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五話 『唯一の武器』



 コタマが考えた作戦はこの上なくシンプルで、うん、ある程度は予想していたけれど、私の期待に見事なまでに応えてくれた。応えてくれる必要なんてまったくないのに、むしろ期待なんて裏切って善行を積んでほしいのに、コタマはやっぱり私がよく知るコタマだった。
「鉄子、オマエ弧域に乳揉ませろ」
「…………」
「…………」
「おーおーテメェらがそんな目でアタシを見ることくらいお見通しだぜクソが。じゃあ言ってみろよ、色仕掛け無しで姫乃から弧域を奪う方法ってヤツをよ」
「それが自分の主に向かって言う台詞ですか。あなたには私が神姫の何たるかを骨の髄まで叩き込んで――」
「……胸以外の全部で負けとるのに、そんな方法あるわけないやん」
「妹君!? コタマの口車に乗ってはなりません! 少なくとも私は、妹君の素晴らしい点をいくつも知っているつもりです」
「オマエこそ有りもしねぇ希望持たせてんじゃねえよ。現実を知らねえなら教えてやるけどよ、弧域と姫乃はなぁ、バカップルを超越してもはやただのバカに成り下がってんだぜ」
「どういうことですか」
「最近アイツら、大学の講義サボって図書館に籠ってんだぜ。もちろん勉強してるわけじゃねえ。知ってるか? 論文とか大量に保管してある書庫の最上階は職員すら寄り付かねえんだぜ。入って内側から鍵閉めちまえば誰も気付かないそこに、アイツらがどうして出入りしてんだろうな?」
「……誰も気付かないのなら、その話を知る者もいないはずです。証拠は?」
「例えばエルが鞄に潜り込めば、その密室には三人がいることになるぜ。ヒッヒ、思い出すだけで笑えてくるぜ。発情期の犬みてえにサカったマスター様を目の当たりにしたっつって死にそうな顔してたぜ、エルはよォ」
「どうしてそんな奴のこと、好きになったんやろ……わたしって、ほんとバカ」
「悪いことは言いませんから妹君、そんな男のことは忘れてしまいましょう。妹君ならばきっと、高潔な紳士を見つけられます」
「でも…………ぐすっ……で、でもっ、す、好きなんやもんっ!…………ひくっ……うぅ……」
「あーあ。おいこらマシロ、アタシの主を泣かしてんじゃねえよ」
「どの口が言いやがりますか」





 私の知る背比弧域は、私よりずっと頭が良くて、真面目に弓道の練習してて、まっすぐ前向きで、でもたまにすっとぼけていて、そこがまた一緒にいて楽しくなるところで。
 そりゃあ思い出補正が無いわけじゃないけど、背比が近くにいるだけで私は幸せになれるんだから、好きである理由なんて正直なところ、どうでもよかった。
 だから、背比が私の知る背比でなくなってしまうことが怖い。
 だから、背比を別のヒトへと変えてしまう一ノ傘姫乃が憎い。
 憎い、はさすがに言い過ぎか。手紙にも書いたように、背比と傘姫に幸せになってほしいというのも嘘じゃない。
 でも二人がコタマの言うような付き合い方をしているのなら、それは誰に言わせても 【悪いこと】 であるに決まっている。
 ヤキモチ?
 嫉妬?
 違う、そんなんじゃない。
 間違った方向へと変わっていく背比を。
 傘姫に手を引かれ、道を踏み外そうとしている背比を。
 私が正しい道まで連れ戻さなきゃいけない。私が背比を守らなきゃいけない。
 そう一度決意してしまえば、実行は想像していたよりも簡単だった。例えそれが、コタマの提案した卑しい手段であったとしても。





