平日の午後の日暮れ過ぎた今日、黒野白太が住むマンションから最寄りの神姫センターは休店日。如何に(悪)名高い神姫マスターでも店の都合を如何にか出来る筈も無く電車に乗れば休店日では無い神姫センターにも行けるのだろうけど、そこそこ裕福でも一中学生である黒野白太の財力では食費を削る等で水増しを図っても神姫の武装を揃えるので精一杯である。
神姫センターに行かずともオンライン対戦という手もあるが低ランクの神姫マスターを狙い勝ち星を稼ぐ神姫マスター達の存在でランクが混沌化しているので、黒野白太と彼の神姫であるストラーフMk2型神姫イシュタルはオンライン対戦に対して興醒めして久しく今も尚オンライン対戦をやろうとは思わない。
ならどうするかと話し合った結果イシュタルは身体を鈍らせない為にもと機械である神姫にも効果があるのか筋肉トレを行っており、黒野白太は宿題を終わらせた後で普段よりも多めに予習と復習に時間を掛け後はインターネットを通じて強豪マスターの情報収集に力を注いでた。と言っても走り込みや大剣の素振り等をしているイシュタルに対し黒野白太は神姫ネットのチャットで裸エプロンの可能性について論議しているのであるが。
クマー>>『裸エプロンこそ最強にして至高』
むっちんプリン同盟参謀長>>禿同
ライダーゼロ>>然り! 然り! 然り!
SAGA>>裸エプロンの為なら死ねる
利用者の中の無暗矢鱈と裸エプロンを褒め称える信者が鬱陶しいと思いつつも黒野白太は裸エプロンに対し肯定的であった。
コスプレにおける萌えで大きなメタファーとなっているのはチラリズム(見えそうで見えない絶対領域)に対する妄想だ。形として出る胸の形や股ぐらの食い込みから素肌がどんな形になっているのかを妄想する、これこそがコスプレ萌えの真骨頂の一つである。それを踏まえた上で裸エプロンとはスク水同様事実的に布一枚に素肌か隠されている状態が紳士達のボルテージを燃え上がらせ、一方でエプロンとは日常的に存在する着物である事から特殊性は少ないので嗅覚の鋭い紳士達に「あざとい。」と感じさせる事も無く、また妄想力が足らない未熟な紳士であっても全開になっている背後を見る事で表側の隠された素肌を連想しコスプレ萌えを体感する事が出来る。そう言った様々な点で裸エプロンにはナース服やスク水や制服には無い要素が含まれている事実に黒野白太も唸らざる得なかった。
ちなみに黒野白太は赤いナース服は絶対に認めない、ナース服萌えとはナース服の神聖で近寄り難い雰囲気を妄想の中で征服する自分に酔えるからこそ成立し、その為にナース服は純白である事が不可欠だからである―――これもちなみにだが黒野白太が好きなエロゲのジャンルはNTR、凌辱である。
むっちんプリン同盟参謀長>>神姫に裸エプロン着て貰ったww眼福www
刃毀れ>>死ね。氏ねじゃなくて死ね
SAGA>>ちょっとチェンソー持って来るわ
ライダーゼロ>>画像をうp!ハリーハリーハリー!
クマー>>『今ならナースキャップ着用も認めよう!』
議論と言うよりは好きなように裸エプロンの魅力を語り合っている最中、顔の見えない誰かが暴投をした。
SAGA>>そういやさ刃毀れ
刃毀れ>>うん?
SAGA>>お前って必殺技無いの?
刃毀れ>>は?
何故裸エプロンの話の途中に必殺技が取り上げられたのか黒野白田どころかその場にいた誰もが理解出来なかっただろう。それどころか「空気読めよ。」と言わんばかりの冷やかな雰囲気すらも醸し始めたのだろうけど死球を投げた本人は気にせず続けた。
SAGA>>ほら、名の有る神姫マスターって大体なんか必殺技持ってるじゃん。固有のRAって奴?
