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 第三話 「箸とスプーンとおしゃべり子猫」



 「……春だなあ」
 「そうですね」
 「もう少しでGWも終わりだな~」
 「そうですね」
 「しかし朝は暇だなあ」
 「……そうですね」
 「こんなに暇なら明日まで手伝い延長しちゃおうかな~」
 「って、なんでですか!」


 僕、水野健五は箒を床に叩きつけました。
 「なんだよ、別にいーだろ?」
 「昨日一日って約束だったじゃないですか!」
 僕は正直疲れていました。思ったよりもお店の仕事が辛かったのです。朝から掃き掃除に拭き掃除、お昼は注文を取ったりやらなんやら。
 おまけに輝さんがなにかと僕に仕事をやらせたがるのです。そのせいで、昨日までのはずだった手伝いを今日もやるはめに。
 「いやあでもさ、なんだかんだ助かってるぜ? うちは人手足りねえし」
 「でも……」
 「クレアを見てみろ。文句一つ垂れねーで、偉いねえ全く」
 「ありがとうございます!」
 僕の神姫、クレアも一緒に手伝いをしていました。神姫がいると手の届かないところまできれいにできるそうで、分からないことは輝さんの神姫が教えてくれています。
 「いいですか、雑巾はこう、内角を狙ってえぐりこむように……」
 クレアに仕事を教えてくれるのは、輝さんの神姫で名前はメリーといいます。普段はお掃除や注文をとるのを担当している神姫で、あんな細くて小さい体のどこにそんな力があるのかと思うくらい、凄く強い神姫です。
 「わあ、凄いです! マスター! これも特訓なんですよ! 雑巾のお仕事は肩と腰の筋肉を鍛えるそうです!」
 「神姫は機械なんだから筋肉関係ないでしょ。……っていうか、誰に教わったのそれ」
 「輝さんとメリーさんですよ! いやぁ~本当に凄い方々です」
 「……はあ」
 昨日からずっとこんな調子で、僕は夕方まで手伝いをさせられているのでした。


 でも悪いことばかりでは無く、分かったこともいくつかあります。
 「おっ、おはよう。今日も来てくれたのかい。ありがとうね」
 今奥から出てきた人はこのお店のご主人で、明石京介さんといいます。
 輝さんはおやっさんと呼んでいますが、そんなに年を取っているようには見えません。
 輝さんとはどういう関係なのか聞いてみたら、笑ってごまかされてしまいました。ちなみに輝さんにも聞いてみたら、そんなことはいいからとお皿洗いをやらされました。……なので、未だに謎のままです。
 あと、このお店にはもう一人、料理を作る神姫がいるのです。
 「あー、人が多いってのは仕事が楽でいいねえ。じゃあ、俺は今のうちにレポートでも仕上げて……」
 そう言って立ち上がろうとした輝さんの頭に、後ろからすりこぎが振り下ろされてごつんと音を立てました。
 「ぐわっ!」
 「アンタ何サボってんのよ!」
 今輝さんを殴った赤い神姫は、輝さんのもう一人の神姫で雅という名前です。お昼ぐらいになると明石さんと料理を作っています。
 黒い髪が綺麗なこひる型の神姫なのですが、ちょっと怒りっぽいです。
 「痛ぇ~。……てめえ雅!何しやがる!」
 「何じゃないわよ! ちょっとは働きなさいよこのあんぽんたん! そんなんだから料理の腕も何もかもダメダメなんじゃないの!」
 「うっ……うるせーよ!」
 輝さんが暇なときに何もしてないのは分かるけど、料理はおいしいと思うのです。どうしてそこも怒られるんだろうなと思いました。
 でも大変です。昨日から手伝いをして分かったのですが、この状況はよろしくないです。なぜかと言うと……。


