アスカ・シンカロン02
~新荷~
気を紛らわせる為に街に出たのは、別に夜宵にそう言われたからではなかった。
ただ。
何かしていたかっただけかも知れない。
「武装神姫、か」
確かに、始めてみるのも良いかもしれない。
確実に気は紛れるだろう。
ただ。
何かしていたかっただけかも知れない。
「武装神姫、か」
確かに、始めてみるのも良いかもしれない。
確実に気は紛れるだろう。
(でもそれは、明日香を忘れる事になるんじゃないのか?)
最早、自分自身といっても過言ではないほどに近い相手。
彼女を忘れてしまう事は、今までの人生の全てを3割削ぐ様な事ではないのか?
そんな気がして、神姫センターの前を通り過ぎる。
(別に、今日でなくてもいいよな)
言い訳かも知れないが、免罪符を手にした気分でいつもの本屋に立ち寄る。
最早、自分自身といっても過言ではないほどに近い相手。
彼女を忘れてしまう事は、今までの人生の全てを3割削ぐ様な事ではないのか?
そんな気がして、神姫センターの前を通り過ぎる。
(別に、今日でなくてもいいよな)
言い訳かも知れないが、免罪符を手にした気分でいつもの本屋に立ち寄る。
雑誌を立ち読みし、お気に入りの漫画の新刊を買う。
意識しないでも行えるような惰性の数時間。
意識しないでも行えるような惰性の数時間。
その帰り道。
ふと見上げた視界の隅に、それを見た。
ふと見上げた視界の隅に、それを見た。
『武装神姫』
古ぼけた木造の店舗。
ビルとビルの間に位置する間隙の空間に墜ちる様にその店はあった。
不自然なくらい古い店舗と、不自然なくらい真新しいノボリ。
そこに書かれた4文字。
「…武装神姫」
それを口にし、何気無く。
本当に何気無く。
北斗はその店に足を踏み入れた。
ビルとビルの間に位置する間隙の空間に墜ちる様にその店はあった。
不自然なくらい古い店舗と、不自然なくらい真新しいノボリ。
そこに書かれた4文字。
「…武装神姫」
それを口にし、何気無く。
本当に何気無く。
北斗はその店に足を踏み入れた。
そこは、最新の電子機器である神姫を扱っているとは、到底思えないような薄暗い店内だった。
こういう店には骨董品の方が良く似合う。
「……」
店員もそれを分かっているのか、周囲には何に使うのか分からないガラクタが陳列されている。
「店、間違った、かな?」
そもそもおかしいと思うべきだったのだ。
外観からして、神姫を扱うような店ではない。
「誰かが悪戯でノボリだけ持ってきて店の前に置いたのか」
悪趣味な悪戯をする。
骨董品に興味は無い北斗は、そのまま店を出ようと身を翻した。
こういう店には骨董品の方が良く似合う。
「……」
店員もそれを分かっているのか、周囲には何に使うのか分からないガラクタが陳列されている。
「店、間違った、かな?」
そもそもおかしいと思うべきだったのだ。
外観からして、神姫を扱うような店ではない。
「誰かが悪戯でノボリだけ持ってきて店の前に置いたのか」
悪趣味な悪戯をする。
骨董品に興味は無い北斗は、そのまま店を出ようと身を翻した。
「…おや? 見もしないで出てしまうのかね?」
「――ッ!?」
人の気配など無かった。
慌てて声のした方へと振り向いた北斗の目に、一人の女が映る。
「アンタ」
「……」
不思議な格好をした女だった。
前時代的と言うか、古いというか。
凡そ現代人のセンスとはかけ離れた古めかしい衣装。
着物にも、ドレスにも、チャイナ服にも見え、そのどれとも違う。
「店の人、か?」
「客に見えるか?」
少なくとも、店員が客に対して取る態度では無かった。
「店を間違えたんだ。ここに用事は無い」
「いや。間違いではないぞ。…貴様を待つ物が、確かにここにある」
再び踵を返そうとする北斗に、間髪居れずに女の声が掛かる。
「…武装神姫を探しているんだ。ここにはどう考えても無いだろう?」
周囲にある物は、壷や皿、辛うじて時計と分かるような置物、古文書に掛け軸。
まるっきり骨董屋だった。
「…武装神姫?」
「無いだろう?」
「―――あるぞ」
「あるんかい!?」
どう見ても骨董屋。
でも神姫を売っているらしい。
「―――うん。シャレで置いてみた。……まさか初日に売れるとは思わなんだが」
骨董屋の風上にも置けない奴だった。
「じゃあ、ストラーフ、あるか? 黒い奴」
「ある」
「幾らだ?」
「在るけど、御主には売ってやらん」
「……オレ、客だぞ?」
「だからどうした、儂(わし)は店長だ」
「……………………………帰る」
店の出口に手をかけた。
「まてまてまてまて!! ほ、他の神姫はどうじゃ?」
「他ぁ?」
ゴソゴソとカウンターの下から白い匣を取り出す女。
