あれから何日か経った。
神姫が家に来て、二つわかったことがある。一つは神姫NETサービスで確認してみたら、この子の個体名は本当になくなっていた。
武装神姫は起動時、オーナー登録を定められている。そして事故・ロストなどの要因で神姫がなくなると、登録データは消すことになる。つまりはこの子のオーナーが、データを必要しなくなったということだ。
名前がなくなり、悲しい顔になっていたので僕が代わりに新しい名前をつけた。
神姫が家に来て、二つわかったことがある。一つは神姫NETサービスで確認してみたら、この子の個体名は本当になくなっていた。
武装神姫は起動時、オーナー登録を定められている。そして事故・ロストなどの要因で神姫がなくなると、登録データは消すことになる。つまりはこの子のオーナーが、データを必要しなくなったということだ。
名前がなくなり、悲しい顔になっていたので僕が代わりに新しい名前をつけた。
(今日からキミは、詩音―シオン―だ)
そう言ったら、嬉しそうにまた泣いた。よく泣くよな、と、『シオン』の頭を撫でながらそう思った。
もう一つは時折、シオンは考え込んでて遠い目をしていること。
シオンはやっぱり、気になるのではないだろうか。前のオーナーが、ストラーフ型の姉が、今頃どうしているのか。
聞いてみても、はぐらかされるだけで本心はわからない。名前の繋がりも消されていているのに、それでもだ。
シオンはやっぱり、気になるのではないだろうか。前のオーナーが、ストラーフ型の姉が、今頃どうしているのか。
聞いてみても、はぐらかされるだけで本心はわからない。名前の繋がりも消されていているのに、それでもだ。
――――
そのシオンは今、僕が学校の図書室から借りてきてた本を読んでいる。
僕が学校に行っている間は、シオンは暇なのだ。それで何か、やりたいこととか、したいことある? と聞いてみたら、本が読みたいと言ってきた。
物語の本が読みたいとのことで、文学、推理、ファンタジー、恋愛、はたまた時代劇小説を数冊借りてきた。
それら全て読破するらしい。
僕も本は好きなので、一緒に読んでいるところでもある。
本が好きで物静かで戦う事が苦手なアーティル型。すごく珍しい気がする。
僕が学校に行っている間は、シオンは暇なのだ。それで何か、やりたいこととか、したいことある? と聞いてみたら、本が読みたいと言ってきた。
物語の本が読みたいとのことで、文学、推理、ファンタジー、恋愛、はたまた時代劇小説を数冊借りてきた。
それら全て読破するらしい。
僕も本は好きなので、一緒に読んでいるところでもある。
本が好きで物静かで戦う事が苦手なアーティル型。すごく珍しい気がする。
「少し聞きたいことがあるんだけど」
気になったことがあるので、本から顔をあげてシオンに話しかける。
「なんでしょうか」
「シオンの、前のオーナーのことをさ、教えてくれないかな、なんて」
「……どうしたんですか?」
「い、いや、僕の友達がゲームセンターで、強いストラーフとそのオーナーの試合を見たっていうから、もしかしたら、前のシオンのオーナーなんじゃないかなと、思ってさ。はは」
「シオンの、前のオーナーのことをさ、教えてくれないかな、なんて」
「……どうしたんですか?」
「い、いや、僕の友達がゲームセンターで、強いストラーフとそのオーナーの試合を見たっていうから、もしかしたら、前のシオンのオーナーなんじゃないかなと、思ってさ。はは」
シオンが悲しそうな顔色になった気がするので、少しどもってしまった。別にこれはとっさのことでの言い訳ではない。
今日、淳平とミスズにシオンのことを詳しく話した。そしたら、もしかしたらと思ったのだろう。最近、ストラーフ使いのオーナーがゲームセンターに来ていると話してくれた。
今日、淳平とミスズにシオンのことを詳しく話した。そしたら、もしかしたらと思ったのだろう。最近、ストラーフ使いのオーナーがゲームセンターに来ていると話してくれた。
「真っ赤な剣を持っているストラーフでしたか?」
「うんうん、言ってた。神姫一体ぐらいの大きさの剣を使ってるらしくて、すごく強かったらしい。オーナーの人も女性だったけどすごく貫禄があったって」
「やっぱり、マス……前マスター凛奈さんとイスカお姉ちゃんですね」
「うんうん、言ってた。神姫一体ぐらいの大きさの剣を使ってるらしくて、すごく強かったらしい。オーナーの人も女性だったけどすごく貫禄があったって」
「やっぱり、マス……前マスター凛奈さんとイスカお姉ちゃんですね」
ビンゴだった。
(そして、最近現れたということはあっちもシオンを探している可能性があるな。)
「凛奈さんとイスカっていうんだ。……会いたい?」
とりあえず考えは横に置いておいて、聞いてみる。
「……わかりません。勝手に出て行ったのに、会ったって何も言えるはずないです」
そう言って、悲しそうに微笑むシオン。
「でも」
「あっちも、私みたいな玩具のことなんて気にしてないですよ。きっと、色々な人とバトルしたいから、ここにも来たんでしょう」
「あっちも、私みたいな玩具のことなんて気にしてないですよ。きっと、色々な人とバトルしたいから、ここにも来たんでしょう」
