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えむえむえす ~My marriage story~

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キズナのキセキ
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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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アルトアイネス奮闘姫
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双子神姫
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武装神姫のリン
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戦う神姫は好きですか
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 朝の住宅街、時間にして八時ごろの通学路。歩道を歩く高校生たちが多少いる程度、その中の一員の僕はある冊子を両手で持ち、読みながら歩いている。あまり深く読んでいると、人にぶつかるから流し読みで頭に入れていく。

「おっはよー! 螢斗!」
「うわっ!……っと、いきなりなにするんだよ」

 突然後ろから挨拶とともに軽く突き飛ばされた。
 後ろを振り返るとクラスメイトであり友達の伊野坂 淳平に悪態をつく。

「いやね、気難しい顔でなんか読んでいるもんで、つい」 

 笑顔で飄々とした雰囲気の淳平が言う。全く悪びれる様子のない友達に軽く気が滅入る。

「マスター!! すいません、螢斗さん。マスターがまた迷惑なことを」 
 
 淳平の胸ポケットには、天使型アーンヴァルと言われている神姫のミスズが申し訳なさそうにしていた。こんなマスターに対してだと気苦労が絶えなさそうだ。

「いや、もう淳平がそういう人だってわかってるからさ、大丈夫だよ。……そうだ。武装神姫持ってる淳平に聞きたいんだけどさ、クレイドル余分にある?」
 
 突き飛ばされるのはよくないが、学校についたら尋ねようとしていたのでちょうどよかった。

「うん? ちょっと傷があって古いのがあるけど、どうしたんだ?」
「確かにそうですよね、螢斗さんって神姫を持っていなかったはずですし」
「……えーとね、なんかよくわからないけどさ、昨日神姫を拾った……というか……保護してね」
「え!?」
 
 二人が声を揃えて驚く。
 昨日の夜にあったことを僕は話すことにした。僕の家にいる神姫の事を。


                 一章 戦えない神姫


「……あれ?」
 
 住居の多い町の中、僕はアルバイトを終えて帰ろうとしていた。
 普通なら静かな時間、夏も近いこの時期、虫の声ぐらいしか聞こえないはずなのだけど。
 
――い……や……あ…ち…………っ――

 立ち止まって、耳を澄ましてみると、擦れながらではあるが高い声が少しだけ聞こえてくる。右の路地の奥、多少は広く放課後の時間帯には子どもがよく遊ぶ姿が見られる公園がある。声らしき発生源はそこから聞こえてきているようだ。
 とりあえず僕はそれが気になってしまい公園内に足を踏み入れた。
 そこにあったのは――

「いやー!やめて!どっかいってください!!」

 悲鳴を上げながら、公園内の電塔、僕のちょうど膝辺りの高さに掴まっている。
 叫んでいる人形もとい、多分、神姫と野良猫がいた。
  猫は動く人形に興味があるようで、パシパシと前足ではたき落そうとしているが、ぎりぎり当たらない位置にしがみ付いているので、猫のパンチは届かずにいる。
「……しょうがないな」
 
 なんでこういう展開になっているのか分からないけど、悲鳴を上げるほど困っているみたいだし、助けないと。

「こら!!」
 
 少し大きな声を上げたら猫は「ギャッ!」と鳴き奥の茂みに駆けて行ってしまった

「はぁ……キミ、大丈夫?」
「キャー!!イヤー!!」
 
 あまりのパニックに僕が来たことも、猫が逃げたことも神姫の少女はわかってはいなかった。

「ねえ。ちょっと、話しをっ…て……あ!」
 
 突然声が止み、フラっと後ろに倒れ落ちようとしたが、地面に衝突する前になんとか手の平で受け止めることができた。

「ねぇ! 大丈夫!?」
 
 そこには電池が切れたようにうんともすんとも言わなくなった神姫が一つ。

「……どうしよう、これ」
 

----


「ふーん、そんなことがねぇ」
「さすが螢斗さんです。私も螢斗さんにはマスターの入学時に助けられましたからね。人間の鑑です!」
「あ……うん、そうなのかな」
 
 まっすぐに言われると、なんか照れるな。

「うっわ、おまえ。懐かしいことを引っ張り出すなよ。それで螢斗とも仲良くなったんだろ」
 
 HR前の教室の中で、僕は経緯を話した。とりあえずそのまま持ってきてしまい、自分の家に帰った後、ネットで調べてみたら、この神姫はアーティル型ということと、倒れたのは充電が切れただけということがわかった。冊子はプリントアウトしたもので武装神姫についての種類名とか基礎知識が載っている。

「それにしても野良の神姫かな、それは。でもな~、神姫はクレイドルで充電しなきゃ一日でアウトだしなー」
「まぁ、それはそうなんだけど、神姫が野良になることってあるの?」
 
 僕はそこが気になっていた。武装神姫をちゃんと知ってみると、自分のオーナーを認識すれば、信頼をおく。古い言い方であれば忠誠を尽くす、といったプログラムがされているのが武装神姫であるとそう考えていた。