SAGA>>女帝の『先々の閃』とか小早川千歳の『T・ARMS』とか悪魔の妹の『レーヴァテイン』とか征服王の『王の軍勢』とか
クマー>>『奇術師の『伸縮自在の愛』とか負完全の『大嘘吐き』とか黄金の風の『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』とか』
ライダーゼロ>>おいなんか別の混じってるぞ
刃毀れ>>必殺技、ねぇ
それでも無視などせず一応構ってあげるのは今このチャットを利用している人物達の優しさによる気遣い故か。レールをブレイクダンスさせた上で空へと飛び出しそのままあの月の向こう側へと発車した話題に黒野白太は割と真剣に考え始める。
刃毀れ>>無い、つーか思いつかない。必殺技ってそんな簡単に思いつくもんなの?
むっちんプリン同盟参謀長>>俺は神姫に愛の告白されると思いつくが
クマー>>『おいおい、愛の告白でパワーアップなんてジャンプでもやらないぜ』
SAGA>>とりあえず参謀長はいっぺん死ね…と神姫が可哀そうか。とりあえず神姫にエロ本見つかるといいよ
むっちんプリン同盟参謀長>>アンバルに番号順に整理させたんだが?
刃毀れ>>何それ滾る
神姫ショップ店員曰く「嫁にしたい神姫No.1」の神姫であるアーンヴァル型にエロ本を番号順を整理させるとは何と言う羞恥プレイ。かく言う黒野白太も一度イシュタルに秘蔵のエロ本が見つかってしまった(見つけさせた)事があるが、その時の結果は語るに及ばず。もう二度と同じ過ちは繰り返さないと星空に誓ったあの頃の苦い思い出を噛み締めつつ黒野白太は話を必殺技に戻す。
刃毀れ>>ならお前らの知恵を借りるわ。必殺技募集、神姫はストラーフMk2型、よく使う武器はナイフ、大剣、ハンドガン、グレネードランチャー
SAGA>>ストラーフ型とは言え接近戦に偏ってんなぁ。ライフルとか使ってる?
ライダーゼロ>>相手の足を止めるんだからビットか地雷の方がいいんじゃね?
クマー>>『ちゃんと必殺技を考えてあげようぜ。そう言えば刃毀れが大剣を使わなかった神姫バトルは無いよね』
刃毀れ>>リアパーツとセットになってるからな。今挙げた四つから一つだけ選べって言われたら大剣を選ぶ
ライダーゼロ>>メイン武器選ぶ理由がリアパーツとセットだからって斬新な理由だなおい
SAGA>>じゃあ必殺技は大剣メインで…悪魔の妹の『レーヴァテイン』を参考にすればいいか?
ライダーゼロ>>悪魔の妹の『レーヴァテイン』は魔法だぞ
クマー>>『えっ、あれ剣技じゃないの?』
刃毀れ>>ところがどっこい剣技じゃありません、あれは魔法です。まぁ剣振り回しているようにも見えるから無理も無いけどな
黒野白太は悪魔の妹と戦った時レーヴァテインを破壊しようとしたが魔法であった為に破壊出来ず大ダメージを負った経験がある。勝負はその時のダメージが原因となって敗北してしまい全ては黒野白太がレーヴァテインを剣技と誤認していた事が原因だ。
インターネットとは恐ろしい、誤った情報が当たり前のように広がっておりそれを知った人間が誤った情報を正しいと認識したまま広げる事で連鎖的に拡散するのだから。
SAGA>>マジか…やべぇ、明日、悪魔の妹と戦うんだけど魔法対策なんてしてねぇよ、どうしよう
クマー>>『笑えばいいと思うよ』
むっちんプリン同盟参謀長>>今からでも遅くないから神姫センターにでも行って装備を整えてくるんだな
SAGA>>そうするわ…じゃあ行ってくる
ライダーゼロ>>行ってら
=SAGAさんが退室しました=
刃毀れ>>行ってら
クマー>>『じゃあ女帝の『先々の閃』を参考にした方がいいか…ねぇ、あれって何なの?』
刃毀れ>>大剣構えたかと思えば何時の間にか後ろに居るから…瞬間移動の一種?
ライダーゼロ>>いやあれ直線状に居ると何時の間にか切りつけられるぞ。超スピードでの居合切りなんじゃね
むっちんプリン同盟参謀長>>超スローカメラでも捕らえ切れなかったらしいぞ
クマー>>『もしかして時間でも止めているのかな』
ライダーゼロ>>んな事があるわけないだろ。メルヘンやファンタジーでもあるまいし
クマー>>『分からないぜ。これは噂だけどそういう訳の分からない能力を持った輩が集まった神姫バトル掲示板があるらしい』
むっちんプリン同盟参謀長>>ほう。例えばどんな能力があるんだ?
