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氷の杭のように冷たくて鋭い敵意を向けられて目を覚ました私は動くこともできず、


クレイドルの上で狸寝入りをしていた。


姫乃さん。


マスターの恋人。


今日、私を、壊そうとした。


今も、私を、壊そうとしている。













9th RONDO 『戦乙女の憂鬱』













ニーキ姉さんが私を滅多打ちにしている時、その剣から伝わってきたのは、苦悩だった。


――――――――――邪魔者なんて、消え去ればいい。


粉々に壊してしまいたい。
でも、そんな真似は許されない。
本当なら私のコアもCSCも無事では済まない攻撃を受けたのに、その後も私は立ち上がり、戦い、今もちゃんと意識がある。


ニーキ姉さんがわざと止めを刺さずに私を蹴り飛ばしたように。
私に致命傷となる攻撃をせず、破壊しなかったように。
姫乃さんの手は震えていたけれど、そっと、私のクレイドルを置いてくれた。


薄目を開けるとそこはマスターの部屋ではなかった。
姫乃さんの部屋のようだ。
暗くてよく見えないけれど、部屋のあちこちに本が山のように積まれているのは分かった。
思ったよりも散らかっている。
その雑然さはマスターのものとはまた違ったもののように見えた。
どう言えばいいのか、上手い表現が思いつかない。


私の隣にはもう一つクレイドルがあって、その上でニーキ姉さんが横になっていた。
今は燕尾服を脱いで、昼間の死闘が嘘のように、優しい表情をしている。


結局、私達の決着はつかなかった。
お互いがちょんと小突かれただけで倒れるような状態で、お互いが放ったのは防御を捨てた最後の一撃。
私が空中から二本の剣を投擲していれば、軍配は私に上がっていたと思う。
ニーキ姉さんが私に向かってありったけの弾丸を放っていれば、一発くらいは私に当たっていたかもしれない。
まぁ、二本の剣があれば空中でも全弾打ち落とす自身はあったけど。
でも、私も、ニーキ姉さんも、そうしなかった。


ニーキ姉さんから預かった剣はたぶん、姫乃さんからニーキ姉さんへの最初の贈り物。
売り物のストラーフにあんな大剣はついていなかった。
軽い動きで相手を翻弄する戦い方を得意とするニーキ姉さんが、無理してでも使おうとした剣。
ニーキ姉さんに返す日が来るまで、私は全力でニーキ姉さんを応援しようと思う。


暫く私達を見下ろしていた姫乃さんは何も言わず、何もせず、部屋を出た。
隣の部屋の扉が開く音がした。
マスターとは、いろいろと話すことがあるのだろう。
私のこと。
ニーキ姉さんのこと。
マスターと姫乃さんのこと。
静かな部屋に、ほんの少しだけ、隣室の話し声が混ざる。


「今日はすまなかった」
やっぱり起きていたニーキ姉さんは、抑揚のない声で呟いた。
「なんのことでしょう。 私にはさっぱりです」
「……ただの独り言だ。 忘れてくれ」
ニーキ姉さんがプイと寝返りをうち、部屋の静寂は続く。


部屋の窓から月明かりが差し込んでいる。
暗い部屋にだんだんと目が慣れてきた。
本の山はいろいろな種類の本が重なって作られていた。
小説がいちばん多いようだけど、漫画も結構な数を占めている。
その中にはマスターの影響を受けたようなものや……うん、あまり人様の趣味を覗き見るのはよくない。
私のロングコートやニーキ姉さんの燕尾服の参考資料になっていそうな漫画は、タイトルからして少々アレだった。


