タバコの匂いにはもう慣れた
フィーアの案内通りに自転車を走らせた俺は、駅から程近いゲーセンにたどり着いた
自転車を駐輪場に止める。ここに来るのも何年ぶりだろうか
自転車を駐輪場に止める。ここに来るのも何年ぶりだろうか
「あぁ、何もかもが懐かしい…」
「妙な感慨に浸ってないでください、行きますよ」
「妙な感慨に浸ってないでください、行きますよ」
フィーアを胸ポケットから肩に移動させて、ゲーセンへ入る
自動ドアを潜ると、ゲーセン独特の空気が俺達を出迎えた
様々なゲームの音が混ざり、様々なプレイヤーの声が混ざり、やかましいぐらいの喧噪
隣にいる人との会話にすら困る程なのにも関わらず自分のゲームの音はしっかり聞こえる
そんな、場所
この辺りでは一番大きなゲーセンであり、
同時に老舗といってもいいぐらいの歴史を持つらしいこのゲーセンは、今日も盛況のようだ
対戦格闘やシューティングの筐体の間をすり抜けやってきたのは、
このゲーセンでもっとも賑わっているであろうブース、神姫バトルの筐体前だ
自動ドアを潜ると、ゲーセン独特の空気が俺達を出迎えた
様々なゲームの音が混ざり、様々なプレイヤーの声が混ざり、やかましいぐらいの喧噪
隣にいる人との会話にすら困る程なのにも関わらず自分のゲームの音はしっかり聞こえる
そんな、場所
この辺りでは一番大きなゲーセンであり、
同時に老舗といってもいいぐらいの歴史を持つらしいこのゲーセンは、今日も盛況のようだ
対戦格闘やシューティングの筐体の間をすり抜けやってきたのは、
このゲーセンでもっとも賑わっているであろうブース、神姫バトルの筐体前だ
「マスター、まずは受付です。そこで登録の更新が必要なはずですから」
フィーア曰く、ライドシステム導入と同時にマスター登録の更新が必要になったようだ
俺のデータは…まぁ放置してただけで消してはいなかったからな。多分、残ってる
彼女に言われるまま、俺は手近にある受付に向かった
俺のデータは…まぁ放置してただけで消してはいなかったからな。多分、残ってる
彼女に言われるまま、俺は手近にある受付に向かった
「ご登録ですか?」
「いえ、更新です」
「それでは神姫カードをご提示ください」
「いえ、更新です」
「それでは神姫カードをご提示ください」
あれ、そういや持ってきてないような
「マスター、かばんの内ポケットの小さいところです」
耳元でフィーアが囁いた
「何時の間に…」
「昨日探し当てて、今朝入れておきました」
「昨日探し当てて、今朝入れておきました」
言われたとおりかばんを探ると、確かに目当てのカードはあった
そのまま受付に提示する
そのまま受付に提示する
「これです」
「はい、確かに。少々お待ちください…」
「はい、確かに。少々お待ちください…」
受付のお姉さんが神姫カードを手元の機械に通し、キーボードを何度か操作すること数秒
機械から排出されたカードに何ら変化は見られないが、
神姫ネットの方で何かしら情報が更新されたのだろう
機械から排出されたカードに何ら変化は見られないが、
神姫ネットの方で何かしら情報が更新されたのだろう
「はい、更新は完了しました。お客様のランクは3からとなります」
「ランク3?」
「はい、お客様の装備できる武装などをランク別に制限するルールが新たに設けられました。
詳しくはこちらのパンフレットをお読みください」
「ランク3?」
「はい、お客様の装備できる武装などをランク別に制限するルールが新たに設けられました。
詳しくはこちらのパンフレットをお読みください」
そういって提示されたのは、紙製のパンフレットとその隣に置いてある端末
俺は手持ちのPDAで端末から目当ての情報をダウンロードしてみる
俺は手持ちのPDAで端末から目当ての情報をダウンロードしてみる
「なんだろうな、ランク3って高いんだが低いんだか微妙なんだが」
「とりあえず、まずは読んでみましょう」
「とりあえず、まずは読んでみましょう」
俺はダウンロードの終わったPDAを操作し、肩に乗るフィーアにも見えるように画面を傾ける
’’神姫ライドシステム実装に伴う『ランク』について’’
ライドシステム実装と同時に、プレイヤーに『ランク』を設けました。
このランクは対戦を重ねることにより上がっていきます。
