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第十五話:生贄姫



 俺と蒼貴、そして日暮に注目される彼女が近づいてくる。胸ポケットには大した傷もないヒルダが入っており、この様子だと あの後のバーグラーを彼女は難なく倒したくれたらしい。

「緑か。すまん。さっきは助かった」
「気にするな。私達の仲だろう?」
「か、勘違いされそうな事を言うんじゃねぇよ!」
「おや、真那の方がいいのか? 根暗は明るい子の方が好みという事か……」
「あのなぁ……」

 再会して早々の問題発言に俺は頭を抱えた。真那といい、縁といいどうしてこうも女というのはからかうのが好きなのだろうか。付き合わされるこちらの身にもなっていただきたい。

「ふふふ……。まぁ、お前をからかうのは後で楽しむとして本題だ。あのバーグラー共から情報を吐かせたぞ」
「マジか?」
「ああ。それも面倒くさそうなのをな」

 笑った後の本題に俺はすぐに先ほどの悩みを隅に追いやって、尋ねる。

「端的に言えば小遣い稼ぎさ。資金に困った研究者によるものだ」
「研究者って義肢のだな?」
「そうだ。お前も情報を集めていたという事か。となれば情報交換といかないか?」
「ああ。それが一番早い」
「その話、僕にも聞かせてくれないかい?」
「尊、彼は?」
「正義の味方らしい」
「は?」

 話に割り込んでくる日暮を端的に紹介すると、あまりにも直球過ぎたのか冷静沈着な縁も唖然とした。『正義の味方』という言葉は彼女の中では化石並みに古い言葉の様だ。
 その反応を見た日暮は俺と変わらぬ反応でやはり笑う。そういった反応にはなれているのだろうか。

「言葉の通りさ。力になれると思うんだけどいいかい?」
「僕は構いませんよ。個人ではきつい話ですしね」
「尊がいいなら、信用しましょう」
「OK。じゃ、ちょっと店裏まで付いてきてくれ。僕も同時進行で調査するからさ」

 日暮に促された俺と縁は互いの情報を交換し、その情報から情報収集をしてくれた彼と共に話を整理を始めた。

 事の起こりは義肢研究の行き詰まりと国からの資金援助の期限が迫り、ついには切れてしまった事にあった。
 義肢研究に関しては何もそこだけが行っているわけではない。その研究には多くの研究者達が参加しており、こぞって成果を出し、援助を求めようとしている。
 あの義肢研究者もまた、その一人だ。成果を上げて資金援助を得ていたのだという。しかし、俺の聞いた話の通り、研究は行き詰まってしまい、資金援助が打ち切られてしまったのだ。
 当然、障害者施設の収入程度では義肢という規模の大きい分野の研究費など賄えるはずがない。
 このままでは義肢研究者は資金不足によって、研究を進められなくなってしまう。
 そこで彼が思いついたのはその研究の課程で得られたリミッター解放技術であった。
 神姫の出力で人間の四肢という大きなものを動かす事は出来ないため、必然的により大きな出力を引き出さなくてはならない。故に初めは違法パーツ……神姫の規格から外れているパーツで組んでいたらしい。出力の方も神姫に直接操作する関係上、リミッターの外し方などを独自に研究、使用していた。
 その研究を応用し、俺達が遭遇した神姫達が付けていたイリーガルマインドに似せたリミッター解放装置を開発して、さらに障害者用の盲導神姫もイリーガルとして改造し、裏でバーグラー達にそれらを横流ししていたらしい。
 紅麗というリミッター解除装置を付けた神姫の所属しているバーグラー達から聞いた情報では裏サイトで仲介者から買い取ったと言っており、その裏サイトのアドレスを日暮が普通はしてはいけない様な方法で調べるとそこにはかなりの高額で取引されている事を証明するページがあった。
 イリーガルマインドに似せたあの違法パーツが様々なバリエーションで用意されており、強力であればあるほど高額になっているラインナップだった。
 そのレートは数千円である場合もあれば、数万円の場合もある。強弱や能力のばらつきがあれど、その力は使った神姫を死に至らしめる程強力なのは共通している。
 さらにあろう事かバトルロンドのシステムに引っかからない様に調整された違法改造用のキットやイリーガル神姫までもを直接斡旋していた。

