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 第十一話 「思い出のおせんべい」




 「ねえ水野君、幽霊の噂って知ってる?」
 三時間目が終わって、次の時間の社会科の準備をしていると、璃子ちゃんがそう言ってきた。
 「幽霊?」
 「そうそう。図書館の近くに、今は誰も住んでない家があって、そこに幽霊が出るんだって」
 「幽霊って……。嘘っぽいなあ」
 「でもね、先輩が言ってたのは」
 璃子ちゃんはそうすると僕の近くで、
 「その家は昔おばあさんが住んでいたみたいなんだけど、今はもう誰もいないの。それで土地を買った人が家を取り壊そうとするんだけど、何故かその度に事故が起こって工事が中止になるんだって」
 「へえ」
 「だから、みんなそのおばあさんの幽霊がやってるんだって騒いでるのよ。その他にも、『でてゆけぇ~』っていうしわがれた声がしたとか、この世のものとも思えない犬の遠吠えがしたとか。それでもう、今じゃ誰も買い手がいないんだって」
 璃子ちゃんはどこか興奮した様子で告げてくる。
 「それで、何で僕に?」
 「えへへ……。実は、水野君と一緒にその家を調べようと思って」
 「ええ!? やだよ!」
 冗談じゃない。誰もいない家に勝手に入るのは気が引けるというか、やってはいけない事だと思う。
 でも、璃子ちゃんは引き下がらなかった。
 「ふ~ん……。もしかして、怖いの?」
 「ち、違うよ! 僕はただ、人の家に勝手に入るのはいけないって思って……。そうだ! 食堂に行けば何か分かるかもしれないよ」
 「食堂?」
 「うん。駅前の商店街にあるんだけど、そこならきっと何か分かるよ。幽霊なんているわけないんだから」
 「……やっぱり、怖いの?」
 「違うよっ! もう、そこまで言うならその家にも行くさ。それで、幽霊なんていないって証明してあげるから」
 何だか璃子ちゃんに乗せられてしまった気がしたけど、でも食堂に行けばきっと何か分かる。そもそも、幽霊なんて非科学的なもの……と思いたかった。






 放課後になってから、まず商店街へと向かう。
 そういえば、学校の友達と一緒に食堂に行くのは初めてだ。
 僕と並んで歩いていた璃子ちゃんが、不思議そうに僕を見る。
 「何だか嬉しそうね、水野君」
 「え? そうかな」
 そんな話をしながら、食堂ののれんをくぐる。
 「こんにちは……?」
 すると、カウンターに誰かが座って、輝さんと明石さんと話しているのが見えた。
 「だからさ、ちょっと頼まれてくれないかい?」
 「そう言われてもですね……。姿を見た人がいない以上、調べようがないですし……」
 カウンターにいたのはエプロンをした五十歳ぐらいのおじさんで、明石さんは何か困っている様子だった。
 僕と璃子ちゃんが入って行くと、輝さんが気付いた。
 「よう、健五。と……そっちの子は?」
 「あ、璃子ちゃんって言うんだ。同じクラスなんだよ。璃子ちゃん、この人が輝さん」
 「天貝璃子です。初めまして」
 璃子ちゃんが丁寧に挨拶すると、輝さんは僕と璃子ちゃんを交互に見比べて、
 「ガールフレンドか?」と聞いてきた。
 「えっ!? そ、その、違う……よ?」
 そう言ったら、隣で璃子ちゃんがものすごく複雑な表情をしていた。
 「まあいいか、よろしくな。で、来てもらってなんだが、ちょいと今たてこんでてな」
 「どうしたんですか?」
 僕が聞くと、エプロンのおじさんが代わりに言った。
 「どうもこうも無いよまったく。……実はね、最近商店街で万引きが増えているんだ」
 「万引きですか?」
 明石さんがうなずく。
 「ここしばらく立て続けでね。何でも、昼間に出しておいた品物がいつの間にか無くなっているそうなんだけど、誰も犯人の姿を見た事が無いらしいんだよ。調べようにも防犯カメラに写っていなくて、組合も手を焼いてるらしくてね」
 「おかげで売り上げも落ちててねぇ。全く、どこのどいつがやってるんだか」
 おじさんは苦々しげにつぶやいた。
 「しかし町田さん、盗られたのって充電器とマルカメのせんべいだけなんだろ? おかしいよな」
 「充電器?」
 璃子ちゃんが聞くと、
 「ああ、うちは電器屋なんだが、盗まれるのがいつもバッテリー充電器ばかりでね。しかも、うちが警戒をしたと思ったら次の日は別の電器屋で盗難があるんだ。その他に菓子屋でもおんなじ事がおきててねぇ」
 「そうなんですか……」
 何だか大変な時に来てしまったみたいだ。
 「で、お前らはどうした?」
 「あ、そうだ。えっと、わたし達幽霊屋敷の噂を調べようと思って来たんです」
 「幽霊屋敷?」
 璃子ちゃんの言葉に、輝さんは首をかしげた。
 「はい。この商店街の近くに、幽霊が出るお家があるって学校で噂になってるんですけど、知りませんか? 図書館の近くって聞いてるんですけど」
 「うーん……?」
 「それってよ、もしかして寺田さんのとこじゃないか?」
 「……ああ、あそこか」
 何か納得した様子の輝さんは、僕らに座るように手で示した。
 「あそこ幽霊屋敷なんて言われてたのかよ」
 「何かあったんですか?」
 僕らが座ると、明石さんが神妙な面持ちで言った。
 「うん……。その家はね、少し前に家主の寺田さんが亡くなっているんだ」
 「えっ」
 「じゃあ、本当に幽霊屋敷!?」
 璃子ちゃんが驚いたけど、輝さんは苦笑した。
 「いやいや、本当にそうかは分からないけどな。……その寺田さんって人、昔は女子大で先生をやってたって人なんだけどな、年取ってからは家族もいなくて一人で暮らしてたんだよ」
 「あの人も可哀想だったよなあ。家族もほとんど会いに来てないみたいだったし、地上げかなんかでもめてたしな」
 「そうだったんですか……」
 エプロンのおじさんも、明石さんも悲しそうにしている。
 「相談に乗ってやれなかったのが、今じゃ心残りだな」
 「ええ。……そういえば、寺田さんはマルカメのザラメせんべいが大好きでしたね」
 「おいおいマスター、まさか寺田さんの幽霊がやってるってのかい?」
 おじさんは笑ったけど、璃子ちゃんはまだ諦めていない。
 「ねえ水野君、こうなったら今からそのお家にいって調べよう!」
 「ええ~? いいってば。どうせただの噂だよ」
 「止めとけ止めとけ。死んだ人を面白おかしく話のネタにすんじゃねーよ」
 そう言った輝さんの横顔は少し寂しそうだった。そうか、輝さんのおじいさんは……。
 僕も知らない人の家に入っていくのは嫌だし、璃子ちゃんも諦めてくれないかな、と思ったけど、その時隅にいたメリーが何か思いついたようだった。
 「アキラさん、行きましょう!」
 「へ?」


