アスカ・シンカロン07
~辛渦~
翼が風を切り大空を駆ける。
機体の軽い飛鳥は、前を行くアーンヴァルに容易に追いつき、その頭を押さえた。
機体の軽い飛鳥は、前を行くアーンヴァルに容易に追いつき、その頭を押さえた。
「……ッ!!」
重たいレーザー砲を保持している天使型神姫は、最大速度では飛鳥を上回る物の、そこに到るまでが長い。
軽く、加速性に長ける飛鳥に短距離では敵う筈が無いのだ。
軽く、加速性に長ける飛鳥に短距離では敵う筈が無いのだ。
「……こうなったら!!」
思い切り良く死加重となっているレーザー砲を捨て、SMGによる中距離射撃にシフトするが、元来、砲撃戦を主眼に据えたアーンヴァルにとって所詮、中距離射撃は副事物だ。
元より、その距離以内での戦いを想定している飛鳥に性能面での圧倒的なアドバンテージがあった。
元より、その距離以内での戦いを想定している飛鳥に性能面での圧倒的なアドバンテージがあった。
「撃っちゃうんだよ~」
アッサリと背後に回りこみ、腕と一体化している重機関銃で掃射。
被弾数発で、装甲の薄い天使型は火を吹いて墜落していった。
被弾数発で、装甲の薄い天使型は火を吹いて墜落していった。
「次が来てるぜ!! 四時方向下、ウェスペリオーだ!!」
北斗の声に反応し明日香は、アーンヴァルはおろかエウクランテにすら不可能な旋回半径で反転。上下からのドッグファイトに持ち込んだ。
こうなれば鈍足のウエスペリオーに勝ち目は無い。
元より対地戦闘を目的とした攻撃ヘリ的な特性を持つ神姫だ。
レシプロ機とジェット機の良い所取りな飛鳥に空中戦では勝てる道理が無い。
数瞬の交錯で撃墜。
最初に爆撃で屠ったフォートブラッグとあわせ、スコアは3。
こうなれば鈍足のウエスペリオーに勝ち目は無い。
元より対地戦闘を目的とした攻撃ヘリ的な特性を持つ神姫だ。
レシプロ機とジェット機の良い所取りな飛鳥に空中戦では勝てる道理が無い。
数瞬の交錯で撃墜。
最初に爆撃で屠ったフォートブラッグとあわせ、スコアは3。
飛輪(プロペラ)と朱鷺(スラスター)を駆使する飛鳥型は、機動性能においてあらゆる航空神姫に優越する。
その代償として索敵やFCSに難を持つのだが、それはマスターとの連携でいくらでも補える物だ。
互いの呼吸を熟知している二人にとって、それを行うのはさほど難しくも無い。
更に、回数限定とは言え、圧倒的な攻撃力を持つ投下爆弾をも装備する飛鳥の潜在ポテンシャルは極めて高い。
電子戦方面をマスターが上手く支援する限り、飛鳥は最も優秀な航空神姫だと言っても過言では無いだろう。
その代償として索敵やFCSに難を持つのだが、それはマスターとの連携でいくらでも補える物だ。
互いの呼吸を熟知している二人にとって、それを行うのはさほど難しくも無い。
更に、回数限定とは言え、圧倒的な攻撃力を持つ投下爆弾をも装備する飛鳥の潜在ポテンシャルは極めて高い。
電子戦方面をマスターが上手く支援する限り、飛鳥は最も優秀な航空神姫だと言っても過言では無いだろう。
「いい調子だな、とても初陣とは思えないぜ」
「どうしたら良いのかは、大体分るんだよ」
「どうしたら良いのかは、大体分るんだよ」
神姫としての機能を持つ以上、バトルも当然可能だった。
そして、マスターとの連携が最も重要で、それさえクリアできれば性能面での優勢が約束されている飛鳥という神姫に、物心ついて以来ずっと一緒に過ごしてきた幼馴染の人格だ。
明日香が弱いはずが無かった。
そして、マスターとの連携が最も重要で、それさえクリアできれば性能面での優勢が約束されている飛鳥という神姫に、物心ついて以来ずっと一緒に過ごしてきた幼馴染の人格だ。
明日香が弱いはずが無かった。
