アルテミスが意を決したように口を開いた。
「みなさんもう作戦はたてません。策を労すれば労するほど泥沼にはまっていく、だからみなさん、個々の意志で戦ってください。それがベストだと私は判断しました」
「そうだな」
「分かった」
「ふぇ、え?え?」
アルテミスの意見にサイファと千姫が肯くがウィトゥルースのみるくがどうしていいのか分からずにいた。
「みるく、貴方は後ろに下がっていた方が良いわね。後方支援をお願い。たぶん私達の考えている事は同じはず」
「分かりました」
アルテミス達がエリアーデの方を睨んだ。
「話し合いは終わりまして?」
「あぁ、今終わった所だ」
「そうですか、それでは参りますわ!」
エリアーデが突進を仕掛ける。
「散開!」
アルテミスの言葉で散り散りになり、みるくとサイファが離脱、千姫とアルテミスが互いの有効距離である接近戦を仕掛ける。
「秘剣!百華繚乱!」
居合いの構えからの高速を超えた神速での抜刀、千姫の得意とするスキルが百の斬撃の牙を持ってエリアーデに襲いかかる。
「甘い!」
左のチーグル改二本で防御する。そこを狙うは高く舞い上がったサイファ
「貰った!デッドリィィィィィィストライクゥゥゥゥ!!」
二本のエウロスを前面に押し出し、最速を誇るサイファのスピードを最大限に利用したスキルがエリアーデのチーグル改の一本を使用不可能にした。
「まずは一本目、次!」
アルテミスが次を狙うがそれをエリアーデがさせるほどお人よしではなかった。
「なぁぁぁめぇぇぇるぅぅぅなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
チーグル改三本で地面を力一杯殴りつける。地震の様に揺れる部屋、フロアパネルの下のコンクリートが円形に破壊され、破壊されたコンクリートが槍の穂先の様に無数に隆起、余波である衝撃波がアルテミス達三人を襲う。エリアーデのスキル『グランドシェイク』その破壊力は通常のスキルを超えた威力を持つが不完全であった為、アルテミス達を弾き飛ばす程度まで落ちている。
「貰いましてよ!」
「く!」
体勢を崩しているアルテミスにエリアーデが襲いかかる。
「させん!」
千姫とサイファが立ち塞がる。
「邪魔ですわ!」
チーグル改による攻撃をかわす二人、対象を変えたエリアーデの猛攻をかわすごとに二人の代わりにフロアパネルが破壊されていく。
「ちょこまかと蠅のように!」
「見え見えの攻撃など当たるか!」
見縦横無尽に駆けるサイファと千姫それを追いかけ破壊の限りを尽くすエリアーデの文字通り命がけの追いかけっこが続く。
「攻撃に当たらないで!当たったら終わりよ!」
アルテミスの忠告も二人の耳には入らなかった。聞かなかったのではない、聞けなかったのだ。エリアーデの攻撃にカスリでもすればそこから一気にもっていかれる、当たる訳にはいかない、だからこそ集中しなければいけない。
少しずつ、ほんの些細な違和感ではあるがチーグル改の動きが悪くなっている。それでも攻撃が当たらない焦燥感からかまわずにエリアーデは攻撃の手を緩めない。
所かまわず破壊し続けているとチーグル改の不調を決定付ける時が来た。同じように床のフロアパネルを砕いた瞬間明らかな異常が襲ってきた。
エリアーデの表情からサイファが不調を読み取った。
「ようやくか」
「どういう事ですの?」
「エリアーデ、君はどれほどこの部屋を破壊してきた?」
見渡せば部屋は荒れ果て、壁も床も瓦礫同然になっている。
「そういう事ですのね」
「いくら頑強なサブアームでもここまで部屋を破壊してきたんだ。外側は頑丈でも中身が精密機械である以上、当然サブアームにも異常は出る」
確かにチーグル改の動きはぎこちなく動かすたびに異常な音が鳴る。単純なパワーだけでも半分以下にまでパワーダウンしている。
「損傷率60%、これではまともに戦えませんわね」
「降参でもしてくれるのか?その方がこちらとしても嬉しいのだが?」
冗談交じりでサイファが答えた。
「まさか、こうするのですわ。バックユニット『ベヘモス』パージ」
エリアーデがメイン武装でもあり防御や機動の要でもある複合大型背部ユニットが切り離された。
「なっ!?」
予想外の行動にみんな驚いた。
「こう思っていません?武装ユニットを切り離して弱くなったと」
「当然だ。貴様にもう武装は残っていないではないか」
千姫が答える。
「ふふ、この『ベヘモス』重さ何キロあるかご存じ?3キロあるんですのよ。それにあの朱天改、あれだけで1キロ、計4キロの武装を背負って戦っていたんですのよ。そしてそれを支えていたのはこの脚、つまり」
