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 第八話 「ボヌールからの挑戦状 前編」




 テレビで紹介されてからというもの、ちょくちょく遠方からのお客が増えてうれしい反面、前よりも少し忙しい。
 まったく忙しいったらない。だが休んでいてはいかん。お客のニーズに合わせたものを作る精神が必要だ。
 「で、これは何よ?」
 「あ? ネバネバ丼だよ。ちょっと作ってみた」
 オクラと納豆などをご飯にのせたもの。それがネバネバ丼だ。ヘルシーで健康にいい。
 「そんなの知ってるわよ。なんでこんなの作ったのよ」
 「人の心を読むんじゃない。ってのは置いといて、まあ何だ、新しいメニューでも考えてみようかと……このオクラ、とろろ、納豆の絶妙なコンボが」
 そう言ったら、雅がしゃもじでどんぶりをひとすくいして、そいつを俺の口めがけて投げ込んできやがった。
 「もがっ!?」
 「余計なことすんじゃないわよ! 材料の無駄でしょうが!」
 「っが……ぺっぺっ、何すんだ! おめーも無駄にしてんだろうが!」
 「あんたほどじゃないわよ!」
 そんな言い合いをしていたら、
 「……アキラさん? 雅さんにご飯食べさせてもらっているんですか?」
 メリーまで会話に加わってきた。
 「いや、そんなんじゃな……って何そのしゃもじ付き棒!? もごっ! もぐっ!」
 「雅さんがいいんですか!? 私じゃダメなんですか!?」
 ハイライトの消えた瞳でこちらを見上げながらそれを口に突き込んでくるメリー。
 「ちょっと、輝さん、周りの人が……」
 健五が止めに入ってくれたおかげで助かった。
 「げほっ、げふっ。助かったぞ」
 「せっかくお客さん増えたんだから、しっかりしなくちゃ」
 健五の言うとおりで、まだ昼前なのに何人か客がいる。幸い、今のコントはあまり気にしていないようだったけども。
 「でもよ雅、新しいものを作ろうとする精神は買ってくれよ。同じメニューだけじゃなくて、違うものに挑戦することも大事だぞ」
 「ふん。だったらまず自分の腕を磨きなさいよ。いきなり新しいものなんて出来ないでしょ」
 そんなことを言った雅。
 「あ、そうだ」
 あることに気付いた俺は、近くの棚から雑誌を一冊引っ張り出す。
 「ほら、見てみろよ。どこだって工夫してんだろ?」
 俺が出したのは主に東京近辺の情報が書いてあるグルメ雑誌だ。
 「ふ~ん」
 「あ、ほら、フレンチのお店だって」
 「美味しそうです」
 「ビストロ・デュ・ボヌール……銀座のお店ですね」
 「輝さん、こういうの作れないの?」
 「んー、滅多にやらねえからなあ」
 カウンターでわいわいそんな話をしていたら、一人客が入ってきた。


 「フム、ここデスか」


 灰色のソフト帽を目深に被った背の高い男で、辺りをきょろきょろ見回している。
 「いらっしゃいませ。お席は……」
 メリーが応対すると、そいつはこちらに気付いた。
 「オー、本当に神姫が接客をしているのデスね」
 「はい。もしかして、テレビをご覧になったのですか?」
 「ウィ。非常に興味深かったデスよ、……オーナーのムッシュ明石に、そしてシマヅ君」
 「え? 俺?」
 「オット、申し遅れマシた。ワタシ、アンリと申しマス。ヨロシク、シマヅ君」
 そう言うとそいつは帽子を脱ぐ。途端に、「キャーっ!」と女性客から歓声が上がった。あ、手を振って応えたりなんかしてやがる。
 「あれ、この人って……ほら、ここ!」
 健五が指さした雑誌のページには、目の前の男の写真が。
 「なになに……高級フランス料理の店、ビストロ・デュ・ボヌールの若き天才……アンリ・シャルダン、か」
 「フフフ」
 「で、用件は?」
 するとアンリは俺を指さした。

 「焦らないでくだサイ。今日は……アナタ方に挑戦しに来たのデスよ、シマヅ君」

 「「挑戦!?」」
 俺たちの声が重なる。
 「ウィ。以前にテレビでここを紹介しているのを見マシた。それからというもの、ワタシは自分の興味を抑えられなくなってしまったのデス。それで、ここに来たというわけデスよ」
 「へえ、銀座のシェフに目ぇ付けられるなんて、光栄だな」
 「ちょっとアキラ、あんた勝負する気!?」
 「ああ。こんなの滅多にねえだろ」
 雅の心配もなんのそのだ。雑誌に載るほどの腕を持つ奴となら、是非勝負してみたい。
 「フフ、受けてくれマスか」
 「勿論だ。なんなら今からでもいいぜ。何で勝負する?」
 フレンチにはあまり自信は無いが、そうでないならこっちだってやれるはずだ。
 「ワタシが挑戦するのは……」
 ごくり、と一同に緊張が走るのが分かった。







