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「~~♪」

私は今、開店前の明石食堂で掃除中です

今日はなんだか気分が軽く、自然と鼻歌なんか歌いながらテーブルを拭いています

「~~~♪ よしっ、と!」

全てのテーブルが綺麗になったので、次は床を掃きます

人にとってはあまり広くない食堂ですが、神姫にとっては一通り掃除するだけでも一苦労なんです。しかし私は辛いと思いません

慣れというのもありますが、私の場合はやはり、『男の人は家庭的な女の子が好き』という理論のせいです

少し動機が不純な気もしますが、頑張れる理由が一つ以上あるなら、それで十分なんだと思います

それに、頑張っていればいつか……

~~~~~

『メリーはいつも頑張っているな、俺は掃除が綺麗にできる女の子が一番大好きなんだ』
(脳内美化三割増)

『えっ? でも、そんな……私、神姫ですし』

『そんなの関係あるか、俺はそんなメリーが好きになったんだ……だから……』
(脳内美化三割増)

『……だから?』

『……ずっと、俺の傍に居てくれないか?』
(脳内美化三割増)

『……アキラさん……』

『……メリー……俺と、結婚してくれ』
(脳内美化三割増&背景薔薇)

『……はい、喜んで』

~~~~~

「なんて、なーんて!」

「サボってないで、真面目に掃除しなさいよ」

……気がつけば、箒を抱きしめて妄想に身悶えしてる私のすぐ近くに雅さんが来ていました

「あーあ、あいつも不幸よね。貧乳のうえに思考が沸いた神姫を飼ってるんだから」

そんな事を言いながら赤だるまは厨房に戻っていきました

……やはり、いつか決着をつけないといけないようですね



それから十数分かけて一通り掃き終えました

さて、あとは集めた埃をちりとりに取って終わりです

……カサカサ……

……なんだか嫌な気配がしますね……通称『G』と呼ばれる黒光りする昆虫でしょうか?

食堂の中は清潔にしてますから出てこないはずなんですが、いるとなれば食堂の信用問題に関わってきます

ここは慌てず騒がず穏便に始末して、何事も無かったかの様にしましょう

気配のする方向に振り向くと、そこにはさっきまで無かったはずのダンボール箱がありました……嫌な気配の元は、これですか?

かなり小さなダンボール箱で、人間だったら置いてあることも気づかずに踏みつぶしてしまいそうな大きさです

……目測ですが、神姫が身を屈めれば一人だけ入れそうな大きさです

「だからサボるなって言って……なにあれ?」

じっとダンボール箱を見ていると、雅さんが再び近くに来ました

「分かりません、気がついたらそこにあったんです」

「ふーん……あれ? ダンボール箱に書いてあるロゴマーク、どこかで見たような気が……」

……雅さんの言うとおり、どこかで見たことのあるような気がしますね……ちょっと、近付いて見ますか

……カサカサ……

私が近付くと、近付いた距離と全く同じ距離だけダンボール箱は離れました

「……中に何か居るんじゃないの?」

「わざわざ言われなくてもそれくらいは分かります」

私の言葉に雅さんが何かを言いたそうでしたが、そんな些細な事は気にしないことにして、さらに少しずつダンボール箱に向けて歩を進めます

……カサカサ……トンッ……

とうとう壁際まで追いつめました、もう逃げられませんよ?

「……で、追い詰めてどうすんのよ?」

「とりあえず、まずは被ってるダンボール箱を剥がしましょうか」

……ビクッ!……

ダンボール箱が少し跳ねたような気がしますが気のせいということにしておいて、雅さんと並んでダンボール箱に近付きます

……スッ

あと数歩の所まで近付くと、ダンボール箱の下から何か出てきました

よく見るとそれは小さな手で、小さな携帯電話のような物を持っています……手首にジョイントが無い所を見ると、神姫ではないんでしょうか?

『ハイ、チーズ!』

その携帯電話らしき物から妙に明るい掛け声が聞こえました

……何故だか私と雅さんは、まるでそれが当たり前であるかのように自然な流れで肩を組み、満面の笑みでピースサインをしました

『カシャッ!』

カメラのシャッター音のような音が聞こえ、それから五秒ぐらいしてから今の状態に気づきました

「……なんで私が雅さんと肩を組んで写真撮らなきゃいけないんですか?」

「……知らないわよ。というかこっちのセリフよ」

私達がお互いに気を取られている隙にダンボール箱の下から何かが飛び出し、手首の辺りからワイヤーのような物を発射、開いていた窓からすごい勢いで出て行きました

「……今の…ヴァッフェドルフィンに見えたけど、何だったのあれ?」

「さあ? スパイか何かでしょうか?」

……後には、空のダンボール箱だけが残っていました

「捨てずにとっといて、後でアキラさんに見せましょう」

私はとりあえずダンボール箱をたたみ始めました





……なんとか、離脱に成功した

……むぅ……私の潜入カモフラージュは完璧だったはずなんだが、何故見つかったのだろうか?

