闇の中。
静寂に包まれた心地好い暗闇の中。
深く深く、意識がその闇の中へと溶けてゆく。
何物にも代えがたい至福の時。
『……やと………』
しかし遠くから聞こえる誰かの声に、そんなささやかな幸せが奪われようとしていた。
誰だ、俺を呼んでいるのは。
静寂に包まれた心地好い暗闇の中。
深く深く、意識がその闇の中へと溶けてゆく。
何物にも代えがたい至福の時。
『……やと………』
しかし遠くから聞こえる誰かの声に、そんなささやかな幸せが奪われようとしていた。
誰だ、俺を呼んでいるのは。
『隼人!』
「隼人!朝ですよ隼人!起きてくださーい!」
「ぅあー……?」
なんだか、つい最近にも似たような事があったような気がする。いつだったか。ダメだ、頭が働かない。まだ眠い。
「ぐー……」
「あっ、二度寝しないでください!もう、仕方ないですね」
ようやく静かになったようだ。これでゆっくり眠れ――
「お、き、て、くださーい!!」
『ドォーン!!』
「うわあっ!?」
再び沈みかけた意識が、突然の爆発音によって一気に呼び起こされた。な、何が起きた?テロか?隕石か?
「おはようございます、隼人」
慌てて跳ね起きると、そこには和やかな笑みを浮かべた凛がちょこんと座していた。傍らの白煙を立ち上らせている蓬莱が、そのにこやかな表情と相反してかなりシュールな光景だ。
「お、おはようございます……ってお前!今の音はこれか!」
すぐには思考が働かずに、間の抜けた挨拶を返してしまった。違う、今必要なのは挨拶じゃあない。しかし俺が文句を言うより先に、凛はさも当然という様に口を開いた。
「隼人がなかなか起きてくれないからですよ。舞に頼まれているんですから。朝はちゃんと起こすようにって」
「だからって早朝バズーカはやめろ!高田純二か、お前は!」
「隼人、ネタが古いです」
「うるせえ!ったく、すっかり目が覚めちまった……」
「さあ、起きたんなら顔を洗って着替えてください。後で舞達が来る筈ですし」
「はーいはい」
適当な相槌を返しながら、仕方なく洗面所へと足を向ける。本来なら泥人形の様にダラダラと起きて、頭を半分眠らせたままグダグダと身支度を整えるのが常なのだが舞のヤツめ、余計な事を。
「ぅあー……?」
なんだか、つい最近にも似たような事があったような気がする。いつだったか。ダメだ、頭が働かない。まだ眠い。
「ぐー……」
「あっ、二度寝しないでください!もう、仕方ないですね」
ようやく静かになったようだ。これでゆっくり眠れ――
「お、き、て、くださーい!!」
『ドォーン!!』
「うわあっ!?」
再び沈みかけた意識が、突然の爆発音によって一気に呼び起こされた。な、何が起きた?テロか?隕石か?
「おはようございます、隼人」
慌てて跳ね起きると、そこには和やかな笑みを浮かべた凛がちょこんと座していた。傍らの白煙を立ち上らせている蓬莱が、そのにこやかな表情と相反してかなりシュールな光景だ。
「お、おはようございます……ってお前!今の音はこれか!」
すぐには思考が働かずに、間の抜けた挨拶を返してしまった。違う、今必要なのは挨拶じゃあない。しかし俺が文句を言うより先に、凛はさも当然という様に口を開いた。
「隼人がなかなか起きてくれないからですよ。舞に頼まれているんですから。朝はちゃんと起こすようにって」
「だからって早朝バズーカはやめろ!高田純二か、お前は!」
「隼人、ネタが古いです」
「うるせえ!ったく、すっかり目が覚めちまった……」
「さあ、起きたんなら顔を洗って着替えてください。後で舞達が来る筈ですし」
「はーいはい」
適当な相槌を返しながら、仕方なく洗面所へと足を向ける。本来なら泥人形の様にダラダラと起きて、頭を半分眠らせたままグダグダと身支度を整えるのが常なのだが舞のヤツめ、余計な事を。
昨日のバトルの後、舞達は凛の歓迎会だ、などと言ってうちで散々騒いで帰って行った。まあ、騒いでいたのはだいたいヒカリと凛なんだが。
そのお陰かあいつらもかなり打ち解けたようで、既に仲のいい姉妹とでもいう様だ。ちなみにヒカリが妹の方。起動順は逆なのだが、すでに凛の方がしっかりしていて、あれこれとヒカリに世話を焼く様は正に立派なお姉さんだった。
そんな凛と相棒である当の俺は舞曰く、『似た者同士』だそうで。深く詮索せずに誉め言葉として受け取っておいたが、確かに会ったばかりとは思えないくらいに意気投合出来ている。神姫バトルにおいて重要なのはお互いの信頼関係。それも昨日のバトルも幸いしていい形になりつつあるし、こうなればあとは実戦を積み重ねるのみだ!
