「いらっしゃいませ~」
「いらっしゃいなの~」
今日も私とネムの二人の声がお客さんを出迎える。
ここは喫茶店「日々平穏」。テーブル席16席、カウンター席5席のコーヒーがちょっと美味しいお店。母さんから受け継いだ大切な場所。今はネムと二人で頑張ってます。
忙し時はあきの春香ちゃんと鈴夏ちゃんも手伝ってくれるし、最近は冬花ちゃんも加わって助けてくれます。
まだまだ母さんの味には追い付けてはいないけど、少しづつ成長していると思います。
だから母さん安心してください。私達は今も元気にやっています。
「いらっしゃいなの~」
今日も私とネムの二人の声がお客さんを出迎える。
ここは喫茶店「日々平穏」。テーブル席16席、カウンター席5席のコーヒーがちょっと美味しいお店。母さんから受け継いだ大切な場所。今はネムと二人で頑張ってます。
忙し時はあきの春香ちゃんと鈴夏ちゃんも手伝ってくれるし、最近は冬花ちゃんも加わって助けてくれます。
まだまだ母さんの味には追い付けてはいないけど、少しづつ成長していると思います。
だから母さん安心してください。私達は今も元気にやっています。
「いらっしゃいなの!御注文をどうぞなの!」
首から下げた神姫サイズのオーダー用端末を持って、注文の決まったお客さんのテーブルの端に立つ。
「こんにちはネムちゃん。今日もお手伝い?偉いわね~」
品の良さそうな初老の女性がネムの頭を優しく指で撫でる。
「うにゃあ~♪いつも来てくれてありがとなの~」
猫のように目を細め、そのうち喉まで鳴らしそうだ。
「ネムちゃん。ランチのAセットをブレンドでお願いね」
「はいなの!ちょっと待っててにゃ~」
端末に注文を打ち終わると店内の各所に設置した、お客さんの通行の邪魔にならないよう立てたポールを飛び移りカウンターに着く。
「やよいしゃん!オーダー入ったの!」
端末をオーダーリスト表示用の機器にセットすると、ネムの受けてきた注文が追加表示される。あきに頼んで作ってもらったこの子達用の機械だ。頼んでから一週間ほどで作ってしまった。あの子ってばホント手先が器用よね…私には無理だわ。
「は~い」
先に受けているオーダーの準備をしながら、新しいオーダーの確認をする。
「じゃあネムはお客さんとお話してるにゃ!」
「ヨロシク~」
ネムはそのままさっきとは別の、少し前に来店したお客さんの席に飛び移っていく。
その席には近所の主婦グループが座っていて、ネムが着いた途端歓迎の声が上がる。
うんうん。私の代わりにがお客さんの相手をしてくれてるから、料理を早く出せるようになったわ。あの子が手伝ってくれる前は一人でお客さんの相手をしながら料理を作っていたから大変だったな~私そんなに器用じゃないから…この店の売りは作り置き無しの、出来たてがモットーのお店。母さんはそれを一人でこなしてたんだから。
やっぱり私達の母さんは凄い人だったのね…おっといけない。今は仕事に集中集中。
首から下げた神姫サイズのオーダー用端末を持って、注文の決まったお客さんのテーブルの端に立つ。
「こんにちはネムちゃん。今日もお手伝い?偉いわね~」
品の良さそうな初老の女性がネムの頭を優しく指で撫でる。
「うにゃあ~♪いつも来てくれてありがとなの~」
猫のように目を細め、そのうち喉まで鳴らしそうだ。
「ネムちゃん。ランチのAセットをブレンドでお願いね」
「はいなの!ちょっと待っててにゃ~」
端末に注文を打ち終わると店内の各所に設置した、お客さんの通行の邪魔にならないよう立てたポールを飛び移りカウンターに着く。
「やよいしゃん!オーダー入ったの!」
端末をオーダーリスト表示用の機器にセットすると、ネムの受けてきた注文が追加表示される。あきに頼んで作ってもらったこの子達用の機械だ。頼んでから一週間ほどで作ってしまった。あの子ってばホント手先が器用よね…私には無理だわ。
「は~い」