ダンボール箱に隠れて潜入するのは、かの有名な伝説の傭兵もやっているのだが……

それはさておき、先程撮った写真を確認する……我ながら綺麗に撮れているな

……Bに送信、と……

……さて、私は戦利品をいただくとするか

お気に入りのイルカ型リュックサックから取り出すのは綺麗な薄緑色をしたヂェリカン

ラベルに「Maccha」と書かれている抹茶ヂェリーだ

オーメストラーダに問い合わせても無いと言われ、必死に情報をかき集めた結果ようやく見つけた憧れの逸品

キャップを開け中身を口にする……サプリメントとして使われる通常のヂェリー違い、嗜好品として作られたからこそ、この芳醇な味わいが楽しめるというものだ

最終的には発見されてしまったものの、先程の食堂から盗……貰ってきた甲斐があったというものだ

残りはあと二つもある。一つは一等兵に譲るとしてももう一つあるから、ケチくさい飲み方などせずにヂェリーらしく一気に飲むか





「……やはり、設置スペースが……」

「いやしかし、あの値段でバトル用の筐体を仕入れられるのは、またとないチャンスで……」

「需要があるのは分かるが……」



……長いわねぇ……

さっきから同じ内容の話しか繰り返してない気がするし、結局どうしたいんだろうね?

このゲームセンターの責任者らしき人が三人くらいで、うちのバトル用筐体を導入するかどうか緊急会議をしてるのを、一人でただぼーっと見てる訳だけど……

総帥はゲームセンターの中をうろうろと見回ってるし、大砲コンビはそれに同伴してる

若手の二人は他社のバトル用筐体を見てる

フェリシエナはゲームセンターに入る前からどこかに行っちゃうし……

……責任者さん達を放置するのも失礼だからあたし一人で待ってるんだけど、やっぱり暇よねぇ……

『しゃいにんわ~♪』

……ん? メール?


From:フェリシエナ
Sub:単独行動、経過報告
添付ファイル:2041063325.jpg

本文:とってもかゎEネ申女臣見っけたヨ!\(≧∀≦)/
リュミが気にいるとEナ!(*^_^*)
ダンボールに隠れてたンだけど、見ッかっちゃったf(^_^)テヘ

P.S
抹茶ヂェリー ウマー(´д`*)


日頃はあんな感じなのに、どうしてメールだけはチャラいのかしら?

まあいいか……添付ファイルは、写真か……

見るとメリエンダ型とこひる型が仲良く肩を組んで、可愛らしく笑いながらピースサインをしている写真だった……ウホッ いい神姫!

……じゃなくて……いや、違わないか

「あ、この娘たち可愛いね」

……いつの間にか総帥が背後にいた

まぁ、折角だし……

「Dが呼んでるみたいなので、行ってきても良いですか?」

「うん、いいよ」

単独行動の申請は二つ返事で許可が出た





時刻はすでに昼下り、お昼ご飯のお客さんもまばらになり、あたしは休憩時間を貰った

……さて、とっておきの抹茶ヂェリーでも飲みながらゆっくりと……あれ?

無い!? あと三つもあったのに!

どういう事!? 隠し場所まで変えたのにどうして無いの!?

……あいつか、またあいつが盗ったのか……

「メェリィィィイ!!」

私は厨房を通過して、一気にフロアまで突っ走った

「はい?」

お客さんが出て行った後のテーブルを拭いていたメリーに、強烈な跳び蹴りをお見舞いする

「ぶぎゅ!?」

奇妙な悲鳴をあげながらメリーは吹き飛び、二、三回バウンドしてから転がり、テーブルの端で止まった

……顔に付いた私の足跡以外はほとんど無傷なのは、流石としか言いようがない

「いたた……いきなり何をするんですか!?」

「うっさいわ! また人のヂェリーを盗っといて! しかも三つも!」

「知りませんよ! バレバレの隠し場所は知ってましたけど、私は盗んでなんかいません!」

「じゃああんた以外に誰がいるのよ!」

「そんなもん、知るかー!」

「やかましい! あたしは! あんたが! 泣くまで殴る!」

まばらになったとはいえまだお客さんがいる食堂の中で、あたしは理性を無くしていた……



…………数分後、厨房

「……お客さんのいる前でみっともない真似をして、すみませんでした」

あたしは京介さんに土下座をして謝った

しかし京介さんは特になにも言わず、かといって厳しく叱るでもなくただ無言でうなずいている

そしてあたしの頭をぽんとかるく撫でると、作業に戻っていった

……怒ってないの?