 月曜日。
 この日最後の材料力学の講義が終わって教室から一歩出ると、そこは真昼と大差ないサウナだった。クーラーの効いた教室は名残惜しいけど、私にはやることがある。
 弓道場は大学の隅っこにあるから、そこにたどり着くまで人気の少ない道を通る必要がある。夜は特に危ないから女子は決して一人で歩かないように、と呼びかけられている道は、今の私には都合が良かった。
 数人の通行人がいるけど、知らない顔だし気にしないでおこう。ダラダラと歩いている背比の後ろに音を立てず忍び寄り、体当たりに近い強さで抱きついた。
「せ~~~~くらべっ!」
 前のめりによろける背比の、ちょっと高い位置にある首に腕を回して身体を密着させた。有り体に言えば、背比の背中に胸を押し当てた。
 ムギュッと。
「くほっ!? た、竹さん!? 夏ですか!? 夏だからですか!?」
 ついでに肩甲骨のあたりに顔を押し当てると、Tシャツ一枚越しに背比の火照った肌を堪能できた。
 ああ、ごめん傘姫。
 ついさっきまで背比をたらしこんだ罪で罰せられろと念を送っていたけど、これはやばい。私が背比と付き合っていたとしても、我慢できそうにない。
 男性が弓道で使う弓は重いから背筋がいい具合に硬くって、この気温だから当然汗臭くって、こんな背中のどこがいいんだと思っていても、身体が勝手に頬ずりしてしまう。
「ちょっ、あ、あっつい! あっついから竹さん!」
「むっふー。いやほんと暑いわあ。こんだけ暑いと背比に抱きつきたくなるわあ」
 巨大使い捨てカイロに抱きついているかのように(?)密着した面が熱を持ったせいで、背比だけじゃなく私も汗が出てきた。このままじゃ汗臭くなってピンチ! だけどせっかく抱きついたのに離れたくないし、それに背比は明らかに暑さ以上に慌ててる――つまり押し当てた胸を意識してるらしくて、私は悪戯心からより一層、胸が苦しくなるくらい抱きついた。
 ムギュウウウッと。
「お……! おおお……!」
 抱きついているうちに、私は一体何がしたかったのか、何をすべきだったのか、そんなこと、どうでもよくなっていった。もうずっとこのままでもいいんじゃないか。いっそのこと時間が止まってくれればいいのに。
 しかし悲しいかな、そして時間は動き出す。
「見てるこっちが暑くなってきます」
 火照った私達の身体に冷水をかけるように、背比の鞄から顔をのぞかせたエルが言い放った。背比にはエルがいることをすっかり忘れていて、驚いた私は回した腕をサッとほどいてしまった。
 ああ、名残惜しい……。
「あ、暑さでやられたか竹さん。クールビス反逆罪的なアレか」
 背比の言うことはよく分からなかったけど、ここで予め考えておいた理由が役に立つ。理由もなく抱きついたって本当に頭がおかしくなったと思われるだけだし、と用意していたのだ。
 で、その肝心の理由だけど…………何だっけ?
「えっと、その……ほ、ほら、アレよ!」
「アレ?」
「暑いから、こう、セミがやね」
「蝉?」
「そ、そうそう! 蝉の気持ちを味わいたかったんよ! ほら、セミってずーっと木に抱きついとるやん? どんな気分なんかなーって」
「うん、まあ、暑いしな。早く道場行こうぜ」
「……うん」
 いやに冷静に反応されて、背比と並んでトボトボ道場に向かった。
「あ、そうだ背比さん」
「うん?」
「後でちょっと射形見てくれませんかね」
「ん、いいよ。俺なんかでよければ」
 これが本当に用意していた抱きつく理由だった。胸を押し当てながら甘えた感じで言うつもりだったのに、予定より随分と淡白になってしまった。
 とはいえ、目標は達成。まだ私の頬や胸は抱きついた時の感触を覚えてる。
 道場の女子更衣室でエルに 「あんまりマスターをからかわないでください。ただでさえ最近は姫乃さんが……いえ、なんでもないです」 と意味深な小言をもらったけど、軽く聞き流した。
 次はどうやって背比に触れよう。私の頭はそのことだけでおっぱ……いっぱいだった。



 火曜日も。
 水曜日も。
 木曜日も。
 講義が終わった後、物売屋のアルバイトを休んで背比に近づいた。
 レポートのことで聞きたいことがあると図書館に寄ったり、また弓道の射形を見てくれと頼むこともした。話がレポートになると貞方や姫乃も一緒だったけど、終われば背比と二人で弓道場に顔を出すから、時間は十分あった。

 金曜日は、さすがに平日ずっと休むのは良くないと物売屋でお茶を飲んでいた。
「学生が楽な職業だとは思わないけどね鉄子君。君は一応看板娘なんだから、この店のことを忘れられては困るなあ」
 何か言われた気がしたけど、私はやっぱり背比のことを考えていた。

