2038/2/16
12:16
アメリカ合衆国 アリゾナ州フォートフュチュカ
“アメリカ陸軍無人航空機システム訓練大隊 エイミー・ハットバック中尉”
12:16
アメリカ合衆国 アリゾナ州フォートフュチュカ
“アメリカ陸軍無人航空機システム訓練大隊 エイミー・ハットバック中尉”
《シット! こちらダガーワンチャーリー。 ターバンのクソ野郎と交戦、軽装だがRPGを装備している! マップグリッド、エックスレイ-1-5-4 ブラヴォー3-5-6 ヤンキー6 角のビル付近!》
「ダガーワンよりダガーワンチャーリー、そちらの現在地は?」
私は次々と飛び込んでくる情報を整理しながら、自分の端末を操り位置情報を更新していく。
部屋の中央に据え付けられた大型モニターには刻々と移り変わる情報が表示され、現在は地図情報のほかに上空を飛行するヘリコプターからの航空映像も映し出されていた。
部屋の中央に据え付けられた大型モニターには刻々と移り変わる情報が表示され、現在は地図情報のほかに上空を飛行するヘリコプターからの航空映像も映し出されていた。
《こちらダガーワンアルファー。敵のスナイパーが邪魔で目標に近づけない! 航空支援を要請する! 目標はエックスレイ-1-5-4 ブラヴォー3-5-6 ヤンキー6 どうぞ!》
「こちらダガーワン、了解した、待機せよ。司令官、ダガーワンアルファーが航空支援を要求してます」
答えてから振り返り、険しい顔つきでモニターを注視する男性に伝えた。
「座標は?」
「エックスレイ-1-5-4 ブラヴォー3-5-6 ヤンキー6 ブラヴォーが現在交戦中の目標です」
男は「畜生……」と悪態をつき、メガネをつけたシュワルツネッガーという呼称が何より似合う少尉、いや、現在『作戦地域』に展開している航空隊を管理する立場のオペレーターである、キヌタ・ヒロム少尉に何事か指示を飛ばした。
「攻撃機による近接航空支援を行うと伝えろ……あの分隊は何をしている?」
男がモニターを指差し、私に問いかけるがその次の言葉が発せられるより前に私は自分の端末に向き直っていた。
「ダガーワンよりダガーワンチャーリー!」
《こちらダガーワンチャーリー 白の連中に借りを作る必要なんて無い、私たちなら敵から死角です! 目標まで走りぬけます!》
その答えにインカムを振り払わんばかりに振り返ると、キヌタは慌てたように手を振った。
既に作戦地域に侵入して初弾となる対地ミサイルを発射したという意思表示だ。
既に作戦地域に侵入して初弾となる対地ミサイルを発射したという意思表示だ。
「目標座標には数秒以内に航空攻撃が実行される、引き返せ!」
《おい、あいつら…チャーリーを援護します!》
画面上で目標から煙が上がり、次の瞬間には無数の鋼鉄のスコールによってビルが音も無く倒壊し瓦礫の山へと姿を変えていく……映像ではその煙に巻かれて視覚情報は確認できず、ただ固体識別情報だけが煙の中で光って見えた。
私はその光景をとにかく祈るようにただ見つめ……
私はその光景をとにかく祈るようにただ見つめ……
《こちらダガーワンチャーリー! 目標確保、繰り返す、目標を確保!》