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 ……奥様の朝は、早い。

「んー……、ぅ」
 まだ薄暗く、静かな寝室の中、小さな影がゆっくりと起き上がる。
「ふぁ……ぁ」
 その影……物語に出てくる妖精のように小さな少女は、眠気を振り払うかのように軽く伸びをすると、隣で未だに睡眠を貪っている男の顔に静かに近づいていく。
「……おはようございます。兄さま」
 彼の額に、軽く触れるだけの口づけ。その時の少女は、とても幸せそうな顔をしていた。
「さて……っと」
 スミレはほんわりとはにかんだ顔から、気を引き締めてキリリとした表情になると、傍らに置いてある円盤型半重力ソーサーに乗り、ふよふよとドアへ向かう。
「………」
 だが、何故かドアの前でピタリと停止する。ふよふよと上下したり、うろうろとドアノブの周囲を飛んだりしている。
「ドアが……開けられないです」

 ……午前5時。旦那はただドアを開けるだけの為に、妻に叩き起される羽目になった。


第一話 『奥様は神姫』


 ~Aパート~

「ごめんなさい兄さま、こんな事で起こしてしまって……」
 勇人の協力(ドアを開けてもらうだけ)を得て、何とか目的地のキッチンまで移動した後、平謝りするスミレ。
「いやしょうがないさ。それよりもコレからはスミレが困らないように、何か手段を考えないとな」
「そうですね。毎回兄さまを起こしていては、申し訳ありませんから……」
 更にしゅんとなるスミレ。
「それよりも、兄さまは寝室にお戻りください。起床の時間になったら、私が起こしに行きますから」
「でもキッチンに来たって事は、何かやることがあるんだろ? だったら俺も手伝って……」
「駄目です。兄さまにはこのあとお仕事がございます。ちゃんとお休みになられませんと」
「でもなぁ……」
「むー。キッチンは、女の戦場なんです!」
 ピシャリと言い放つと、ソーサーで勇人の前を激しく飛び回って、あっという間にキッチンから追い立ててしまう。
「――さて……っと」
 彼を追い出した後、気合を入れ直してから行動を開始するスミレ。
 ソーサーに既に結び付けてあるフック付の紐を取り出して、まるで捕り物でもするかのように紐をヒュンヒュンと振り回す。
「――――狙いを付けてっ。てやっ!」
 勢いよく投擲されたフック付の紐は見事に冷蔵庫の取っ手に命中し、くるくると巻きついて固定される。
「回転しなきゃいけないドアは無理だったけど、冷蔵庫なら問題……無しですよねっ」
 そのままソーサーで思い切り引っ張り、冷蔵庫のドアをなんとか開かせる。
「ふぅ……この身体だと、ちょっとの事でも大変です」
 紐を回収してから、冷蔵庫の中に突入するスミレ。
「流石に同時に作るのは無理だから、お弁当は冷凍食品メインになるけど……私の愛が篭ってるんだからいいんです」   誰に言ってるのか、1人ごちながら冷蔵庫の中身を確認し、使う食材をソーサーのカゴに放り込んでいく。
「朝はベーコンエッグを焼いて……ライ麦パンを焼いて……あとは」
 ……彼女はまだ、気づかない。冷蔵庫のドアは全開にしておかないと、自重でドアが閉まっていく事に。

 『バタン』

「……え?」
 突然冷蔵庫の中の明かりが消え、真っ暗になる。
「もしかして……ドア閉まっちゃった?」
 その通り。
「どうしよう……兄さまにまた助けを……。うぅん、何時も頼ってばっかりじゃ駄目。なんとか自力で脱出してみせるのよ!」
 ……暫し沈黙。
「よしっ、強行突破ですっ!」
 そう言うと、彼女はソーサーを最大速度で突進させる。

 『ゴッチーン!』

「はわーっ!?」
 スミレの目に火花が散り、激痛が走る。
「あたた……。こっちは壁でしたか……今度こそっ」

 『ゴッチーン!』

 再び盛大な音が、密閉された冷蔵庫の中に響き渡る。
「うぅ……こっちも壁。それじゃあ……もう一度っ!」
 ……彼女が魔窟となった冷蔵庫から脱出できたのは、それから20分後だった。



