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第十二話:負傷姫


「OH……これは酷いですネ……」
「皆ボロボロ~。ど~した~?」
「バーグラーにやられたものでしてね……」

 あの後、俺達はバーグラーの情報を聞き出す事を引き受けてくれた縁の勧めでヒルダの尋問が終わらない内に何とか修理しようと奔走していた。不本意ながらも頼っていた杉原の研究室は彼が出張しているために使えなかったのである。
 ああだこうだ言っておいて肝心な時に役に立たない杉原に毒づきながら、俺は次の当てである縁の働いている喫茶点兼神姫ショップ『リップル』のカルロスの下へ真那と共に行き、蒼貴達を見せた。

「治りますか?」
「難しいし、時間がかかるかナ……特にこのフブキちゃんはコアの傷が酷いシ……」

 彼女達を見て彼は苦い顔をして説明をしてくれた。カルロスに診断してもらった三人の中でやはり蒼貴のダメージが一番大きかった。
 CSCは無事であるもののミサイルを喰らって吹き飛ばされた顔と左半身が特に損傷が酷い。大破という有様で修理するにも重要なコアが傷ついているが故にここの設備では修理するのは難しいらしい。

「他に修理できそうな場所はありませんか? 何とか治してやりたいんです」
「……僕の知り合いにホビーショップ『エルゴ』の店長のMr.ヒグラシがいる。彼の所なら或いはこのダメージを何とかできるかもしれないけど、結構な費用がかかるから覚悟しておいた方が良イ」
「構いません。場所を教えてくださいませんか?」
「わかっタ。念のためにそれと紹介状を書いておこウ。けどその前に応急処置をしておくヨ。それにイーダちゃんとアーンヴァルちゃんのダメージなら僕のとこでやれるから彼女達は任せてくレ」

 カルロスさんはそういうや否や、ミーに指示を出し、すぐに蒼貴の応急処置に取り掛かった。その作業は思ったよりも早く終わる。それは単に空気中のほこりが破損した内部に入らない様にするために粘着力の低いビニールテープを巻いただけのもので店へ行くためのその場しのぎである故、早く本格的な治療が必要だ。

「ミーの腕をなめるな~。……って言いたいけど、フブキちゃんはお手上げ~。何とかそこに行って直してあげて~」
「ああ。……真那、紫貴を頼む。俺は蒼貴を治しに行ってくる。紫貴の修理費を今は立て替えておいてくれないか? 蒼貴の修理にいくらかかるかわからんからな」

 紫貴の損傷はまだまだ軽いレベルであるため、あまり金がかからないで済みそうだが、蒼貴は左半身がほぼダメになっているため、下手すれば神姫一体分をスペアパーツとして買わなくてはならないため、かなり高く付くのは想像に難くなかった。
 何とか余裕を持たせておかないと自分の財布が空になってしまい、後が大変になるのは明らかだった。正直、真那にお金を借りないと持たない。

「……マジで貸しだからね」
「わぁってんよ。借用書でも書くか?」
「別にいいわよ。ほら行った行った」

 それに対して真那は嫌な顔をしたが、非常事態と言う事もあって、貸しという事で話をまとめてくれて、俺を送り出してくれた。

「……サンキュ」



 紫貴を真那とカルロスに任せた俺はホビーショップ『エルゴ』へと向かった。そこは『リップル』からはだいぶ離れた商店街の中に建っていた。外観は改装してあるものの、かなり前に建てられた物なのか、雨水や空気の汚れや何らかの壁の傷などが目立っており、年期を感じさせている。
 パッと見、こんな所に蒼貴を治す設備があるのかと少々疑わしいものを感じられるが、今更引き返すわけにもいかない。俺は「OPEN」という看板がぶら下がったガラスの自動ドアに立ち、開ける。
 来客を知らせるベルが鳴ると同時に入ってみるとその中は外とは違って、商品の手入れがきっちりと行き届いており、比較的綺麗で商品が見やすいように配置されてある良心的な空間がそこにはあった。
 商品を見てみると神姫のメジャーなメーカーの商品はもちろん、マイナーな所の物もあり、さらには個人制作のパーツまでもが置かれてあった。どうもここは神姫のためのパーツショップのようだ。
 パーツショップといっても小型のバトルロンドシミュレータや何らかの事情で神姫の面倒を見てもらうことの出来る施設もやっている所を見ると、ここは見た目以上に規模の大きい場所である事がわかる。ただ一部の陳列棚にはコスプレやら、妙だったり如何わしかったりする代物があり、狂気を感じさせるが……それはとやかく言わない事にしよう。
 とにかく前言撤回だ。確かにここなら直せる予感がしてきた。カルロスさんに感謝だ。