……ともあれ、お客さんが頻繁に出入りする時間じゃなくなったから厨房は仕事がないし……テーブルでも拭こうかな





「マスターマスター! 早く行きましょう!」

「クレア、そんなに焦らなくても……」

僕はクレアに促されるままにゲームセンターに足を運んでいた

『最後に勝負を決めるのは才能じゃない、今までにどれだけの努力を重ねたかだ』……その言葉にクレアが一念発起、暇さえ見つければ特訓を繰り返すようになった

……うわ、流石に休日の昼過ぎは人が多いなぁ

辺りを見回しても輝さんはいないみたいだし、とりあえず戦ってくれそうな人を探そう

「ねえマスター、あの人はどうですか?」

クレアが指さした方向にいたのは、白衣を着て真っ赤なリボンで髪を結んだ、僕より少し年下のような子だった

白衣を着てるのは少し気になるけど……うん、年上の人たちよりは話しかけやすいかな?

「あの……」

僕の弱々しい呼びかけにその子は気づいてくれた

「はい、なんですか?」

にっこりと笑ってくれるその子に、僕は次の言葉が出なかった

「バトルしてもらえますか?」

僕の代わりにクレアがバトルを申し込んだ……たぶん、待ちきれなかったんだと思う

「良いですよ。……じゃあ、誰にしようかな」

「私が出ます」

白衣の右ポケットから出てきたのは、ムルメルティアタイプの神姫だった

……というか『誰に』って事は、最低でも二機以上は神姫を持ってるって事だよね?

「少佐が出るのですか? では自分は見学という事で」

さらに左のポケットからはフォートブラッグタイプの神姫が出てきた

「只今戻りました!」

「戻りましたであります!」

さらに飛鳥タイプが飛んできて、ゼルノグラードタイプがその腰からぶら下がっている

もしかして、結構ベテランなのかな?





……バトルの結果は、惨敗だった……

ライフを削ることすらできず、クレアはただ一方的に殴り倒された

……で、今そのクレアはと言うと……

「反応が遅い。砲撃型は目が命だ、常に相手を視界に入れるつもりでいけ」

「はい! 教官!」

バトルの設定をタッグマッチにして、フォートブラッグタイプのβにクレアを、マスターとしての内容を千尋さんに指導してもらってる

今は飛鳥タイプのδが建物の隙間を縫うように飛んでいるのを索敵し続ける、という訓練をしてる



ちなみに「千尋さん」という呼び方になるまで結構大変だった

神姫マスターとしての経験は明らかに違いすぎた……けど、自分の方が年下だという事で千尋さんは呼び捨てでいいと言った

……だけど、その……いくら年下でも一つしか違わないし、今日初めて会った人を呼び捨てにするのもどうかと思って呼んでみたのが「千尋さん」だった……以外としっくりきた

ちゃん付けでも良かったけど……よく見たら千尋さんの性別が分からない

交換してもらったオーナーズカードにも性別の項目は未記入だったし……

こっそりとムルメルティアタイプのαに聞いてみても「こっちが知りたいわ!」と、何故か怒られた……理不尽だ

「結局マスターは、千尋さんが結構かわいいから呼び捨てとかちゃん付けで呼ぶと気恥ずかしいんですよね?」

……クレア……僕の事はいいから、訓練に集中してよ





……ああ、酷い目に遭いました

いつも通り仕事をしていただけなのに、あの赤だるまに冤罪をかけられた挙げ句しこたまドツかれて、ついさっきまで気絶してました

一応手加減はしてくれたのか、衝撃は凄かったけど外傷は見当たりませんし、行動に支障をきたす事はありません

……しかし、いったいどうしてくれましょうか?