「うぅ、無駄に時間を浪費してしまいました」
 システムキッチンの上で、ぐったりとしているスミレ。
 その淡く美しいすみれ色の髪や、扇情的だが凛とした雰囲気も併せ持つ藍色のボンテージ風の服には、割れた卵の黄身や白身がベットリとこびりつきいて、悲惨な事になってしまっている。
 そしてその横には壮絶な死闘の結果、なんとか確保した食材。……更にその奥には、大量の元食材と化したものが積み上げられていた。冷蔵庫の中は……語るまでもない。
「あ! 早く兄さまの朝食とお弁当をお作りしないと……!」
 勢いよく立ち上がるスミレ。……当然と言うか、全身ぬるぬるなので。
「ひゃわっ!?」
 ツルツルの床と合わさって、見事に転倒する。
「あぅぅ……、こんな事で挫けていられません。全ては兄さまの為に、ですっ」
 痛む腰を摩ってから、今度は慎重に立ち上がり、食材を移動し始める。
「最初はお弁当で……確かどれも自然解凍で大丈夫な食品の筈でしたから、お弁当箱に入れていって……と」
 そう呟きながら、ファンシーなデザインのお弁当箱に、既に小分けになっている冷凍食品たちを詰め込んでいく。
 ……小さな少女が重い食材を一生懸命運ぶ姿は、お弁当作りと言うよりも巨大な積み木遊びか、日曜大工といった肉体労働の光景に近い。
「ふぅ、これでよしっと。あとはご飯を詰め込んで……」
 炊飯器の蓋を開け、大きめのスプーンを両手にかかえるようにして、ご飯を弁当箱に詰め込んでいく。
「よいしょ……っと。あとは桜でんぶを……」
 敷き詰めたご飯の上に、桜でんぶをまぶしていく。勿論、新婚夫婦のお約束(?)たるハートマーク型だ。
「ちょっと歪んじゃったけど……OKっと。兄さま、喜んでくれるかしら。あとは……」
 今度は海苔を細かく切って、でんぶの上へ器用に飾り付けていく。その文字は……
「える、おー、ぶい、いー……完成っ」
 そそくさと弁当の蓋を閉め、女の子らしい花柄のナフキンで包む。――愛情表現、此処に極まれり。

「……っと、次は朝ご飯の仕度ですね」
 そう言うと彼女は、小ぶりな1人前サイズのフライパンを冷蔵庫の時と同様にソーサーで引っ張っていき、IHコンロにセットする。
「火加減は中で……。まずはベーコンを」
 ベーコンをまるで布団を敷くみたいに、フライパンの上にどさっと広げる。
 やがて、ジュージューと小気味よく油の弾ける音と、食欲を誘う香ばしい香りがキッチンに充満していく。
「よし、そろそろかな……卵を、よいしょ……っ」
 身体を丸めたらスミレ自身がすっぽりと入ってしまいそうなほど大きな卵を抱え上げ、よたよたとふらつきながらもフライパンに接近する。
「てやっ」
 フライパンのフチに卵を叩きつけ、ヒビを入れる。
「ここまではなんとか……。あとはちゃんとまぁるい目玉焼きにしなくては、妻としての名が廃ります!」
 今にも中身が溢れ出しそうな卵を抑えながら、気合を入れるスミレ。
「いきますっ!」
 一度限りの真剣勝負!
 彼女は勢いよく卵を解き放ち、フライパンに投入する。
「でき……、ぁ、あっ!?」
 重量物を抱えていた彼女。急に変化した重心に対応しきれず、前のめりに体勢を崩す。そして……
「にゃわっ!? あつっ、ぬるっ!? にゃあぁぁっ!?」
 ……トーストが焼きあがったのは、それから30分後だった。