「いらっしゃいませ。何か探し物ですか?」

 突然、声をかけられる。それに反応して声の聞こえる方を向くと、そこにはどういう訳か、神姫のコアを飾るための胸像ディスプレイにヴァッフェバニータイプのコアがくっついたものがいた。
こうして会話が出来るという事はあの台座に素体の胸部の内蔵部品がその中に入っているという事になる。しかし、胸像を改造して起動したところでこのヴァッフェバニータイプは身動きが取れず、喋る事しかできないはずだ。にもかかわらずこうして起動したのはいったいどういう事なのだろうか。普通の人ではあまりやらない事なのは確かだが、酔狂なのか、意図的なのか理由がよくわからない。

「実は……」

 現状ではどうでもいい疑問を心の中に押し込み、カルロスによって応急処置が施され、鞄の中で眠っている蒼貴を取り出してヴァッフェバニータイプに見せて、バーグラーに襲われてしまった事とカルロスが手に負えないために日暮という店長への紹介状を預かっている事を話した。

「なるほど。事情はわかりました。少し待っていてください。今から上へ上がって戻ってこないマスターを呼びますので」

 事情と紹介状を読まされたヴァッフェバニータイプは自分のマスターである日暮という男を呼ぶために……飛んだ。というか浮いた。
そんな彼女は店の裏へと姿を消していった後、俺は目を疑った。いったい何の冗談なんだろうか。胸像が飛ぶなんて聞いた事が無い。ただの一般人の俺から見ればこれは十分にミステリーだ。……いや、機械なのだからトリックはあるのだろうが。
 少しの間、空飛ぶ胸像の謎を考えていると、その本人と彼女に呼ばれてきた人の良さそうな青年がやってきた。空飛ぶ胸像たるヴァッフェバニータイプを持っているところを見ると恐らく彼が日暮という男なのだろう。

「遅れてごめん。ジェニーから話は聞いたよ。ちょっとチェックさせてくれ」

 彼はカウンターまで来るとそう言って、そこに横たえられている蒼貴のダメージを見るために軽くチェックし始める。

「こいつはまた……」
「僕がもっと上手く指示をしていれば……」
「いや、君のせいじゃない。むしろよくそんな状況と装備で生き残らせる事ができたね」
「スキルや援軍は明らかに運ですがね」
「それを差し引いてもだよ。それで未だに新品の装備を買い足さない人なんて君が初めてだ。何か買ってやらないのかい?」
「技を磨いて、きっちりメンテすれば、これまで覆せていたので壊れた装備以外は……」

 日暮はチェックの途中で蒼貴の装備の無さを指摘してくる。
 そうされるのは無理の無い話だ。近々発売されるという話が流れているライトアーマーシリーズを除けば最も安価な神姫であるフブキタイプであり、おまけにフルセット仕様でないとくればそう考えられるのは難しくはない事だ。
 そこで俺は自分の周りの事と装備をいかにして補うのかという事を答える。

「もしかして君、最近週刊バトロンで紹介されてた『双姫主』の尊君?」
「……そうです」

 その話のせいで日暮に正体を感づかれた俺はごまかそうかと思ったが、ここで嘘をついてもどうしようもなく、観念して正体を明かした。

「なるほどね。どうしてそこから生き残れたのか納得したよ。イリーガルを含めたバーグラー勢なんて生半可な神姫じゃ太刀打ちできないからね」
「買い被りすぎです。戦術的には負けてますので。……ところで修理費はどれぐらいかかりますか? いや……治せますか?」
「治せるよ。ただ、ちょっと今、スペアパーツになりそうなフブキの在庫を切らせていてね……」
「そうですか……」

 その言葉に俺は気を落とした。こうなれば何とかしてどこまで走り回ろうとフブキのパーツを調達するしかないと腹をくくるしかなさそうだ。

「いや、別に治せないとは言っていないよ。今日は面白い物が入荷したんだ。ちょっとまっていてね」

 日暮はそう言うと一旦、店の裏へ行って何か大きな物音がした後、一つの神姫の箱を持って戻ってきて、蒼貴の近くにそれを置いた。その中にはフブキタイプに見えるものの、それとは対照的に燃える様な赤髪と真っ白な素体にそれらのツートンカラーの鎧を身に纏った神姫が入っていた。一言で言うなれば……

