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えむえむえす ~My marriage story~

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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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 ――あのゲームセンターの近く、ファミレスがあるのだけど、そこで話せない?――

 二時間後。
 淳平と別れた後、夜に変わった時刻にメールをもらい、一旦家に帰る。
 シオンには「休んだ人が出ちゃったから、バイトに行くよ」と嘘をついた。
 正直に前のオーナーと会ってくるなんて言えるわけもなく。
「代わりだからすぐ終わるよ。だからちょっと待っててね」と言った。
 寂しそうにしていたと思ったら、すぐに嬉しそうに返事をしてくれた。……かわいい。

 待っていてくれる人、ではなく神姫だけど、そんなのが家にいてくれるのは嬉しいと思えた。
 私服に着替えて、返信をしてすぐに向かうことを伝える。
 あのゲームセンターから、少し通りを歩いたところ。信号があって大きな十字路になっている角にファミリーレストランがある。
 ゲームセンター近くに来てみたけど、ここで合ってるのかな。
 心配になったので、とりあえずそこで合っているかどうかのメールをしてみる。
 合ってなかったら恥ずかしいし、聞く恥なら耐えられる。

 ――そのお店。そこの禁煙席、奥の方にいるから――

 すぐに返信を返してくれる律義さに感心を覚えつつ、ファミリーレストランに向かう。
 会う事はできたけど僕はどうすればいいのか、まだ答えは出てきてない。
 シオンが元の場所に戻れるのを望んでいるのか。……それは嫌なんだけど、元々は宮本さんの物だし、武装神姫は世間から見れば、結構高いもの。
 高校生の僕とかはアルバイト代とかを必死に貯めれば買えないものではないけど、武装とかもお金がかかるしな。淳平とかは親戚の伝手で、中学の頃から内緒でアルバイトしてミスズを買った、て言ってたっけ。

 僕はただ、シオンの顔を曇らしたくないだけで。転がり込んできた神姫だけど、シオンが望むのなら元の居場所に戻ったって……。
 考え込んでいたら、足はもう目的地のファミリーレストラン前に着いていた。
 思い耽ってた事を横に置き、扉を潜る。

「いらっしゃいませ、何名さまですか?」

 とお決まりのフレーズを店員さんが出しやってきた。待ち合わせで来ている人が居ると説明すると「ごゆっくりどうぞ」と会釈される。
 いつも、家で食べてるからファミリーレストランに入るのも久しぶりだな。一人暮らしだったらこういうところを利用するのも悪くないけど、お金がかかるしなあ。ちゃんと、生計は考えないといけないし。
 禁煙席の奥の方。宮本さんはいた。
 もうテーブルには積み上がった二皿とアイスティーが載せられていて、今はグラタンを食べている。
 女性なのに、よくこんなに入るな。

「さっきぶりね。こんばんわ」
「こんばんわ」

 僕は挨拶をすると、向かいの席に座る。
 宮本さんの方を見れば横に何かの紙袋を置いていて、先ほどと同じ服装でいる。ラフな服装を好む人みたいだな。

「長倉君だっけ。キミも何か頼んでいいよ、奢ってあげるから。ただし常識の範囲内でね」
「そんなことはしませんよ。今日一緒にいた僕の友達ならやりかねないですけど」
「彼ね、確かにそんなことをしそう。でも、あの天使型の神姫に止められるでしょう?」
「そうですね。学校でもそんな感じですし」
「ふふ、初めて会ったけど、何となく想像つくわ」

 なんでか知らないけど、淳平の事をだしにして会話をしている。いい人そうであるし、神姫のバトルに固執する人にも見えない。あのイスカっていう神姫だって……あれ?

「宮本さんの神姫はいないんですか?」
「ああ、言ったでしょ。スリープモードになっているって。家に置いてきたわ。それに、この話しを聞かせたくないのよ」

 一呼吸置いて、グラタンを運んでいた手を止める。

「それじゃ、話してくれないかしら。長倉君がどうしてあの子を拾ったのかを」

 居住まいを正して、僕はあの日に拾ったことから、いままでのことを話した。


――――


「……。そう。あの子にはシオンって名前をつけてくれたのね」
「はい」

 話し終えたら、宮本さんは名前に関心がいっている様子で、いつの間にか食べ終えたグラタンの皿の底をスプーンでつついている。

「どうして、神姫の登録を消したんですか?」
「こういう時って、こうするしかないのよ。探し回ってはいたんだけど、どうしても見つからなくて、家にも戻ってこなくて。……長倉君は知ってる? 神姫を悪用して、犯罪を犯す人もいてね。それが自分のじゃなくて、他のオーナーのとかだったらどうなるか、とか」