先に受けているオーダーの準備をしながら、新しいオーダーの確認をする。
「じゃあネムはお客さんとお話してるにゃ!」
「ヨロシク~」
ネムはそのままさっきとは別の、少し前に来店したお客さんの席に飛び移っていく。
その席には近所の主婦グループが座っていて、ネムが着いた途端歓迎の声が上がる。
うんうん。私の代わりにがお客さんの相手をしてくれてるから、料理を早く出せるようになったわ。あの子が手伝ってくれる前は一人でお客さんの相手をしながら料理を作っていたから大変だったな~私そんなに器用じゃないから…この店の売りは作り置き無しの、出来たてがモットーのお店。母さんはそれを一人でこなしてたんだから。
やっぱり私達の母さんは凄い人だったのね…おっといけない。今は仕事に集中集中。
「有難う御座いました~」
「ありがとでしたなの~」
本日最後のお客さんを送り出し、今日は店じまい。
「ネム。今日もお疲れ様でした」
肩に乗っているネムの顎の下を撫でる。
「うにゅ~♪」
「さ~て。後片付けをして早くご飯にしましょう」
「はいなの!」
肩から近くのテーブルに飛び移り、小瓶の調味料やナプキン等の残量チェックを始める。
その間に私は洗い物を片付け、調理場の火を落とす。
「やよい~。二番と四番の塩が少ないの~。後一番の砂糖とコショウも少ないよ~」
フロアーに戻った私にネムからチェックの報告がきた。
「は~い。塩、砂糖、コショウ~っと」
カウンターに出しておいた調味料の在庫をトレーに載せて各テーブルを回る。
それをカウンターで座って見ていたネムが
「う~…ボクがもっと大きかったらもっとやよいのお手伝いが出来るのに~…」
聞こえるか聞こえないかの小声で言う。
ネムをちらっと見ると体育座りをしている膝に顎を乗せ、トレーに乗っている自分より大きな調味料の袋や缶を恨めしそうに見ている。
以前調味料移しをやろうとして、砂糖の袋に埋まった。コショウの缶は重さに耐えられずにひっくり返しちゃって店内が凄い事になっちゃったのよね~…
まあ、あの子達には色々な道具があるみたいだからそれを使って出来ないことも無いかもしれないけど…
「…やよい…それ違うよ?」
「え?」
手に持って子瓶に足そうとしていた袋を指差している。見てみると左手に砂糖の小瓶、右手に塩の袋…あらら。またやっちゃうとこだったわ。
「教えてくれてありがとね、ネム」
ネムに笑いかけると、少し嬉しそうに「えへへ」と笑った。
良かったー。入れる前で…さすがに混ざっちゃたらどうしょうも無いもんね。
残っていた補充の作業を手早く終わらせネムの所に行くとまだ少ししょぼくれている。
も~この子は…
「ねえネム。今はネムがお店を手伝ってくれるから、とっても助かってるわよ?」
側の席に座り腕枕をしてネムの顔を見つめる。
「でもでも!もっと沢山お手伝いしたいの!…でもボク身体が小ちゃいから出来ない事いっぱいあるの…」
瞳に涙を溜めていた。その涙を指ですくってあげる。
「うん。でもね、ネムにしか出来ない事も沢山あるわよ」
「?」
「例えば、待っているお客さんの話し相手をしてくれたり、オーダーを受けて私の所に持ってきてくれるし、さっきも私が間違えそうになっている事をおしえてくれた。ほら私一人だとちゃんと出来ていなかった事をお手伝いしてくれてる」
「…はるねえでもすずねえでも、とーかちゃんだって出来るもん…」
「そうね。だけど私はネムと一緒にお店をやっている時が一番楽しいわ」
「うにゃ?…一番?」
「うん。ネムが一番」
「っ~や~よ~い~」
ネムが顔にへばり付く。本人は抱き付いたつもりなのだろうけど…あぁ、そんなに顔をこすり付けたらく、くしゃみが…
「くしゅん!!」
「にゃ~~~~?!」
コロコロと丸まって転がっていく。
「ご、ごめんなさい!だ、大丈夫?ネム?」
「うにゅ~…酷いよやよい~」
ペタンと座って猫のように顔をこすっている姿がおかしく私は笑い出してしまった。
