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えむえむえす ~My marriage story~

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キズナのキセキ
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戦うことを忘れた武装神姫
Gene Less
The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
PRINCESS BRAVE
神姫☆こみゅにけ~しょん
アルトアイネス奮闘姫
ロンド・ロンド

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双子神姫
鋼の心 ~Eisen Herz~
犬子さんの土下座ライフ。
狛犬はうりん劇場
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武装神姫のリン
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戦う神姫は好きですか
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「ごめんね。同じような人がいて、つい嬉しくなっちゃって」
「……はぁ、そうなんですか」

 やっちゃったなー、これは。絶対変な人だと思われてるよ。僕も逆の立場だったらそう思うし、なんでこんな暴走したのかな、僕は。

「あはは、面白いマスターさんだね」

 少女の肩の神姫がシオンに話しかけてくれている。あれは火器型の神姫だったかな。

「でも、お優しいです。とり乱したのも、お友達が来なくて寂しかったんでしょう」

 シオンは本心でそう言ってくれてると思うけど、それがかえって痛かったりして。

「それじゃあ、改めて。僕は長倉 螢斗。この子はアーティル型のシオンです」
「よろしくお願いします」
「私は、その……」
「リミちん、ちゃんと自己紹介しなくちゃー。ほらほら」
「あ、うん。私は霧静 璃美香です。この子はゼルノグラード型のアリエ……です」

 霧静さんは言い終わったら、顔を俯かせてしまった。

「アリエでーす、どうもー。すまんねぇー、この子ちょっと人見知りなもんで」
「いえいえ大丈夫ですよ。僕も少しそういうのありますし」
「本当かなー? がっついて、リミちんに話しかけてきた時はそうは見えなかったけどなー」
「あれはっ!……ただ、お友達になれそうだなーって思ったから勢いで」
「いや、あれは一歩間違えば、ナンパの部類だね。うん」
「ナンパって。それはないよ……」

 なぜかこのアリエって神姫ものすごく馴れ馴れしい。オーナーの霧静さんもオロオロとことの成り行きを見守ってるだけだし。

「とりあえず!……ここにいるという事は神姫バトルが目的なんですし、バトルやってみませんか?」
「そう――」
「そだねー。ケートん、シーちゃんとも仲良くなれそうだし。交流を深めようではないか」

 霧静さんが言う前に勝手に決めている。口は開いた状態で止まった。
 そしてなぜか、あだ名みたいのも了承も取らず決められている。
 シオンもなにも言わないし、僕も、それはいいのだけど。
 ゼルノグラード型はみんなこうなのか? それともこのアリエだけがこういう性格なだけなのか。

「ハァ……すいません。この子、誰でもこんな感じで。すいません……」

 霧静さんはものすごく申し訳なさそうに頭を下げている。見た感じ、いつもこうやって苦労させられているのだろう。



「霧静さん、ちょっといいかな?」

 話を聞けば僕と同じ高校一年らしいので、敬語はいらないと言っていた(主にアリエが)
 霧静さんにも一応は了承もとったし、これで少しは仲良くはなれただろう。
 それにまず僕はシオンのことを話しておこうと思った。

「シオンはちょっとバトルがしにくいというか……えっと、なんて言えばいいのか」
「螢斗さん、私は大丈夫ですよ」

 そう言うが、実際に僕はシオンのバトルを見てはいないけど……心配なのだ。

「シオンちゃんがどうしたんですか?」
「なになに、私と同じになんか訳有りかい」

 私? アリエもなにかあるのだろうか。霧静さんを伺うと、

「アリエ。それは……」

 霧静さんは何か言いづらそうに口をつぐんでいる。

「まあまあ、全てはバトルをしてみればわかることさね。はーい、それじゃあみんな、台について」

 アリエはそう言うと霧静さんの肩から降り立って、一人で向こう側のブースに行ってしまった。

「まったく、アリエは。とりあえず、長倉……くん」
「……なにかな」
「まずはお互い、バトルさせてみて……その後色々話してみないかな?」

 頭のリボンを指で触りながら、目線は横を向いている。話すのは得意そうに見えないけど、霧静さんはそう言ってくれる。
 勇気を出して言ってくれてるようにも見える。
 霧静さんもなにか抱えているようなそんな感じ。
 なんて、さっき知り合えた人にこんなこと思っちゃいけないよね。

「そうだね。シオン、僕たちもバトルの準備しようか」
「はい! 頑張ります!」


――――


 バトルのステージは廃墟街になっている。
 さびれた廃屋やビル。むき出しのコンクリート。ボコボコ穴の空いた道路にへし折れた信号機などなど。
 リアルであったなら、不気味としか言えないな。
 いまそこでシオンが廃ビル群の一角に潜んでいるのが画面からは見える。
 僕はオーナーブースから、シオンに語りかける。

