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第二話:擦違姫


 対戦が終了し、結果が表示されると歓声が上がった。その中から何回も勝ち続け、連勝を重ねて独占をしていたらしい事がわかった。道理でできる方だと思ったが、それなりにダメージはくらいはしたものの、なんとかイリーガルマインドも奪いつつ、戦いを勝つ事ができた。
 正直、毎度イリーガルマインドばかり始末していると戦い方が単調になりがちだったが、日にちが経つからか、相手側もどういう風にそれを使おうとするか、違ってきている。
 その個性を全うに戦う事に使えばいいものを、もったいないものである。
 そんな考えを頭にめぐらせて、相手側の席に向かう。イリーガルマインドを回収するためだ。

「おい。神姫達についている首輪を渡してもらおうか。それは違法パーツで、回収することになっていてな」

 俺は日暮さんに用意してもらった回収許可証を見せながら、宣告する。その発言に周りがどよめき始めた。どうにもそれが違法パーツだとは思っていなかったらしい。
 それだけ、俺や日暮さんが回収して回れて知名度も低くなってきたのだからいい傾向ではあるものの、それは気づかれずに使われてしまう一長一短の状況でもあった。

「じょ、冗談じゃない! これがあったからここの奴らを見返せたんだ! 今更、手放せるか!」
「そうだよ! これを手に入れるまでは俺たちに誰も見向きもしてくれなかったんだ! これを取られたらまた……」

 今回は相手にされないから手に入れた系だった。この場合は弱いから、とか友達がいないからといった独りであるためにそういう事をしてしまったというのが多い。

「……確かにお前達の破竹の快進撃はここの奴らを釘付けにできた様だな。だが、それは砂上の楼閣も同然だ。今こうして俺が、ノーマルの蒼貴と紫貴がお前らを倒したからな。何でかわかるか?」
「わかるかよ! お前の神姫はきっと特別なんだ! 特別な奴らに負け続けの俺たちの気持ちなんてわかるか!」
「特別、か。その意味合いで言うなら努力は特別なまでにしたな」
「盗める技術は特別じゃないのかよ!?」
「ああ。確かに得意不得意はあるかもしれんが、こいつらは常に技を磨く努力をしている。俺には装備が無いからな。ならば、それで覆すしかない。その発想の答えがそれってだけだ」
「特別じゃない俺達にそれはできないよ!」
「ほぅ。何故できないんだ? 可能性は十二分に見せていたぜ。お前ら」
「何だって?」
「そのパーティオ、後半はイリーガルマインドは使っていなかったな。だが、アルトレーネを的確に援護し、彼女を攻めに行かせた。そのチームワークはなんだ?」
「それは……」
「そういうのが、お前らの言う特別なんじゃないのか? そんなもんに頼らなくともお前らは強さを見せた。それは凄いと思うぞ? ……どう思います? 周りの人達。この二人は違法パーツを使わなくとも強いと思いませんか?」

 俺は周りの人々に問いを投げかける。それに対して黙り込む者、複数人で議論する者、色々な反応が出てくる。

「……はい! 凄かったです!」

 一際大きな声で賞賛する声が上がった。その声に向いてみると先ほど観戦していた健吾とクレアの姿があった。彼らは何の疑いも持たない様子でそう言った。

「あの違法パーツを解除してからも一歩も引かなかったしな。無くても強くね?」
「……そうだな。こいつら、あの尊さんを相手にきっちり戦って見せたもんな」

 それに釣られて、周りが賞賛の声を出す。便乗している感はあるものの、少しでもそう思っているのなら十分だった。これでこの二人の強さが証明された。

「どうだ? これでもお前らはイリーガルマインドは必要と言うか?」
「……ううん」
「氷睡!?」
「これだけ、言ってもらえるなら……頑張れば、認めてもらえるかな?」
「相棒を信じて戦い抜けば認めてもらえるはずさ。この蒼貴だって最初は散々負けて前のオーナーに捨てられた神姫だしな」
「だったら、これ……」