クマー>>『これは僕の友達の兄貴の弟の友達の姉貴の妹の友達に聞いた話なんだが』
刃毀れ>>途端に嘘っぽくなった
クマー>>『何でも天候を操る能力とか、透明になれる能力とか、重力の方向を操る能力とか、頭部や心臓を破壊されても死なない能力とか』
むっちんプリン同盟参謀長>>ヴァルハラ以上の魔境だな
ライダーゼロ>>全て神姫を改造する事で再現が可能…なのか?
刃毀れ>>でも僕はそういう能力とか必殺技は要らないかなぁ
クマー>>『どうしてだい? 』
刃毀れ>>俺が理想とする必殺技って奇術師の『伸縮自在の愛』なんだよね
ライダーゼロ>>あれは必殺技と言うよりは武装じゃね?
刃毀れ>>あれの何がいいかって『バレてもデメリットが少なくて』『応用が利く事』なんだ
刃毀れ>>これは僕の我儘だけどもし自分が必殺技とかを持つとしたらそういうのが欲しいんだよ
神姫バトルで名が知れた神姫マスターとなれば当然その戦いの一つ一つが動画サイトや考察サイトで話題となり研究される。特に必殺技なんてものは真っ先に攻略の対象となりインターネットを利用する数え切れない数の神姫マスター達によって対策が確立されるだろう。対策されたなら新しい必殺技を作ればいいというものではなく新しい必殺技を作るのには労力が要るし作っても新しい対策がされるだけだ。それなら初めからバレても困るものでもなく対策も気休め程度にしかならない応用力を持つ戦法や武装を作った方がいいのではないか。オンリーワンよりもナンバーワン、スペシャリストよりもプロフェッショナル、それこそが神姫バトルを勝ち取る秘訣であると黒野白太は考えている。
その旨をチャットを通して伝えるとチャット利用者からの反応が目に見えて遅くなった。
クマー>>『うーん、一理あるけど、難しいね。』
ライダーゼロ>>『バレてもデメリットが少なくて』『応用が利く事』か。確かに奇術師の『伸縮自在の愛』は正にそれだよな。
刃毀れ>>あれはゴムの性質とガムの性質を持っただけのワイヤーだけど近距離でも中距離でも遠距離でも使える優れもの。正直、奇術師は敵に回したくない
むっちんプリン同盟参謀長>>刃毀れが言うと説得力あるよなぁ
クマー>>『でもさ、何でも出来るようにするって無理があるよね。それに単純に自分よりも相手の方が強かった場合はどうするんだい?』
刃毀れ>>何でも出来るようにしろとは言ってないよ。出来る事を増やした方がいいと言っている。
刃毀れ>>例えとして近距離なら誰にも負けないけど遠距離は全然ダメ、じゃなくて近距離は得意だけど遠距離は苦手、程度に留めておいた方がいい
刃毀れ>>それなら相手が遠距離に特化していても何とか耐え忍んで近距離に持ち込む事が出来るかもしれないし
クマー>>『それでも負ける時は負けると。』
刃毀れ>>それは仕方ない
ライダーゼロ>>理屈としては正しいのかもだがつまらんよなぁ
ライダーゼロ>>男だったらナンバーワンじゃなくてオンリーワンに憧れるもんだろ
刃毀れ>>気持は分かるけどそれは趣味でやるか公式の場じゃなくて草とかでやるべき。草なら情報の広がりも遅いから研究とかもされ難い
刃毀れ>>前に草試合で『世紀末の救世主』と戦った事があるんだよ
クマー>>『誰それ?』
ライダーゼロ>>草だと有名だぞ。拳一つで百勝した猛者だ
むっちんプリン同盟参謀長>>何それ怖い
刃毀れ>>で、相手は初代ストラーフ型だったし次世代のストラーフMk2型神姫使いとして近距離戦を挑んで
刃毀れ>>地雷原に誘い込んでグレネードランチャーで削ってショットガンで〆た
むっちんプリン同盟参謀長>>汚いなさすが刃毀れ汚い
ライダーゼロ>>それ相手ぶち切れるだろ
刃毀れ>>いや、いい人だったよ。普通に健闘を讃えてくれた。僕が兄に似てるとか言ってたけど
刃毀れ>>兎に角
刃毀れ>>一点特化より器用貧乏が僕の主義だから必殺技もそういうのが欲しい
クマー>>『うーん、器用貧乏かぁ。そう言われても中々思いつかないなぁ。』
ライダーゼロ>>中々難しい注文だな。シンプルに武器の威力を強化するとか装甲の防御力を強化するとか?