※※※


 どういうわけか輝さんを無理矢理納得させたメリーを連れて、僕達はその寺田さんの家まで歩いていた。
 「……メリー、なんかにやにやしてるけど、どうしたの?」
 「いえいえ。健五さんもこういう面があったんだなって」
 「こういう面、って?」
 「彼女とどこまでいったんですか? Bですか? それとも……C!?」
 「何の話をしてるのさ……」
 「どうしたの? 水野君」
 そんな話をしている間に、その寺田さんの家に着いたみたいだ。
 「ここがそうだな」
 寺田さんの家は黒い瓦屋根の昔風の家で、長い間手入れがされていないのか、門から玄関へ行く途中へは雑草がぼうぼうと生えていて、ところどころに取り壊された後のようなところがある。少し風が吹くと、軒下にかかったクモの巣が揺れた。
 「……なんだか、本当に幽霊が出るみたいね」
 「まさかなあ」
 その時だった。
 「ねえ、水野君、今窓の中に何か見えたよ」
 「え?」
 璃子ちゃんは二階の正面にある窓を指さしている。
 「……何も見えないけど」
 「ううん、今絶対何かいたよ!」
 「ははは、何言ってんだ。さっきも言ったけどよ、幽霊ってのは」





 『くるなぁ~』





 僕も輝さんも、メリーも璃子ちゃんもみんな固まった。
 「……璃子ちゃん、今しゃべった?」
 「え!? ち、違うよ」
 「は、はは、空耳だろ」
 『でてゆけぇ~』
 「おい健五! おちょくってんなよ!」
 「僕じゃないよ!」
 でも、今のは絶対に空耳じゃなかった。確かに……風の音に混じって、おばあさんのような声が聞こえた!
 「ねえ、これってまさか……」
 「違うよ! 幽霊なんているわけないって!」
 「ううん、水野君、ついてきて! 噂を確かめるの!」
 璃子ちゃんはゆっくりと門を開けると、そろそろとドアまで近づいていく。そのままドアを開けて、中に入ってしまった。
 「璃子ちゃん! 駄目だよ!」
 「いいえ健五さん、ここが男を見せる時です! 幽霊に襲われた彼女を華麗に助ければ、それはもうメロメロのドキドキに」
 「何言ってるのか全然分からないよ!」
 「しょうがねえ、行くぞ」
 輝さんと僕で、周りに気をつけながら家の中に入る。
 しばらく掃除されていないような玄関はほこりっぽくて、薄暗い廊下は昼間なのに不気味な印象を与える。
 「璃子ちゃん、どこ!?」
 「……なあ健五、なんか寒くねーか?」
 「変な事言わないでよ! 早く璃子ちゃんを探そう」
 璃子ちゃんはその廊下の先、和室の入り口にうずくまって、足を押さえていた。
 「うう~」
 「璃子ちゃん!大丈夫!?」
 「水野君……。あのね、ここに来たらいきなりその本が落ちてきて」
 璃子ちゃんが指さした先には、分厚い百科事典があった。天井には大きな穴が空いている。こんなものが落ちてくるなんて……。
 「もう出ようよ。危ないよ」
 「いや、待て健五」
 璃子ちゃんを助け起こそうとした僕を手で制した輝さんは、じっと耳をすませているみたいだった。
 「輝さん……?」
 「静かにしてろ」
 僕が黙ると、暗い穴の奥から、小さな話し声が聞こえてくるようだった。



『おい、どうすんだ?あいつら出て行かねーぞ』
『う~む。やはり手出しするのはまずかったかの』




 輝さんはメリーに目配せした。
 「メリー、デンジライフルであそこを撃て」
 「はい」
 メリーは背中のパーツを外すと、スプーンを銃に接続してデンジライフルを組み立てる。
 「……エネルギー八十……九十……、ファイア!」
 そして狙いを付けて、穴の向こうに少しだけ見えた、小さな人影へ向けて撃つ。