 「アキラさん! 大丈夫ですか!」
 掃除をしていたメリーさんが、いきなりロケットみたいに飛び出していきました。
 「まあ、大変……。まったく、物で叩くなんてどこの野蛮な神姫さんでしょう。顔が見てみたいですね」
 「ちょっと何よ。あたしのこと?」
 「あらぁ? 誰もあなただとは言ってませんよ? それとも何か心当たりがあるのかしら? 教えて下さらない? 粗野で短気な雅さん」
 「……あんた、喧嘩売ってんの?」
 「とんでもない。あなたと喧嘩をする暇があるなら、雅さんが大事にとっておいた抹茶ヂェリーをこっそり飲んだほうがまだ有効に時間を使っているというものです。ああ美味しかった」
 「へえ~。……何してくれとんじゃあんたはぁ!」
 とうとう雅がすりこぎを振り回して暴れ始めました。メリーはそれをひょいひょい避けています。
 「おい雅! 調理道具で遊ぶんじゃねえどぅほおっ!」
 「きゃあ! どうしましょう、このままだとあの赤だるまにアキラさんが殺されてしまいます!」
 「だったら避けるなこの貧乳神姫!」
 「ひっ……!? い、言ってはならない事をっ!」
 メリーがついにフライ返しを持ち出して応戦しはじめました。……この二人は顔を合わせるたびに喧嘩ばかりしています。口げんかならまだ良いんですけど、輝さんが絡むと毎回大事になるので大変です。
 「おおおっ……これが修羅場っていうものですね! 二人の女が一人の男の愛をかけて戦う……この前見たドラマと一緒ですよマスター!」
 「どうしてクレアはそう感化されやすいんだい! ……明石さん! 止めて下さいよ!」
 こうは言ってみるものの、明石さんはいつもニコニコして見ているだけなのです。
 「大丈夫だよ。それより輝、ちょっと及川さんのところまでお使いに行ってくれないか?」
 明石さんの言葉に、今までカウンターに死んだようにつっぷしていた輝さんが顔を上げました。
 「……めぐみさんのとこですか?」
 「ああ、丁度頼んでいた魚があると思うんだ。輝だけじゃなんだし、健五君も一緒に受け取りに行ってくれるかな?」
 「行くぞ健五」
 「あっ、待ってよ輝さん」
 輝さんは妙に急いで出て行きます。
 僕がそのあとを追いかけていく間も、二人の喧嘩は止みませんでした。


 ※※※


 輝さんは相変わらず急ぎ足で商店街のアーケードを歩いて行きます。
 「輝さん速いよ……。これからどこ行くの?」
 「魚屋だよ。うちでちょっとひいきにさせてもらっててな。あそこの魚はうめえぞ」
 「へえ」
 三百メートルほど歩いたでしょうか、その魚屋さんらしいお店が見えてきました。
 「魚のおいかわ」というお店で、沢山魚が並んでいます。お店の前には女の人が一人いました。
 「こんちわっす、めぐみさん」
 「あら、輝じゃん。どしたのさ、こんな早く」
 どうやら女の人はめぐみさんというらしいです。笑うと白い歯が光って、すごい美人だなと思いました。
 「おやっさんからお使い頼まれたんで……」
 「ああ、あれか。ちょっと待ってなよ。いや、最近は漁獲量も減っててさ……」
 「ホントっすか? どうなるんすかね……」
 めぐみさんは話しながら何か用意しているみたいです。なんだかしゃべり方もさばさばしていて、ちょっとかっこいいです。
 僕は待っている間、魚がいろいろあって面白いなと思ってあれこれ見ていたのですが、その時、何かがレジの上で寝ているのに気がつきました。
 「ん?」
 キーの上ですやすや寝息をたてているそれは、良く見るとマオチャオ型の神姫でした。しっぽが同じ間隔でゆらゆら揺れていて、見ていると面白いです。
 「ん、ふにゃ」
 あ、起きたみたい。
 「みや? きみはだあれ?」
 「あ、僕は……」
 僕が名乗ろうとしたときです。
 「あのねあのね、みやこ昨日お姉ちゃんとテレビを見たの」
 「え?」
 「それでね、むかしの番組をやっててね、まんまるで青いロボットさんがでてきたのみや」
 「えっと」
 「それでねそれでね、そのロボットさんは、未来の世界の猫型ロボットって言ってたのみや! みやことおんなじ猫なのみや! でもでも、ロボットさんは二十二世紀生まれって言ってたから、みやこよりも年上なのみや! でもでもでも、お姉ちゃんとお話ししたら、あれは昔のロボットさんだって言ってて、だからみやこの方がお姉さんで、あれ? みやこがロボットさんよりもお姉さんで、だけどロボットさんは二十二世紀のロボットさんで、それでみやこは三年前に起動して、それで……ぷしゅー」
 「うわあっ!?」
 みやこというらしいマオチャオはひとしきりしゃべった後、頭から煙を吹き出してしまいました。
 どうしたら良いのかと思っていると、
 「みやこーっ!」と、めぐみさんがすっ飛んで来ました。
 「みやこぉ~! 大丈夫か~?」
 「お、お姉ちゃん。大丈夫みや。みやこちょっと考えすぎちゃったのみや」
 「ああ、みやこ! あんたはどうしてそんなに健気なのぉ~!」
 めぐみさんはみやこにずっとほおずりしています。さっきまでのさっぱりした感じはどこへ行ったのかと思うくらいにデレデレです。
 「あ、あの……」
 「っは! ……あはは、ごめんねー」ちろっと舌を出して笑うめぐみさん。
 「あたしったらこの子のことになると周りが見えなくなっちゃってさ。……ところで君は? 輝の知り合いかな?」
 「あ、はい、水野健五っていいます。……そのマオチャオ、及川さんの神姫だったんですね」
 「めぐみでいいよ。あと、この子はみやこって言うの。みやこ、挨拶なさい」
 「みや! みやこなのみや! けんちゃん、よろしくみや!」
 あはは。いつの間にかニックネームが付けられていました。



