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第四話:諸刃姫


 そいつの場所を突き止めるのは簡単だった。公開情報の中にはバトルロンドのどのブースを使っているのかが記載されてあったため、俺の肩にしがみつく蒼貴と共に迷うこともなく人混みの中をかき分けながら、そこへ向かえた。
 紫貴には石火のオーナーにアーンヴァルを引き渡す様に言ってあるため、一応は安全ではある。
 何か追っ手が来てもトライクで逃げられるだろう。
 後はそいつを捕まえるだけだが、どうにも気がかりなことが一つある。

「それにしてもオーナー。イリーガルはあれ程までに異常なのでしょうか?」
「一概には言えんが、あれも異常すぎではあってもイリーガルの一種だろう。それも違法改造の類のな」

 あのアーンヴァルのイリーガルはどういうものであるかだ。そもそもイリーガルとはアークの前例である通り、規定以上の違法パーツを使うことにより素体そのものを強化することを意味している。
 強化といってもその定義は様々だ。圧倒的な再生力、規格以上のパワー、スピードなどそのオーナーの求める物で違ってくる。
 しかし、今回のアーンヴァルはその定義の中でも異質だ。強大な力を得る代わりに神姫に負担がかかるという諸刃の剣なのだ。そんな物をホイホイ使うとはいったいどういう事だろうか。
 そんな事をすれば、あのアーンヴァルの命が危ない。果たしてオーナーはその事を承知して使っているのだろうか。もし承知しているのならば神姫の命をなんだと思っているのかと問い詰めたい所だ

「少なくとも言えるのはそれを使った奴はただのバカって事だ。限られたルールで強くなろうとせず、諦めたに過ぎん。捕まえてとっちめてやるぜ」
「暴力は出来ればやめておいた方がよろしいかと……」
「わかってんよ。俺とて無闇にそんな間抜けな事はせんさ。……あいつか」

 蒼貴と短い会話をしながら走り続けていると目的のブースにたどり着き、アーンヴァルのオーナーと思われる人間がそこにいるのを見つける。しかしそれは……。

「あれ……? 子供、ですか?」

 蒼貴の言う通り、小学生か中学生ぐらいの少年だった。しかもおとなしそう性格をしていそうなその顔はとても青ざめている。

「おい。あんた」
「ひっ!?」

 早速、声をかけてみる。顔をこちらへ向けたその少年はもう泣きべそをかいており、どうしたらいいのか分からないといった表情をしている。これを見るとどうも少年の意図した改造ではないのかもしれない。というか、たかが十歳ぐらいのガキンチョがそんな改造が出来ていたら、脱帽物だ。

「落ち着け。別に何かするってわけじゃねぇ。俺のイーダの事は気にしないでいいから、ちょっと話を聞かせてほしいんだ。あんたのアーンヴァルについてな」
「あのイーダの、オーナーさん……? ごめんなさい……! あんな事になるなんて……!!」
「おいおい、泣くなって。男だろ? それよりお前のアーンヴァルだ。今はゼルノグラードのオーナーの所にいるから、ちょっと付いてきてくれ。ここだとちょっと厄介だ」
「うん……」

 何とか落ちついた少年に付いてきてもらう事になった。この様子だとこの少年ではない他の誰かに改造してもらったのは決まりの様だ。
 それもこうなることを知らなかった事を聞くとその改造した人物に騙された可能性が高い。
 となればあのアーンヴァルを調べた方が話は早いだろう。調べる理由も破損の原因を調べるついでで理由も通る。ひとまずはこいつを連れて石火のオーナーの下へ行った方がいい。

 話が決まった俺と少年は紫貴とアーンヴァルの待つ石火のオーナーがいるブースへと足を運ぶ事にした。
 そこへの場所も先ほどの少年と同じ探し方でもうわかっている。もし、そのままいてくれればそこにいるはずだ。いなければ紫貴に直接連絡するか、杉原によって取り付けられあるGPS発信機で探知すればいいだけだ。
 頭にたたき込んだブースへとたどり着くとその必要がなかった事を知る事になった。
 そこには俺と同年代ぐらいの青年が紫貴と石火、そしてアーンヴァルと何か話しているのが見えた。