むっちんプリン同盟参謀長>>そういうシンプルな奴がいいか。実際にバトルで出来るかどうかは別として
刃毀れ>>まぁこれは僕の我儘だからそんなに真面目に考えてくれなくてもいいよ、その気持ちだけでも有り難いから
クマー>>『今度暇な時、必殺技をつくるのが得意な知り合いに頼んでみるよ』
刃毀れ>>いやいや、そこまでしてくれなくていいって(汗)
メッセージを送った黒野白太がふとディスプレイの右斜め下の時間表示から今が夜遅くである事に気付いた。夜更かしは健康的な生活の天敵である、結構そういうのに気を使う黒野白太はそろそろチャットを辞めて入浴を済ませて眠りに就く事にした。
刃毀れ>>そろそろ風呂入って寝るわ。おやすみー
クマー>>『お休み。』
ライダーゼロ>>おつー
むっちんプリン同盟参謀長>>おつー
=刃毀れさんが退室しました=
パソコンの電源を落とした黒野白太は台所へと向かい普段からそこで訓練をしているイシュタルに入浴と就寝を告げようとした。と、台所でイシュタルがキャベツと向き合い神姫サイズでは自分の背丈ほどある大剣の包丁を下段に構えると キャベツが全て乱切りにされていた。
「何やってんの?」
「修業を兼ねた明日の朝食の下準備だ。」
「そう。僕はもう風呂入って寝るから程ほどにしなよ。」
「ん、もうこんな時間か。一つの物事に集中すると時間を忘れてしまうのは神姫も一緒だな。」
「君が言うと洒落になってないんだよね。」
脱衣場で服を脱ぎ適温のお湯を張った湯船に飛び込んだ黒野白太は極楽浄土状態になりながらも、ふとチャットでの会話を思い出した。
「見えていても分からない必殺技というのもあるよねぇ…。」
あのチャットでは決して言わなかったが黒野白太は「絶対にバレる事の無い必殺技」というのもありだと考えていた。
神姫センターに行かずともオンライン対戦という手もあるが低ランクの神姫マスターを狙い勝ち星を稼ぐ神姫マスター達の存在でランクが混沌化しているので、黒野白太と彼の神姫であるストラーフMk2型神姫イシュタルはオンライン対戦に対して興醒めして久しく今も尚オンライン対戦をやろうとは思わない。
ならどうするかと話し合った結果イシュタルは身体を鈍らせない為にもと機械である神姫にも効果があるのか筋肉トレを行っており、黒野白太は宿題を終わらせた後で普段よりも多めに予習と復習に時間を掛け後はインターネットを通じて強豪マスターの情報収集に力を注いでた。と言っても走り込みや大剣の素振り等をしているイシュタルに対し黒野白太は神姫ネットのチャットで裸エプロンの可能性について論議しているのであるが。
クマー>>『裸エプロンこそ最強にして至高』
むっちんプリン同盟参謀長>>禿同
ライダーゼロ>>然り! 然り! 然り!
SAGA>>裸エプロンの為なら死ねる
利用者の中の無暗矢鱈と裸エプロンを褒め称える信者が鬱陶しいと思いつつも黒野白太は裸エプロンに対し肯定的であった。
コスプレにおける萌えで大きなメタファーとなっているのはチラリズム(見えそうで見えない絶対領域)に対する妄想だ。形として出る胸の形や股ぐらの食い込みから素肌がどんな形になっているのかを妄想する、これこそがコスプレ萌えの真骨頂の一つである。それを踏まえた上で裸エプロンとはスク水同様事実的に布一枚に素肌か隠されている状態が紳士達のボルテージを燃え上がらせ、一方でエプロンとは日常的に存在する着物である事から特殊性は少ないので嗅覚の鋭い紳士達に「あざとい。」と感じさせる事も無く、また妄想力が足らない未熟な紳士であっても全開になっている背後を見る事で表側の隠された素肌を連想しコスプレ萌えを体感する事が出来る。そう言った様々な点で裸エプロンにはナース服やスク水や制服には無い要素が含まれている事実に黒野白太も唸らざる得なかった。
ちなみに黒野白太は赤いナース服は絶対に認めない、ナース服萌えとはナース服の神聖で近寄り難い雰囲気を妄想の中で征服する自分に酔えるからこそ成立し、その為にナース服は純白である事が不可欠だからである―――これもちなみにだが黒野白太が好きなエロゲのジャンルはNTR、凌辱である。
むっちんプリン同盟参謀長>>神姫に裸エプロン着て貰ったww眼福www
刃毀れ>>死ね。氏ねじゃなくて死ね
SAGA>>ちょっとチェンソー持って来るわ
ライダーゼロ>>画像をうp!ハリーハリーハリー!