「うにゃ?にゃははははは…」
つられてネムも笑いだした。
「ありがとでしたなの~」
本日最後のお客さんを送り出し、今日は店じまい。
「ネム。今日もお疲れ様でした」
肩に乗っているネムの顎の下を撫でる。
「うにゅ~♪」
「さ~て。後片付けをして早くご飯にしましょう」
「はいなの!」
肩から近くのテーブルに飛び移り、小瓶の調味料やナプキン等の残量チェックを始める。
その間に私は洗い物を片付け、調理場の火を落とす。
「やよい~。二番と四番の塩が少ないの~。後一番の砂糖とコショウも少ないよ~」
フロアーに戻った私にネムからチェックの報告がきた。
「は~い。塩、砂糖、コショウ~っと」
カウンターに出しておいた調味料の在庫をトレーに載せて各テーブルを回る。
それをカウンターで座って見ていたネムが
「う~…ボクがもっと大きかったらもっとやよいのお手伝いが出来るのに~…」
聞こえるか聞こえないかの小声で言う。
ネムをちらっと見ると体育座りをしている膝に顎を乗せ、トレーに乗っている自分より大きな調味料の袋や缶を恨めしそうに見ている。
以前調味料移しをやろうとして、砂糖の袋に埋まった。コショウの缶は重さに耐えられずにひっくり返しちゃって店内が凄い事になっちゃったのよね~…
まあ、あの子達には色々な道具があるみたいだからそれを使って出来ないことも無いかもしれないけど…
「…やよい…それ違うよ?」
「え?」
手に持って子瓶に足そうとしていた袋を指差している。見てみると左手に砂糖の小瓶、右手に塩の袋…あらら。またやっちゃうとこだったわ。
「教えてくれてありがとね、ネム」
ネムに笑いかけると、少し嬉しそうに「えへへ」と笑った。
良かったー。入れる前で…さすがに混ざっちゃたらどうしょうも無いもんね。
残っていた補充の作業を手早く終わらせネムの所に行くとまだ少ししょぼくれている。
も~この子は…
「ねえネム。今はネムがお店を手伝ってくれるから、とっても助かってるわよ?」
側の席に座り腕枕をしてネムの顔を見つめる。
「でもでも!もっと沢山お手伝いしたいの!…でもボク身体が小ちゃいから出来ない事いっぱいあるの…」
瞳に涙を溜めていた。その涙を指ですくってあげる。
「うん。でもね、ネムにしか出来ない事も沢山あるわよ」
「?」
「例えば、待っているお客さんの話し相手をしてくれたり、オーダーを受けて私の所に持ってきてくれるし、さっきも私が間違えそうになっている事をおしえてくれた。ほら私一人だとちゃんと出来ていなかった事をお手伝いしてくれてる」
「…はるねえでもすずねえでも、とーかちゃんだって出来るもん…」
「そうね。だけど私はネムと一緒にお店をやっている時が一番楽しいわ」
「うにゃ?…一番?」
「うん。ネムが一番」
「っ~や~よ~い~」
ネムが顔にへばり付く。本人は抱き付いたつもりなのだろうけど…あぁ、そんなに顔をこすり付けたらく、くしゃみが…
「くしゅん!!」
「にゃ~~~~?!」
コロコロと丸まって転がっていく。
「ご、ごめんなさい!だ、大丈夫?ネム?」
「うにゅ~…酷いよやよい~」
ペタンと座って猫のように顔をこすっている姿がおかしく私は笑い出してしまった。
「うにゃ?にゃははははは…」
つられてネムも笑いだした。
この子達はこの子達で色々と考えて、いろんな事を感じて私達と同じ時間を過ごしてるのね~と、再認識したそんな日。
ネムにこんなに思われているんだから、この子が胸を張って言える自慢のお姉さんになれるように私も頑張らなくっちゃ!
ネムにこんなに思われているんだから、この子が胸を張って言える自慢のお姉さんになれるように私も頑張らなくっちゃ!
…その後なかなか二階に上がってこない私たちを呼びにきた鈴夏ちゃんに、二人して笑っている姿を目撃されてしまった。
その時一言。
「………怖」
…うぅ。怖くないもん。
その時一言。
「………怖」
…うぅ。怖くないもん。