「エルザ!!」

 彼らに近づくと少年は傷ついたアーンヴァル エルザの名を呼び、走り出した。
 彼女のいるブースに行くとエルザをそっと自分の両手に乗せた。

「ゆうちゃん……。ごめん……私……うっ!?」

 彼女はボロボロになり、今にも気を失いそうになっているというのに無理をしてグシャグシャになった少年のことを謝り始めた。
 この様子からすると絆は本物で、ただ勝てなかっただけなのだろう。
 そして友達に勝てないことをはやし立てられて辛い日々を送り、そして……手を出してしまった。そういう事の様だ。辛い中、頑張ってこれとはあんまりだ。

「謝るのは僕の方だよ! エルザが死んじゃうかもしれないのに僕は……!!」
「ゆうちゃんは……悪くないよ……。私が……」
「エルザ? エルザ!!」

 短い会話の後、エルザは力を使い果たし、少年の叫び声の中、目を閉じた。その表情は少年の願いを叶えられなかった自責に満ちていた。

「落ち着け。まだ、こいつは死んじゃいない」

 泣き叫ぶ前に俺は彼女の死を否定する。まだ直してもいないのにそう決めつけるのは早急だ。何より、望みは最後まで捨てさせたくはない。

「えっ?」
「そう。彼女はまだ死んでいないよ。彼女が君を信じてくれた様に彼女を信じてみて。……出来るよね?」
「……うん」

 石火のオーナーの青年も落ち着いた声で彼を元気付けてくれた。俺とは違い、ストレートではないが、柔らかく子供にはいい言葉遣いだった。
 そのおかげか、少年は何とか落ち着いてくれた。これなら何とかまともに話を聞いてくれそうだ。

「信じるのもいいが、現実も考えようぜ。今から俺のバイト先の研究所へ行こう。あそこなら設備も揃っている。そこでなら直せるはずだ」

 そうなった所で俺が提案する。杉原に頼るのは不本意だが、修理の他にそうなった原因を調べてもらえそうな奴はあいつしかいない。
 少年から事情も聞くとしてそれで何とか警察に動いてもらえそうな証拠を突きつける事が出来れば、少年の様に悲しい想いをする人を少しは減らせるだろう。

「そうだね。研究所の類ならこの子の原因も突き止めてあげられそうだ。すまないけど、先へ行っていてもらえないかな? 急ぐんだろうけど、僕は早くは行けないんだ」
「……そうか。場所はOMESTRADA社イーストラボラトリーだ」

 同意する青年はどういう訳か、「早く行けない」と言ってきた。その言葉を俺はすぐには分からなかったが彼の隣にある杖を見るとそれに納得し、頷いて場所を教える。

「イーストラボラトリーだね。わかった。何とか追いつくよ」
「よし。蒼貴と紫貴は鞄の中に入れ。おい、ユウ。エルザを助けるぞ」
「は、はい!」

 俺は蒼貴と紫貴を自分の鞄に入れ、少年の愛称を呼ぶと彼を連れ、OMESTRADA社イーストラボラトリーへと急ぐ事にした。



「う~ん。随分と派手にやったねぇ……。どうすればこんなに体がボロボロになるんだ? 興味が尽きないもんだ」
「直りそうですか!?」
「あ~。叫ばんでくれ。うるさい。CSCは必要以上に磨耗しているから三日はバトルを控えた方がいいだろうけど、AIに問題はないよ」
「よかった……!!」

 杉原の答えを聞いた少年はエルザが生きているという事に安堵の表情を浮かべた。

「ひとまず素体の内部パーツを一通り換装しておくよん。色々と試作パーツを組み込むけど、稼働データをくれれば代金はタダでいいやぁ。こういう実験は好きにやらせてもらえないからもののついでだね」
「ありがとうございます!!」
「礼はいいよ。ただのギブアンドテイクだし」
「そう言わないでやってくださいよ。感謝しているんですから。……さて、ユウ。ちょっと話があるから出ていてもらえないか。暇だろうから俺の蒼貴と紫貴の面倒でも見ていてやってくれ」
「うん」

 俺は本題に入るために、少年に蒼貴と紫貴の相手をさせる事で何の疑いも持たせずに外へと出す。
 正直、彼の前で話すにはきつい話だ。知らない方が幸せだろう。
 少年がいなくなった後、俺は杉原を見る。彼はエルザのボディを調べて、内部パーツを一通り交換すると同時にイリーガルマインドの残骸を摘出し、そばに置いていた。
 彼も自分と同じ結論に達していると見てもいいかもしれない

「それが本題です」
「なるほど。やはり君の事だから面白い事を持ってくるとは思っていたけど、これはまた厄介なものを持ってきたものだね」
「ええ。単刀直入に聞きます。彼女はイリーガルなのですか?」