 「バトルロンドの勝負デス!」
 「……はい?」






 アンリの言葉の意味を理解するのに、数秒ほどかかった。
 「どうしマシた?」
 「……いや、っておい! 料理で勝負するんじゃねえのかよ!」
 てっきり料理で対決することになるのかと思っていたのに、意外すぎる答えだ。
 しかも目の前の野郎は腹を抱えて笑い始めた。
 「ハッハッハッ! そのようなジョーク、アントレにもなりまセンよ」
 前菜にもならないってか。
 「キュイジーヌ(料理)の勝負なら、わざわざこんな所まで来まセン。アナタ方の実力では、ワタシの足下にも及びまセンからね」
 「んだと!」
 「何ですって!?」
 だが、アンリは俺たちの憤りなど無視して説明を続ける。
 「出てきなサイ、ソレイユ」
 そう呼びかけると、スーツの胸ポケットから青い髪の神姫が現れて、肩に乗った。
 「プロキシマだ……」
 健五が驚くと、アンリはにやっと笑う。
 「ワタシもアナタと同じ、シェフの道を志しながら神姫を連れていマス。ならば、どちらが上か試したくナルものではありまセンか?」
 「……よく分かんねえ理屈だが」
 「それトモ降りマスか?ま、それも良い判断でショウがね。どちらにしろ、アナタ方は勝てな……」


 「やるわよ」
 「受けます、勝負」


 答えたのはメリーと雅、二人ともだった。
 「ここまでコケにされて、だまっていられるもんですか」
 「これ以上、アキラさんを侮辱するのは許しませんよ」
 二人がアンリとそのパートナーを睨み付ける。
 「って、あたしが勝負するのよ」
 「いいえ、私です。雅さんは戦ったら腰が疲労してぽっきりいっちゃいますから、引っ込んでて下さい」
 「あんたが戦ったらただでさえ薄い胸が削れてなくなっちゃうでしょうが」
 「何ですか? あのフランス人より先にあなたを潰してさしあげましょうか?」
 「上等じゃないの」
 「いや、その気迫をあいつらにぶつけてくれよ?」
 何だろう。ちょっと頼もしく見えたのに悲しくなっちまったよ。
 「フムフム、どうしマスか? ソレイユ」
 すると、ソレイユとかいうプロキシマは前髪をさらっとかき上げて、とんでもないことを抜かした。


 「ふっ……いいんじゃないか? なら、タッグマッチにすれば良い」


 「「タッグマッチ!?」」
 「そうさ。それなら、彼女らの願いも一度に叶うだろう?」
 「フム、良い考えデスね」
 「ふっ……僕はいつでも女性の味方だからね、このくらいは当然さ」
 ウインクをするソレイユ。近くで雅が「寒っ」と言ったのが聞こえた。
 「でも、タッグマッチならもう一人神姫がいなくちゃならないですよね?」
 クレアが疑問を口にすると、
 「心配いらないよ、お嬢さん。僕にはもう一人仲間がいる。彼女を加えれば丁度五分だよ」
 クレアにもウインクをするソレイユ。クレア、頬を染めるな。そいつも女だぞ。
 「どうだい? 勝負、するかな?」
 「……いいわよ、やってやろうじゃない」
 「不本意ですが、いいでしょう」
 「フフフ、では決まりデスね。今日カラ一週間後の土曜日に、新宿の神姫センターで十一時に会いまショウ」
 「ああ、いいぜ。大口叩いた事を後悔させてやるよ」
 俺がそう言うと、アンリは背を向けて出て行こうとする。
 去り際に、ソレイユが「では御機嫌よう、美しいお嬢さん方」と残していった。
 「寒っ」また雅はそう言ったのだった。