ランクが上がるほど強力な装備の武装制限が解除されていくシステムとなっており、
以前の様に「財力さえあれば強力な武装で勝てる」といった風潮を抑制するためのシステムです。
さらに、今までわかりにくかったプレイヤーの実力をある程度客観的に分かりやすく示すものでもあります。
このランクは対戦を重ねることにより上がっていきます。
ランクが上がるほど強力な装備の武装制限が解除されていくシステムとなっており、
以前の様に「財力さえあれば強力な武装で勝てる」といった風潮を抑制するためのシステムです。
さらに、今までわかりにくかったプレイヤーの実力をある程度客観的に分かりやすく示すものでもあります。
ふーん、なるほどね
「でもマスター、いくら強力な武装であっても頭がダメでは意味がないというのが暗黙の了解でしたよね?」
「まぁな。でも初心者や中級者が勝てなくなるとよく強力な武装でゴテゴテと着飾ってたのは確かだが」
「まぁな。でも初心者や中級者が勝てなくなるとよく強力な武装でゴテゴテと着飾ってたのは確かだが」
練習で数度使えば神姫はあっという間に武器の取りまわしを覚えてしまう
それでもやはり作戦や戦術といった頭脳レベルでの進歩がなければ勝てないのは世の常だ
それでもやはり作戦や戦術といった頭脳レベルでの進歩がなければ勝てないのは世の常だ
「企業の設けるルールとか修正が的外れなのはいつものことだ」
「そうですね。それじゃあさっそくライドしてみましょうマスター。そこの練習用筐体が空いてます」
「そうですね。それじゃあさっそくライドしてみましょうマスター。そこの練習用筐体が空いてます」
フィーアが指し示す方向には、一人での練習用の筐体が置いてある
俺はその中から空いてる一つの前に座った
背もたれに深く腰掛け、改めて筐体を眺める
俺はその中から空いてる一つの前に座った
背もたれに深く腰掛け、改めて筐体を眺める
「それで、これがライドシステムなのか」
「多分そのはずです」
「多分そのはずです」
神姫の乗り込むポッドは外見からはそれほど変化はない
そしていつもマスターが座る席には見慣れぬヘッドギアらしきものが見える
そしていつもマスターが座る席には見慣れぬヘッドギアらしきものが見える
「こいつをつければいいんだよな…」
「そうみたいですね」
「そうみたいですね」
ランクなどのルールと一緒にダウンロードしたマニュアルに目を通しながら、俺はヘッドギアをはめた
「マスターと一体になる…どんな感じなんでしょうね」
「さぁな」
「ドライな反応と見せかけて物凄くわくわくしてますよね、マスター」
「さぁな」
「ドライな反応と見せかけて物凄くわくわくしてますよね、マスター」
うっさい、これでわくわくしないマスターなんざいるのか
「じゃあ私はポッドに入りますね」
そういうとフィーアは、慣れた様子でポッド内の椅子にすわった
俺が手元のボタンを押すと、小さな機械音と共にポッドが筐体に格納される
しばらくしてスピーカーから聞こえてくるフィーアの声
俺が手元のボタンを押すと、小さな機械音と共にポッドが筐体に格納される
しばらくしてスピーカーから聞こえてくるフィーアの声
「マスター、準備できました」
「こっちもだ」
「こっちもだ」
あとは手元の『Ride On』と記されたボタンを押すだけ
ゆっくりと、そのボタンに手をかける
神姫へのライド。未だ体験したことのない世界へあと数センチ
ゆっくりと、そのボタンに手をかける
神姫へのライド。未だ体験したことのない世界へあと数センチ
「いくぞ」
「はい、マスター!」
「はい、マスター!」
俺はゆっくりとボタンを押し込んだ
『神姫ライドシステムを起動します。マスターは椅子に深く腰掛けてください』
『カウントダウンを開始します、10、9、8、7…』
『カウントダウンを開始します、10、9、8、7…』
椅子にしっかりと座りなおし、カウント0を待つ
肘掛を握る俺の手は、まだ見ぬ物への好奇心と、対を成す恐怖心で少しばかり震えていたかもしれない
肘掛を握る俺の手は、まだ見ぬ物への好奇心と、対を成す恐怖心で少しばかり震えていたかもしれない
『…3、2、1、0、Ride On―――』
俺の意識はそこでぷっつりと闇に沈んだ