クマー>>『今ならナースキャップ着用も認めよう!』
議論と言うよりは好きなように裸エプロンの魅力を語り合っている最中、顔の見えない誰かが暴投をした。
SAGA>>そういやさ刃毀れ
刃毀れ>>うん?
SAGA>>お前って必殺技無いの?
刃毀れ>>は?
何故裸エプロンの話の途中に必殺技が取り上げられたのか黒野白田どころかその場にいた誰もが理解出来なかっただろう。それどころか「空気読めよ。」と言わんばかりの冷やかな雰囲気すらも醸し始めたのだろうけど死球を投げた本人は気にせず続けた。
SAGA>>ほら、名の有る神姫マスターって大体なんか必殺技持ってるじゃん。固有のRAって奴?
SAGA>>女帝の『先々の閃』とか小早川千歳の『T・ARMS』とか悪魔の妹の『レーヴァテイン』とか征服王の『王の軍勢』とか
クマー>>『奇術師の『伸縮自在の愛』とか負完全の『大嘘吐き』とか黄金の風の『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』とか』
ライダーゼロ>>おいなんか別の混じってるぞ
刃毀れ>>必殺技、ねぇ
それでも無視などせず一応構ってあげるのは今このチャットを利用している人物達の優しさによる気遣い故か。レールをブレイクダンスさせた上で空へと飛び出しそのままあの月の向こう側へと発車した話題に黒野白太は割と真剣に考え始める。
刃毀れ>>無い、つーか思いつかない。必殺技ってそんな簡単に思いつくもんなの?
むっちんプリン同盟参謀長>>俺は神姫に愛の告白されると思いつくが
クマー>>『おいおい、愛の告白でパワーアップなんてジャンプでもやらないぜ』
SAGA>>とりあえず参謀長はいっぺん死ね…と神姫が可哀そうか。とりあえず神姫にエロ本見つかるといいよ
むっちんプリン同盟参謀長>>アンバルに番号順に整理させたんだが?
刃毀れ>>何それ滾る
神姫ショップ店員曰く「嫁にしたい神姫No.1」の神姫であるアーンヴァル型にエロ本を番号順を整理させるとは何と言う羞恥プレイ。かく言う黒野白太も一度イシュタルに秘蔵のエロ本が見つかってしまった(見つけさせた)事があるが、その時の結果は語るに及ばず。もう二度と同じ過ちは繰り返さないと星空に誓ったあの頃の苦い思い出を噛み締めつつ黒野白太は話を必殺技に戻す。
刃毀れ>>ならお前らの知恵を借りるわ。必殺技募集、神姫はストラーフMk2型、よく使う武器はナイフ、大剣、ハンドガン、グレネードランチャー
SAGA>>ストラーフ型とは言え接近戦に偏ってんなぁ。ライフルとか使ってる?
ライダーゼロ>>相手の足を止めるんだからビットか地雷の方がいいんじゃね?
クマー>>『ちゃんと必殺技を考えてあげようぜ。そう言えば刃毀れが大剣を使わなかった神姫バトルは無いよね』
刃毀れ>>リアパーツとセットになってるからな。今挙げた四つから一つだけ選べって言われたら大剣を選ぶ
ライダーゼロ>>メイン武器選ぶ理由がリアパーツとセットだからって斬新な理由だなおい
SAGA>>じゃあ必殺技は大剣メインで…悪魔の妹の『レーヴァテイン』を参考にすればいいか?
