アスカ・シンカロン05
~深卦~
飛鳥を買ったあの骨董屋は、結局見つからなかった。
神姫センターで調べたパソコンショップや、携帯で調べた骨董屋にも足を伸ばしてみたが、その何れも昨日の店とは違っていた。
骨董屋の店主達に尋ねても、この街で骨董品を取り扱っている店はその3店だけの筈だという解答。
神姫センターで調べたパソコンショップや、携帯で調べた骨董屋にも足を伸ばしてみたが、その何れも昨日の店とは違っていた。
骨董屋の店主達に尋ねても、この街で骨董品を取り扱っている店はその3店だけの筈だという解答。
「よーするに、あの店は綺麗さっぱり消えちまった。と」
これで飛鳥とこの手書きの説明書が消えてしまえば、北斗の見た夢だった。で済むのだが、そのどちらも消えずに残っている。
「つまり、少なくとも夢じゃ無ぇ……」
小さく呟き、北斗は虚空を睨む。
飛鳥を買った骨董屋が見つからないとは言え、今、件の武装神姫はこうして同じ部屋の中にいる。
そして、その魂(ナカミ)は自殺した幼馴染、弥涼明日香なのだ。
飛鳥を買った骨董屋が見つからないとは言え、今、件の武装神姫はこうして同じ部屋の中にいる。
そして、その魂(ナカミ)は自殺した幼馴染、弥涼明日香なのだ。
「……って事は、だ―――」
そして、北斗はその結論に……。
「―――どういう事だ?」
辿り着かなかった。
……だって馬鹿だもの。
……だって馬鹿だもの。
「え~っと、多分なにか不思議な事が起きてるんだと思うんだよ」
「おお、そんな感じだ、そんな感じ」
「おお、そんな感じだ、そんな感じ」
結論としては何も分からないも同然だが、分からない事が分かっただけでも前進である。
「んでぇ~、これから如何しようか?」
「う~ん」
「う~ん」
二人で顔を突き合わせて首を捻る。
「とりあえず、こうやって生き返った(?)のが偶然かどうか分からないけれど、その原因がお前の自殺に関係しているかもしれないよな」
「う~ん。そう言われてもぉ……。そもそも、自殺した覚えも、自殺するつもりも無かったんだよ」
「そう言えばお前、神姫になる前の記憶は何処まであるんだ?」
「え~?」
「う~ん。そう言われてもぉ……。そもそも、自殺した覚えも、自殺するつもりも無かったんだよ」
「そう言えばお前、神姫になる前の記憶は何処まであるんだ?」
「え~?」
くきっ、と首を傾げる明日香。
「例えば、お前が死んだ日の朝の記憶とかは?」
「その日の朝に、何かあったっけ?」
「え~と。……いや、何も無かったな」
「それじゃあ分からないんだよ」
「う~ん」
「その日の朝に、何かあったっけ?」
「え~と。……いや、何も無かったな」
「それじゃあ分からないんだよ」
「う~ん」
弥涼明日香が自殺したのは学校の屋上。
死亡推定時刻は深夜零時の一時間ほど前、凡そ11時の前後10分程度の間と検死の結果が出ていた。
即ち、22時50分から23時10分までの20分。
その何処かでフェンスを乗り越え裏庭へ転落し、死亡した筈である。
死亡推定時刻は深夜零時の一時間ほど前、凡そ11時の前後10分程度の間と検死の結果が出ていた。
即ち、22時50分から23時10分までの20分。
その何処かでフェンスを乗り越え裏庭へ転落し、死亡した筈である。
「つまり、その夜に見ていたTVは覚えてるんだな?」
「うん。夜10時の芸能人撲殺クイズで、吾妻玲二がエレンさんにボディブロー喰らって吐いたのは覚えてるんだよ」
「それって、お前が死ぬ直前じゃねぇか」
「うん。夜10時の芸能人撲殺クイズで、吾妻玲二がエレンさんにボディブロー喰らって吐いたのは覚えてるんだよ」
「それって、お前が死ぬ直前じゃねぇか」
仮に、23時10分に死んだのだとしても、番組が終わってから即、家を出て学校に向かっても間に合わない。
「学校まで20分は掛かるからなぁ……」
番組が終わるのは22時55分ごろ。
そこから学校まで歩くと23時15分。
そこから学校まで歩くと23時15分。
「…って、死亡推定時時刻からはみ出ちまう」
「自転車使った、とかは?」