「己のために神姫を喰い潰すか……」
「人の性ってやつかもしれんな……」

 緑の言う通り、人を助けるはずの義肢研究も少し道を外すだけで力に溺れさせる死の商人と成り果てるとは皮肉である。
 自分の研究を続けるためというシンプルな考えであるはずなのに課程を間違えるだけでこれだけ堕ちてしまうとは人とは恐ろしいものである。

「何にしてもこいつはまずいな。このままだと、ここ周辺でイリーガルが大量発生しかねない」

 日暮も危険を唱える。
 イリーガルに成りきるだけではなく、それを作り出せるとあってはそれを知った人間はこぞってそれを買っていくだろう。密売を始めてまだ間もない感があるが、このままではバトルロンドがそうした違法神姫達が横行する事に成りかねない。

「自分らで何とかできる話ですかね?」
「その辺は心配ない。情報収集や操作でどうにでもなるからね。ただ……」
「ただ?」
「証拠がない。君たちの言う研究者に突きつけるための動かぬ証拠がね」
「このページやバーグラーの発言では足りないって事ですか」
「ああ。ページは誰か別の奴が作っているだろうし、バーグラー達は直接あの研究者から買い取ったってわけでもないだろうからね。せめてそれを見ている施設内部の神姫がいればいいんだけど……」
「でもそれは巻き添えでその施設が閉鎖される可能性があるのでは? そのために黙るとかあり得ると思うのですが……」
「確かにそう考えられるかもね。まぁ、その辺は可能な限り頑張ってみるよ。それより証拠のアテは何か知らないかな?」

 それを聞いて俺は考える。あの施設の中で最も都合のいい立場にいる人間を頭の中から取捨選択して、残るのは……。

「輝と石火だな。だが……」

 彼らならば顔が通っており、なおかつ石火の索敵によるカメラ映像情報を持っている可能性がある。
 彼女の目はどんな些細なものも見逃さない千里眼にも等しき目だ。何かしらの情報を掴んでいるかもしれない。
 とはいえ、そうであるかどうかには不安が残る。そもそも石火がそれを見ていないというのもあるが、彼らがグルである、或いは見てしまって口止めされているなど、障害になりえるシチュエーションはかなりある。

「それでもそいつに聞くしか手段は思いつかないのだろう?」
「……まぁな」

 緑の言う通り、現状で有効な手はそれぐらいしかない。
 石火が見ていた場合の情報の信頼性としては、石火の整備は施設では全く行われてはおらず、専属技師である親友がやっている可能性が非常に高いという事だ。これは施設による石火のデータ改竄されている可能性が極めて低い事を意味している。仮に不都合な情報があったとしてもそれが消えることはない。
 また、施設の研究者も輝という名前が全国に知れ渡っている故に石火に、そのマスターの輝にも迂闊な事はできない。仮にそんな事をした場合、真っ先に疑われるのは彼らなのだから。

「なら、決まりのようだね。輝の事なら僕も耳にしているよ。彼は全国大会の最初のチャンピオンでその専属技師の友人も技術面では結構、有名だ。交渉は慎重にやった方がいい」
「わかってますよ。必要なら僕が憎まれ役を買いますし」
「随分と大胆な事を考えるね。だからこそやれるとも思えるけど」
「それが彼なんですよ」
「なんだそりゃ?」
「それは自分で考えろ。その方が面白い」

 緑の突然の言葉に頭の中に疑問符が浮かんでくる。彼女に聞いてもあしらわれ、その謎を自分で考えてもあまりピンとはこない。

「考えてもわからん……」

 そういう事に行き着いてしまう。

「まぁ、気長にな。で、そいつはどこにいるんだ?」
「神姫センターだ。行けばまた会えるだろう」

 話題変わって輝の場所だが、俺はただ会っただけだ。輝から携帯電話番号を教えてもらったわけではなく、単に会って話し合っていたに過ぎない。
 そこで連絡先でも聞いておけばと後悔もできたが、今更そうしても仕方の無い話だ。