そのお陰かあいつらもかなり打ち解けたようで、既に仲のいい姉妹とでもいう様だ。ちなみにヒカリが妹の方。起動順は逆なのだが、すでに凛の方がしっかりしていて、あれこれとヒカリに世話を焼く様は正に立派なお姉さんだった。
そんな凛と相棒である当の俺は舞曰く、『似た者同士』だそうで。深く詮索せずに誉め言葉として受け取っておいたが、確かに会ったばかりとは思えないくらいに意気投合出来ている。神姫バトルにおいて重要なのはお互いの信頼関係。それも昨日のバトルも幸いしていい形になりつつあるし、こうなればあとは実戦を積み重ねるのみだ!
「ところで隼人、昨日から気になっていたんですが……」
「んー?」
「このベルトはなんですか?ベルトにしてはバックル大きすぎる気がするんですが」
身支度を終えトーストにジャムを塗りたくる俺に、凛が一本のベルトを指して尋ねた。
横にスリットのついた白く厚みのあるバックルに、それを挟むようなグレーのハンドル、中心に丸いレンズが填めこまれているそれは、確かにベルトとしての機能は低いだろう。
しかし、これはただのベルトじゃあない。凛め、いいトコロに気が付いた。
「ああ、これか?ふふふ、よし、見せてやろう」
俺はベルトを掴むと勢いよく腰に巻き付けた。ハンドルを左右に引くと中心のバックルが90度回転、スリットが上に向けられる。そして取り出したるは一枚のカード、それをスリットに挿入し、ハンドルを押し込む。
「変身!」
『KAMEN RIDE!DECADE!』
すると機械的な音声を発しながら、バックルが発光する。そして内蔵されたビジョンを投影し、立体映像が俺の体を包んでいく。最新技術で造られたこのベルトは、擬似的な変身まで可能にしたのだ。そう、未来のおもちゃだから。
「おお!……って、だからこれなんなんですか?」
「ディケイドライバー」
「ディケイ……?」
「仮面ライダーだよ」
「仮面ライダー……ああ、データベースにあります。子供向けの特撮ヒーローですよね?でも、なんで隼人がそれを?」
だいたいあってる。だがそれでは足りないのだ、娘よ。ふむ、どうやら教育を施す必要がありそうだ。英才教育を。
「んー?」
「このベルトはなんですか?ベルトにしてはバックル大きすぎる気がするんですが」
身支度を終えトーストにジャムを塗りたくる俺に、凛が一本のベルトを指して尋ねた。
横にスリットのついた白く厚みのあるバックルに、それを挟むようなグレーのハンドル、中心に丸いレンズが填めこまれているそれは、確かにベルトとしての機能は低いだろう。
しかし、これはただのベルトじゃあない。凛め、いいトコロに気が付いた。
「ああ、これか?ふふふ、よし、見せてやろう」
俺はベルトを掴むと勢いよく腰に巻き付けた。ハンドルを左右に引くと中心のバックルが90度回転、スリットが上に向けられる。そして取り出したるは一枚のカード、それをスリットに挿入し、ハンドルを押し込む。