 氷睡がイリーガルマインドを長閑から取り外して、俺に差し出した。

「いいのか? こいつをなくしたらお前は自分自身の力で戦うんだぞ?」
「信じれば、できるんでしょう?」
「ああ。その通りだ。お前にその覚悟があるなら、な」
「わかった。……いつか貴方を越える」

 俺はその言葉を聞き届けるとイリーガルマインドを彼女から受け取る。

「その意気だ。お前はどうする?」
「どうせ、奪い取る気だろ」
「納得しないのなら、仕方が無い。そいつを使い続けて天音を殺すか?」
「なっ!?」
「それは使い続ければいつかは負荷で神姫を殺す諸刃の剣だ。そう言っているんだ」
「そ、それは……」

 この様子だと、知っていて使っている感がある。周りの天音、長閑、氷睡が動揺しているのを見るとこれについては知らなかったようだ。これはこの後が厄介そうな予感がする。

「選べ。絆と力。どちらを取る?」
「……わかったよ! 渡せばいいんだろ!」

 玲央は俺に天音から取り外したイリーガルマインドを投げつける。飛んでくるそれを俺は手でキャッチし、二つを鞄の中にしまう。

「……俺を恨むのはいい。だがこれだけは聞いておいてくれ。自分のパートナーを犠牲にするな。それだけできれば何も言わん」

 そう告げて、俺はわかってくれた氷睡に二人分のワクチンソフトとイリーガルマインドと引き換えとして杉原のテストパーツのデータが封入されたデータウェポンカードを手渡し、イリーガルマインドについての正しい説明と回収に関しての説明をした。
 この様に杉原と日暮が提携してイリーガルマインド対策用のマニュアルを作り、完成させている。その実地テストとして俺はこれを行っているのである。
 説明が終わると氷睡は玲央と共に神姫センターを去っていく。玲央はまだ、心の整理がついていないようだったが、こうして回収はできた。これで天音が死ぬ事もない。恐らくはイリーガルマインドの一件で話をする事になるだろうが、時間が解決してくれるだろう。それで俺にリベンジしてくる事を目的にするならそれはそれで構わない。今度は本物の強さで立ち向かってくれる事だろう。俺はそれに全力で応えるのみだ。

「……これで一件落着か」

 対戦が終わり、皆がそれぞれの場所に戻っていく。まるでショーが終わった後のようにいなくなる。あの二人がイリーガルマインドをつけていた事実は変わらないが、どうか引きずらない事を願うばかりだ。無責任ながら、俺の出来るのはここまでだった。
 バトルブースの人々がいなくなる中、俺は健五を見つける。彼が言い出してくれなければ事態はこのままではすまなかった。礼を言っておこう。

「健五君……だったっけか。ありがとな。君のおかげであの二人も再スタートを切れそうだ」
「健五でいいですよ。って、何で僕の名前を知っているんですか?」
「たまたま、戦う前に観戦させてもらって、そこで登録名を見たからだ。いい試合だったよ」
「あ、ありがとうございます! 尊さん! それで、回収したイリーガルマインドはどうするんですか?」
「然るべき所で処分してもらうんだよ。それ以上は守秘義務があるから話せないがな」
「そうですか……」

 話が一区切りした時、腹の虫がなりそうになる。時計を見ると午後十二時半。ちょうどいい具合のメシ時だった。

「……ちと腹減ったな。なぁ。どこか美味い飯屋を知らないか? ついでに何かおごってやるよ」
「すいません。もう昼ご飯を食べちゃったから大丈夫です。でも、いい所を知っていますので案内しますよ」
「そうか。頼む」
「じゃあ、行きましょう」

