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第十一話:求道姫



 戦いが終わった後、紫貴はすぐに修理のために杉原の研究室に戻された。かなりの損傷だったため、修理に時間がかかるとのことだ。
 会社側は今回の戦いによってイーダの有用性を認め、今後は市販型の開発を進める事をイーストラボラトリーに命じた。
 これによって杉原達の研究チームに多大な資金が入り、彼の研究に新たな一歩をもたらした。

「いやぁ、もう大成功。ここまで上手くいくとは予想してなかったね。『使いこなせば化ける機体』って触れ込みでやったらもうあっさりだ。うひゃひゃひゃ」

 研究員に紫貴の修理を任せ、例によって怪しげな笑いを浮かべながら俺と真那にその後の事を教えてくれた。
 どうやらこれで一応の決着はついたらしい。

「良かったわね。ミコちゃん」
「ああ。まだ謎が一つ残っているがな」
「へ?」
「博士。何故、オーナーを紫貴に連れて来させたんですか?」
「あれって仕組まれてたの!?」
「考えてもみろ。おかしな所はかなりあるぞ」

 そう。この一連の流れには明らかに不審な点が多く、存在していた。
 まず紫貴の強さだ。いくら強いとはいえ、研究所という限定空間で育ち、オーナーもいない状態でそれなりに訓練を受けているであろう警備隊を戦闘不能にするだけの戦闘をするとなるとかなりのハンデがないと勝てない。
 何かしらの弱体化、手加減をしていた可能性が高い。
 縁やカルロスさんの件もおかしい。俺達が廃人探偵事務所でわざわざ調べたというのにたかが孤児院の力であそこまでタイミングよく来るとは考えにくい。
 カルロスさんの方も規格外であるはずの紫貴の修理を不足パーツ分の修理を行っていないとは言え、やってのけてくれた時点でイーダに関して何らかの知識があったと考えるのが妥当だろう。

「確かに上手すぎる話ね……」
「どうなんですか? 博士」

 俺が自分なりに考えたこの一件の真相を杉原に突きつけてみると彼は大げさに降参のポーズを取り始めた。

「概ねその通りさ。チャンスを作るためにボクはイーダを逃がしたんだよ」

 杉原は真相を語り始めた。
 テストバトルで負けを重ねてチャンスを失い、とうとう紫貴の廃棄処分が決まりかけた時、彼は一つの仮説を思いついた。それは紫貴を使いこなすだけのオーナーが自分達の中にはいないという事だ。確かに紫貴――イーダはオーナーを選ぶかなり扱いが難しいタイプだ。その武装を使うにはかなりの経験が必要そうだった。
 その考えに至った博士はあらかじめ紫貴の体内に発信機を秘密裏に取り付け、彼女の位置を把握できる状態にした上で逃がした。
 モニターをしながら紫貴の使い手を探すための賭けをするために。
 カルロスさんや縁も使い手を定めるために杉原が雇った人間だった。もっとも孤児院側はこの事実を知らないようだったが。
 そして俺という使い手を見つけた杉原は縁達をけしかけてテストをし、そして合格した俺達をここまで来るように仕向けてくれたという事だった。

「とまぁ、こんな具合だよ。いや、まさか君のような逸材が現れてくれるとは夢にも思っていなかったよ。君の戦い方は噂に聞いていたが、イーダにまで武装破壊とかいつの間にか仕込むとは恐れ入ったよ」

 要するに全ては杉原の手のひらで踊らされた舞台だったという事だった。

「買い被らないで下さい。僕はそれ程大したことはしていない」
「いやいや、少なくとも武器を奪ったり、壊したりする戦い方をする奴はボクが見た限りじゃ、君しかいないよ」
「そうだよ! ミコちゃんの戦い方を真似ようとした人も見た事あるけどちゃんとできた人はいないし!」
「……貴方も食えない人ですな」