「白いフブキ……?」
「そう。フブキタイプのブランチモデルとして最近、販売が決まって、まだ売りに出されていないミズキタイプ一式だよ。これを買わないかい? これなら恐らく高い互換性があるから一番上手く修理……いや、このフブキをさらに強く出来ると思うんだ」
「売りに出されていないって……現状、修理パーツとしては買えないって事じゃ……」
「いや、構わないよ。確かに惜しいけど、後でいくらでも入荷できるから心配ないさ。それよりもこのフブキを治してあげる事の方が大事だって僕は思う。それに君のような神姫を仲間と思い、何としてでも助けようとするその真剣な目が気に入ったんだ。そんな君に買ってほしい」
「……わかりました。こいつを……蒼貴を頼みます」
「そうこなくっちゃ」

 日暮の説得に遠慮する理由も無くなり、俺は彼の勧めたミズキタイプの購入を決めた。大枚を叩く羽目になるが、蒼貴が死ぬ事に比べれば安いものだ。
数万円の会計を済ませると、日暮はすぐに蒼貴とミズキタイプを持ち、俺を連れて店裏へと移動した。
 店裏には様々な在庫が所狭しと並んでおり、店棚には無い物からどうも自分用にキープしてあるらしい物まで幅広い品物が目にできる。その中に品物が大量に転がっている箇所があり、そのままになっている所があった。恐らくそこにミズキが眠っていたのだろう。
 倉庫を通り過ぎていくと一区画だけ広い場所に辿り着く。その場所こそが神姫の修理用のスペースだった。
 まるで人の手術でもするかの様な作業用のテーブルを中心に精密機器用の工具、外装から無いそうに至るまでの神姫修理用のスペアパーツ、修理のための資料といったものが配置されており、空間や工具の規模の大きさから考えても明らかにカルロスの修理レベル以上の事が出来る事が容易に想像できた。喫茶兼神姫ショップと神姫専門店では専門的な差はこういう所にあるのかとカルロスが紹介してくれた意図が理解できる。

「そこで座っていて。今からミズキを使って蒼貴を修理するよ。パーツはどうする? 可能な限り換装する事もできるけど」
「……出来るだけ使えるパーツは残してやってくれませんか? あいつ、壊れた鎌だって持って帰ろうとする奴ですから、自分の体の事も同じ様に考えていると思うんで」
「わかった。でも内装はCSCの部分を除いて全部取り替えるよ? メンテはキッチリしている様だけど、かなりガタが来ているんだ。それにしても蒼貴って相当古いね。いつ、この子をお迎えしたんだい?」
「実は……」

 日暮にどうやって蒼貴と出会ったのかを聞かれた。
 俺はこれまでの事を語った。蒼貴が突然家に現れてオーナーになってほしいと言い、成り行きで武装神姫に足を踏み込んだ事、蒼貴を捨てたオーナーにリベンジしてやった事、紫貴と出会い、彼女の存続をかけた戦いを繰り広げた事、様々な人と出会い、時には悩み、それでもなお技を磨いて装備の差を覆してきた事を思い出せる限り、話す。

「……本当に君はいいオーナーの様だね。自分の神姫を大事にしようとしているって気持ちが痛いって程がよくわかるよ」

 お世辞、語り上手とは言えない言葉ばかりだったが、日暮は蒼貴の修理の準備をしながら下手糞な俺のそれをちゃんと聞いていた。

「ま、確かに隠れオタク事情なら必要以上に装備を買い揃えるのはきつそうだけど、さ」

 俺の隠れオタク事情に理解して苦笑し、一度手を止めた。

「今から修理を始めるよ。大掛かりにはなるけど、大丈夫だ。話を聞いていると本当この子は強い。必ず成功するさ」
「僕もそう思います。自分が何もできないのが非常に心苦しいですが、よろしくお願いします」
「ああ」

 何も出来ないが、俺は蒼貴が無事に帰ってくる事を祈る。それしか出来ないし、それ以上の事は出来ないだろう。しかし今まで、それでこれまでを乗り切ってきた。

 だから信じよう。あいつの……復活を。






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