 その質問を聞いた杉原は大げさに笑い始めた。この反応からすると、ビンゴの様だ。

「……鋭いね。彼女はイリーガルじゃない。イリーガル並、或いはそれ以上の出力をこのチョーカーで得ていただけなのさ。……リミッターを開放する事でね」
「リミッター?」
「当たり前の話だけど、機械は決められた限界の上で動くんだ。もし、それを無視して動かしたらど~なるっけかな?」
「壊れる」
「当たり」

 杉原の言いたい事はだいたいわかった。
 機械とは決まったプログラムされたシステム、物理的な制約などの『限界』に沿って動く。それによって機械が動くという事が成立する。
 ではその限界を超えて動いたらどうなるだろうか。
 人や動物といった生物ならば勉強すれば更なる知識を身につけたり、より強靭な筋肉を鍛えたりする事ができるだろう。
 しかし、機械にはそれは無く、戦う力を成長させる事のできる神姫とて例外ではない。
 そうした場合、確かに限界以上の力は出せるかもしれないが、そうする事は想定されてはおらず、その限界を超えたツケは磨耗、破損といった形になって返ってくる。
 端的に言えばこのイリーガルマインドに似せた代物はリミッター解除装置なのである。
 これを装備し、CSCにかかっているリミッターを開放する事によって、CSCの消耗と引き替えにイリーガルと同等、或いはそれ以上の性能を得ることが出来るのである。

「CSCってのは説明が長くなるから適当に端折るけど、簡単に言えば一種のエネルギー結晶体な~のさ。バッテリー駆動ではあるけど、それとは別の動力源としてのエネルギー用のねん」

 杉原の話は続く。
 エルザの場合は使い始めだったらしく、素体のパーツ交換で済んだが、もし乱用を続けていた場合、AIの不具合やCSCの故障及び破損が発生し、最悪の場合、使用した神姫のCSCが破損し、死ぬ事となるという。
 また、イリーガルの象徴たるユニホーンに関してはスキルを使用する事で出る仮想物質をそれとして形成し、そうした印象を与えるためのものであるらしい。
 仮想物質とはダークスラッシャー時の羽根型の弾丸、ドゥルガースレイ時のエアロヴァジュラ分裂などを可能とするCSCが発生させるエネルギーの塊である。
 それの応用でユニホーンが次々と再生させる事を可能としていたらしい。そしてそれはCSCに負担を与えるものであるため、必要以上にユニホーンを再生した場合でもCSCのは損の恐れがあるという推測をくれた。

「現物があればすぐに解析して把握できるんだけど、推測としてはこれぐらいかな? 恐らくはサマーフェスタでまだ出回っていて、それを装備した神姫が参加しているかもしれないなぁ」
「詰まる所、これを装備した神姫を捕獲してこいと?」
「そゆこと。ま、その前にちょいとそうするための建前も必要だから、その辺の許可はこちらで神姫センターに交渉しておくよ。用意が出来るまで、君達はちょいと待ってておくれよ。こういうのはきっちり手続きをとっておかないとなかなか厄介でね」

 杉原の言葉に俺は内心、同意する。確かに捕獲なんていったら盗難や窃盗になりかねない。何かしらの建前は色々と必要になってくるし、そうしたトラブルに関わる事はこちらとしても避けておきたい。

「君はあのお子ちゃまからどこでこのチョーカーを手に入れたかを聞いておいておくれ。手がかりになるだろうからさ」
「了解です。待ってますよ」
「ああ。楽しみに待っててよ~。恐らくはこの事件を神姫センターは無視できなくなるだろう。そこを狙って申し出れば、神姫センターに恩を売れる! そしてOMESTRADA社の名も売れる! なんて素晴らしいんだ!! ヌッフッフ……ハ~ハッハッハ~!!」

 杉原は相変わらずの薄気味悪い顔で抜け目無い計画をのたまい始めた。こうなってしまっては、彼は止まらない。妄想が妄想を呼び、ろくでもないものへと代わっていってしまう。これがきっちり成功しているのだからタチが悪い。

「では、僕はエルザを少年に届けてきます。連絡を待っていますよ」

 妄想モード全開の杉原を目にした俺は止めるのも馬鹿馬鹿しくなり、調整が終わっているエルザを持って、静かにその場を後にした。
 正直、付き合っていたら頭がおかしくなって死にそうだ。






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