……カッ……

……ん? またも嫌な気配が……

テーブルを拭く手を止めて気配のする方向を見ると神姫サイズの足が見えた

そこから視線を上に上げると……まさしくボンキュッボンという表現がピッタリの完璧なプロポーション、素肌を一切晒さないままにボディラインを強調するかのようなボディスーツ、整った顔立ちにキッとつり上がった目

まさしく「格好いい女性」の見本みたいな神姫がそこにいました

コアパーツを見る限り、ヴァッフェバニータイプの神姫みたいです

「食堂で神姫が働いてるって最近噂になってるけど……名前は?」

名前って、私の名前でいいんでしょうか?

「……メリーです」

「メリーちゃん……そう、可愛い名前ね」

「あ、ありがとうございます。……それで、あなたは?」

私の質問にヴァッフェバニーさんはフッと笑うと言いました

「訳有って本名を教えてあげることは出来ないけど、Bって呼んで」

本名を明かせないような理由って、何なんですか?

「ところで、ここで働いてる神姫はもう一人いると報告を受けているのだけど?」

……報告とか、本当にこの人は何者なんですか?

「あ、あっちにいます」

雅さんは厨房ではなく別のテーブルを拭いていたので、そっちを指さしました

「ありがとう、またね」

そう言ってBさんは雅さんの方へ行ってしまいました

向こうでは雅さんが私と同じ様な反応をしていました

……しかしBさん、格好いいなぁ……

……はっ!? まさか、アキラさんは『可愛い女の子』より『格好いい女性』の方が好みのタイプだったりするんでしょうか!?

やはりスタイルがいい方が好みなんでしょうか……そういえばアキラさんはめぐみさんが居る時は、めぐみさんばかり見てるような

もしそうだとしたら……うぅ、MMS3rd-Small素体が恨めしい……



「き、きゃあっ!?」

……今の声は雅さんですか? いつもの感じからして、そんな可愛らしい悲鳴は似合いませんよ……って

見ると、雅さんがロープのようなものでぐるぐる巻きにされて連れ去られようとしているところでした

「んじゃ、この娘連れてくから」

Bさんはシュタッと右手を挙げ、左脇に雅さんを抱え、キラッと歯を輝かせました

「ちょっ、助けなさいよメリー!」

「嫌です」

雅さんが何か言ってる気がしましたがきっと空耳です

助けてほしいのに上から目線だというのが気に食わない訳じゃないです、ホントです

冤罪の恨みを晴らしたいとか、そういうのでもないんです、ホントです



「……んじゃ、メリーちゃんも……っと」

……あれ?

…………私、いつの間に縛られてるんですか?

しかも、なんていうか……この変な縛り方は何なんですか?

「何って……亀甲縛り」

Bさんはサラリと言い放ちました

こんな変態チックな縛り方をされるくらいなら、雅さんみたいな色気のないギャグチックの縛り方の方がマシです!

「じゃあ、行くわよ~」

Bさんは左脇に雅さんを、右脇に私を抱えてお店の奥へと進み始めました

「店長さん、お邪魔しますね~」

「ああ、輝の部屋にでも入ってくれ」

ちょっ! おじさま、ツッコミすら無しですか!?

「今は輝が居ないから、ごゆっくり」

助けてアキラさーん!!



……約一時間後

「……だから、私はそこでフォークを……」

「……あぁ……だからしばらくメリーがフォーク持ってるとビクついてたのね」

「あはははっ! やるじゃんメリーちゃん!」

私たちは自分でも驚くぐらい打ち解けてました

ロープは既に解いて貰っていて、今はガールズトーク中です

お題は「自分のマスター」です

「……あ、そうそう。メリーちゃんにピッタリな話があるんだけど……」

「え? 何ですか?」

「なによ、メリーだけなの?」

「ん~……雅ちゃんでも出来ない事はないけど、やっぱりメリーちゃんがピッタリだわ」

私たちはBさんとのお喋りに夢中です

「マスターをドキドキさせる方法! 特に男の人!」

「それ、どんな内容ですか!?」

私は身を乗り出して聞きに入ります

「……一応、あたしも聞いとこうかな……」

はいはい、ツンデレツンデレ

「それはね……(ゴニョゴニョ)……」

「……ふむふむ」

「……へぇ……確かにメリー向けね」

……良い事を聞きました

「これ貸したげるから、今晩でもやってみたら?」

そう言ってBさんが出してくれた物を受け取り、私は今夜のプランを練り始めました

……アキラさん、首を洗って待っていて下さいね?