 ――結局、スミレの事が気になってしまい寝直せなかった勇人。
 そもそも時々キッチンの方からスミレの悲鳴らしき声が聞こえてくるのだから、気にならない筈はない。だがスミレの自尊心を傷つけない為にも、あえて心を鬼にして様子を見に行かず、寝室でずっと待っていたのだ。
「――おはようございます。兄さま」
「おは…………お、おはよう。スミレ」
 そんな彼の前に現れたスミレの姿に、思わず絶句する勇人。
 朝からみるにはやや刺激の強い扇情的なポンテージルックには、謎の白い白濁とした液体やら黄色いドロリとした半固形の何かにまみれている。
 更に酷いのは、綺麗なすみれ色の髪がアフロに爆発していて、何やら焦げくさい臭いまで漂ってきている。
「あ……この格好、ですか。気にしたら負けです兄さま」
 明らかな誤魔化し笑いをするスミレ。鈍い勇人にも、キッチンで何か壮絶な出来事があった事くらいは容易に想像できる。
「……むしろ気にしない方が女の子として負けじゃないか、それ」
「ガーン」
 全身でorzを体現するスミレ。
「そ、そんな事より朝食の準備が出来ていますから、食べてくださいね兄さま」
「……うーん」
「兄さま?」
「いらない」
「そ、そんな……私、兄さまの為に一生懸命……」
「スミレが綺麗になってくれるまで、朝食はとらない。それに昨日も言ったろ、ご飯は2人で食べるから美味しいんだって」
 それまで無理をしていたスミレの表情が、花が咲くようにぱぁっと華やかなものになる。
「兄さま……大好きっ!」
「ちょっ、わっ、スミレっ!?」
 勇人の顔におもいっきりダイブして押し倒すスミレ。溢れ出る愛情をキスに込めて、飽きることなく、何度も何度も繰り返す。
 ……結局スミレが綺麗になったのは、それから30分後の事だった。


「「いただきます」」
 2人の声が、綺麗に調和する。
「うん。美味い」
「うふふ、ありがとうございます」
 もぐもぐと美味しそうに朝食をとる勇人と、自分もパンの欠片をかじりながら、その彼を嬉しそうな顔で見ているスミレ。
 幸せな光景だったが、隼人がベーコンエッグに手を付けようとすると、スミレの表情がすっと曇る。
「ん、どうしたスミレ?」
「いえ、なんでもありません……何でもありませんよ?」
 照れているのか、それとも困惑しているのか、彼女はなんとも形容しがたい表情をしている。
「ふむ……」
 恐る恐る、ベーコンエッグを口に入れる。
「……うん、美味いよ」
「…………神姫っぽくないですか?」
「は?」
「いえ、神姫っぽい味がしないかなって……」
 目が点になる勇人。一体何を言っているのだろうか、彼女は。
「あはは、何でもないです。忘れてください兄さま。
 ……あ。ほら、こっちのトマトサラダは自信作なんですよ!」
「まぁ美味しいけど……スライスしてあるだけじゃ」
「あうぅ。そんな事言う兄さま、嫌いです」
 頬をリスみたいに膨らませて、ぷーっとむくれるスミレ。
「ははは、悪かったよ。……どうしたら許してくれるのかな?」
 スミレのぷにぷにの頬を、指先でつつく勇人。
「あうあう……。兄さまったらいたずらして。でもそうですね……
 また、キスしてくれたら、許してあげちゃいます。ダメ、ですか?」
 つぶらで愛らしい瞳が、勇人を愛しげに見つめている。勇人はそのお願いを断る術を持たなかった。いや、必要すらなかった。
「……スミレ」
「兄さま……」
 そして、2人の想いが重なる。
 一瞬とも、永遠とも想える、幸福な時間が過ぎていく。

「……あーっ! 兄さま時間っ。大変ですよ遅刻しちゃいます!!!」
 そんな2人を現実に引き戻したのは、スミレの悲鳴にも似た叫びだった。
「あ、もう8時回ってるのか……」
 思えば色々とトラブルの結果、ずるずると時間が押されてしまっていた。当然と言えば当然のこの展開。
「兄さま早く準備してくださいっ。今日は1限目から講師の予定があると仰っていましたし」
「あー……忘れてた」
「もうっ、しっかりしてください。そんな事じゃ生徒の人たちに笑われちゃいますよ」
「そうだな。気づいてくれてありがとうな、スミレ」
 暖かい表情で、スミレの頭をくしゃっと撫でる勇人。
「あん……兄さまの為ですもの。気になさらないでください」
「――それじゃ、行ってくるよ。今日の晩御飯も期待してるからな、奥様」
「はい。――いってらっしゃいませ、旦那様」
 そうして勇人は、今日も仕事と言う名の戦場へと旅立っていくのであった。











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