「えっとですね、例えば武装神姫を戦わせる遊びがあるのです。ゲームセンターにも専用スペースがあったり、神姫センターとかでは大会もあるんです。そういうバトルの中、負け続きのような神姫がいれば、捨てる人やお店に売ってしまう人がいますね。あくまで一例ですけど」
 
 あまりに酷いオーナーだったら、神姫の感情なんて考えずにそんな仕打ちをするのか。所詮は玩具って考え方なのかな、そういう人たちは。

「さすがミスズ。詳しいぜ。まぁ俺はミスズにはそんなこと絶対しないけどな!」
「え……あっ……ありがとうございます」
 
 満面の笑顔で淳平は言うと、ミスズの顔が少し赤らんだ。嬉しさと照れが混ざっているようで窓の外にそっぽ向いている。

「……仲がいいことで」
 
 淳平みたいなのが多かったら捨てる人も売る人も出てこないなとも思ったが、アホな人が増えるのも困るなと僕は思った。


----


 学校が終わり、淳平の家に寄って、ちょっとキズのあるクレイドルを借りてきた。ミスズを買った当初、淳平がうっかり手を滑らせてしまい落としてしまったとのこと。所々のキズはその時できたらしい。
 これはいかんということで、淳平は中古でもいいから、綺麗なクレイドルをミスズの為に用意したとか。本当に大事なんだな。
 これは別にいらないから貰ってもいいと言っていたけど、テーブルの上の、この神姫がいる間はありがたく使わせてもらおうと思った。逆にこの子がいなくなったら返そうと思ったりもしたが。

「まぁ、この子次第なのかな」
 
 自分の部屋のテーブルにクレイドルを置きプラグコンセントに繋ぐ。
 神姫を台の上に乗せる。接触しているだけで充電が行われているらしい。軽く動く程度なら数十分でいいが、せっかくなのでフルの状態までと考え、僕は家事をしながら時間をつぶすことにした。

 夕食を食べ終え、周りの家が寝静まる時刻。部屋で本を読んでいると「う、うぅん」と声が聞こえ出した。
 読んでいた本に栞を挟んで、クレイドルの前に移動した。見れば目を覚まし動き出した神姫が、人間と同じような仕草でゴシゴシと目を擦っていた。

「……えーと、おはよう」
 
 夜の時間帯だけどね。と心の中で付け加える。
 何を言えばいいのかわからなかったので、無難に挨拶をしてみることにしたのだが。「え、……っあ! あわわわわ!!」
 するとクレイドルから飛び出し、パニック状態にまたもや入った。尻もちをついた状態でものすごい速度で後ろに下がりだした。当然そこはテーブルの縁に行きつく。「あっ」と空気を出す声のまま落ちようとしたが――

「危ない!……と、またこの展開……」
 
 なんとか片手を伸ばして、落ちる前に支えた。溜息をついて、神姫の少女をクレイドルに戻した。
 あらかじめ水の入ったペットボトルを用意していたので、蓋に水を入れる。

「ほら、これ飲んで落ち着いて。神姫は飲み食いできるよね?」
「え、……あ……はい」

 腕をつかって少しずつ水を飲み、息を吐いたのを見てひとまず僕は安心した。

「私はその、確か猫に……」
「うん、知ってるよ。昨日君が野良猫に追われているのを見つけてさ、助けたときに充電が切れたみたい。それで僕の家に運んだんだ」
「……すいません」

 あんなに騒いでいたのだけど、それは気が動転してたせいで、この子からは物静かな雰囲気が漂っている。

「別にいいよ、僕の名前は長倉 螢斗。名前を聞いてもいい?」
「私は…………いいえ。自分の名前はありません」

 神姫は少し考えてからそう言った。隠してるのかもしれない。見知らぬ人だから警戒するのもしょうがないよな。

「……名前がない。それじゃ、君の持ち主……えっと……君のオーナーとは何があったの?」
「……」

 詮索しすぎは失敗だったろうか。黙っちゃうし聞き出しにくくなってしまったな。 武装神姫はオーナーがいないと成り立たない。この子とオーナーの間になにかがあったのは確実だし、家出してるっぽい。捜索願って神姫には出せるのだろうかとか色々考えた。
 この子を見ていても座り俯いていて、表情はわからない。

「わかった、無理に言わなくていい。ここに居てもいいし、自分のオーナーの元に帰りたくなったら、いつでも言って。僕がなんとかしてみるから」
「……」

 ……あれ、おかしいな。アーティル型は「基本は熱血な性格」と書いてあったのに、この子からは全く熱血さを感じないぞ。物静かさしかない。
 そうとう酷いことがあったのか、それともCSCの性格か。同じ種類の武装神姫でも、性格は千差万別あるらしいのでこれも個性なのかな。

 ――これから、どうすればいいのだろう。

 そのまま、どうすることも出来ず、その日はタンスにあったハンドタオルを毛布代わりにかけてあげて、僕も眠った。




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