「それは?」
「んふふ、聞いて驚け。つい昨日発売したばかりのらぷなんとかという最新型神姫じゃ」
ポンポンと匣叩きながら胸を張る女。
だが箱に書いてある名は―――。
「……飛鳥」
その名前。
それを読んで、北斗は…。
「――ッ!?」
人の気配など無かった。
慌てて声のした方へと振り向いた北斗の目に、一人の女が映る。
「アンタ」
「……」
不思議な格好をした女だった。
前時代的と言うか、古いというか。
凡そ現代人のセンスとはかけ離れた古めかしい衣装。
着物にも、ドレスにも、チャイナ服にも見え、そのどれとも違う。
「店の人、か?」
「客に見えるか?」
少なくとも、店員が客に対して取る態度では無かった。
「店を間違えたんだ。ここに用事は無い」
「いや。間違いではないぞ。…貴様を待つ物が、確かにここにある」
再び踵を返そうとする北斗に、間髪居れずに女の声が掛かる。
「…武装神姫を探しているんだ。ここにはどう考えても無いだろう?」
周囲にある物は、壷や皿、辛うじて時計と分かるような置物、古文書に掛け軸。
まるっきり骨董屋だった。
「…武装神姫?」
「無いだろう?」
「―――あるぞ」
「あるんかい!?」
どう見ても骨董屋。
でも神姫を売っているらしい。
「―――うん。シャレで置いてみた。……まさか初日に売れるとは思わなんだが」
骨董屋の風上にも置けない奴だった。
「じゃあ、ストラーフ、あるか? 黒い奴」
「ある」
「幾らだ?」
「在るけど、御主には売ってやらん」
「……オレ、客だぞ?」
「だからどうした、儂(わし)は店長だ」
「……………………………帰る」
店の出口に手をかけた。
「まてまてまてまて!! ほ、他の神姫はどうじゃ?」
「他ぁ?」
ゴソゴソとカウンターの下から白い匣を取り出す女。
「それは?」
「んふふ、聞いて驚け。つい昨日発売したばかりのらぷなんとかという最新型神姫じゃ」
ポンポンと匣叩きながら胸を張る女。
だが箱に書いてある名は―――。
「……飛鳥」
その名前。
それを読んで、北斗は…。
「結局買わされてしまった…」
金額は、丁度北斗の所持金全て。
1円単位でピッタリと、所持金を全て取られた形になる。
「新手の詐欺、じゃないだろうな?」
女が金額を告げたのは、北斗が財布を開ける前だ。
ありえない事だろうが、そう思わずには居られない金額設定だった。
金額は、丁度北斗の所持金全て。
1円単位でピッタリと、所持金を全て取られた形になる。
「新手の詐欺、じゃないだろうな?」
女が金額を告げたのは、北斗が財布を開ける前だ。
ありえない事だろうが、そう思わずには居られない金額設定だった。
そして、北斗は自室で箱を開ける。
中には黒髪の少女と幾つかの武装パーツ。
そして、説明書。
中には黒髪の少女と幾つかの武装パーツ。
そして、説明書。
「……って、何で和紙に毛筆書きなんだよ!?」
ありえない。
「つーかこれ、あの人が書いたのか?」
中身は『毛筆で細かく書かれた、イラスト付きの説明書』だった。
「なんつー器用なマネを」
きっとどうでも良い事に全力を尽くすタイプだ。
あるいは、人の嫌がる事に全力を尽くすタイプか。
「どちらにせよ、ロクな人間じゃ無いぞ、あの女」
本物なんだろうか? と不安に思いながら、説明書通りの手順でパソコンに繋ぎ起動手順を順括って行く。
「……んで、Enterと」
説明書の最後には、明らかに付け足されたと思しき一文が添えられていた。
『起動には時間が掛かるので、一晩ほど待つが良い』
「………」
騙されているんじゃないか? と懐疑的になりながらも、北斗は寝る事にした。
どちらにせよ、もう夜も遅い。
続きは明日に成らざるを得ない……。
ありえない。
「つーかこれ、あの人が書いたのか?」
中身は『毛筆で細かく書かれた、イラスト付きの説明書』だった。
「なんつー器用なマネを」
きっとどうでも良い事に全力を尽くすタイプだ。
あるいは、人の嫌がる事に全力を尽くすタイプか。
「どちらにせよ、ロクな人間じゃ無いぞ、あの女」
本物なんだろうか? と不安に思いながら、説明書通りの手順でパソコンに繋ぎ起動手順を順括って行く。
「……んで、Enterと」
説明書の最後には、明らかに付け足されたと思しき一文が添えられていた。
『起動には時間が掛かるので、一晩ほど待つが良い』
「………」
騙されているんじゃないか? と懐疑的になりながらも、北斗は寝る事にした。
どちらにせよ、もう夜も遅い。
続きは明日に成らざるを得ない……。
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