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第十三話:再生姫


「ところでありえないスキルってのはどんなものなんだい?」

 日暮はミズキを蒼貴用の修理パーツとするために各部位ごとに解体しながら、俺に未知のスキルである煌めく刃の事について聞いてくる。

「苦無が宝石みたいに輝くブレードになるものです。媒介となったのは苦無でイリーガルのボディすら切断できるので明らかに規格外のスキルであったというのはわかるのですが……」

 言葉の通りだった。蒼貴の右手に収束した塵が煌く宝石のような剣。それ以外に表現できる言葉は見当たらないし、そうした前例も無いのだから俺には事細かに説明する事はできそうにない。周りには申し訳ないが、俺は一般人の域を超えることは出来ないしな。

「もしかするとこの子自身のスキルなのかもしれないね」
「蒼貴自身の?」
「ああ。オリジナル武器でも自作のスキルプログラムを組み込めばスキルが発動できるのは知っているよね?」
「ええ」
「あれはぶっちゃけるとそうする必要ないんだ」
「……どういう事ですか?」

 蒼貴の左半分が吹き飛んだ腹部パーツを取り外す日暮がオリジナル武装の定義を根底から覆す発言をする事に驚いた。
 俺のその反応を楽しむかの様に彼は蒼貴の修理をしながら言葉を続ける。
 そもそもスキルプログラムという物はCSCの力を引き出す事で生じる仮想物質をいかなる形で行使するかを決める方程式、いわゆる誘導プログラムであるのだという。
 確かにスキルを行使する際には相応のスキル制御力であるSPレベルが求められ、なおかつその武器を持つ事が条件となっている。日暮の言う事はSPレベルという点がミソであると考えられる。
 日々の鍛錬によってCSCが研ぎ澄まされていき、それによって会得したスキルを必要な武器を使って放つ。ここまではいい。そこでオリジナルの武器を使ってそれをするとなるとどうしても公式のプログラムという物が使えず、神姫自身で引き出す、或いはそれ専用のプログラムを組む必要があるのである。
 後者でやっていた場合、それが無くなれば補助輪の無くなった自転車を漕ごうとして転ぶ子供の様に行使する事が出来なくなってしまう。しかし、それを神姫自身が学習する前者であれば、それが無くとも――いや、それに類似する武器があればそのスキルを行使することが出来るのである。オリジナル武装を装備し、独自のスキルを行使する物は大抵がこれにあたるのだというらしい。

「蒼貴ちゃんの使った煌めく刃はその最たるモノだね。武装を問わない点では他の神姫達と一線を画しているよ。何もない所から作って、一度斬って壊れたのを見ると仮想物質で空気中の何かで収束、定着させる事でブレードに変えたんじゃないかと思う」
「二酸化炭素……? いや、ここに実例があるとは言え……」

 それを聞いて俺は思考を巡らせ、空気中に含まれるものから二酸化炭素に辿り着いた。炭素を空気中のチリと一緒に仮想物質で収束させてダイヤモンドの剣を作り出しているのではないだろうか。そう考えれば強化されたイリーガルのボディをバターを切るかのごとく斬り裂くのも、スキルが切れて、定着が失われた事で粉々になるのも納得できる。しかしながら非現実的すぎる。錬金術でもあるまいに。

「いや、不可能な話じゃない。そういう類の事は職業柄よく見ているものでね。その中でも彼女は凄腕の才能の持ち主だと思うよ」

 それでも日暮は肯定する。さっきから驚かない所を見ると、こういった状況には見慣れているのだろうか。その経験の多さもさることながら、その類の知識も半端ではなさそうだ。一体彼が何者なのかは知らないが相当の大物であるのは間違い無いだろう。

「そんな知識があるとは凄いですな。貴方は何者なんです?」
「正義の味方さ」
「……正義の?」

 疑問の返事に俺は眉をひそめた。よりにもよってそんな言葉が出てくるとは思いもしなかったのだ。それを平然と言ってのけるのは正直、恥ずかしいとは思わないのだろうか。

「そうさ。まぁ、君はそういう言葉は気にいらないって感じそうだけど、そういう信念を持っている人間って事さ。それぐらいは理解してくれるだろう?」
「……ええ。それは否定しません。ただ、正義という言葉は危険だと考えてますが」

 そう。正義、引いては善悪とは自身におけるルールでしかない。そのタイトロープで引かれた一線を越えるか否かで全てが決まってしまう。ある人にとっては善でも、他の人にとっては悪かもしれない。そう、俺には思える。