サイファ達の目の前からエリアーデ消えた。いや高く跳躍しエリアーデの踵落としが眼前に襲ってきた。
「何!」
驚いたが踵落としをギリギリでかわす事が出来た。
「デッドウェイトを切り離した分早く動ける。という事ですわ!」
エリアーデが新たな牙をむいた。
「みなさんもう作戦はたてません。策を労すれば労するほど泥沼にはまっていく、だからみなさん、個々の意志で戦ってください。それがベストだと私は判断しました」
「そうだな」
「分かった」
「ふぇ、え?え?」
アルテミスの意見にサイファと千姫が肯くがウィトゥルースのみるくがどうしていいのか分からずにいた。
「みるく、貴方は後ろに下がっていた方が良いわね。後方支援をお願い。たぶん私達の考えている事は同じはず」
「分かりました」
アルテミス達がエリアーデの方を睨んだ。
「話し合いは終わりまして?」
「あぁ、今終わった所だ」
「そうですか、それでは参りますわ!」
エリアーデが突進を仕掛ける。
「散開!」
アルテミスの言葉で散り散りになり、みるくとサイファが離脱、千姫とアルテミスが互いの有効距離である接近戦を仕掛ける。
「秘剣!百華繚乱!」
居合いの構えからの高速を超えた神速での抜刀、千姫の得意とするスキルが百の斬撃の牙を持ってエリアーデに襲いかかる。
「甘い!」
左のチーグル改二本で防御する。そこを狙うは高く舞い上がったサイファ
「貰った!デッドリィィィィィィストライクゥゥゥゥ!!」
二本のエウロスを前面に押し出し、最速を誇るサイファのスピードを最大限に利用したスキルがエリアーデのチーグル改の一本を使用不可能にした。
「まずは一本目、次!」
アルテミスが次を狙うがそれをエリアーデがさせるほどお人よしではなかった。
「なぁぁぁめぇぇぇるぅぅぅなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
チーグル改三本で地面を力一杯殴りつける。地震の様に揺れる部屋、フロアパネルの下のコンクリートが円形に破壊され、破壊されたコンクリートが槍の穂先の様に無数に隆起、余波である衝撃波がアルテミス達三人を襲う。エリアーデのスキル『グランドシェイク』その破壊力は通常のスキルを超えた威力を持つが不完全であった為、アルテミス達を弾き飛ばす程度まで落ちている。
「貰いましてよ!」
「く!」
体勢を崩しているアルテミスにエリアーデが襲いかかる。
「させん!」
千姫とサイファが立ち塞がる。
「邪魔ですわ!」
チーグル改による攻撃をかわす二人、対象を変えたエリアーデの猛攻をかわすごとに二人の代わりにフロアパネルが破壊されていく。
「ちょこまかと蠅のように!」
「見え見えの攻撃など当たるか!」
見縦横無尽に駆けるサイファと千姫それを追いかけ破壊の限りを尽くすエリアーデの文字通り命がけの追いかけっこが続く。
「攻撃に当たらないで!当たったら終わりよ!」
アルテミスの忠告も二人の耳には入らなかった。聞かなかったのではない、聞けなかったのだ。エリアーデの攻撃にカスリでもすればそこから一気にもっていかれる、当たる訳にはいかない、だからこそ集中しなければいけない。
少しずつ、ほんの些細な違和感ではあるがチーグル改の動きが悪くなっている。それでも攻撃が当たらない焦燥感からかまわずにエリアーデは攻撃の手を緩めない。
所かまわず破壊し続けているとチーグル改の不調を決定付ける時が来た。同じように床のフロアパネルを砕いた瞬間明らかな異常が襲ってきた。
エリアーデの表情からサイファが不調を読み取った。
「ようやくか」
「どういう事ですの?」
「エリアーデ、君はどれほどこの部屋を破壊してきた?」
見渡せば部屋は荒れ果て、壁も床も瓦礫同然になっている。
「そういう事ですのね」
「いくら頑強なサブアームでもここまで部屋を破壊してきたんだ。外側は頑丈でも中身が精密機械である以上、当然サブアームにも異常は出る」
確かにチーグル改の動きはぎこちなく動かすたびに異常な音が鳴る。単純なパワーだけでも半分以下にまでパワーダウンしている。
「損傷率60%、これではまともに戦えませんわね」
「降参でもしてくれるのか?その方がこちらとしても嬉しいのだが?」
冗談交じりでサイファが答えた。
「まさか、こうするのですわ。バックユニット『ベヘモス』パージ」
エリアーデがメイン武装でもあり防御や機動の要でもある複合大型背部ユニットが切り離された。
「なっ!?」
予想外の行動にみんな驚いた。
「こう思っていません?武装ユニットを切り離して弱くなったと」
「当然だ。貴様にもう武装は残っていないではないか」
千姫が答える。