 ※※※




 「何なのよあいつ!」
 昼をとっくに過ぎてからも、まだ雅は苛立っていた。
 コンロの近くに据えられたミニ脚立の上で地団駄を踏む。
 「好き放題言って! 見てなさいよ!」
 「その辺にしとけよ。ハンバーグ吹っ飛ばしちまうぞ」
 「~~っっ! だって……っ! 悔しいじゃない」
 箸を手放して、小さな手を握りしめる雅。
 「ああこら、焦げるじゃねえか……ほら」
 人参を切る手を止めて、フライパンの上のハンバーグを箸でひっくり返す。
 「苛つくのも分かるけどよ、ほどほどにしといてくれよな」
 「あんたはどうなのよ!? あんな……あんなこと言われて悔しくないの!?」
 「そりゃ悔しいさ。でも、それで料理が不味くなるのはいけねえよ。それに」
 「何?」
 「お前が一緒に怒ってくれたから、少しはマシかな」
 「ふえっ!?」
 すると雅はどういう訳か顔を真っ赤にした。
 「なっ……ち、違うわよ! あんたじゃなくて、お、おじいさまの味が悪く言われたから……っ、誰があんたなんかのために! 自意識過剰よっっ!」
 「んあ? 俺は、お前がじじいのために怒ってくれたから」
 「!? ……こ……ここっ、こ、このっ、バカぁぁーっ!」
 「痛ってええっ! 何でつねるんだよ!?」
 何故だかメリーがジト目でこっちを見ているし。
 一方、向かいのテーブルでは。




 「なるほど、そんなことが」
 帰ってきたおやっさんを交えて会議が行われていた。
 「そうなんですよ。良いんですか?」
 「何がだい?」
 「え、だって……問題になったりしないんですか?」
 「いやいや、何も問題じゃないさ。お互いにぶつかり合って何かを生み出すのは、とても大切なことだよ」
 「……?」
 「まあ、どうなるかはまだ分からないさ。僕らが口を出せることじゃない」
 「はあ……」





 ※※※






 健五達が帰った後、直也に電話をかけてみた。ちょっと気になることがあったからだ。
 「……OK、プロキシマのことは大体分かった。あとは……タッグマッチなんだけどな」
 『タッグマッチ?』
 「ああ。オーナー二人じゃなくてよ、一人のオーナーが二体の神姫を操る形式なんだけど」
 『バカ言ってんなよ。まず無理だ。お前も分かってるだろーけどよ、神姫一体だけだって指揮すんのけっこうムズイだろ。それを二体なんてよ……いや、確か双姫主とかいうのがあったか』
 「双姫主……ああ、あれか?」
 『そうそう。二体の神姫を同時に操れるってやつな。でも普通のやつにはできっこねえよ。よっぽど戦闘中の状況が見えるやつじゃねえとな……で、何でそんなん聞いたんだよ?』
 「いや、まあ参考までにな」
 『はあ?』
 「んじゃ、またな」
 少し無理矢理に電話を切った。なるほど、双姫主か。
 あのアンリとかいうやつは、わざわざ難易度の高いタッグマッチを選んできた。と言う事は、懸念されることが一つ。
 もしかしたら、あいつは『双姫主』かもしれないということだ。
 だが、それでびびってはいられない。
 「じゃ、あとで調整でもしますかねー……っと」
 そろそろ店が忙しくなる頃だ。






 ※※※





 さて、問題の土曜日がやって来た。
 俺たちは少し早くセンターに着くと、いろいろチェックする。
 「おっ、新型発表だってよ、健五」
 「バイク型……?」
 新宿ともなればさすがに規模が違う。オーナーの人数も近所のゲーセンとは比べものにならないし、品揃えも豊富だ。
 そんなこんなで時間を潰して、近づいてきた十一時。
 俺たちもそろそろゲームコーナーに移動する。




 「フフ、御機嫌ヨウ」
 ゲームコーナーの入り口で、遅れてやって来たアンリと対峙する。
 「待ってたぜ」
 「見てなさいよ、こてんぱんにしてやるんだから!」
 カバンから雅とメリーがぴょこんと顔を出す。
 「フフ、楽しみデスね。では、早速始めまショウか」
 アンリに案内され、俺たちはゲームコーナーの奥へと向かう。
 途中からアンリの容姿に惹かれたのか、ギャラリーが集まってきた。
 「輝さん、大丈夫なの?」
 「何、負けやしねえよ」
 小声でそんなことを言いつつ着いたのは、タッグ用の大きな筐体だった。
 「ここで試合をしマス。よろしいデスね?」
 「ああ、負けて吠え面かくなよ」
 フフン、と笑うアンリと別れ、筐体のシートにつく。
 今回はバーチャルバトルのため、ICカードを差し込んでから二人をアクセスポッドに送る。そうしてから、二人が使う武装をメインボードにセット。
 しばらくしてアンリ側の準備が整ったようで、今回のステージが決定される。
 ランダム選択された今回のステージは……『大都市』だった。