「それでいいさ。その考えが君にとっての正義だしね。それに正義っていうのは議論するものじゃなくて、自分だけが心得ておくものだから、さ」
「それは同感です」
「ま、その話は後に置いておくとして、スキル名は何にするんだい?」
「スキル名?」
「ああ。あった方が何かと便利だからね。何よりカッコいいだろ?」
「ははは……。そうですね……」
「話から考えて『塵の刃(ダストアエッジ)』ってのはどうだい? 塵を集めて刃にしちゃうんだし」
「あんまり考えていなかったんで、それでいいですかね……」

 修理を続けながら日暮が考えたスキル名に俺は納得し、シンプルなそれを気に入った。あまりに凝りすぎた名前は好まない自分には良い。
 さらに日暮は塵の刃の予想される長所と短所も語った。
 まず言えるのはスキルといってもあくまで武装を作り出すだけのスキルであるため、スキルであってスキルでない。故にそれを振るおうがあくまで通常攻撃でしかないためあくまでも自分の技量に依存する攻撃である上に、神力解放をしないと一回で壊れるあまりにも脆いスキルである。
しかし、今回購入したミズキの装備でそれはある程度は補われる。その装備に刃には神力開放と呼ばれるBMが搭載されているからだ。
 神力開放はCSCから供給され、スキルを使うことで発散されるSPを内部に留め、循環させる事でSPの消費を無くし、無限機関を作り出す。それによって神姫の素体そのものが活性化し、各能力が高まると共にスキルを連発する事が可能となる。
 そしてその能力を塵の刃に使う事で神力開放状態の時に限り、塵の刃は攻撃しても破損せずに維持し続ける事ができると日暮は推測したらしい。
 しかし、俺の言葉の通りならあくまで武器を作り出すだけのスキルであるため、後は蒼貴の技量次第になるとも聞かされた。
 それ次第ではもしかすると別の形を形成でしたり、複数出せる事も考えられる。使いこなせれば恐らくは相当強い。神力解放を使ってからを前提にすれば、連続攻撃そのものが必殺技になるだろう。

「僕の推測ではそんな感じかな。試してみる必要はあるけどね。……さて、完成したよ」
「これは……」

 しばらくの可能性の話を終えた日暮から完成の報を聞いて見てみると彼女は修理されて完全な姿になっていた。
 いや、完璧にやった訳じゃない。破損によって失われた箇所を可能な限りミズキのパーツに換装して補った結果、右はフブキ、潰れた左はミズキの顔の顔となったアンバランスなコア、フブキの黒とミズキの白が混在するチグハグな素体となっており、俺の要望通りの姿となって復活したのである。
 不完全ではある。が、あいつらしい。そう思う。

「君の頼み通りだ。どうだい?」
「ありがとうございます。これで蒼貴はまた立つ事が出来るんですね」
「ああ。早速起動しよう。急速充填バッテリーを使うからすぐだ。……おっと、バッテリー代はミズキのお代に含んでおくからいらないよ」
「助かります」

 気を利かせてくれた日暮は在庫から急速充填バッテリーを取り出すとそれを蒼貴の充電コネクタに接続し、起動する。その瞬間バッテリーは一瞬で充填され、蒼貴をいつでも起動できる状態になった。
 彼は充填を終えると少し離れて、俺に蒼貴の起動を促す。それに俺は無言で答え、彼女に歩み寄り、起動させた。

「ん……」
「おはよう。よく寝れたか?」
「はい。……お手数掛けました」

 俺の呼びかけに気づき、答えようとした時、自分の変化に気づいて自分のフブキの右手とミズキの左手を見比べて状況を察し、俺に申し訳なさそうに頭を下げてくる。

「謝らなくていい。それは大事だからやったまでだしな。……無事で何よりだ」
「このやり取り……最初に会った時みたいですね」

 彼女はそう言って微笑む。言われて思い出した。あの時もそうだ。気にかけて謝られてこうして「気にするな」と返してとそんなやり取りを繰り返してばかりだった。
 こんな危ない時にでもこうとは本当に俺達は何も変わらない。だからこそこうしていつも通りであろうとこいつは頑張れるのか。

「バカ野郎……。心配させやがって……」
「ごめんなさい……」
「もうあんな無茶はやるんじゃねぇぞ。命を粗末にするもんじゃない」
「神姫に命は……」
「命だ。心があればそれは命なんだよ。わかったな?」
「……はい。オーナーに心配をかけさせない事を約束します」
「それでいい。それと礼はこいつに言ってやれ」

