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キズナのキセキ

ACT1-7「聖女のルーツ その1」




 火曜日。
 『ポーラスター』で花村さんと話した翌々日、俺は早起きをして電車に乗り込んでいた。
 今日は遠出である。
 目的地は、I県のM市。
 電車で二県もまたいで行かなくてはならない。俺もはじめて行く土地だ。
 ほとんど小旅行であるが、大学はすでに入試期間中ということで休み。気楽な学生だからこそ出来る、平日の小旅行だった。
 だが、俺の気持ちはそう気楽ではない。
 M市は大学のキャンパスが集まっており、学生の街になっている。
 桐島あおいが通っている女子大学もM市にある。
 今日の目的地は、その女子大学の周辺……M市の駅周辺にあるゲームセンターである。

 一昨日の花村さんの話で、俺にはどうしても引っかかっていることがあった。
 桐島あおいが、なぜ心変わりしたのか。
 バトルの面白さを追求していた彼女が、勝利のみを追求するようになった。
 自らの神姫・ルミナスを失ったことが最大の原因であるだろう。
 しかし、それだけだろうか。
 菜々子さんをはじめ、他のプレイヤーにも、勝敗だけでないバトルの面白さ、奥深さを指導していた人だ。自らの矜持を簡単に変えられるものなのか。
 頼子さんや花村さんの話を聞いても、安易な復讐に走る人物とも思えない。

 桐島あおいが豹変とも言える心変わりをした理由。
 それは、引っ越しをした先の状況にも原因があるのではないか。
 また、そこに行けば、桐島あおいの当時の状況を知る人物に会えるかも知れない。
 そう考えた俺は、平日の小旅行を決行したのだった。

 ティアはアパートで留守番だ。
 今日は日帰りの予定である。神姫を連れていて、バトルをふっかけられてはたまらない。
 俺は一人、電車に揺られている。



 M市に着いた。
 都合三時間……俺は電車に乗り疲れていた。
 M駅前は、地方都市の拠点駅として、それなりに栄えているようだった。
 駅のロータリーを中心に、道路が放射状に伸びている。
 桐島あおいが通う女子大学は、ここからバスを使う。しかし、キャンパス周辺は何もない。バトルロンドをするために来るとしたら、この駅周辺のはずだ。

 事前に周辺のバトルロンド事情を調べたが、めぼしい情報は得られなかった。
 なぜなのか。
 普通、ネットで調べれば、バトルロンドが盛んなゲームセンターの名前が一つや二つは出てくるものである。対戦が盛んであることをサイトで大きく宣伝している店もある。M駅ほどの大きな駅前で、学生が多く集まる場所なら、なおさらだ。
 ところが、M駅周辺のバトルロンド情報はほとんどなかった。
 それが少し気になっている。
 だが、商店街のアーケードに出れば、ゲームセンターの一つも見つかるだろう。
 駅の規模からすれば、二つ三つあってもおかしくはないのだ。
 俺は前向きに考えることにして、駅の周囲の散策をはじめた。

 ゲームセンターはアーケードの途中ですぐに見つかった。
 三フロア構成の、それなりに大きな店だ。
 フロア案内を見ると、三階にビデオゲームとバトルロンドのコーナーがあると書いてある。
 俺は迷わず、三階へと向かう。
 大学が近いせいか、俺と同年代の客が多い。
 だが、彼らは皆、他のゲームに興じていて、神姫も連れていなかった。
 さらに奥へと進むと、ようやくバトルロンドの筐体が見えてきた。
 置かれているのは二台。この規模のゲームセンターからすれば、とても少ない。
 バトルロンドは今や日本中を席巻する人気ゲームだから、一フロアがすべてバトルロンドコーナーというゲーセンも珍しくはない。
 しかも、ここではあまり対戦が盛り上がっている様子ではなかった。常連とおぼしき人たちが、細々と対戦をしている印象である。
 なぜこうも盛り上がっていないんだろう?
 俺は首を傾げながら、辺りを見回す。
 車座になって話をしている、俺と同年代くらいの三人組を見つけた。
 神姫も連れているし、ここの常連みたいだ。
 彼らに話を聞いてみよう。