「……笑い方が悪役みたいね」

……ほっといて下さい





「教官! 今日は勉強になりました!」

「……クレア、敬礼は右手だよ」

健五さんとクレアさんのやりとりは、まだ初々しさと信頼の境目くらいに感じる

「じゃあ、今日はありがとう。よかったら、また……」

「はい、私がまたこの町に来る機会があった時に」

私と健五さんはお互いに挨拶を交わしてお別れしました

……時間はもう夕方になっていた……なんだか、寂しいような感情が沸き上がってくるなぁ

「……さて総帥、本日の夕食は如何しますか?」

少佐が私に尋ねてきた……そういえば、考えてなかったなぁ

「そういえば先ほど、クレアさんから近くに食堂があると聞きました」

クレアさんと特に仲良くなってた一等兵が進言した

「……そっか、じゃあそこにしよっか」

「では、自分はBとDに連絡を入れておきます」

二人への連絡は大尉に任せて、私は一等兵の案内通りに歩き始めた



……歩き続けて三十分、ようやく見つけた

『明石食堂』か……

……そういえば、最近テレビで見たような気がする……確か神姫がお店で働いてるとか

扉を開けて入ると、中はかなり賑やかだった

「いらっしゃいませ! 一名様ですか?」

メリエンダ型の神姫が出迎えてくれた

「カウンター席へどうぞ!」

案内された所は厨房の様子がよく見えるカウンター席……あ、こひる型が料理してる

私はとりあえず一番角の椅子を選び、トランクケースを足下に置いてから椅子に座った

メニューを見ていると、みんなが出てきて一緒に見始めた

「時間的に……今は夜のメニューですね」

「……総帥、自分はお酒を頂いても宜しいですか?」

「あ、では私も欲しいであります!」

「貴様ら……未成年である総帥に酒を頼めと言っているのか?」

みんなが思い思いの事を話し始める……とりあえず私は決めたけど、みんなは?

「酒のつまみはどうするか……」

「定番の枝豆とかはどうでありますか?」

「おい貴様ら話を聞け、ここはいつもの店とは勝手が違うんだぞ?」

「わたしは総帥の食べる物を少しずつ頂ければそれで……」

……なんでこんな時だけ連帯感が無いんだろ?

「どうぞ」

カウンター越しに、店員さんがお冷やを出してくれた……大学生ぐらいの男性だった

「はい、ありがとうございます」

「……」

その人は私を見て一瞬考え、それから周りのお客さんに聞こえないように私に言いました

「……一人か? 親は?」

……答えにくい事を聞かれたなぁ……

「えっと……」

「……どうした?」

私が答えあぐねていると、厨房の奥から店主らしい人が出てきた

「あ、おやっさん……いやね、この子一人だけなもんで」

おやっさん……ということは、店主さんで良いのかな?

「うん?」

店主さんは私を少し見ただけで、また店員さんに向き直った

「……輝…社会勉強が少しだけ足りないな」

店主さんは店員さん……輝さんにそう言ってから少しだけ間をあけてから続けた

「この子はミッシェルの社長だ……確かに子供だが、そんじょそこらの大人よりしっかりしてるぞ」

「うぇっ!? 社長!?」

……いえ、あの……声が大きいですから

「あー、その、ゆっくりしていってくれ」

……あぁ、なんだか気まずい……

「……あ、あの、注文取ってもらえますか?」

「ああ、分かった」

一通りの注文を取ってもらった……お酒の注文は、絶対に私が口にしないことを約束して出して貰える事になった

足下のトランクケースを引っ張り出して、膝の上に乗せて開ける

今日の商談の書類を横にどけて、その下にあるみんなの私物が入ったケースを取り出す

「えっと、少佐と大尉と曹長はジョッキだったね……で、一等兵はグラスだよね?」

みんなにそれぞれマイジョッキとマイグラスを手渡した

「生ビールお待たせしましたー!」

メリエンダ型でもこひる型でもない声が聞こえた……女性の店員さんかな……って

「……って、総帥!? なんでここに!?」

「……B、いつからここの店員になったの?」


なぜかBがビールを運んできた……いつまで経っても合流しないと思ったら、ここに居たんだ

「Bさん、どうしたんですか?」

Bと私が話しているのを見て、席を案内してくれたメリエンダ型の神姫が来た

「ああ、メリーちゃん。紹介するね、この人があたしのマスターなんだ」

「まあ、この人が? 話で聞いた通りの可愛い人ですね!」

……二人の間で私はどんな風に言われてたんだろう?