 現地人と思われる健吾に聞いてみるといい場所を教えてもらえることになった。これは運がいい。好意に甘えさせてもらおう。



 そんな訳で健吾の案内の下、昼食の食べられる場所『明石食堂』へと移動する。意外にも桐皮町駅から徒歩八分との事を商店街に入った時に聞いて驚いた。神姫センターはもう少し時間がかかっていたのでその場所を気づかずに通り過ぎてしまっていたらしい。
 目の前まで来ると暖簾が印象的な下町の食堂が見えた。暖簾に『明石食堂』と書かれている所を見るとどうやらここがそうであるようだ。
 俺は健吾が開けた引き戸に続いて暖簾をくぐり、その中に入る。そこは古くとも手入れの行き届いているのカウンターやテーブルが配置されており、なかなか風情のある店内だった。これはいい店の予感を感じさせてくれる。

「いらっしゃい……。おお。健吾じゃないか。その人は友達か?」
「うん。神姫センターで知り合った……」
「尾上辰巳ですただの神姫オーナーです」

 入って早々、バレそうになった。俺は健吾を遮って素早く自己紹介をする。

「お、おお」
「聞いてよ! アキラさん! この人、双姫主の……」
「いえいえ僕はただの神姫オーナーの……」
「あれ? もしかしてミコちゃん?」

 何とかしてアキラに自分の素性を明かすまいと健吾の言葉を遮ろうとした時、第三者の声が聞こえてくる。その声のほうを向いてみると……。

「あ~! やっぱりミコちゃんじゃない!」

 最悪だ。真那がそこにいた。隣には眼鏡をかけた表情の乏しそうな少女、さらにテーブルの上にはちょうど食事中の定食があるのを見て、どうやらそいつと一緒にここで昼食を食べていたことが伺い知れた。

「双姫主の尊だって!?」
「知っているの? アキラさん」
「ああ。以前、アンリと戦った時にそれを言ったろ? その中でも可能なやつが一人だけ週刊バトルロンドダイジェストで載っていたんだ。それが尊ってオーナーだったんだよ」

 アキラが連なる単語に反応して驚いて知った経緯を健吾に話した。これを聞くと雑誌という情報がどれだけ人々の中に浸透するのかを思い知る。下町の食堂のあんちゃんすらも知っているとはなんて歩きにくい世の中になってしまったのだろうか。いったいどこの誰がこんな風にしてしまったのか……俺か。

「そうそう! このメガネの奴が尊なのよ~。セツナも聞いたことない? 双姫主の尊ってさ」
「この人が? ……ああ。写真にも載っていたね。あの黒メガネは特徴的だったわね……」

 ああ。どんどん、俺の通り名を知っている奴が増えていく。これ以上は客がいないのが不幸中の幸いだが、正直勘弁してほしい。

「すいません。サンマ定食を頼みます。それとこの子に何か飲み物を頼みます」

 困るのもあるが、これでは昼食も食べられない。アキラに定食と健吾の飲み物を頼んで四人が座れるテーブルに座った。そうすると健吾が隣に座り、向かい側に真那がまだ話が終わっていないと言わんばかりに座って、セツナもそれに倣う。

「最近、どこをほっつき歩いていたのよ? いつもの所には全然来ないし」
「全然でもねぇだろ。バイトで色々なとこを回っていただけだ。別にあの神姫センターが全てじゃあるまいし」
「何ですって!? そんな楽しいことをしてんだったら私を誘いなさいよ!」
「それは悪かった。が、お前もお前で違う場所で違うオーナーとダチになってんだな」
「ええ。一月前に知り合ったのよ」
「この子が一方的に勝負を仕掛けてきたのがきっかけなんだけどね」
「いいじゃない。あんたも暇そうだったんだから」
「まぁね」