「怖くない?」
「……大丈夫です」

 大丈夫と言うが、本当だろうか。
 フェリス・ファングを両手で構え、その場には緊張感が漂っているように思える。

「火器型はその名の通り、銃器を使う戦闘が得意だと思う」

 僕がいままで見てきた情報では、ゼルノグラードは火力のある武装を念頭に置いている武装神姫だというのは知っている。
 だけど、
 “訳有り”とはどういうことだろうか。
 それがさっきから引っかかる。
 ――いや、でも、そんなことは後回しにしよう。
 まずはシオンのバトルを見ておかなくちゃ。
 僕が冷静に指示できて、シオンもバトル恐怖症が起きなかったら、初バトルで勝利できるんだ。
 よし、そうと決まれば。

「シオン、敵の気配は?」
「まだ確認は出来てません。まだ近くにいないのかと」
「それじゃ、危ないけど周りを索敵してみよう」

 はい、とシオンは答えると、銃を構えたまま細い通路といえる路を進んでいく。
 障害物が多いバトルなら、身を隠して攻撃する戦法が有利だろう。派手さはないけど、真っ向からやりあって勝ち目はあまりないと思う。
 僕の経験も少ないし、シオンはちゃんと戦えるのか心配でもある。
 でも、バトルに勝てれば自分の自信にも繋がるだろうし、バトルの拒否感も和らぐかもと思った。

「螢斗さん、あの、奥にいました」
「え、気付かれた?」
「いえ、その、なんと言いますか。アリエさん……くつろいでます」
「……なんで」

 見ると、開けた道路にアリエが座っていた。崩れた、腰掛けるのにちょうどいい大きさのコンクリートに座り、のんびりとしている。
 軍隊の兵士みたいにペイントされているアーマー。それに身を包んでいるアリエの姿があった。戦闘状態の筈なのだけど、暇そうである。
 ……そんなに時間をかけたわけではないのに。
 傍らには腹にパイプみたいな筋の入った奇妙な大剣がある。武器はそれだけしかない。銃みたいな武装は見当たらない。

「どうしますか?」

 シオンが訪ねてくる。どうしようかな。あんな油断している姿をみせられるなんて、よほど余裕があるのか。
 弱いと思われているのか。……実際そうなのかもしれないけど。

 こっちが考えていると、アリエが動きをみせた。
 立ちあがり、あくびをしてから背筋を伸ばしている。リラックスしているな、と思うけど、あれは相手の罠なんだろうか。

「バレバレだよー。出てきても、いいんじゃないー!?」

 片手に大剣を持ち、声を張り上げている。
 いる方向に声は向けてないけど、――なんて言った? 
 アリエはシオンが近くにいるのがわかっている。
 そんなミスはしていないと思ったけど。

「しょうがない。不意をつくのは止めて出よう。真っ向から挑むけど、いける?」
「いけ……ます」

 その震えは恐怖なのか、武者ぶるいなのかはまだ僕にはわからないけど、

「いくよ」

 戦いを楽しめるようになればわかるのかな。



 シオンが路地に飛び出す。
 スラスターを作動させて駆けながら、アリエに狙いを定めてフェリス・ファングを構える。
 その後の動作は引き金を引くだけなのだけど。

 ――引かない。

 いや、シオンは引けないのか。
 やっぱり、うまく戦えないのか。あっちはもうすでに臨戦態勢に入っている。

「シオン! 接近戦に変更して!」

 なにもしないのなら、ただの動く的だ。
 ここは相手の武装も考えて、接近戦に持ち込んだ方がマシだ。
 武器で打撃を与えるなら誰だってできる。
 フェリス・ファングをしまわせ、腰からナイフを取りださせる。
 宮本さんから預かった武装には、近接用の武器がなかったから、淳平から神姫用のを譲ってもらった物だ。
 シオンはそれを振りかぶって、勢いのままアリエに攻撃を加える。

「おりょ。なんか、勢いのわりに軽いね。銃でなんでか何もしなかったし」

 ガンッ! と場に大きな音を響かせた。
 大剣で攻撃を防ぎ、少し後ずさったアリエが疑問に思っているみたいに言う。

「そっちも、なんで、その大剣しか使わないんですか? チャンスだったと思いますけど」
「うーん、私も使いたいんだけどねー。使えない理由があるん……っだ!」

 言葉を途中で切らし、腕に力を込めて、気合いの声を発する。アリエは詰め寄り大剣を振るう。
 シオンはそれを危なげに避けていってるが。

「なんか焦ってるねー。それじゃあ戦えないよー……」
「くっ! わかってます!」

 僕から見ても、確かに顔は焦っていて辛そうに見える。

「ほらほらー」

 避けきれなくなってきたシオンは、アリエが振るった大剣にナイフの刃が当たった。 ナイフは明後日の方に飛んでいく。

「バトルが楽しくなさそうだねー。それがシーちゃんの悩みなんだねー。うんうん」
「……アリエさん、わかるんですか」
「私もさー。昔に色々あってさー火器型のクセに重・軽火器類が一切使えないんだ。笑えるけどホント。だから、私の武器はこれ一本!」