 俺は蒼貴の隣に横たわっているミズキのパーツの残りを指さした。日暮が可能な限りのパーツの換装をしたため、残っているのは右半分のコアと外装、CSCの基盤パーツぐらいなものだったが、彼女は確かに蒼貴の命を救ってくれた神姫だった。

「犠牲とかそんなんじゃないぞ。こいつはこれからお前と一緒に生きるんだからな」
「はい」

 俺が彼女に罪悪感を与えない様な言葉を付け加えると蒼貴はそれに頷き、ミズキのパーツに近づいて頭を下げた。その姿は自分の命を助けてくれた神姫に感謝の念で溢れていて、蒼貴の優しさが感じられた。

「日暮さん。世話になりました」
「気にすることは無いよ。僕は僕の仕事をしただけだ。代わりと言っちゃ何だけど、早速、見せてくれないか? 塵の刃を。ミズキのボディのテストも兼ねてね」
「蒼貴、やれるか?」
「……やってみます」

 日暮の提案に俺は蒼貴に聞いてみると、彼女は強く頷く。まだ大怪我から復帰したばかりなのにここまで強い気持ちを持って答える。

「OK。じゃあ、僕のバトルシミュレータでテストしてみようか」

 修復を終えた俺たちは日暮のバトルシミュレータブースヘと案内された。
 見せられたそれは意外と小さかった。それはクレイドルらしき神姫を配置するスペースがあるまるでゲームセンターの駆体のような物だった。

「これがバトルシミュレータさ。ちょっとしたコネで先行配置させてもらったんだ。もう周りでも普通に設置されていると思うけど、ここのは前からあるからデータの蓄積量が違うよ」
「これがそうなのですか……週刊バトロンで見ましたが、実物を見るのは初めてですよ」
「まぁ、数はまだある訳じゃないからそういう事になるかもね」

 バトルシミュレータとはクレイドルと似た機器に自分の神姫を接続する事でその神姫をデータとしてシミュレータ内に投影して仮想空間での戦闘をする事を可能とする対戦する神姫がダメージを直接的に負う事のない画期的なシステムだ。近年、バトルロンドをするためにはスペースを多く取る必要がある問題を対処するための案として各地に試験的に配置されている。もし、これが成功すれば少ないスペースで誤って神姫のCSCを破損させられる事もない安全なバトルロンドを行う事が可能とされている。
 しかし、現実でないが故に何らかのシステム的な介入、電気系のトラブルには弱く、細かい装備のカスタムがフィードバックされないなど、利点ばかりではない。
 故にリアルバトルとバトルシミュレータは議論やいさかいはあるだろうがその両方は共存し、長所と短所から見た各々の好みで戦いの場としてどちらかを選ぶとされているのだという。

「でも、これで大型のアミューズメントパークに行かなくてもバトルロンドを手軽に楽しめるようになるから、僕としてはいいと思うよ。バトルロンドの楽しさをここで伝えられるからさ」
「同感ですね。これの小型化が成功すれば家でも出来るようになるかもしれないですな」
「そういう事になるだろうね。さて、テストを始めよう。蒼貴ちゃんをそのクレイドルみたいな場所に接続してくれ」

 日暮に言われ、俺は蒼貴をシミュレータに置いて接続を始めた。そうすると彼女は目を閉じ、ちょうど充電の時と同じ状態になった。
 それと同時にバトルシミュレータが起動し、そこのフィールドに蒼貴が投影される。これで彼女の転送が完了したらしい。

「相手は僕の方で用意するよ。君の噂からして過去のデータで務まる相手と来ると……」

 日暮は俺が蒼貴を接続している間に向かい側の席でシミュレータを操作し、ネットワークに登録されている過去の神姫達のデータを検索していた。

「この子なんてどうかな?」

 彼は見つけた神姫を蒼貴の対戦相手として出現させた。過去のデータを使って構築され、そこに現れたのは騎士型 サイフォスタイプの神姫だ。通常の物と違い、赤い鎧と背部に様々な武器が分解して搭載してあるフロートユニットを装備した強襲仕様の装備が施されてある。通常のサイフォスよりも高い防御力を維持しながら攻撃力が高まっており、さらに弱点である重量もそれで補っている様だ。
 画面にその神姫の名前が表示される。その名はモルトレッド。別名……。

「ブラッディ・ワルキューレ(血塗られし女戦士)か!」
「そう。結構なランカーだよ。やれるかい?」
「……上等! 行くぞ! 蒼貴!!」
「はい!!」

 不敵な顔をする日暮の挑戦状に俺達は答え、構える。
 ここまでの用意をしてもらったのならばそれに応じるのが礼儀というもの。塵の刃と神力開放、試させてもらおう。





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