 二人が話を続ける。何でもノーザンクロスというゲームセンターに真那が対戦相手を探していた時に出会って、いい対戦をすることができて、意気投合したらしい。その後も何度か出会うこともあり、こうして一緒に食事をする仲になったんだとか。
  そんな友達、セツナに目を移してみる。表情の読めなさそうな顔とメガネが非常にマッチしており、品のある美しさが感じられる。無表情に近いものの、こうして真那と気の合った話をするなら割と感情の動きが激しいのかもしれない。
 そんな感想を抱いていると真那がじろじろと見てくる。なにやら不満そうなご様子だ。

「何、セツナを見てんのよ? 惚れちゃった?」
「そんなんじゃねぇよ。お前の友達かと思ってな」
「何よそれ!?」
「怒るなよ。いいもんだなって思っただけさ」
「ん~……。まぁ、いいや。そういや、イリマイ集めは順調なの?」
「ああ。少なくとも遭遇した奴らのは回収した。バックアップサービスも始めて、回収の方法も確立するとこさ」

 その辺りは先ほどやった通りの事だ。これが確立されれば俺以外の誰かもまた首輪狩りをする事が可能になるだろう

「なら、私もやらせてよ。私も結構強くなってきたんだからさ」
「あのなぁ。何度も口すっぱく言っているが、イリーガル狩りなんだから危ねぇんだって。まさか、蒼貴やルナが大怪我をしたあの戦いを忘れたわけじゃねぇだろ?」
「うっ……」

 真那が言葉を詰まらせる。彼女もルナを危険な目にあわせた事がある。こればかりは彼女も言い訳ができないと思っているようだ。

「今の所はああいう事は起きてねぇが、いつ起きてもおかしくない。お前を危険な目に合わせる訳にはいかん。危険な目にあうのは俺だけでいい」
「で、でも、私だって強くなったんだからいいじゃない! あんたこそ、蒼貴と紫貴を危険な目にあわせてるって事わかってんの!?」
「……ああ。俺は、俺達は互いに互いの事を覚悟している」

 俺はその言葉を真剣に言う。これだけは譲る気はない。例え、真那であってもだ。これは輝との約束だ。それをやめる訳にはいかない。それに、真那を一緒に連れて行って守り切る事ができるかわからない。

「それで取り返しのつかないことになったらどうするのよ!?」

 話は平行線だった。片や打算的な理屈、片や感情論だ。わかっていなかった訳ではないが、結局こうなってしまった。
 俺は真那を巻き込みたくないと思っている。彼女は俺を助けたいと思っている。互いが互いを危険な目にあわせたくないと思っているのにこれとは……。

「そうならないために最大限の手を尽くす。それだけだ」
「……勝負よ。私が勝ったら、首輪狩りの手伝いをさせなさい。あなたは何でも一人で背負いすぎるのよ」

 話は平行線を辿ったまま、真那は勝負を持ちかけてきた。彼女にとってはこれが賭けなのだろう。いや、こういう事を言うということは何らかの勝算があると考えてもいいのかもしれない。だがどちらにしろ、これを切り出してきたという事は口では負けたも同然で、力で語ろうということになる。

「いいだろう。お前が勝ったら手伝うのに何も文句は言わん。だが、俺が勝ったら、首輪狩りはやるな。これでどうだ?」
「いいわよ。ただし、こっちはセツナと組むからね」
「え? 私も?」
「そうよ! あの陰険メガネは双姫主だから実力は本物なの! でも、オーナー二人なら勝ち目はあるわ!」

 なるほど。勝算はそこにあるようだ。確かにそれは合理的だ。神姫は二対二でもマスターは二対一。現に輝もその事をわかっていて二対二を持ちかけてきた。どうやらあいつもできる様になってきたという事か。それにセツナという女、何か重いものを乗り越えてきた目をしている。相当な強敵と見て間違いはなさそうだ。その二人が合わさるとなると実力は未知数と言える。

「それって卑怯くさくない?」
「大丈夫よ。相手は双姫主なら通用するルールよ」
「俺はそれで構わん。デバイスもあるからな」
「なら……私も興味がある。デュアルオーダーはどうやって戦うのか、見てみたい」
「……決まりだな。メシが終わったらそうしよう」