「! ……そうか」

 拾う人が善人とは限らない。携帯電話とかと同じだ。携帯会社に連絡して紛失したら一時的に解約することと同じ。
 神姫が知らない人に自分の名前、オーナーの名前を言わなくても、機械を通じている人なら神姫の記録を直接見ることが出来る人もいる。当然神姫をプログラムで操る人もいる。 
 それが他人の神姫だったら犯罪のリスクが低くなるということか。疑われるのは持ち主だもんな。そこら辺りが勉強不足だった。

「キミって見かけの割に、結構頭の回転早いのね。詳しく説明しなくてもわかってるみたい。まあ、つまりそういう事。心が痛むけどね」
「だけど、それは考えれば少ない事例です。神姫が盗まれたりした時とか、神姫を捨てる人だって多分そういうのはわかってます。でも、勝手に家出する神姫なんて極力ないし、なにがあったんですか」
「あら、あの子から聞いてないの?」
「そ、それは、聞きましたよ。バトルが出来ない、戦う事が出来ない。武装神姫としては欠陥だって悲しそうに言ってました。でも、武装神姫だからって、色々他にもあるはずです。生活のパートナーだったり、友達とかでも」

「……甘いわね」
「っ――」

 目を見て射すくめられた。先の言葉を言おうとしたのに、止められた感がある。細くなっている水色の目つき。感情は冷え切っているようにも見えた。

「確かに、そういう人も周りにはいる。でもね、わたしの武装神姫はバトル本命なのよ。バトルができないからって、いきなり『生活のパートナーにする』とか私は切り替えられない。……それにね、ええっと、今はシオンだっけ? シオンがバトルできないことに対して、一番怒っているのは『イスカ』なのよ。私が何も言えない程にね」
「あのストラーフですか」
「そうよ。あの子が妹が欲しいなんて言うから買っちゃたのよ。買うときは、バトルに熱くなれるよう熱血なアーティル型がいいからってイスカが決めたんだけどね。コアをセットしてみたら、あら不思議。バトルができない心優しいアーティル型ができたってわけ。組み合わせが悪かったのかもね」

 宮本さんは饒舌に喋り続けている。今まで行き場のない怒りや不満に感じていたことを全部吐き出すように。一旦止めて、テーブルにあったアイスティーを一口飲むとまた喋り出した。

「バトルを始める前までは、そりゃすごく可愛がっていたのよ。イスカは無口だけど、バトル以外で楽しそうにしてるのを初めて見たわ。……私にとったらドン引きよ。顔をデレデレしちゃってるんだから。だけど私はシオンがものすごく丁寧な物腰なのにちょっと不安だったのよ。こんな子が激しいバトルをできるのかって」

 真っ赤な目で無表情な顔を綻ばせているあの悪魔型神姫があまり想像できないな。バトルしてる感じでは普段からあまり喋らなそうに感じたけど。

「そしたら、案の定バトルをやらせてみても、何も出来ずに終わる。どんなバトルでも同じ。イスカとやらせてもへっぴり腰な姿。イスカはそれはもう絶望してたわ。期待してたのに、裏切られた気分だったみたいね。元の無表情に戻ってたわ。私もそんなこと初めてだから、何を言えばいいかわからなかったのよ。
神姫センターで修理にも出してみたけど、ノーエラーで異常はないってね。何もでないっておかしいけど本当なのよ。それで私は何も出来ず、イスカは会話もせず。……それで、あの子は出て行っちゃったってわけ」 

「でも、だったら、どうしてここのゲームセンターでバトルなんかして、探すような真似をしてたんですか? 宮本さんの地元はここじゃないみたいですし」

 最近見かけるようになったって話しを聞いたときに、不思議だった。シオンを拾った日から何日も経ってるし、なんで今ごろとも思った。

「私ね、神姫バトルは好きなんだけど、これでも医学生なのよ」

 うん? なんか話が飛んだな。

「私はクォーターでね、祖父がフランス人。その祖父が国で病院を経営しているの。最近になってそこで研修生として働かないかって話が祖父から来ててね」
「じゃあ、日本を離れるんですか?」
「今すぐって訳じゃないけどね。もちろん、神姫も連れて行くわ。あっちにも武装神姫は流行っているみたいだし。日本を出るとなると、気になってきてね。あの子はどこに行っちゃったのかって。まさか二駅先にまで彷徨っていたなんて。根性があるわ」