「え~い」
気の抜ける掛け声だが、やっている事は大小3つの機関銃での集中攻撃。
弾幕のシャワーに穿たれ、必死にガードしていたグラップラップがよろめく。
流石に頑丈だが、撃墜まで後一歩。
そこに。
弾幕のシャワーに穿たれ、必死にガードしていたグラップラップがよろめく。
流石に頑丈だが、撃墜まで後一歩。
そこに。
「……」
白い閃光が飛び込んできた。
「!?」
反射的に上昇し、距離を取る明日香の眼下で、白いストラーフカスタムがグラップラップを解体してゆく。
腕に直付けされたチーグルで、グラップラップの特徴的なマニュピレータを掴むとそのまま本体にフロントキック。
頑丈な腕が逆に災いし、逃しようの無いダメージが腹部に入る。
腕に直付けされたチーグルで、グラップラップの特徴的なマニュピレータを掴むとそのまま本体にフロントキック。
頑丈な腕が逆に災いし、逃しようの無いダメージが腹部に入る。
「……」
一撃、二撃、三撃。
そこまで耐え、引き千切れた副腕を撒き散らして吹き飛ぶ重機型。
オブジェクトとして設置されていたビルに激突し、半ばめり込む形で停止。
それが剥がれ落ちるより前に、白い悪魔型の追撃として抜き手が入る。
そこまで耐え、引き千切れた副腕を撒き散らして吹き飛ぶ重機型。
オブジェクトとして設置されていたビルに激突し、半ばめり込む形で停止。
それが剥がれ落ちるより前に、白い悪魔型の追撃として抜き手が入る。
「……北斗ちゃん、アレって……」
「……」
「……」
白い悪魔型の神姫。
それは。
それは。
「確か、夜宵の……」
北斗がその正体を言い終えるより早く、悪魔型が飛び掛って来る。
その背には天使コマンド型のブースター。
パワーのみならず、機動性にも優れる設計なのだろう。
充分な高度を取っていなかった明日香の高さまで容易に昇ってくる白い神姫。
翼下の機銃で掃射するが、それすら意に介さず、振るわれる爪。
その背には天使コマンド型のブースター。
パワーのみならず、機動性にも優れる設計なのだろう。
充分な高度を取っていなかった明日香の高さまで容易に昇ってくる白い神姫。
翼下の機銃で掃射するが、それすら意に介さず、振るわれる爪。
「……ッ!!」
咄嗟にガードした腕部機銃を掴むように振るわれた腕が、そのまま明日香の片腕をもぎ取ってゆく。
「明日香!!」
「大丈夫!!」
「大丈夫!!」
北斗に答え、朱鷺に点火し更に高度を取る明日香。
しかし、ストラーフの跳躍はそれよりも早く。
―――高かった。
しかし、ストラーフの跳躍はそれよりも早く。
―――高かった。
「……しまっ……!!」
僅かに身を引くが間に合わず、胸部から抉るような一撃がまともに入る。
脆弱な胸部装甲は一撃で全壊。ダメージ大と見なされ明日香の敗北が宣言された。
が。
逆に言えば、装甲が脆弱ゆえに助かったと言えなくも、無い。
脆弱な胸部装甲は一撃で全壊。ダメージ大と見なされ明日香の敗北が宣言された。
が。
逆に言えば、装甲が脆弱ゆえに助かったと言えなくも、無い。
もしも。
ボディを掴まれ、白い悪魔型と同時に墜落していたら……。
その先の想像は、あまり考えたくない。
その先の想像は、あまり考えたくない。
明日香がこの神姫とどうやって繋がっているのか分らない以上。
神姫としての機能が停止してしまった場合。
神姫としての機能が停止してしまった場合。
明日香はどうなるのか。
北斗に答えは無かった。
殺ると決めたら即実行。
弥涼さんのヤンデレっぷりにご期待下さい(笑)。
弥涼さんのヤンデレっぷりにご期待下さい(笑)。
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