ライダーゼロ>>悪魔の妹の『レーヴァテイン』は魔法だぞ
クマー>>『えっ、あれ剣技じゃないの?』
刃毀れ>>ところがどっこい剣技じゃありません、あれは魔法です。まぁ剣振り回しているようにも見えるから無理も無いけどな
黒野白太は悪魔の妹と戦った時レーヴァテインを破壊しようとしたが魔法であった為に破壊出来ず大ダメージを負った経験がある。勝負はその時のダメージが原因となって敗北してしまい全ては黒野白太がレーヴァテインを剣技と誤認していた事が原因だ。
インターネットとは恐ろしい、誤った情報が当たり前のように広がっておりそれを知った人間が誤った情報を正しいと認識したまま広げる事で連鎖的に拡散するのだから。
SAGA>>マジか…やべぇ、明日、悪魔の妹と戦うんだけど魔法対策なんてしてねぇよ、どうしよう
クマー>>『笑えばいいと思うよ』
むっちんプリン同盟参謀長>>今からでも遅くないから神姫センターにでも行って装備を整えてくるんだな
SAGA>>そうするわ…じゃあ行ってくる
ライダーゼロ>>行ってら
=SAGAさんが退室しました=
刃毀れ>>行ってら
クマー>>『じゃあ女帝の『先々の閃』を参考にした方がいいか…ねぇ、あれって何なの?』
刃毀れ>>大剣構えたかと思えば何時の間にか後ろに居るから…瞬間移動の一種?
ライダーゼロ>>いやあれ直線状に居ると何時の間にか切りつけられるぞ。超スピードでの居合切りなんじゃね
むっちんプリン同盟参謀長>>超スローカメラでも捕らえ切れなかったらしいぞ
クマー>>『もしかして時間でも止めているのかな』
ライダーゼロ>>んな事があるわけないだろ。メルヘンやファンタジーでもあるまいし
クマー>>『分からないぜ。これは噂だけどそういう訳の分からない能力を持った輩が集まった神姫バトル掲示板があるらしい』
むっちんプリン同盟参謀長>>ほう。例えばどんな能力があるんだ?
クマー>>『これは僕の友達の兄貴の弟の友達の姉貴の妹の友達に聞いた話なんだが』
刃毀れ>>途端に嘘っぽくなった
クマー>>『何でも天候を操る能力とか、透明になれる能力とか、重力の方向を操る能力とか、頭部や心臓を破壊されても死なない能力とか』
むっちんプリン同盟参謀長>>ヴァルハラ以上の魔境だな
ライダーゼロ>>全て神姫を改造する事で再現が可能…なのか?
刃毀れ>>でも僕はそういう能力とか必殺技は要らないかなぁ
クマー>>『どうしてだい? 』
刃毀れ>>俺が理想とする必殺技って奇術師の『伸縮自在の愛』なんだよね
ライダーゼロ>>あれは必殺技と言うよりは武装じゃね?
刃毀れ>>あれの何がいいかって『バレてもデメリットが少なくて』『応用が利く事』なんだ
刃毀れ>>これは僕の我儘だけどもし自分が必殺技とかを持つとしたらそういうのが欲しいんだよ
神姫バトルで名が知れた神姫マスターとなれば当然その戦いの一つ一つが動画サイトや考察サイトで話題となり研究される。特に必殺技なんてものは真っ先に攻略の対象となりインターネットを利用する数え切れない数の神姫マスター達によって対策が確立されるだろう。対策されたなら新しい必殺技を作ればいいというものではなく新しい必殺技を作るのには労力が要るし作っても新しい対策がされるだけだ。それなら初めからバレても困るものでもなく対策も気休め程度にしかならない応用力を持つ戦法や武装を作った方がいいのではないか。オンリーワンよりもナンバーワン、スペシャリストよりもプロフェッショナル、それこそが神姫バトルを勝ち取る秘訣であると黒野白太は考えている。
その旨をチャットを通して伝えるとチャット利用者からの反応が目に見えて遅くなった。
クマー>>『うーん、一理あるけど、難しいね。』
ライダーゼロ>>『バレてもデメリットが少なくて』『応用が利く事』か。確かに奇術師の『伸縮自在の愛』は正にそれだよな。