「ちょいと待った」

 話が決まった後で口を挟む者がいた。その声の主は先ほどから店員の男 アキラだ。その顔からはどうにも納得のいかない顔をしている

「いくら双姫主とはいえ、そういう理由でけしかけるのはどうなんだい? はずかしくないのか?」
「何であんたが口を挟んでくるのよ?」
「こういうのはほっとけねぇんだよ。俺はこのあんちゃん側につく。これで二対二だ。いいか?」
「勝手に決めないでよ! こいつは双姫主なの! バトルには問題ないでしょ!」
「戦力的には問題ないです。自分で何とかします」
「だが、口では二対一だ。それが納得いかねぇんだよ。まぁ、相方の姉ちゃんは乗り気じゃないみたいだから、シンプルに一対一か、このまま二対二が妥当だとは思わねぇか?」

 要するに戦いはできても口論の面では二対一であると言いたいらしい。別にどう言われようが、へこたれてやられるつもりはないが、そうなってしまう様に見えるのだろうか。

「そうね。その理屈はわかるわ。そりゃ、端から見れば、そうなのは確か。否定はできないものよ。これは真那と彼の個人的な対立。私は戦いの手助けはできても口は挟めないわ」
「ほぅ。姉ちゃんはわかってるようだな。どうする? お二人さん」
「……いいわよ。フェアで勝たなきゃ、ミコちゃんには追いつけないし。二対二で勝負よ」
「僕は彼女のルールに従うだけです。どんな条件でも受けてたちます」
「よし。決まりだな」
「私たちは先に行って準備してるわ。昼食をとったら神姫センターに来なさいよ」
「……ああ」

 そう言うと真那はセツナと一緒に神姫センターに行くために食堂からいなくなった。これで残っているのは男三人だけのムサい空間になる。いや、健五は違うが……。

「尊さん、大丈夫?」
「いつもの事さ。何とかするよ」
「にしてもあんた、口が下手だな。意志の強さは不動要塞型並だが、あれじゃあ、伝わらんよ」
「……自覚はしています」
「だろうな。あんたは全部わかっている。だが、わかっている事だけが真実じゃねぇぞ?」
「わかっている事だけが?」
「お前は互いをわかって、ああいったんだろうが、感情的には納得いかないものなんだよ。特にあのはねっかえりそうな子にゃあな」

 アキラの言うことはわかる。真那は論よりも気持ちを優先する。感情は時として何よりも優先されるものだが、それで怪我をされては元も子もない。あいつと一緒にいることは悪いとは思っていないが、危険な事をさせて悲しませたくない。そういうのは俺だけで十分だし、何よりもこれは輝との約束だ。俺が戦える内はそれを誰かに任せるなんて事はできない。
「……あいつの気持ち、わかりますよ。純粋に背負っているのを助けたいという気持ちはありがたく思います。ですが、これは友との約束なんです。……簡単に譲りたくはない」
「男の意地ってやつか。なるほどな。見た目の割に熱い漢じゃねぇの。気に入ったぜ」
「そうですか」
「初めからそいつをぶつけりゃよかったんだ。それなら同じ土俵のぶつかり合いができる。あの子も納得するはずさ」

 なるほど。確かに俺は気持ちをぶつけていたわけじゃない。そうだからそうだと理屈をぶつけていた。同じ土俵に立ってぶつかり合うことこそが彼女を理解させる道なのかもしれない。

「ありがとうございます。これなら、あいつを納得させられそうです」
「そいつはやってみてから言ってくれ。まだ結果は出てない」
「ですね」

 だが、何にしてもこれで勝つことができれば、真那を危険な目に合わせる場所に行かない事を確約させる事ができる。あいつを日常にいてもらう為にもこの勝負、勝ってみせる。いや、証明しよう。俺の覚悟を。





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