そう言って、本に顔を戻す。
ダメだ。暗い方に考えがちになっている。やっぱり、シオンの為にも何かしなくちゃいけないよな。この子はもう僕の神姫なんだから。
ダメだ。暗い方に考えがちになっている。やっぱり、シオンの為にも何かしなくちゃいけないよな。この子はもう僕の神姫なんだから。
――――
学校の教室の風景。四時間目の授業が終わった。
昼休みになり、先生が出ていくと、クラスの各々、机をくっつけあって弁当を持ってきて食べる人や、学食に行って食べる人、購買部に行ってパンを買う人がいる。
昼休みになり、先生が出ていくと、クラスの各々、机をくっつけあって弁当を持ってきて食べる人や、学食に行って食べる人、購買部に行ってパンを買う人がいる。
僕は、その中では弁当派だ。
クラスの皆には自分で弁当を作ってくるなんて、女の子みたいと言われたことがある。
うるさいな、ただでさえ童顔っぽいのががちょっとコンプレックスなのに。僕はもうちょっと、ワイルドな雰囲気の大人を目指して、行く行くはバイクの免許とかもとって……。ああ、でもタバコは吸いたくないな。
うるさいな、ただでさえ童顔っぽいのががちょっとコンプレックスなのに。僕はもうちょっと、ワイルドな雰囲気の大人を目指して、行く行くはバイクの免許とかもとって……。ああ、でもタバコは吸いたくないな。
「よう! 螢斗は今日も手作りお弁当か、女の子っぽいな! そんで一緒に食おうぜ」
「あのさ、なんで淳平はいつもそう言ってから、隣で食べようとするの?」
「いやいや、もうこれは恒例行事でしょ。お弁当を出すたびに、螢斗は女子にも男子にも尊敬の眼差しが向けられるのさ。そんで卵焼き何個かくれ!」
「あのさ、なんで淳平はいつもそう言ってから、隣で食べようとするの?」
「いやいや、もうこれは恒例行事でしょ。お弁当を出すたびに、螢斗は女子にも男子にも尊敬の眼差しが向けられるのさ。そんで卵焼き何個かくれ!」
はいはいと返事をして、淳平に分ける。
お弁当は少し多めに作っておいてある。が、断じて淳平の為じゃない。
ミスズの為だ。淳平は弁当なんて持ってこないし、購買のパン数個しか食べない。神姫にあげられる食べ物がパンの切れ端だけだなんて可哀そうすぎる。
ミスズはそれでもいいみたいだけど、僕が隣で見てられない。
淳平も食べるがちゃんとミスズにも分けてあげている。そんなのが微笑ましく思える。
お弁当は少し多めに作っておいてある。が、断じて淳平の為じゃない。
ミスズの為だ。淳平は弁当なんて持ってこないし、購買のパン数個しか食べない。神姫にあげられる食べ物がパンの切れ端だけだなんて可哀そうすぎる。
ミスズはそれでもいいみたいだけど、僕が隣で見てられない。
淳平も食べるがちゃんとミスズにも分けてあげている。そんなのが微笑ましく思える。
「それで、どうなりました? シオンさんのこと」
「モグモグ……そうだな。モグモグ……気になってた」
「淳平は食べてから喋ってよ。その件の事で帰りにゲームセンター行こうと思って、そのストラーフ使いの人に会ってみたくなってさ。ちょっと一緒に来てくれない?」
「モグモグ……そうだな。モグモグ……気になってた」
「淳平は食べてから喋ってよ。その件の事で帰りにゲームセンター行こうと思って、そのストラーフ使いの人に会ってみたくなってさ。ちょっと一緒に来てくれない?」
「ん……いいぞ。ミスズの新しい戦法を試そうとしていたところだ。スペシャルでカッコイイのを寝ずに考えた」
「マスター!! もうすぐ高校では試験もあるんですから、勉強もしてください」
「マスター!! もうすぐ高校では試験もあるんですから、勉強もしてください」
ミスズはしっかりしてるけど、淳平はバトルとかどうなんだろうか。こんなことを言ってるけど、真面目に取り組んでいる結果かもしれない。
武装神姫同士のバトル。
改めて考えると、どうなのだろうか。一応は遊びだし、バーチャルらしいので、神姫が亡くなってしまうことはない。テレビでも、有名な大会は夜中に中継されている。
けど、僕は見たことはないし、淳平が試合の事とか一方的に話すのを聞いたぐらい。上位ランクからの大会とかはリアルバトルもあるとのこと。
そんなレベルだとプロの領域だ。
シオンを持っていたオーナーもそんなレベルの人なのだろうかと考えたのだけど、止めた。バトルをするわけでもなし、一度会ってみる。
ただそれだけなのだから、気になることがあるから話してみたいのだ。
武装神姫同士のバトル。
改めて考えると、どうなのだろうか。一応は遊びだし、バーチャルらしいので、神姫が亡くなってしまうことはない。テレビでも、有名な大会は夜中に中継されている。
けど、僕は見たことはないし、淳平が試合の事とか一方的に話すのを聞いたぐらい。上位ランクからの大会とかはリアルバトルもあるとのこと。
そんなレベルだとプロの領域だ。
シオンを持っていたオーナーもそんなレベルの人なのだろうかと考えたのだけど、止めた。バトルをするわけでもなし、一度会ってみる。
ただそれだけなのだから、気になることがあるから話してみたいのだ。