 土曜日に開催された弓道部の飲み会は背比ドタキャンで、私は終始吐き気と戦っていた。吐き気の原因は安い芋焼酎か、それとも酔ったフリをしたOBにお尻を触られたからか。

 頭痛地獄の日曜日を挟んで、月曜日。
 背比がエルを連れていないことは確認済み。道場に続く人通りの少ない道で、先週やったように前を歩く背比を熱く(暑く)抱擁した。また背中の感触を味わいたかったのもあるけど、背比に胸の感触を味わってもらうために、ムギュッと。あざといくらいが丁度いい、とコタマは言っていた。
「わざとやってるだろ」
「うえっへへへ。こうしろって神様からの啓示があったんよ」
 発案者であるコタマはシスター型だし、嘘は言っていない。
「時に背比さん、ひとつお知らせがあります」
「なんだよ竹櫛さん、あんまり聞きたくないけど」
「今、ノーブラです」
「ぶふぉっ!? そういう冗談やめい!」
 マジです。
 さすがにTシャツ一枚の時に一日中はまずいからさっきお手洗いで外してきたわけだけど、その時に、これから【コレ】を押し当てるんだ~なんて変態みたいなことを想像してドキドキしてきて、自分で少し触ってしまった。我慢すればいいものを、妄想すればするほど一人盛り上がってしまうから手に負えない。
 だから自業自得ってことになるけど、さっきから胸の先あたりが本気でピンチだった。Tシャツ一枚とはいえ服を着ている女性が胸を隠しながら歩く姿を、すれ違った学生のうち一人か二人は不審に思っただろう。
「というわけで背比さん、このまま道場まで行きませんかね」
「なにが『というわけ』なのか知らないけど勘弁してくれ」