「自転車が学校に乗り捨てられてれば、誰だって気付くだろうが」
「自転車使った、とかは?」
「自転車が学校に乗り捨てられてれば、誰だって気付くだろうが」
乗り手の居なくなった明日香の自転車は、今も涼影家の駐輪場に停めてある。
「う~ん。謎だね~ぇ」
「って言うか、自殺直前にバラエティ見てんじゃねぇよ」
「そういわれても~、その時には死ぬ気は無かったんだよ。その後、何かあったのかもしれないけど、全~然覚えてないんだよ」
「だよなぁ。……って言うか、絶対自殺するタイプじゃねぇよな、お前」
「それは分からないよぉ~。何かショックな事があったのかもしれないんだよ」
「例えば?」
「………………。………………。………………………………。………………………………………………えへへ」
「って言うか、自殺直前にバラエティ見てんじゃねぇよ」
「そういわれても~、その時には死ぬ気は無かったんだよ。その後、何かあったのかもしれないけど、全~然覚えてないんだよ」
「だよなぁ。……って言うか、絶対自殺するタイプじゃねぇよな、お前」
「それは分からないよぉ~。何かショックな事があったのかもしれないんだよ」
「例えば?」
「………………。………………。………………………………。………………………………………………えへへ」
思いつかないらしい。
「はぁ……、結局何も分からず終い、か……」
「北斗ちゃん、元々頭脳労働向きじゃないもんねぇ~」
「ああそうだよ、馬鹿だよ悪いか悪いんだな畜生、頭の悪い馬鹿ですいませんでしたゴメンなさいぃ~」
「まったくだよ~」
「北斗ちゃん、元々頭脳労働向きじゃないもんねぇ~」
「ああそうだよ、馬鹿だよ悪いか悪いんだな畜生、頭の悪い馬鹿ですいませんでしたゴメンなさいぃ~」
「まったくだよ~」
テーブルの上で、あはは。と笑う、武装神姫。
「っつーか、お前性格悪くなってないか?」
「そんな事無いんだよ、北斗ちゃんが気付かなかっただけなんだよ」
「う~ん、そんなもんかぁ……?」
「そうそう」
「そんな事無いんだよ、北斗ちゃんが気付かなかっただけなんだよ」
「う~ん、そんなもんかぁ……?」
「そうそう」
頷いて、明日香はもう一度笑った。
「帰ろ、パール」
「……宜しいのですカ、マスター?」
「うん」
「……宜しいのですカ、マスター?」
「うん」
笑い声の聞こえてくる部屋に背を向けて、夜宵は神凪家の階段を下りていった。
「……あら、夜宵ちゃん。もう良いの?」
「すみません、おばさん。北斗のヤツ、寝てるみたいなんで」
「あら、たたき起こしても良いのよ?」
「すみません、おばさん。北斗のヤツ、寝てるみたいなんで」
「あら、たたき起こしても良いのよ?」
昔は女子プロレスラーだったという北斗の母は、豪快な笑顔を見せる。
「いえ、特に急ぐ用事でもありませんし。……あと、姉さんの事もあるし、余計な気苦労かけたくないんで、寝ている間に私が来た事、ナイショにしておいて下さいね?」
「……いいけど。夜宵ちゃんはもう大丈夫なの?」
「………………はい。私が泣いても、姉さんは生き返ったりしませんから、……絶対に……」
「…そうかい」
「それじゃあ、今日は帰ります」
「……いいけど。夜宵ちゃんはもう大丈夫なの?」
「………………はい。私が泣いても、姉さんは生き返ったりしませんから、……絶対に……」
「…そうかい」
「それじゃあ、今日は帰ります」
そう言って、夜宵は神凪家の外に出て、二階の窓を見上げた。
「……北斗。……もう、弥涼明日香は死んだんだからね……」
「…………」
「…………」
その呟きをどう受け止めたのか、肩の上の白いストラーフは、表情も変える事無く主と同じ窓を見ていた。
イラストとかって需要あるんですかね?
各キャラの下書きはしたんだけど、詠む人のイメージを損なう可能性もあると思うし…。
絵がアレなのも問題ですし…。
各キャラの下書きはしたんだけど、詠む人のイメージを損なう可能性もあると思うし…。
絵がアレなのも問題ですし…。
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