 「大都市かよ……」
 俺は心の中で舌打ちした。
 この大都市というステージは、タッグマッチ専用のものだ。
 その名に違わぬ広大なステージで、大まかな構成は中央の川を挟んで東西に高層ビル群が広がる、というものだ。
 高速道路や立体交差もあり、人が暮らす都市とそう大差は無い。
 俺がこのステージを苦手とする理由は、普段一人でバトルするときに見かけないからというのもあるが、他にもう一つあった。
 それはこのステージ独特のギミックがあるからなんだが……。
 「アキラさん」
 考え事をしていると、筐体に転送されたメリーから通信があった。
 「そろそろ戦闘です」
 「お、おう。二人とも気をつけろよ。こっちは向こうの神姫を一人しか知らないから、情報面では向こうにアドバンテージがある」
 「ふん。どんなのが来たってぶっ飛ばしてやるわよ」
 そう言うと雅は一人で歩道を駆け出した。
 「あ、待て雅。まずは足並みを揃えてからだな……」
 だが、その必要は無かった。




 「見つけたよ、お嬢さん」



 交差点にさしかかった所で、頭上からいきなり四足の獣が駆けてきた。
 「!?」
 四階建てくらいのビルの上を飛んできたそいつは、前足で雅の肩を押さえつけると、前方のデパートの壁へと突っ込んだ。
 「雅!」
 激しい振動と共に雅の体が叩きつけられ、瓦礫と粉塵が舞う。
 「ふっ……注意が足りないよ」
 四足形態になったソレイユだ。背中のユニットにはプロキシマの装備には無い、アーンヴァルのブースターがあった。
 「くっ……」
 なおも雅を壁にぎりぎりと押しつけるソレイユに、メリーが銃口を向ける。
 だが、その時。




 「よそ見してていいのですかぁ?」




 「ひゃあっ!?」
 突然、メリーの背中に触手が張り付いて持ち上げられる。
 「ふ~ん。あなた、なかなか可愛い顔してるですね」
 どこから現れたのか、メリーを顔の高さまで持ち上げてじっくり眺めるそいつは―。
 「マリーセレス……!」
 プロキシマと同時期に発売された神姫、マリーセレスだった。
 「ふんふん。可愛い神姫は……いじめたくなっちゃうです」
 そう言うとマリーセレスは、メリーを車道めがけて……投げた。



 この大都市ステージ特有のギミック。
 それは、車が走行しているということだ。
 この車は車種や出現のタイミングまでランダムで、途中にある信号や交差点で止まったり動いたりを繰り返す。そして、走行中の車の、屋根以外の場所に接触するとダメージ判定がある。地上での動きは制限されると言っていい。



 かくして、投げ飛ばされたメリーは、横から走ってきたワンボックスの正面に激突した。



 「メリーーっ!」
 そう叫んだ俺の目の前で、はね飛ばされたメリーは車道の隅に落ち、ヒットポイントを示すゲージが三割ほど削られる。
 「あれー。もう終わりですか~? まだまだこれからですよ?」
 首をかしげるマリーセレスの視線の先には、ぴくりとも動かないメリーが。
 「ふっ……ノワール、少しやり過ぎじゃないかい?」
 「そうですか?」
 ノワールと呼ばれたマリーセレスは、さらにメリーを追い詰めるべく近寄る。
 「おーい、スプーンさーん。もう終わり……」



 「いったいわねー」
 「痛いですねえ」



 メリー、雅が同時にしゃべったのは、その時だった。
 「ぶぐっ!?」
 雅がソレイユの顔面を右足で蹴り上げ、ソレイユは顔を押さえて後ずさる。
 「くきゃ!?」
 投げられたフォークが、ノワールの触手に突き刺さり、一本がちぎれ飛ぶ。
 そして、二人が立ち上がった。



 「ったく、やってくれんじゃないの」
 埃を手で払って、腿の箸を引き抜く。
 「ふ……ふふっ、お嬢さん、僕の……顔に、傷をっ……!」
 「うるさい。あたしの名前は雅よ。文句があんならかかってきなさい」


 「ふふん。やっとやる気になってくれたです?」
 「はい。それはもう」
 ふらふらしながらも、残ったもう一本のスプーンを取り出す。
 「嬉しいです~。これからスプーンさんも、わたしの触手の虜に……」
 「残念ですが、なりません。それに、私にはメリーっていう大事な名前があります」


 鋭い目つきで、箸とスプーンを、それぞれの相手へと突きつける。
 「「いざ……勝負!」」





~次回予告~
白熱するメリー・雅VSソレイユ・ノワールのタッグバトル!
新型機を相手に、二人の力は通用するのか!?
「手ぇ貸しなさいよ、メリー」 「嫌です」
次回、 第九話 ボヌールからの挑戦状 後編 お楽しみに!

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