「変身!」
『KAMEN RIDE!DECADE!』
すると機械的な音声を発しながら、バックルが発光する。そして内蔵されたビジョンを投影し、立体映像が俺の体を包んでいく。最新技術で造られたこのベルトは、擬似的な変身まで可能にしたのだ。そう、未来のおもちゃだから。
「おお!……って、だからこれなんなんですか?」
「ディケイドライバー」
「ディケイ……?」
「仮面ライダーだよ」
「仮面ライダー……ああ、データベースにあります。子供向けの特撮ヒーローですよね?でも、なんで隼人がそれを?」
だいたいあってる。だがそれでは足りないのだ、娘よ。ふむ、どうやら教育を施す必要がありそうだ。英才教育を。
「なんですか、その笑顔。娘って誰の事ですか。あとなんで近寄って来るんですかちょっと近いですこの距離はなんですかまだ心の準備がきゃあ近い」
何かを察知したらしい凛は、顔をこわばらせて後ずさって行く。いいね、その表情。自分の身に抗いようのない何かが起こるのを理解している顔だ。あ、なんだかゾクゾクしてきた。
「大丈夫。すぐに良くなるから」
「え、わ、ちょ、え、アッー!」
何かを察知したらしい凛は、顔をこわばらせて後ずさって行く。いいね、その表情。自分の身に抗いようのない何かが起こるのを理解している顔だ。あ、なんだかゾクゾクしてきた。
「大丈夫。すぐに良くなるから」
「え、わ、ちょ、え、アッー!」
『仮面ライダー、本郷猛は改造人間である!』
軽快な金管楽器の演奏をバックに、荒野を疾走する一台のバイク。爆煙の中を駆け抜ける彼こそがそう、仮面ライダー。
悪の組織に拉致され、その身を改造されてしまう主人公。そんな悲劇的な境遇でありながらも、正義の為、世界を守る為に戦う事を決意するのです。
ああ、なんという正義感!なんという闘志!尊敬すべき、素晴らしい戦士です!
軽快な金管楽器の演奏をバックに、荒野を疾走する一台のバイク。爆煙の中を駆け抜ける彼こそがそう、仮面ライダー。
悪の組織に拉致され、その身を改造されてしまう主人公。そんな悲劇的な境遇でありながらも、正義の為、世界を守る為に戦う事を決意するのです。
ああ、なんという正義感!なんという闘志!尊敬すべき、素晴らしい戦士です!
……いや、一時はどうなるものかと思いましたが。実際には何の事はない、隼人はこれを見せたかっただけのようです。
恥ずかしながら、少しドキドキしてしまいました。強引に迫られるのも悪くは……じゃなくて。
恥ずかしながら、少しドキドキしてしまいました。強引に迫られるのも悪くは……じゃなくて。
なんとなく、隼人の人となりがわかったような気がします。その正義感や実直さは、きっと彼等『ヒーロー』譲りだったのですね。格闘戦主体のハウリンタイプである私を選んだのも、おそらくその辺りが影響しているのでしょう。各言う私もそんな熱苦しさ、いわゆる『熱血』が嫌いではなく……いえ!むしろ大好きなのですよ!