「ふふ、この『ベヘモス』重さ何キロあるかご存じ?3キロあるんですのよ。それにあの朱天改、あれだけで1キロ、計4キロの武装を背負って戦っていたんですのよ。そしてそれを支えていたのはこの脚、つまり」
サイファ達の目の前からエリアーデ消えた。いや高く跳躍しエリアーデの踵落としが眼前に襲ってきた。
「何!」
驚いたが踵落としをギリギリでかわす事が出来た。
「デッドウェイトを切り離した分早く動ける。という事ですわ!」
エリアーデが新たな牙をむいた。
空に浮かぶ太陽が月に変わった頃、超満員のイベントホール、そのステージ上ではスポットライトに照らされたあのド派手な司会者がマイクを握っていた。
「それでは!ハロウィンパーティーの優勝者達をご紹介しましょう!」
先に結果を報告しよう。
結果はエリアーデの敗北、デッドウェイトになっていた『ベヘモス』を切り捨て高速戦闘を仕掛けたエリアーデだったが、慣れない事はするモノではない。普段から高速での戦闘に慣れているサイファ・千姫・アルテミスの三人がかりに勝てるわけがなかった。
ステージ上には優勝者である四人のオーナーが司会者から優勝の賞品を受け取っている。
それを眺めているクロエとエリアーデ
「お疲れ様、エリー」
クロエがヂェリカンを差し出し、それを受け取る。
「身体は埃っぽいし、髪がごわごわで最悪ですわ。今すぐにでもエステに行きたい気分ですわね」
「はは、それは明日にしてくれないかな」
「仕方ありませんわね……今日は楽しかったですわ」
「そう、それは良かった。まぁ久しぶりに大暴れしたしね」
「そうですわね」
「それじゃ、そろそろ帰ろうか」
「帰りましょう。ここは少し騒がしすぎますわ」
煌びやかなステージに背を向け、出口へと足を向ける。
「それでは!ハロウィンパーティーの優勝者達をご紹介しましょう!」
先に結果を報告しよう。
結果はエリアーデの敗北、デッドウェイトになっていた『ベヘモス』を切り捨て高速戦闘を仕掛けたエリアーデだったが、慣れない事はするモノではない。普段から高速での戦闘に慣れているサイファ・千姫・アルテミスの三人がかりに勝てるわけがなかった。
ステージ上には優勝者である四人のオーナーが司会者から優勝の賞品を受け取っている。
それを眺めているクロエとエリアーデ
「お疲れ様、エリー」
クロエがヂェリカンを差し出し、それを受け取る。
「身体は埃っぽいし、髪がごわごわで最悪ですわ。今すぐにでもエステに行きたい気分ですわね」
「はは、それは明日にしてくれないかな」
「仕方ありませんわね……今日は楽しかったですわ」
「そう、それは良かった。まぁ久しぶりに大暴れしたしね」
「そうですわね」
「それじゃ、そろそろ帰ろうか」
「帰りましょう。ここは少し騒がしすぎますわ」
煌びやかなステージに背を向け、出口へと足を向ける。
車に乗りクロエが向かった先は家ではなく、自分の店『シュバルツバルト』
「家に帰るんじゃありませんでしたの?」
「店に忘れ物をしてね。それを取りに来ただけだよ」
シュバルツバルトは駅のアーケードにある雑居ビルの2階にある。
前に喫茶店をやっていた店舗を2年前に改装し神姫パーツショップとしてオープンしたのだがあまり客の出入りは良くなく、今や知る人ぞ知る店になってしまった。
1階の店舗の横にある狭い階段を上って行くと、閉まっているはずの店の出入り口の前に細い足が見えた。
顔を上げると相手の顔が見えた。その女性には見覚えがある。神姫をしていない人でも雑誌やテレビで見た事があると言うだろう、それ程の有名人。しかしクロエはそれ以上に知っている。
「久しぶりだね。リオラ」
リオラ=アジフ、現ワールドクィーン、ネメシスのオーナーだ。
リオラと肩に乗っていたネメシスが口を開いた。
「久しぶりですニイサン、3年ぶりですね」
「お久しぶりです。マイマスター」
「家に帰るんじゃありませんでしたの?」
「店に忘れ物をしてね。それを取りに来ただけだよ」
シュバルツバルトは駅のアーケードにある雑居ビルの2階にある。
前に喫茶店をやっていた店舗を2年前に改装し神姫パーツショップとしてオープンしたのだがあまり客の出入りは良くなく、今や知る人ぞ知る店になってしまった。
1階の店舗の横にある狭い階段を上って行くと、閉まっているはずの店の出入り口の前に細い足が見えた。
顔を上げると相手の顔が見えた。その女性には見覚えがある。神姫をしていない人でも雑誌やテレビで見た事があると言うだろう、それ程の有名人。しかしクロエはそれ以上に知っている。
「久しぶりだね。リオラ」
リオラ=アジフ、現ワールドクィーン、ネメシスのオーナーだ。
リオラと肩に乗っていたネメシスが口を開いた。
「久しぶりですニイサン、3年ぶりですね」
「お久しぶりです。マイマスター」