 「「ぎゃああっ!」」
 すると直後に、お尻から白い煙を上げて、真っ逆さまに落ちてきたのは……。
 「う~。ガルル! 何しやがる!」
 「これ、ガブ! お主が騒ぐから見つかってしまったではないか!」
 「うるせー! 本を落とせって言ったのはレンだろ!」
 「……蓮華と、ガブリーヌ?」


※※※

 しばらくして、僕らは上の部屋で、むっつりした様子の蓮華とガブリーヌを囲んで、座って話し込んでいた。
 「ほら璃子ちゃん、幽霊なんかいなかったじゃないか」
 「う~ん、ちょっと残念。でも、武装神姫って近くで見ると面白いのね」
 璃子ちゃんは神姫の事をよく知らない。だから興味を持ったみたいなんだけど、璃子ちゃんが手を伸ばすとガブリーヌが指に噛みついた。
 「いたっ!」
 「ガルル! 触るんじゃねー!」
 「だ、大丈夫!? 璃子ちゃん」
 「おい、本を落としたのもお前らだな」
 輝さんの問いかけに、ガブリーヌは怒った様子で答えた。
 「ああ、そうだよ! お前らがオイラ達の居場所に勝手に入ってきたからな」
 「それは悪かったよ。でもどうして、君たちはここにいるの?」
 そう聞くと、蓮華は口をとがらせた。
 「……ここは、わしらのマスターの家なのじゃ」
 「え? じゃあ、君たちは寺田さんの?」
 「そうさ」
 「知りませんでした。寺田さんが神姫のオーナーだったなんて」
 「マスターはの、わしらを本当の孫のように扱ってくれたのじゃよ」
 そして二人は語り出した。一人で暮らしていた寺田さんの神姫になった事、寺田さんが亡くなってからもずっとここで暮らしてきた事、そしてこの家が取り壊されようとしている事……。
 「そうか、地上げの話か」
 「工事のおっさんはここを壊そうとしてた。だからオイラ達はあいつらからここを守ってたんだ」
 ガブリーヌは拳を握りしめた。
 「……そこのせんべいと充電器を盗んだのもお前らなんだな」
 輝さんがあごで示した先には、からっぽになった『マルカメ』のザラメせんべいの袋と充電器が大量にある。
 「っ! し、仕方ねえだろ! 電気がなきゃ生きてけねえし、せんべいはばーちゃんが大好きだったんだ! お前ら人間はばーちゃんにひどい事したんだぞ! だから、オイラ達に文句はつけられないだろっ!」
 「なるほどねぇ。まあ確かに、お前らのマスターに俺たちが何もしてやれなかったのは事実だ」
 輝さんは膝を叩く。
 「けどよ、こんな事しても寺田さんは喜ばねえ」
 「なんだと!?」
 「……お前ら、せんべいは旨かったかよ?」
 「えっ?」
 輝さんはガブリーヌと蓮華を、じろりと見下ろした。
 「人様のもん盗ってまで食ったせんべいは、本当に旨かったのかよ?」
 「……!」
 二人は、俯いた。
 「寺田さんの悩みを解決できなかったのは、俺たち商店街全員が後悔してる。けど、お前らがやった事で迷惑した人もいる。それを忘れんな」
 「ぐっ」
 ガブリーヌは悔しそうだったけど、反論できずにいた。
 「お主ら、マスターの家をどうする気じゃ?」
 「……」
 「頼むよ。ここはオイラ達にとって、大事な思い出の場所なんだ」ガブリーヌの声は、いつの間にか震えていた。
 「頼むよ……。ばーちゃんの思い出を壊さないでくれよぉ……」
 何だか見ていて可哀想になる。
 「輝さん、なんとかしてあげようよ」
 輝さんはしばらく二人をじっと見ていたけど、しばらくして微笑んだ。
 「心配すんな。お前らの思い出は必ず守ってやる。とりあえずこれから商店街の人に謝れ。なーに、誠意がこもってれば、みんなすぐ許してくれるさ」
 「あの」
 その時、璃子ちゃんがしゃべった。