 めぐみさんは、魚が沢山詰まった発泡スチロールの箱と、手のひらぐらいの大きさの紙の袋をくれました。
 「ほんじゃこのへんで帰るか。じゃあまたよろしく、めぐみさん」
 「おう、また来なよ」
 「またねー」
 帰り際にめぐみさんとみやこが手を振ってくれました。
 「いい人達でしたね」
 「ああ。……やっぱ綺麗だよなぁ」
 「え?」
 輝さんが何か言ったみたいでしたが、最後の方は小さくて聞こえませんでした。なんか顔もちょっとだけ赤いです。
 「な、なんでもねーよ」
 どうしたというのでしょう。僕にはよく分かりませんでした。


 ※※※



 「戻ったぞ-」
 お店に戻ってみると、さっきとは打って変わって静かでした。メリーはクレアと黙々とテーブルを磨いています。雅はぶすっとした顔でお味噌汁をかき混ぜていました。その隣で明石さんは大きな赤い肉を切っていました。
 「やあ、お帰り。輝、カレーの仕込みをするから手伝ってくれないか」
 「あ、はい。っと、ちょっと待っててください」輝さんは荷物を置くと、めぐみさんがくれた紙袋を開きました。
 「おい、雅」
 「……何よ」
 「これ。めぐみさんがくれたぞ」
 そう言って取り出したのは、薄緑色に光る小さなボトルでした。
 「あ。それ……」
 「抹茶ヂェリー。好きだろお前」
 輝さんはそれを雅に手渡すと、軽く頭を下げました。
 「悪かったな。ちょっとサボりすぎたかもしれねー」
 「……ふ、ふん。分かれば良いのよ。分かったらさっさと京介さんの事手伝いなさい」
 「おう。あと、メリー」
 「あ、あたしもほら、ちょっとだけ言い過ぎたかなって……ってちょっとアキラ! 聞きなさいよ!」
 輝さんはもうメリーに話しかけています。
 「どうしました? アキラさん」
 「さっきは心配してくれたんだろ? それは嬉しいんだが、喧嘩はいけねえ。分かったか?」
 「……まあ、アキラさんがそこまでおっしゃるなら」
 「ありがとよ。あとこれ、めぐみさんがお前にって作ってくれたぞ」
 「え? ……わあっ! かわいい!」
 輝さんが手渡したのは小さなクマのぬいぐるみでした。
 「みやこの分も作ったからお前の分もってさ。大事にしろよ」
 「はい!」
 メリーは満面の笑みで答えたのでした。
 「さあ、あと三十分で開店だ。準備しようじゃないか」
 明石さんの一言に、みんなが頷きます。
 「はい!」
 さあ、これからが大変です。お昼を食べに来るお客さんが、いっぱい来るのですから。




 「……はい、じゃあ健五君はこのへんで。今日もありがとうね。はいこれ」
 「……はは」
 六時くらいになってから、僕たちはようやく解放されます。今日は明石さんが大根を持たせてくれました。
 「また明日も来いよ。楽しい楽しい雑用とかやらせてやるから」
 「やりませんよ。さっき怒られたのにまだ懲りてないんですか」
 輝さんとそんなやりとりを交わしながら帰りの支度をします。
 「じゃあ帰ろうか、クレア」
 「はい。皆さん、今日もお世話になりました」クレアは丁寧にお辞儀をします。
 「こちらこそ。またいらしてくださいね」
 「良かったらまた来なさい」
 「仕事がしたかったらいつでも来いよ」
 「はは……」
 いろいろ思うところがありましたが、とりあえずお店を出ました。
 外はもう夕日で真っ赤に染まっています。
 「早く帰って宿題やらないとな。お手伝いばっかりでぜんぜん進まないや。輝さんったらひどいんだから」
 「……でも、マスターってばお手伝いの時凄く楽しそうでしたよ」
 「え?」
 クレアはニコニコ笑っています。
 「こんなに活き活きしたマスター、あたし久しぶりに見ました」
 「……そうかな」
 「はい」
 ……知らず知らずのうちに、あのお店の空気に毒されてしまっていたのかも知れません。
 でも。
 「さっ、早く帰ろう」
 それでいて、また行っても良いかなと思う僕がいるのでした。



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