『ライダァァァ、キィィィィィィィック!!』
「すげーだろ、凛!怪人を粉砕するこの必殺のライダーキック!体一つでの突攻!まさに最後の切札なんだぜ!」
「隼人!続き!続きはないんですか?」
「おお!お前にはわかるか、このかっこよさが!」
「もちろんですよ!そうです、これです!戦士たるもの、こう熱く、激しくあるべきなんです!」
「いいぞ、凛!それでこそ俺の相棒だ!」
「……もう、なーにやってんだか」
と、盛り上がる私達に浴びせられる冷たい声。振り向くとそこにはいつの間にか、頬杖と溜め息を一緒についている舞が呆れ顔で座っていました。
「凛ちゃーん!遊びにきたよー!」
「いらっしゃい。舞、ヒカリ」
勢いよく抱きついてくるヒカリをなだめながら、私は二人に歓迎の意を表します。ひらひらと笑顔で手を振る客人を、隼人はいかにも不満そうに迎えました。
「なんだ、来てたんなら言えよ」
「チャイム鳴らしたのに気付かないんだもん。まったく……あんたはまたそれ?」
「またとはなんだ、またとは。漢のたしなみだよ」
「たしなみ、ねぇ。凛ちゃん?こんな粗雑なヤツみたいになっちゃダメよー?」
「あぁ?自分の事を棚に上げて、何を失礼な――」
「あ、そうそう。神姫NETのユーザ登録なんだけどね」
「聞けよ!」
隼人と舞、二人のこういったやりとりは既に幾度となく行われています。初めこそケンカかと慌てましたが、落ち着いて聞いているとこれがなかなか楽しいものです。互いに軽口、減らず口の叩き合いなのですが決して不快ではなく、寧ろ微笑ましく思える程。本人達もそれなりに楽しんでいるらしく、二人なりのコミュニケーションの様ですね。まあ、大抵の場合、主導権は舞が握っている様ですが。
「買い物したりサポート受けたりで便利だし、登録するでしょー?やっといたからねー」
「答えは聞かないんですね……」
「いつもの事だよ。まあ、サンキューな」
「そーれーかーら、これがバトル用のIDで、これが凛ちゃんのパーソナルデータの登録表ね。それでこれが――」
舞は他にも色々な登録等を済ませておいてくれたようです。これだけの量を登録するのはかなりの手間がかかる筈。それを昨日の今日で全て済ませてくれていたとは驚きです。面倒見が良い、というか……
「あはは、舞なんだかお姉ちゃんみたい!」
「たしかに、姉貴よりよっぽどねーちゃんみたいだな……」
「あれ?隼人、お姉さんがいるんですか?」
これは初耳です。未だにご家族の方とお会いしていないで気にはなっていたのですが。
「この前は美容師になるって言ってたけど、今はどうしてるんだっけ?」
「パティシエだとさ。時代はスイーツだ!とか言ってた」
「あはは、相変わらずみたいだね。美容師の前は宇宙飛行士、だったよね?」
なんと一貫性の無い職種。どういった経緯でその様な転職に及んだのでしょう。それに、どれも数年掛りでやっとか実を結ぶようなモノばかりで、そう易々と乗り換えられるとはとても思えません。
「……あのー、隼人のお姉さんは一体何をなさっている方なんですか?」
「あー、なんつーか、熱しやすく冷めやすいヤツでさ。次から次に色々始めては飽きちまって」
「でもすごいんだよ。なんだってすぐ覚えて簡単にこなしちゃうんだから」
なんだか、聞けば聞くほどわからなくなってきました。隼人のお姉さん……一体どんな方なのでしょう?
「ま、そのうち嫌でも会うことになるだろーし、その時話してみろよ」
「お姉さんも神姫オーナーだし、きっと凛ちゃんとも仲良くなれると思うよ。私も久しぶりに会いたいなー」
どうやら、いいお姉さんなのは間違いないようです。これからの生活にまた一つ、新しい楽しみが増えました。
「んじゃ、舞も来たことだし、そろそろ行くか!」
「行くって……どこへ?」
首を傾げる私に、舞とヒカリは顔を見合わせ悪戯っぽく笑いました。
「決まってるでしょー?ね、ヒカリ?」
「うん!約束だよ、あたしとも遊んでくれるって!」
――そうでした。隼人と、ヒカリと、舞と。私達が出会ったあの場所。確かに約束でしたね。
「おう!行くぜ、神姫センター!」
「はい!」
『ライダァァァ、キィィィィィィィック!!』