 「決めた! わたし、この子達引き取るよ!」


 「え?」蓮華もガブリーヌも目を丸くする。
 「璃子ちゃん、神姫持ってないでしょ?」
 「それはそうだけど~、この子達見てたら、なんだか放っておけなくなっちゃって」
 璃子ちゃんは笑って手を差し伸べる。
「ね?」
 「……」
 蓮華は黙って見ていたけど、やがてゆっくり璃子ちゃんの手のひらに乗った。
 「おい、レン! いいのかよ」
 「仕方ないじゃろうて。このままではわしらはいずれ動けなくなってしまうからの」
 「だけど、ばーちゃんの家はどうなるんだよ!」
 「その点も心配いりません。私たち商店街の全員で守りますから」
 メリーが輝さんの肩から降りて、手を差し伸べた。
 「……本当なんだな」
 「はい」
 「……分かった」
 「よーし、決まり! えーと、ガブちゃんとレンちゃんね。わたしは璃子。よろしく」
 璃子ちゃんがガブの頬をつつく。
 「でも、本当に不思議ね~。ロボットって思えないくらい」
 「う~、ガルル! くすぐったいんだよ!」
 「でも、守るって言ったけど、どうするの?」
 「俺らで金を出し合って土地を買い取るか、まあいくらでも手はあるさ。さっ、用事も済んだ事だし、帰るか」
 帰ろうとする輝さんの背中は、とても大きく見えた。


※※※


 「でも、結局幽霊はいなかったかぁ」
 外に出ると、璃子ちゃんがそう言った。
 「そうだよ。大体幽霊なんてものは空想の産物で」
 「健五さん、女の子の言う事をそうやって否定するのはどうかと思いますよ」
 「メリーまで?」
 僕とメリーがそんな話をしているうちに、璃子ちゃんは輝さんの傍に近づいていった。
 「あの、輝さん、でしたよね?」
 「ん?」


 「水野君のこと、よろしくお願いします」
 「え?」
 「水野君、学校じゃちょっと大人しいんですけど、輝さんには心を開いてくれてるみたいだから……」
 「……」
 「わたしも力になってあげたいんですけど、その……、わたし一人じゃ駄目みたいだから……、支えてあげてください」
 「……そうか。ま、分かった」


 ひそひそ話をしてるけど、なんなんだろう。
 「おし、そんじゃ行くか」
 「うむ。しばしお別れじゃの」
 夕日が僕らを照らす中、蓮華が寺田さんの家を振り返る。
 「ああ。でもさ、また会えるよな!ばーちゃん!」
 ガブリーヌが手を振った。
 それだけ見れば、マスターを慕う健気な神姫だったのかもしれない。
 でも、その時だった。




 『頑張るんだよォ~』




 「「えっ?」」
 さっき家に入る時よりもはっきりした声が聞こえて、思わず僕らは顔を見合わせた。
 「……ガブ、今誰と話してたの?」
 「え? ばーちゃんだよ。ほら」
 ガブはそう言うと、窓を指さした。


 夕日の中、そこだけ墨を塗ったように真っ暗な窓の中から―。
 『ポリ、ポリ』と、おせんべいをかじるような音が聞こえて……。
 そして、本当に一瞬だけ、ひらっと窓の奥を横切ったような真っ白い手が見えて―!
 「う……」
 「うわああああああ!」


 僕らはその場から、走って逃げた。




~次回予告~
クレアが毎週楽しみにしているテレビ番組『ビートルA』。
しかし、番組は打ち切りの危機に瀕していた!
そこで輝達が考えた解決策とは……?
「夢と現実って、違う物なんですね」
次回、 第十二話 ヒーローにかけた夢 お楽しみに!

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