 ふうっと一息ついて、アイスティーを飲み干す宮本さん。言いたい愚痴を全部吐き出した感じがする。

「後はゲーセンで色々聞き込みしてたら、バトルする流れになっちゃって。キミたちが出てきたということ。バトルしてたのは無駄じゃなかったわ」
「見つけて、その後はどうしようと?」
「うーん、いい人に拾ってもらってたらそのまま。危ないことや酷いことをさせられてたら、意地でも捕まえて悲しいけどリセットさせるわ。でも、キミみたいな子に拾われてたのは不幸中の幸いね。……そこはお礼を言うわ。ありがとうね」
「いえ、大したことはしてません。とてもいい子だし、僕の神姫としては勿体ないくらいです」

 一緒にいる僕もシオンには色々助けられているし。

「そうね。いい子すぎるわ」

 宮本さんは自傷気味にそう言うと、グラタンの皿を持ち、テーブルの皿は三皿積み上がった

「……CSCをリセットしようと思わなかったんですか? バトルがうまくできないとわかって」

 言いたくはなかったけど、これは聞いておかないといけないことだ。

「CSCをリセットすることはね、神姫を殺すことと同義なのよ。医者を目指す私としては人形といえどそんなことをする気は起きないわ。だから余計にバトル恐怖症をなんとかしようと躍起にはなったんだけど……このざま、カウンセリングなんて知識もまだない。ましてや相手は武装神姫。神姫に逃げられるダメマスターよ」

 宮本さんはため息をもらす。
 どうにかして、バトルできるようにしてたみたいだけど失敗に終わり続け、シオンは宮本さんの元を離れてしまったわけか。バトルができないからオーナーに捨てられる、傍にいる価値はないと思ってるのかな。神姫も悩むし苦しむんだ。

「宮本さんの神姫は……イスカは、シオンの事を怒っているんですよね」
「ええ、今でもその話したら、不機嫌になるわね。『……あいつの話はしないで』なんて言って、もっと仏頂面になるわ。最悪、いなくなって、なにも思ってないのかもしれないわね」

 イスカをどうにかできないと、シオンのわだかまりはどうにもできそうにないな。イスカにシオンを認めさせるには、やっぱりバトルをして勝つことだろうか。
 いがみ合った敵でも戦った後に友情が芽生えるとか王道だし。……思考が短絡的だな、僕。
 戦う前提だと、バトル恐怖症の壁があるのを忘れたのか。

「私からも一つ聞いていいかしら?」
「あ、ええ。なんでしょうか」
「見た感じ長倉君は武装神姫は初めて持つのよね。拾った神姫でなんでそこまで一生懸命になれるのかしら?」

 なんで、てそれは……なんでだろうか。家庭に人がいない状況を僕は寂しいと感じた。それでも毎日シオンが出迎えてくれるのが嬉しい。つまりそれはもうシオンが僕の家族になっているからだと僕は思ってるから。

「シオンは僕の家族です。家族の為に行動するのに理由はいりません」

 キッパリと僕は宮本さんに言いきった。

「ク……クク……。ハハハハ!」

 だけどなぜか宮本さんにすごい笑われた。腹を抱え口を開けて大笑いだった。

「な! どうして、笑うんですか!?」
「いえね……クク……。キミが真剣にそんなこと言うから。ふふ」

 ものすごく心外だ。真面目に答えたのに、笑われるとどう反応していいのかわからないぞ。

「ふぅー。久しぶりにこんなに笑ったわ。でも、いいと思うわよ。家族」
「……そうなんですかね」

 笑われた人に言われてもな。僕はなんだか呆れてしまう。

「そうよ。私は真正面から人形を家族なんて言えないもの。それは長倉君が持つ優しさよ。……シオンを頼むわ、それで、これ」
「これって?」

 宮本さんは横に置いてあった紙袋を渡してきた。ずいぶんと大きな紙袋だ。中を確認してみると、武装神姫とロゴが入ったケースだ。隅の方にはクレイドルもあった。

「あの子の装備一式よ。バトルのために揃えたけど、無駄になってね。イスカにも似合わないし、あげるわ」
「そんな、こんなの貰えません。バトルだって……」
「でも、必要になるわよ。武装神姫を持っていればおのずとね」

 意味深な事をそう告げる。なにか見透かされているようなそんな感じ。

「……一応、預かっておきます」
「そうしておきなさい」

 そう言うと、宮本さんはコップの、解けた氷の水と少し残ったアイスティーとが混ざった飲み物を口に入れる。それがカランと音をたてる。
 その後、僕は結局何も頼まずお礼をして、家に帰った。
 手には紙袋を持って。







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