「すげーだろ、凛!怪人を粉砕するこの必殺のライダーキック!体一つでの突攻!まさに最後の切札なんだぜ!」
「隼人!続き!続きはないんですか?」
「おお!お前にはわかるか、このかっこよさが!」
「もちろんですよ!そうです、これです!戦士たるもの、こう熱く、激しくあるべきなんです!」
「いいぞ、凛!それでこそ俺の相棒だ!」
「……もう、なーにやってんだか」
と、盛り上がる私達に浴びせられる冷たい声。振り向くとそこにはいつの間にか、頬杖と溜め息を一緒についている舞が呆れ顔で座っていました。
「凛ちゃーん!遊びにきたよー!」
「いらっしゃい。舞、ヒカリ」
勢いよく抱きついてくるヒカリをなだめながら、私は二人に歓迎の意を表します。ひらひらと笑顔で手を振る客人を、隼人はいかにも不満そうに迎えました。
「なんだ、来てたんなら言えよ」
「チャイム鳴らしたのに気付かないんだもん。まったく……あんたはまたそれ?」
「またとはなんだ、またとは。漢のたしなみだよ」
「たしなみ、ねぇ。凛ちゃん?こんな粗雑なヤツみたいになっちゃダメよー?」
「あぁ?自分の事を棚に上げて、何を失礼な――」
「あ、そうそう。神姫NETのユーザ登録なんだけどね」
「聞けよ!」
隼人と舞、二人のこういったやりとりは既に幾度となく行われています。初めこそケンカかと慌てましたが、落ち着いて聞いているとこれがなかなか楽しいものです。互いに軽口、減らず口の叩き合いなのですが決して不快ではなく、寧ろ微笑ましく思える程。本人達もそれなりに楽しんでいるらしく、二人なりのコミュニケーションの様ですね。まあ、大抵の場合、主導権は舞が握っている様ですが。
「買い物したりサポート受けたりで便利だし、登録するでしょー?やっといたからねー」
「答えは聞かないんですね……」
「いつもの事だよ。まあ、サンキューな」
「そーれーかーら、これがバトル用のIDで、これが凛ちゃんのパーソナルデータの登録表ね。それでこれが――」
舞は他にも色々な登録等を済ませておいてくれたようです。これだけの量を登録するのはかなりの手間がかかる筈。それを昨日の今日で全て済ませてくれていたとは驚きです。面倒見が良い、というか……
「あはは、舞なんだかお姉ちゃんみたい!」
「たしかに、姉貴よりよっぽどねーちゃんみたいだな……」
「あれ?隼人、お姉さんがいるんですか?」
これは初耳です。未だにご家族の方とお会いしていないで気にはなっていたのですが。
「この前は美容師になるって言ってたけど、今はどうしてるんだっけ?」
「パティシエだとさ。時代はスイーツだ!とか言ってた」
「あはは、相変わらずみたいだね。美容師の前は宇宙飛行士、だったよね?」
なんと一貫性の無い職種。どういった経緯でその様な転職に及んだのでしょう。それに、どれも数年掛りでやっとか実を結ぶようなモノばかりで、そう易々と乗り換えられるとはとても思えません。
「……あのー、隼人のお姉さんは一体何をなさっている方なんですか?」
「あー、なんつーか、熱しやすく冷めやすいヤツでさ。次から次に色々始めては飽きちまって」
「でもすごいんだよ。なんだってすぐ覚えて簡単にこなしちゃうんだから」
なんだか、聞けば聞くほどわからなくなってきました。隼人のお姉さん……一体どんな方なのでしょう?
「ま、そのうち嫌でも会うことになるだろーし、その時話してみろよ」
「お姉さんも神姫オーナーだし、きっと凛ちゃんとも仲良くなれると思うよ。私も久しぶりに会いたいなー」
どうやら、いいお姉さんなのは間違いないようです。これからの生活にまた一つ、新しい楽しみが増えました。
「んじゃ、舞も来たことだし、そろそろ行くか!」
「行くって……どこへ?」
首を傾げる私に、舞とヒカリは顔を見合わせ悪戯っぽく笑いました。
「決まってるでしょー?ね、ヒカリ?」
「うん!約束だよ、あたしとも遊んでくれるって!」
――そうでした。隼人と、ヒカリと、舞と。私達が出会ったあの場所。確かに約束でしたね。
「おう!行くぜ、神姫センター!」
「はい!」
「あ、すみません。あと一話だけ見てからでいいですか?」