 火曜日も。
 水曜日も。
 木曜日も。
 先週と同じようにバイトを休んで。
 先週と同じように背比に触れた。
「鉄子さん、最近背比さんにベッタリですね。でも背比さんって彼女いるんじゃ……ハッ! ま、まさか背比さんに限ってそんな……あ、いえ違うんです。決して背比さんが二股をかけているとかそんな不穏なことは考えてませんよ」
 考えがダダ漏れだよなっちゃん。
 相変わらず発想がアクロバティックだけど、二股、という言葉はしばらく私の耳に残った。二股も悪くないと考えてしまう私がいた。だって、それで全部が丸く収まる。
 私だけを見てくれなくていい。私に目を向けてくれれば、それでいい。傘姫は嫌がるだろうから、私は少し控え目になるかな。背比の近くにいられるんだから、それくらいの遠慮はするべきだと……って何を寝ぼけてるんだ私は。二股なんてかけさせたら一番困るのは背比だ。
 というかそれ以前の問題として、背比が二股をかけてくれるくらい、つまり私のことを傘姫と同じくらい好きになってもらわなくちゃいけない。
 でも、本当にそんな必要ある? 背比が傘姫と付き合っていることを考えると胸がズキリとするけど、それさえ私が我慢すれば、私は背比の友人として、ずっとずっと楽しい想いで満たされる。この関係をわざわざ壊す必要なんて、どこにある?
「色仕掛けしろっつったのはアタシだけどよ、鉄子の脳みそはすっかりピンク色に変色しちまって、その手紙のことなんざ忘れたのかと思ってたぜ」
 部活から帰ってシャワーを浴びて、数日ぶりに手紙を手に取った。ベッドに寝転がって、読むでもなく封をされたそれを眺めていると、呆れたようにコタマが言った。
 人の枕の上に立つな。
「テメェのことだ、どうせ 『今のままでもいいやん(裏声)』 とか考えてんだろ。その手紙、渡す気あんのかよ」
 ムカついたけど、図星だった。ここ最近背比に近づいたことで気が付けたけど、私は今のような関係を望んでいる。
 何の気兼ねもなく付き合える関係。
 友人として側にいて当然といえる関係。
 無垢な子供のように、とまではいかないまでも、遠慮無く相手に触れられる関係。
 ほんの少しだけ勇気を出して背比に抱きついた先週から、私は間違いなく幸せだった。
「ああ神よ、我が主の度胸はアナタ様のハナクソよりも小そうございます」
 私が言い返すより先にコタマは矢継ぎ早に言った。
「現実逃避もいいかげんにしとけよ鉄子。ここ二週間はオマエにしちゃよくやったと思ってんだぜ。だがよ、オマエが痴女みたいな真似してまでやってきたことは何だったんだ? 弧域に乳触らせてお終いか? テメェはセフレにでもなりてえのか? まな板の姫乃に代わって弧域の性欲処理でも担当すんのか?」
「……うるさい」
「それでアタシの主がハッピーになれるんならアタシは文句言わねえよ、神姫ってのはそんなもんだ。だったらそんな手紙捨てちまえよ。んでもって新しいラブレター書けばいいじゃねえか。手紙の練習もクソもねえ、『背比さん私をダッチワイフにして下さい』の一行で済む話だぜ」
「うるさい黙れぇっ!」
「テメェは逃げてんだよ! フラれる度胸もロクに持ってねえチキン野郎がテメェの脳みそすら騙したら何が残るんだ! アタシは知ってるぜ、神に誓って断言してやる、絶対に何も残らねえ! スッカラカンだ! テメェの頭の中でくらい好き勝手妄想しやがれ! ホントはそのスッカラカンの脳の中で響いてんだろうがよ、全然満足してねぇってよ! 姫乃から弧域を奪ってテメェのやりたいこと全部想像しろよ! アホの分際でアホらしくテメェ自身を騙そうとしてんじゃねぇよ!」
「うるさいうるさいうるさいっ! そんなこと言われんでも分かっとる! だって怖いんやもん! わ、私がこの手紙渡したら絶対気まずくなるやん! それで背比が、く、口聞いてくれんくなったら、私もう死ぬしかないもんっ!」
「アh 「アホですかあなたはぁーーーーっ!!」
 どこからかマシロが叫びながら飛び出してくると同時に、両足の先に激痛が走った。タンスの角が10箇所あって足の指すべてを同時にぶつけたような痛さだ。そんな器用な真似が私にできるかはともかく、それくらい痛くてベッドから転げ落ちた。私の喉から「ヒキッ、」としゃっくりのような音が出た以外、激痛で声も出せない。
 私の足があったところを見ると、そこには10箇所のタンスの角なんかではなく、鎧を身に纏った十体の神姫が五体ずつ、丁度私の両足があった位置に並んでいた。
 微塵の感情も読み取れない無表情で。各々が物々しい武器を持って。
「たとえ言葉の綾であろうと命を粗末にするような発言は許しません! 父君や母君から授かったその命を何だと思っているのですか!」
 足の指それぞれからジワァッと血が滲み出てきた。ついでに涙もジワァッと滲んできた。
 この痛みはもう拷問のレベルだと思う。もし本当に拷問なら何もかもしゃべって解放されたいけど、私の口からは壊れたクラリネットのような音しか出てこない。
「痛いですか? 痛いでしょう! でも私の心はもっと痛いんです! あなたの下僕であるコタマはさらに胸を痛めているのですよ!」
「オイ誰が下僕だって――」
「痛いのでしょう!」
「……へいへい」
「見なさい! 妹君が亡くなれば多くの方が悲しむのですよ! あなたがどれだけの愛に包まれて生きているか分からないのですか!」
 知らなかった、愛ってこんなに痛いんだ。歯を食いしばっているうちに少しずつ痛みが引いていくけど、今度はズキン、ズキン、と周期的なものになって、これはこれでキツい。
「わ、分かった、私が悪かったからもう許してっ……!」
「いいえ妹君は何一つ分かっていません。どうやら私達は妹君をいささか甘やかし過ぎていたようです。不肖このマシロ、責任は今後の教育をもって果たさせて頂きます! 足攻隊、前へ!」
「ヒイィッ!?」
 兄貴の謎の技術により十二の騎士を自在に操り 【ナイツ・オブ・ラウンド】 の異名で呼ばれている化物クラスの神姫、マシロ。
 その変態じみた能力が今 【足攻隊】 とやけにピンポイントな名前を持って私に襲い掛かろうとしている!
「お、おいマシロ、さすがにやりすぎ――あ、コラッ、離せクソッ!」
 十体の 【足攻隊】 から外れた残り二体の騎士がコタマをガッチリと掴んでいた。
「も、もういい、もうホントやめてっ! や、やめてください、すみません、すみませんでした……!」
「本当ですか!? その言葉は本心から出たものですか!」
「ほ、本当、です……! だ、だからもう……い、痛いの、嫌ぁ…………うえええんっ……」