「ちょっとすみません」

 俺はつとめて丁寧に話しかけた。
 すると、三人は、じろりと俺を睨んだ。いぶかしげな視線。明らかに警戒している。
 男たちの一人が口を開いた。

「なんだ? 何か用か」
「すみません……ちょっと教えてもらいたいことがありまして」
「なんだよ」

 あまり機嫌は良くなさそうだが、話は聞いてもらえそうだ。
 俺は今日の用件を切り出した。

「あの……桐島あおい、という神姫マスターをご存じですか?」

 瞬間、男たちの顔がこわばった。
 どこか気怠げでめんどくさそうな雰囲気も吹き飛ばし、表情がみるみる険悪なものに変わってゆく。
 空気に危うい緊張が満ちた。
 なんだ。俺は今、何か気に障るようなことを言ったか?

「てめぇ……あの女の知り合いか」
「いや、会ったこともない……」
「ざっけんな! 知り合いでもねぇ奴が、かぎまわったりしねぇだろが!」

 連中の神姫も、俺の方を睨んでいる。
 桐島あおいという名前は、ここでは鬼門だったらしい。
 俺は三人の男に囲まれ、逃げ場を失った。

「おい、桐島はどこだよ」
「……俺が知りたい」
「しらばっくれてんじゃねぇぞ!? あの女のせいで、ここいらのバトルロンドは廃れちまったんだ!」

 ……いったい何をしたんだよ、桐島あおいは。
 いよいよ俺が追いつめられ、男の一人が胸ぐらを掴んでこようとしたその時、

「そこまでにしときな、あんたたち」

 えらく男前な女性の声が割って入ってくれた。
 三人は声の方を振り向いて、

「あ、姐さん……」
「でもよ、こいつ、あの女のこと知ってやがって……」
「だったら、その人はあたしの客だね」

 姐さんは、細身で背が高く、目つきの鋭い、若い女性だった。ロゴ入りのエプロンをしている。店員だろうか。
 彼女のきつい視線に、三人組も及び腰になっている。

「あんたたちみたいのが先走ってヤバいから、彼女がらみの話はあたしに通すってことになってるだろ? 知らないとは言わせないよ。それが守れないんなら、店から出てっとくれ」

 凛として譲らない姐さんの態度に、三人の男たちは渋々俺を解放した。
 俺は首を傾げながら、姐さんと呼ばれた人の前に立った。
 俺と同じくらいの背がある。女性の中ではかなり高いはずだ。

「助けてもらってすみません」
「いいよ。こっちこそ、うちの常連が世話をかけてすまなかったね」

 俺が頭を下げると、さばさばした様子でそう言う。

「うちの、というと、あなたはここのお店の方ですか?」
「そう。ただのバイトだけど」
「ええと……俺はとおの……」
「ああ、名乗んなくていい。あたしも名乗る気はない。必要な話だけしたら、とっととお帰り」

 と、姐さんはとりつく島もない。めんどくさそうな顔をして、ひらひらと手を振った。
 俺は少し面食らいながらも、姐さんに尋ねた。

「それじゃ……桐島あおいという神姫マスターを知っていますか?」
「知っている。このあたりじゃ有名だね、悪い意味で。あんまり大きな声でその名を口にしない方がいい」
「なぜです?」
「彼女に復讐したいと思ってる奴はごまんといる。名前が出ただけで、無用なトラブルになる。だから、それを避けるために、あたしが窓口になってるのさ」

 店員だからね、と姐さんは付け加えた。
 なるほど、店にしてみれば、そんなことでいちいちトラブルを起こされていてはたまらない、というわけだ。
 それにしても、そこまで言われる桐島あおいは、いったい何をしたというのだろう。

「なら、桐島あおいがどうして自分の神姫を失い、その後どうしてマグダレーナのマスターになったのか、知ってますか」

 姐さんは大きく目を見開いて、俺を見た。

「変な男だね……そんなことを尋ねたのは、あんたが初めてだよ」
「ご存じなんですか? だったら教えてもらえませんか」
「なんだって、そんなことが知りたいんだい?」
「彼女についての情報が足りない。もしかすると、彼女の過去がマグダレーナ攻略の糸口になるかも知れないからです」