「なら、そこで探すしかないな。とは言っても盲目自体珍しい。難しくはないだろう」
「ああ。後は引き込める上手い言葉を探しておくさ。根性論なんか押し付けたくねぇしな」
「それもそうだな。だが、彼らは正しいと思うから間違うかもしれんぞ?」

 その通りだった。いくらそれが正しい事であったとしてもそれが納得できる事と同義であるわけではない。
 自分のルールにそぐわないものは自分が変わらない限り、それは障害以外の何者でもないのである。
 この事実を輝が受け入れるか、拒否するか、逃げるか、俺達にはわからない。確かなのは……

「その時は……その時だ」

 それだけだ。

「……そうか」
「ワリィ。それほど器用じゃないんでな」
「わかっているさ。その時になっても後悔はするなよ?」
「ああ」
「話は決まったかい?」
「ええ。僕が何とかします」

 話が一区切り付いてきた所で声をかけてくる日暮にやる事を伝える。
 可能な限り早い日に輝には俺が情報を持ちかけて説得をかけ、彼に協力を取り付け、石火の視覚データから違法神姫に関する証拠映像を手に入れて、それを証拠とするという事だ。
 解決策に関してはイリーガルマインドを解析しているであろう杉原に話を聞き、それがわかり次第、その方面の行動も展開していく。
 日暮との連携も考えて、杉原には彼の事を伝え、協力して事に当たってもらうものとする。上手くいけばあの義肢研究者を足がかりに彼に連なる違法ブローカーも芋づる式で捕まえられるだろう。

「わかった。僕は君が話をつける前に段取りを整えておくよ」
「それでは僕はこれで。紫貴もそろそろ直っている頃でしょうしね」
「あ。また、パーツに困ったら買い物にでも来てくれ」
「ええ。そうします」

 自動ドアを出て、修理が終わったであろう紫貴を迎えに歩きだした後で、俺はため息をつく。
 確かに計画としてはいい。だが、輝と石火がこの話をどう思うか、借りに信じたとして自分の世話になった場所を潰す事になるかもしれない事をどう思うか、全く予想が出来ない。
 当然、心苦しい事になる。これからどうするかもわからなくなるだろう。だからといって俺が責任をとるために導いてやれるなんて馬鹿げた話は無理だ。そこまで自惚れる脳みそをしちゃいない。相手にこれからを委ねるが精一杯だ。

「カッコつけておいて、やる事は他人任せか……」

 自嘲的にそれらをまとめる。交渉事なぞ所詮はそういうもののはずだがやはり煮え切らないものがある。

「オーナー……」
「わかってる。やるだけやってみせるさ。あっちが恨もうがな」
「自分だけで背負わないで下さい……。私や紫貴だって背負います。それに私達が悪い訳ではないはずです。いつまでもあのままならもっと傷つきますから……」
「そのはずだよな……」

 引き金を引くのは俺だが、と続けようとしたがこれ以上は泥沼になるため、止めた。
 蒼貴が元気付けようとしているのにそれを無碍にするのは悪い。
 そんな陰欝な雰囲気で歩いているとコンビニを通り掛かった。そういえばあの戦いの前から何も飲んでいない。色々と起こりすぎて喉がカラカラなのを忘れていた。
 そんな訳で俺はコンビニに飲み物を買いに入る。コンビニの中には店員と少数の客しかおらず、並ぶ事なく会計を済ませられそうだ。
 詮無い事を考えながら、雑誌の並ぶ雑誌コーナーを進む。そこで週刊バトルロンドの最新刊が目に入った。どうやら丁度今日が発売日だったらしい。
 俺は何気なくそれを手に取り、それを開く。