 足の指全部に絆創膏を巻くなんて経験は、長い人生でもそうそうできるものじゃないと思う。どの絆創膏もガーゼの部分に赤い点ができていて、それをジッと眺めていると新手の伝染病にでも感染したような気分になる。
 一時間も経てばさすがに痛みは引いて、どちらかと言うと、私の指よりもマシロの心のほうが重症だった。
「……今度の日曜日、手紙渡そうと思う」
「そーしてくれマジで。アイツのアレは毎度のことだけどよ、さすがにウンザリしてきたぜ」
 私とコタマが揃って見る先、壁の隅っこでマシロが私達に背を向けて膝を抱いて萎んでいた。馬の尻尾を模した飾りが力無く垂れている。クーフラン型の凛々しい風貌は今やどこにも無かった。背比の戦乙女といい、この人馬といい、モチーフが凛々しい神姫は落ち込むと皆こうなるのだろうか。
 マシロは私と兄貴の悪いところを見つけてはトコトン説教をして、言いたいことを言い終えて冷静になった後はいつも自分を責めるのだ。
 身内に異常なまでに厳しく、過剰なまでに優しい。
 私達のために説教してくれているのだから落ち込む必要なんて無いのに 「一介の騎士である私が妹君に説教など……とんだご無礼を……」 といった調子で過度に自分を卑下しては、しばらく立ち直らないのだ。
 さっきなんて冷静さを取り戻した瞬間、私の足の指を見て絶叫し青ざめて(青ざめる神姫なんて初めて見た)自分で自分の騎士達を蹴散らしていた。そして私が持ってきた絆創膏をひったくって十本の指に必要以上に貼りまくった後、またいつものように謝罪地獄が始まるかと思ったら、青ざめたままフラフラと部屋の角に吸い寄せられるように歩いて、今の状態である。
「あんな自業自得のアホのことは無視しときゃいいんだよ。オマエはその手紙を渡す心の準備でもしとけ」
「ちょっ、マシロに聞こえとるって」
「ああん? 知るかクソが」
 コタマは糸が切れてたマシロの騎士達のうち一体から槍を奪って、コタマを押さえていた二体をゲシゲシと突っついている。
 その音に合わせてマシロの尻尾がピクリと動いた、ような気がした。
「オマエ他人の心配してていいのかよ。日曜日に何着るつもりだ」
「着る、って服のこと? そら、この前買った服に決まっとるやん。あのスカート選んだのってコタマやったろ」
 いわゆる勝負服だ。丸一日かけて一式揃えた、対背比用の武装。
 先週の土曜日に一度袖を通したものの、その時は背比がいなくて、結局隣に座ったキモいOBを無駄に誘惑してしまっただけに終わった。
 良いほうに考えるなら、私でも男性を誘惑できるだけの武装だってことだと思う。
「じゃあサンダルはどうすんだよ。まさかその足で履くとか言わねえだろな」
「…………あ」
「あ、じゃねえよ」
 そこはまあ、いつものようにスニーカーを履くとして。部活の無い日曜日に背比と会うため、背比に 『今度の日曜日に神姫センター行かん?』 とメールを打った。
 そのメールの宛先に傘姫と貞方も入れてしまうから私はコタマにビビリ野郎(女だけど)と揶揄されるんだけど、あくまで私はさりげなく手紙を渡すつもりだし、当日になってタイミングを探せばいい。
 日曜日から本気出す!































――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



278 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:32:52.51 ID:mAAc7Pwq0
   .>>277
   ブチ殺しますわよ

279 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:32:56.39 ID:k4++Hn/l0
   ここのところドールマスターの行動が目に余ります
   ちょっと強いからって調子に乗ってるとしか思えません
   バトル中に筐体外して友達とおしゃべりとか神姫マスターとしての正気を疑うレベル
   しかも対戦相手が告白されて振った前回チャンピオンで、嫌がらせのために挑戦受けたと
   しか思えません
   最近は他の女性の彼氏に手を出してるらしいですし、神姫センターから追放すべきです

280 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:34:49.97 ID:/Oo9/xjy0
   .>>279 ハイハイヒガミヒガミ

281 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:36:55.27 ID:rV+PHOdV0
   ヨドマルのライフル弾薬あとどれくらい残ってる?
   昨日撃ちまくってストックが無くなってもうた

282 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:37:14.18 ID:BENIMORO0
   一昨日まではけっこうあったでござる

283 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:38:34.28 ID:kBD2+1+/0
   .>>279
   あの人がそんなことするか?
   ノリもいいし悪い人じゃないぞ

