分から何か話すのは信用している奴だけって感じだから仕方のないことさ。だが、信用している奴には語るだろ。自分の物語をな」
「ええ。伝え方も人それぞれ、よね」
「そうですね。私達の物語も、私達なりにです」

 そう。俺達の道……物語もまた、聞いてほしい誰かに語り、初めて意味を成す。自分自身は選択すれば今の自分として成長することができる。そして話す事で再確認をしつつも話した人々に影響を与えることもでき、その反応でさらに自分を高める事もまた、できる。
 だから俺は俺の道を行き、困難を乗り越えた後で「そんな事もあった」と笑って話せる様に後悔しない歩き方をしていこう。

「オーナー?」
「何、難しい顔をしてんの? ミコちゃん?」

 こいつらと、真那と、皆と、一緒にだ。

「ああ。皆で一緒にこの時を楽しもう、ってな」


第一部:店の中のせつな  -終-






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