「こらメリー、サボってんじゃないわよ」

まるで連鎖反応のように、今度はこひる型の神姫が厨房から出てきた

「サボってません。あ、それより! この人がBさんのマスターなんですよ!」

「へぇ、この人が……確かに、可愛いわね」

……だから、三人の間で私はどんな風に言われてたんだろう? なんだか凄く気になる

「えっと、千尋さん? 初めまして私がメリーです。……で、こっちの赤いのが雅さんです。 それで、あそこにいる人がアキラさんで私たちのマスターです」

「あたしを『赤いの』だけで終わらすなコラァ!」

……えっと、メリエンダ型がメリーさんで、こひる型が雅さんだね?

「じゃあ、あらためて……私がBやこの娘たちのマスターの、高城千尋です」

商談でも畏まった場所でもないからミドルネームは省略しよう……実は最近間に『・M・』を挟むのすら面倒くさくなったし

それに、ミドルネームで呼んでくれる人なんて誰もいないしね

「あ、これは名刺です」

白衣のポケットから名刺入れを出して、一枚ずつ二人に渡した……ちなみにサイズは対神姫用の1/10サイズ

「……ああぁっ!?」

名刺をじっくり見ていたメリーさんが急に声を上げた

「このロゴマーク! 今朝のダンボール箱!」

……ダンボール箱?

「……ああ、どこかで見た事があると思ったら、ミッシェルのロゴマークだったのね……ん? 代表取締役社長!?」

……マスターと同じ反応なんだね、声が大きいよ……

「あ、えっと……すみません」

雅さんはペコリと頭を下げた

「気にしないで下さい……あ、それで、我が社のロゴマークがどうしたんですか?」

「はい、それなんですが……」

メリーさんはそう言うと、カウンターの裏側から畳んだダンボールを持ってきた……確かにミッシェル・サイエンスのロゴマークが描かれてる

「今朝なんですが、このダンボールを被った神姫がお店に入ってきてたんです。千尋さんの会社のダンボールはあまり見かけませんし、何か知りませんか?」

知ってるもなにも……多分、それDだよね?

「その神姫に何かされたの?」

「いえ……ただ写真を撮られました」

……確実にDだね……

「……ん? 写真って、これ?」

Bがポケットから携帯通信機を取り出して、画像データを呼び出してメリーさんに見せた……今朝見てたやつだね

「あ! これです!……あれ?なんでBさんが持ってるんですか?」

「ん~……今ここには居ないけど、Dっていう私たちの仲間から送られてきたよ? ほら、その時のメール」

Bは次に今朝Dから送られてきたメールをメリーさんに見せた

「なによ、なんて書いて……」

雅さんがメリーさんの横からのぞき込み、途中で言葉を詰まらせました

「……『P.S 抹茶ヂェリーウマー』……」

……

…………

………………

……なんだか、凄く嫌な沈黙だなぁ……

心なしかほかのお客さんたちの声が遠く感じるような……

……ああ、少佐たちはもう食べ始めちゃってるよ……

「……み・や・び・さん?」

メリーさんから背筋がゾッとするような声が聞こえた

「め、メリー?」

「ああ、良いんですよ謝らなくても。私も非常に貴重な体験を出来ましたから……冤罪をかけられたうえにしこたま殴られるなんて……ね?」

「わ、悪かったわよ……その……」

……私は当事者じゃないけど、怖い……

「ほらぁ、そーすいも飲むでありますぅ!」

「だから総帥は未成年だと言っているだろう」

「……この迫力、このボリューム……たかがメザシ1匹でも神姫にすれば人間から見た本マグロ1匹分程の大きさになる……これだから神姫は辞められない……」

「サバ味噌美味しいです、なう」

お願いみんな、空気読んで!

「だから謝らないで下さいって~……ボッコボコにされた事なんて、私全然気にしてませんから~」

「いや、だから悪かったわよ……」

……あの、今って忙しい時間のはずじゃ……

ほら、輝さんも店主さんも忙しそうに働いてるし……

「大丈夫ですってば……あぁ痛かった」

「だからごめんって言ってるじゃないの!」

「はぁ!? 言うに事欠いて逆ギレですか! そうですかそういう態度ですか!」

二人が喧嘩を始めちゃった……どうしよう?

「……全く、困った神姫たちですね」

……D、いつの間に帰ってきたか知らないけど、きみのせいなんだからね?

……あとで、しっかり謝ろう……









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