284 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:39:31.14 ID:6ebzZT530
   .>>279
   マジですか…いい人だと思ってたのにショックです

285 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:41:28.97 ID:k4++Hn/l0
   .>>283
   先々週の日曜日です
   多くの方が見てます

286 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:43:10.69 ID:n//Iu1lA0
   .>>285先々週って・・・じゃあ先々週言えよ

287 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:44:11.51 ID:rV+PHOdV0
   .>>282
   サンクス!ちょっと行ってくる
   そういえばヨドマル神姫コーナーの元気がいい黒子と目がヤヴァい白子って戻ってき
   たらしいな

288 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:45:03.95 ID:xo0G+s/w0
   .>>279 最後の一行以外は同意。
   実際にその場にいたけど、さすがにアレはないわ。
   グレイスが全方位爆破耐えてダリア倒したあたりで出てきた時はさすがに文句言って
   やろうと思った。
   (前回チャンプと話してたから言わなかったけど)
   でもまあ、まだ若いし誰かが注意してやればいいだろ。

   .>> 最近は他の女の男に手を出してるらしいし
   明らかに私怨が混じってるじゃん。バトルに負けた腹いせか?

289 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:45:14.33 ID:i9iFSpLJ0
   .>>279
   まあ、あれだけ強けりゃ調子にも乗るわな
   だからって調子に乗っていいわけじゃないけど

290 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:45:52.26 ID:MMSoppai0
   .>>277
   飯田さんだってなあ、好きでペチャパイに生まれたわけじゃないんだぞお

291 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:46:00.92 ID:HandKMP50
   空気を読まずに
   ttp://shinkiup.aki.gs/upl7/src/8268471475458.jpg
   アイネス「らめぇ・・・!」

292 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:47:24.44 ID:+dO2/rT+0
   .>>279
   今度の日曜の神姫センターにドールマスターいたら挑もうと思ってたけどやめといたがい
   いな。
   俺まで白い目で見られそう。

293 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:48:04.08 ID:CCoMakot0
   .>>291
   その後醤油をかけておいしくいただくんですね、わかります

294 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:48:40.68 ID:Colt/SAA0
   .>>291やめなよ!アイネスが可哀想でしょ!
   自分の神姫にそんなことさせてマスターとして恥ずかしくないの!?

295 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:48:50.93 ID:k4++Hn/l0
   .>>288
   全部事実です
   彼女持ちの男性に後ろから抱きついたりしてます

296 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:50:44.64 ID:Nurupo//0
   .>>291
   撮影するなら最後までせんかバカモノ
   パンツ下ろしたままだから寒いだろうが

297 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:51:01.55 ID:Ga+++///0
   .>>295
   その男ってもしかして爪楊枝レーネのマスター?

298 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:53:23.79 ID:HandKMP50
   .>>294
   ありがとう
   でもマスターも喜んでくれるし、ボクも嫌じゃないし・・・

299 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:54:00.05 ID:k4++Hn/l0
   .>>297
   友人から聞いた話なので直接見たわけではありませんが、たぶんそうだと言ってました
   これって本当に男性が可哀想です、よね?

300 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:54:30.95 ID:Colt/SAA0
   .>>298
   .>>291貼ったのアイネス本人!?心配して損した!
   っていうかやめてよ!アルトアイネスが変な目で見られるじゃん!

301 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:56:46.19 ID:isknDnir0
   .>>279の話マジっぽい……
   あんな人でもメンヘラってなんか引いたわ

302 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:56:57.88 ID:Lv99over0
   .>>279
   いや、席を外したのは何か理由があったんだろう。
   彼女とバトルしたことがあるマスターは彼女がそんな悪い人間じゃないことを知っている
   はずだ。
   現にあの口が悪いハーモニーグレイスを連れていて未だ挑戦者が後を絶たないのが何より
   の証拠だ。

303 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 20:59:00.90 ID:5/8chips0
   .>>302ドールマスターご本人ですか?すっかり嫌われましたねw

304 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 21:01:25.13 ID:yoSinoyA0
   .>>298.>>299もしよければ音もcダチになりませんか?ぜいhなりましょう!私のことは
   お姉ちゃんトヨでいイイのです!

305 :ぼくらはトイ名無しキッズ:20◯◯/◯◯/◯◯(木) 21:03:22.32 ID:KONAMI++0
   .>>304
   おまわりさんこっちです
   このテンパったアルトレーネです

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