「こいつは……」

 バトルロンド・ダイジェスト最新号の表紙には『特集:~ 絆 ~ 武装神姫はなんのために戦うのか?』というあまりにも規模の大きいタイトルと見た事のないタイプの神姫と『アーンヴァル・クイーン』の異名を持つランカー 雪華が写った写真で大きく飾られていた。
 自他共に厳しく接し、高尚なる戦いを求める彼女の事は神姫センターで別のランカーを薙払っているのを俺も見て、知っている。そんな雪華が誰かに優しく、ましてや抱くなどという事をさせた泣いている神姫は一体何者なのだろうか。
 俺は興味を持ち、雑誌を開く。表紙の内容は巻中のカラーページに特集として大々的に描かれていた。
 最初はバトルの詳細な解説が主な内容だ。雪華はいつもの飛行装備、泣いている神姫……ティアというらしい神姫はランドスピナーというモーター駆動のローラーブレードと拳銃やナイフで戦っていたらしい。
 ティアといえば元風俗神姫だったらしい事を噂で耳にしたことがあった。しょうもない奴が経歴を言いふらしてけなすだけのどうでもいい話だと思っていたが、まさかこうなるとはこれを見るまでは予想もしていなかった。
 さらにそれを読み進めると信じられない事が書かれてあった。なんとティアは雪華最大の必殺技を回避し、その挙げ句彼女の武器を奪って戦ったらしい。
 大した度胸と執念だ。ティアのオーナーとは会えればいい話ができそうな気がする。
 戦いの末、ティアは倒れ、試合の形式的には敗北したらしいが、雪華は敗北を認めたという。
 そんな試合があったとはそれを直に見られなかったのが非常に残念だ。面白い戦いはどうにも俺の外で行われているらしい。いつかセンターを飛んで回ってみたいものだ。
 その戦いの記録の後は「武装神姫はなんのために戦うのか」というタイトル通りの問題提起になっていた。
 雪華を初めとするランカー神姫が思い思いのコメントをその記事に刻んであり、
 「人は武装神姫を戦わせる。それは名声のため、お金のため、バトルの楽しさであるかも知れない。 戦わせる理由はマスターによって様々だ。しかし、神姫にとって、戦う理由は皆同じだ。マスターの望みを叶えるために戦っている。 もう一度振り返ってみて欲しい。神姫は何を思い、なぜ戦うのか。 自分はなぜ、自分のパートナーを戦わせているのか、を」
 それらがそう結ばれていた。その主となる言葉は「マスターのために」だ。その言葉を恥ずかしげもなく、彼女たちは言えている。
 呆れるほど単純なその言葉には計り知れない想いが詰まっていることだろう。
 その後の特集は、絆を思い起こさせる、過去の名勝負のダイジェストが紹介されていたが、必要なことを知った俺は雑誌を閉じ、それを持ってコーラと一緒に会計を済ませて、外を出た。

「人も神姫もそこまで弱くはない、か……」

 ティアの話は、絆は自分達が思うよりずっと堅く、支えになる事を教えてくれた。
 俺と蒼貴と紫貴だって、そういう絆があってここまで来たのはよくわかっているつもりだ。輝と石火の絆だってそうであるはずだ。……いや、時間が長い分、俺達よりも堅いはずだ。

「こういうのを潰しちまいたかぁねぇな……」

 戦いの場をイリーガルから守るというご大層な名目を掲げる気は無い。ただ、こういう絆を感じさせる戦いが無くなるのは気に入らない。
 武装神姫が何のために戦うのか。それは言うまでも無く、マスターのためである。これは雑誌の通りだし、大抵のマスターも理解しているだろう。
 が、そのマスターが狂えば従っている神姫はどうなる。少なくともそれまでの関係には戻れなくなってしまう。それもまたつまらない話だ。

「あいつらの絆に賭けてみるか……。どんな結果になろうが……な」

 別に主役を張る気は無い。が、見て見ぬ振りをするつもりもない。
 俺はティアやそのオーナーの様に戦えないかもしれないが、自分の筋は通す。それぐらいはできてもいいはずだ。

「なぁ。蒼貴」
「はい」
「俺、イチオーナーとして頑張ってみるわ。付き合ってくれるか?」
「その言葉は紫貴と一緒にお聞かせください」
「……そうだったな。あいつを迎えに行こう」
「はい」

 そう胸に決めると俺は蒼貴と共にカルロスの喫茶店に預けた紫貴を引き取りにコーラを飲みながら歩いていく。

 やるだけ、やってみるか……







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