刃毀れ>>あれはゴムの性質とガムの性質を持っただけのワイヤーだけど近距離でも中距離でも遠距離でも使える優れもの。正直、奇術師は敵に回したくない
むっちんプリン同盟参謀長>>刃毀れが言うと説得力あるよなぁ
クマー>>『でもさ、何でも出来るようにするって無理があるよね。それに単純に自分よりも相手の方が強かった場合はどうするんだい?』
刃毀れ>>何でも出来るようにしろとは言ってないよ。出来る事を増やした方がいいと言っている。
刃毀れ>>例えとして近距離なら誰にも負けないけど遠距離は全然ダメ、じゃなくて近距離は得意だけど遠距離は苦手、程度に留めておいた方がいい
刃毀れ>>それなら相手が遠距離に特化していても何とか耐え忍んで近距離に持ち込む事が出来るかもしれないし
クマー>>『それでも負ける時は負けると。』
刃毀れ>>それは仕方ない
ライダーゼロ>>理屈としては正しいのかもだがつまらんよなぁ
ライダーゼロ>>男だったらナンバーワンじゃなくてオンリーワンに憧れるもんだろ
刃毀れ>>気持は分かるけどそれは趣味でやるか公式の場じゃなくて草とかでやるべき。草なら情報の広がりも遅いから研究とかもされ難い
刃毀れ>>前に草試合で『世紀末の救世主』と戦った事があるんだよ
クマー>>『誰それ?』
ライダーゼロ>>草だと有名だぞ。拳一つで百勝した猛者だ
むっちんプリン同盟参謀長>>何それ怖い
刃毀れ>>で、相手は初代ストラーフ型だったし次世代のストラーフMk2型神姫使いとして近距離戦を挑んで
刃毀れ>>地雷原に誘い込んでグレネードランチャーで削ってショットガンで〆た
むっちんプリン同盟参謀長>>汚いなさすが刃毀れ汚い
ライダーゼロ>>それ相手ぶち切れるだろ
刃毀れ>>いや、いい人だったよ。普通に健闘を讃えてくれた。僕が兄に似てるとか言ってたけど
刃毀れ>>兎に角
刃毀れ>>一点特化より器用貧乏が僕の主義だから必殺技もそういうのが欲しい
クマー>>『うーん、器用貧乏かぁ。そう言われても中々思いつかないなぁ。』
ライダーゼロ>>中々難しい注文だな。シンプルに武器の威力を強化するとか装甲の防御力を強化するとか?
むっちんプリン同盟参謀長>>そういうシンプルな奴がいいか。実際にバトルで出来るかどうかは別として
刃毀れ>>まぁこれは僕の我儘だからそんなに真面目に考えてくれなくてもいいよ、その気持ちだけでも有り難いから
クマー>>『今度暇な時、必殺技をつくるのが得意な知り合いに頼んでみるよ』
刃毀れ>>いやいや、そこまでしてくれなくていいって(汗)
メッセージを送った黒野白太がふとディスプレイの右斜め下の時間表示から今が夜遅くである事に気付いた。夜更かしは健康的な生活の天敵である、結構そういうのに気を使う黒野白太はそろそろチャットを辞めて入浴を済ませて眠りに就く事にした。
刃毀れ>>そろそろ風呂入って寝るわ。おやすみー
クマー>>『お休み。』
ライダーゼロ>>おつー
むっちんプリン同盟参謀長>>おつー
=刃毀れさんが退室しました=
パソコンの電源を落とした黒野白太は台所へと向かい普段からそこで訓練をしているイシュタルに入浴と就寝を告げようとした。と、台所でイシュタルがキャベツと向き合い神姫サイズでは自分の背丈ほどある大剣の包丁を下段に構えると キャベツが全て乱切りにされていた。
「何やってんの?」
「修業を兼ねた明日の朝食の下準備だ。」
「そう。僕はもう風呂入って寝るから程ほどにしなよ。」
「ん、もうこんな時間か。一つの物事に集中すると時間を忘れてしまうのは神姫も一緒だな。」
「君が言うと洒落になってないんだよね。」
脱衣場で服を脱ぎ適温のお湯を張った湯船に飛び込んだ黒野白太は極楽浄土状態になりながらも、ふとチャットでの会話を思い出した。
「見えていても分からない必殺技というのもあるよねぇ…。」
あのチャットでは決して言わなかったが黒野白太は「絶対にバレる事の無い必殺技」というのもありだと考えていた。