 姐さんは俺をじっと見つめた。俺は視線を逸らさずに、姐さんと対峙する。
 時間にしてほんの数秒だったろう。
 姐さんは視線を逸らすと、ため息をつくように言った。

「まったく……そんな眼であたしを見るんじゃないよ」
「はあ……すみません」
「出会った頃のあの子にそっくりさ……あの子もそんなまっすぐな眼をしていた」
「桐島あおいが……」
「……いいだろう、話してやるよ。すべてを知ってるわけじゃないけどね……あの女がここで何をしたのか……」

 姐さん横を向き、店の奥に視線を投げた。
 どこか懐かしむような表情で、姐さんは話し始めた。

「……二年前の春だったね……あの子とは、この店で会ったのさ」


 このゲームセンターも、二年前はバトルロンド全盛だった。
 今遠野がいる三階すべてがバトルロンド筐体で埋まっていた。M市ではもっとも対戦が盛んなゲームセンターとして評判だった。
 桐島あおいは、近くの女子大生。今年の新入生だという。もちろん、バトルロンド目当てでこの店にやってきた。
 姐さんは、会ったときから、桐島あおいを好ましく思っていた。
 明るく、性格もよく、優しい。
 ただ、姐さんが気がかりだったのは、その優しさがバトルロンドでは弱みになるのではないか、ということだった。

 M市でもバトルロンドは盛んだが、バトルスタイルは『ポーラスター』と大きく違っていた。
 ここでのバトルは勝敗が最優先。バトルの内容など二の次だった。
 あおいの主張は、嘲笑をもって聞き流された。
 ここでは、勝者の言葉のみが力を持つ。バトルの面白さや華麗さなど、負け犬の戯言と思われていた。
 ルミナスは弱いわけではなかった。しかし、重装備の神姫たちばかりの中にあっては、自らの長所を活かしきれず、なかなか勝つことは出来なかった。
 自らの主張を通すためには、勝たなくてはならない。
 厳しい現実に直面したあおいは、強くなろうと必死に努力した。
 しかし、通い始めて一ヶ月の成績は、下位に甘んじていた。



「見ていて痛々しいくらいだったよ。自分のスタイルを崩さず、装備や戦い方を模索しながら、強くなろうとする姿はさ……」

 姐さんは寂しそうにそう言う。

「どうしても強くなりたいって、彼女はそう言ってた。そうじゃなきゃ、地元にいる仲間たちに顔向け出来ないって。笑いながら必死で頑張るあの子を、痛々しいと思いながらも、あたしは尊敬していたんだ」



 しかし、六月になっても、あおいとルミナスは勝てなかった。
 ゲームセンターの常連たちは、あおいを見下すようになった。彼女をからかいながら、彼女のバトルスタイルを否定しながら、面白半分でバトルするようになった。

「華麗だの、面白さだの、そんなのは負け犬の戯言なんだよ! 強い奴がエラいんだよ。わかるか? 悔しかったら勝ってみな! そしたら、お前の言うことに耳を貸してやるよ」

 このゲームセンターで一番の実力者だった男は、そう言って嗤いながら、あおいをなじった。そして、あおいとルミナスを、対戦でいびり続けた。
 あおいはだんだん笑わなくなった。

 七月になる頃、あおいが裏バトルに参戦すると言いだした。
 M市の裏バトルは規模が大きく、近隣の神姫センターやゲームセンターの常連もよく顔を出している。
 神姫マスターの間では、神姫センターでの大会に勝つよりも、裏バトルでランクを上げる方が実力を認められる、とまことしやかに囁かれている。
 この街では、裏バトルの存在は公然の秘密だった。

 姐さんは止めた。あおいはそんなところに縁のないマスターであるはずだ。
 姐さんは、ここの常連どもにはない、彼女の純粋さや優しさを気に入っていた。
 しかし、あおいは首を振った。

「わたしの実家の方にね、コンビを組んでいた子がいるの。わたしをお姉さんのように慕ってくれている……その彼女がすごく実力を付けてきているのよ。わたしはもっと強くならないといけない。あの子の姉でいるために」