「私はヒメのために動いている」
その独り言は誰に向けられるでもなく、室内に寂しく響いた。
これは独り言だから、私が相槌をうつ理由はない。
「この小さな手で何が出来るかは分からないが、私に出来ることであれば、何だってやるつもりだ。 ――それがたとえ、他の神姫を破壊することになったとしても」
この独り言は宣誓なのか。
「だが今日、ヒメは、私のせいで、涙を流した」
それとも懺悔なのか。
「私はヒメのために戦い、そして、ヒメを傷つけた」
私には分からない。
「何が悪かったのか、頭では理解しているつもりだ」
そう、理屈では分かっている。
「だが、何が正解なのか分からない」
ニーキ姉さんも、姫乃さんも、マスターも、私も。
「だから私が正解に辿り着くまで」
きっと、何が正解なのか、分からない。
「あの剣を、預かっていてほしい」
何も無い空間に向けられていた言葉が、私へと方向を変えた。
だから、ここからは私が返事をしてもいい。


「了解です。 ――ところで、隣を覗きに行きませんか」
「……今、君に剣を預けたことを猛烈に後悔したぞ」


姫乃さんの部屋の扉は傘によじ登って鍵を開けることができたけれど、鍵を開けるよりもドアノブを回すほうが神姫にとっては難題だ。
でもさすがはマスターが普段からボロアパートと呼んでいるだけあって、私達の力でなんとか回すことができるくらいの緩さだった。
「あ、でもマスターの部屋の鍵はどうしましょう。 中から閉められたら開けられないです」
「問題無い。 少し待っていろ」
そう言って引き返したニーキ姉さんが持ってきたのは、マスターの部屋の合鍵だった。
「ニーキ姉さん、案外ノリノリですね。 やっぱり気になります?」
「私はヒメが野蛮人に襲われないか心配なだけだ」
「ほうほう、そうですか。 ではその野蛮人が姫乃さんの同意のもとで襲っていたらどうします?」
「…………」
「さあさあ、めくるめく桃色の世界を覗きましょう!」
「…………はぁ」


マスターの部屋のドアノブによじ登り、鍵を開けてドアノブを回し、そ~っと扉を開けた。
顔だけ出して中を窺うと、
「 ! 」
「どうした、何が見えた (ひそひそ)」
「ち、ちゅーです! 恋人達のちゅーです! (ひそひそ)」
「なにっ!? ……こほん……そうか、中に入るぞ (ひそひそ)」
「ニーキ姉さん、全然冷静になってませんね (ひそひそ)」
抜き足。
差し足。
忍び足。
できるかぎり近づいて物の影に隠れた私達は、食い入るように二人のマスターを覗き見る。
「ひゃあ~! 今度のちゅーは長いです! (ひそひそ)」
「…………」
「い、今の姫乃さんの声聞きましたか!? すごくエロいです! (ひそひそ)」
「…………」
「ねえねえニーキ姉さん、今の」
「…………」
「ニーキ姉さん?」
これでもかというくらい目を見開いて凝視するニーキ姉さんにちょっと引いていると、マスターがベッドから立ち上がった。
すごくイイ雰囲気だったのに、何故?
と思ったら、こっちに近づいてくる!
「隠れますよニーキ姉さん! (ひそひそ)」
「…………」
「早く! 見つかっちゃいますよ! (ひそひそ)」
「…………(ぷしゅ~)」
「オーバーヒート!? どんだけ純情なんですか! (ひそひそ)」
ズシン。
マスターの足音が近くで大きく響いた。
少し舞い上がった埃は、あまり気にならなかった。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………てへ♪」
「てへ♪  じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええ!!!!」




夜遅くにドタバタと騒いで、マスターと姫乃さんが大家さんに怒られた翌朝。
マスターとニーキ姉さんの目の前で仲直りをした私と姫乃さんは (元々喧嘩なんてしていなかったけれど) 仲良しの握手をした。
大きさの違いすぎる手と手。
それが人と神姫の繋がりを表しているようで、心の底から嬉しかった。
そのついでと、姫乃さんが 「もう覗いたりしちゃダメよ。 めっ」 と笑顔で放った割と容赦のないデコピンは、私の頭を強烈に揺さぶった。












おしまい











第一部 『戦乙女の憂鬱』 はこれにて了となります。
ここまでお付き合い頂いた方、そうでない方も、ありがとうございました。
次は第二部、もしくはその間のお話になる予定です。
あくまで、予定です。






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