 どうやらそれがアリエの“訳”らしい。
 自慢げに大剣を掲げて見せる。――見るとやっぱり奇妙だ。
 剣の腹に細いパイプの入ったような筋、根元部分には片刃の方にだけ同じ材質みたいので覆われている。
 そして、握りの鍔の方にトリガーが付いてある。

「あれって、もしかしてガンブレード?」

 今も続いているテレビゲームの超大作にアレに似た武器を使う主人公がいたはずだけど。今はもう18作目に突入しているらしいゲームだ。
 僕はやったことはないが、学校の友達はよくゲームの話題をする人がいるので知っている。

「オリジナルの武装なんだけどねー。公式の場でもレギュレーション以内の優れ物。それじゃあ、これの仕掛けも見せとくかー。リミちん!」
『……うん』

 筐体の向こうからは霧静さんの声が聞こえる。何かを送ったんだ。
 アリエの手元には、手の平サイズ、厚さのあるカード状のような物がある。
 それは、赤。イスカの大剣と同じような赤色だ。

「『エレメンティア・ヒート・カートリッジ』セット完了! いくよーん!」

 そう高らかに楽しそうに声をあげる。
 片刃の覆われた部分を下にスライドさせて、そこに持っていたカートリッジなるものを差し込んだ。
 スライド部分を引き戻すと、その瞬間パイプに赤色が現れ始めた。

「よーっし。来たー!」

 パイプに溶岩のようなのが先端まで行き渡ると、鋼鉄の大剣の刃も真っ赤になり始めた。
 高熱を発しているみたいだが、実際に燃え盛っているような錯覚がする。刃の周りの空気がゆらゆらと揺れてきている気が。

「覚悟してね。いっくよー」
「シオン、何か危ない、後退して! ……シオン!?」
「……あ、あ……あ」

 シオンの様子がおかしい。腰を抜かしている。
 どうやらシオンの焦点が集まっているのは大剣みたいだけど。
 ――もしかして、イスカの、お姉さんの大剣を思い出しているのか!?
 でも、反応が異常すぎる。

「あ~、えーと……そっちのマスター。ケートん、見えてる、聞こえてるー! サレンダーできるー!?」

 大剣を、八双の構えに留まったままのアリエが、僕に叫ぶ。このまま、やっても無駄だと思ったのだろうか。

「……わかったよ」

 あっちには聞こえていないだろうけど、受け応えはしておく。
 アリエの優しさに感謝しつつ、僕はサレンダーのボタンを押した。


―――― 


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「……シオン」

 私は謝り続ける。全ては虚勢だったんだ。
 戦う前は確かに自信はあった。螢斗さんの為に戦えると思った。
 でも、やっぱりダメだった。アリエさんの武器がお姉ちゃんの大剣に見えてしまった。その後はもう無理だった。
 こんな私なんて、武装神姫じゃない。
 こんな私なんて、ただの人形だ。
 そして、螢斗さんの手が私の頭に移動してきて、

「大丈夫だよ。大丈夫」
「……あ、」

 優しく指で頭を撫でられる。
 不思議だ。
 この人に撫でられると安心する。凛奈さんとお姉ちゃんの所で、まだ仲が良かった、時にも感じたことのない安心感。
 なんで私は螢斗さんの為に戦えないのだろうか。
 今はそれが悲しくて仕方なかった。


――――


 謝るのは止まった。
 でも、慰め続けているけど、なかなか泣き止んでくれない。
 僕も多少はショックだったけど、バトルがうまくできないのはわかってはいたし。
 過剰反応したのは、驚いたけど、しょうがないのかもしれない。
 バトル恐怖症に加えて、凛奈さんとイスカの頃の記憶がトラウマにもなっているのかな。
 なんとかこれを乗り越えさせないといけないのか。
 僕にできるのか。
 だけど、しなきゃシオンが幸せになれないんだ。
 しないといけないんだ。

「ハロー、ケートん、シーちゃん」

 アリエと霧静さんが近くに来てくれていた。
 あんなシオンを見たらそれは心配になるだろうな。

「シオンちゃんは……大丈夫?」
「うん、まあ、大丈夫だよ」
 多分と付け加える。

「バトルして、こっちのことも、わかってくれただろうけどさー……なんかそっちの方が深刻そうだねー」
「……確かに、そうみたい」

 シオンとアリエを交互に見て、考え込む様子の霧静さん。
 火器類の武装を使えないらしいアリエと戦うことができないシオンはどっちが辛いのだろうか。
 このままバトルはしない方がいいのだろうか。
 でも、それは――。
 だめだ。やっぱり、うまくいかない。

「長倉くん。ともかく、私たちに話してみないかな。ほら、アリエもこんな神姫だけどなにかアドバイスできる……かも」
「こんなのとは酷くないですかい」

 そう言われても、アリエは別段気にしてないように見える。
 あんな風に気楽なのはもう割り切っているからなのかも。

「シオン、いいのかな。話しても」
「……はい……大丈夫……です」

 なんとか涙を止めたシオンが頷いてくれた。
 ――シオンのことをちゃんと話しておこう。








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