 あおいの決意は固いようだった。
 確かに、裏バトルで勝てばファイトマネーは入ってくるし、一般では流通していない強力な武装も手に入る。
 だが、姐さんは不安を拭えなかった。だから、あおいに付き添って、裏バトル会場へと向かった。

 事件が起きたのは、三度目の裏バトル参戦の時だった。
 あおいは二度の戦いで、いずれも辛勝していた。
 改造パーツを売る露店で、めぼしい装備を見つけたりもしていた。
 このまま実力を付けていくのでは、と姐さんも思っていた。
 しかし、その日の対戦相手は、あのゲームセンターで一番の神姫マスターだった。
 彼の神姫は、原形を留めないほどにカスタマイズされたストラーフ型。マスター同様、残忍な性格で知られていた。

 今思えば、先の二度の勝利も、バトルを盛り上げるために仕組まれていたのかも知れない。
 三度目の裏バトルはリアルバトルだった。
 神姫破壊も辞さないリアルバトルは、あおいも初めての経験だったという。
 断ることは許されない裏バトルのマッチメイク。あおいは否応無くバトルに挑むことになった。

 結果は一方的だった。
 もともと実力に差がある上に、リアルバトルの経験があおいには全くない。
 ルミナスが傷つくたびに、あおいは動揺した。
 そして、相手のストラーフは、ルミナスをなぶるように料理していった。
 武装を一つ一つ破壊し、四肢に銃弾を撃ち込み、苦しみに転げ回るルミナスを足蹴にする。

「お願い、もうやめて! もう勝負はついているでしょう!?」

 あおいは泣き叫びながら許しを乞う。
 しかし、相手の男はゲラゲラと嗤いながら、あおいの言葉を無視した。
 相手だけではない。
 あおいとルミナスの様子を、すべての観客が笑い物にしていた。
 おもちゃの神姫に本気で泣き叫んでいるバカな女、と嘲笑っていた。
 相手のストラーフが、ルミナスを足で押さえつけたまま、手にしたバズーカ砲の先端をルミナスの背に押しつけた。
 もはやルミナスは動く気配もない。

「やめてーーーーーーっ!!」

 あおいの叫びが会場内を響きわたった瞬間。
 ルミナスは四散した。

 裏バトル会場は、残虐ショーのクライマックスに、熱狂のるつぼと化していた。
 その中心にいながら、あおいの心は絶望に塗りつぶされ、誰の声も届かなかった。


 姐さんは、そこで少し言葉を切った。口元が少し震えている。俺が想像するよりも凄惨な内容だったのかも知れない。
 それにしてもやりきれない話だ。
 桐島あおいが強くなりたかった理由……それは菜々子さんを導く存在であり続けたいためだったとは。
 そして焦った結果、愛する神姫を失ってしまったのだ。
 裏バトルの様子は俺も初めて聞くが……反吐が出る。参加するマスターも観客も最低だ。

「で……あの子はもう呆然としたまま動けなくなっちまって……あたしがアパートまで送り届けたんだ。
 ルミナスの修理は無理だって思ったけど、それでも残骸を集めて、あの子に渡した。
もしかしたら、もう神姫マスターとして復活できないかも……もう会うこともないかも知れない、そう思った」

 姐さんは険しい表情のまま、続きを話してくれた。
 その時のことは、彼女にとってもつらい思い出なのだろう。

「だけど、三日後……あの子はマグダレーナって名前の新しい神姫と一緒に、店に来た」
「え!?」

 俺は驚きのあまり、姐さんの話を遮った。

「待ってください。たった三日で、新しい神姫を連れてきたって言うんですか?」
「そうさ。あたしもおかしいとは思ったけど……そのあとの彼女は、どこか……いや、何もかもがおかしかった。別人みたいになっちまってたんだ」

 姐さんはため息を一つつく。
 そんなばかな。
 あれほどに神姫を愛した桐島あおいが、たった三日で新しい神姫を迎えられるものなのか?
 しかも、負け続けたゲームセンターに、平気な顔で現れるというのは……普通に考えればあり得ない。
 気がつくと、姐さんは俺を見ていた。どうやら俺は少し考えに沈んでいたようだ。
 続きを促すように、俺は頷いた。










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