 俺は返す言葉を失ってしまい、悪あがきに一言放った。しかし、杉原はそれに動じる事も無く、ヘラヘラと笑い始める。

「まぁね。でもそのおかげでこうして首の皮一枚で繋がったんだから結果オーライさ」
「……さいで」

 俺は杉原の底無しの気味悪さに苦笑するしかなかった。この人は研究のためなら手段を選ばないタチの悪い研究者だった。
 ここまで謀略を駆使するお馬鹿研究者などあまりいるものではない。

「ところでさ。君達、僕の所でバイトをやらないかい? 丁度、君達みたいな腕利きさんがいなかったからパーツのテストがはかどらなかったんだよ~」
「バイト!?」

 その言葉に真那は反応し、驚喜し始めた。こちらにとってもいい話だった。こうして試作のテストパーツに触れる事が出来る上に金がもらえるのはなかなかお得な風に思えた。
 上手くいけば、毎度毎度のメンテが研究所で行えるため、メンテ代も浮く。かなり助かる話だ。

「うん。イーダの実戦データを見ても君達の腕は相当なものだったし、君達みたいな人ならちょっと奮発してもいいかもって思ったんだぁ。バイト代はね……」

 この辺は詳しくは語らない事にするが、少なくとも普段、大学生がやるようなバイトにしてはやたら高い金額の給料がもらえることを聞けた。
 俺と真那は喜んでそのバイトを引き受ける事とし、話を進めた。



 イーダプロトタイプ――紫貴は杉原の正式な手続きによってついに俺のものとして認定された。
 賞金騒動も会社がそれを終了させてくれたため、これで紫貴が賞金首として追われる事はないだろう。
 ちなみに賞金の方はというと会社が回収してしまったため、もらえなかったが、杉原がポケットマネーで出せる範囲の謝礼を代わりにもらうことが出来た。高額な給料をもらえるバイトもさせてもらえる事から俺達はそれで我慢しておくことにした。結果的に百万をもらえるかもしれないことを考えるとこれ以上欲張っては罰が当たるに違いない。
 杉原曰わく「資金はちょろまかして、いろいろとやれるから内緒ね」だそうだ。詰まるところ、俺達は共犯者、体のいい脅迫をくらっている事になる
 あまり良い気分がしないし、何とかして真那の事を含めた言い逃れの用意をしておかないとならない。
 後は杉原の謝礼を使って紫貴と一緒にバッテリーを盗んだ店に行って謝って回った。お金を返し、事情を説明するとそれぞれ異なる反応だったが、何とか交渉や謝罪を繰り返して見逃してもらう事にした。
 時には杉原の名を使ったのは奴には内緒だ。まぁ、何にせよ。これで紫貴に関する騒ぎはこれでおさまる。
 杉原の謝礼はバッテリー代や修理費で飛んじまったけどな。

「これで一件落着ってか」

 俺は杉原の報告のメールを見て溜め息をつく。
 どうにも俺は厄介事に巻き込まれやすくて困る。何とか対処出来ているから今は良いものの、あまり起きては欲しくはないものだ。

「蒼貴! なんでそんなポーカーフェイスが出来るのよ! 手札がわからないじゃない!」
「忍者ですから」
「それ、理屈になってないわよ! ……あぁっ! また負けた!」

 こいつらはというと呑気に神姫用にスケールダウンしたトランプを使ってババ抜きなんぞをしていた。
 特に紫貴なんかはこの前までは賞金首だったとは思えない程、元気を取り戻して蒼貴と一緒に遊んでいる。こうして見ていると仲の良い姉妹にも見えてくるものだ。

「オーナー! 蒼貴が大人気ないよぉ!」

 いつまでも蒼貴に勝てない紫貴はついに泣きべそをかいて俺に甘えてきた。

「あのなぁ……。俺に甘えたってゲームには勝てねぇだろ。それにお前の場合は顔に出過ぎだって。駆け引きにもならないじゃないか」
「でもこんなに負けるなんておかしいわよ……」
「わかったわかった……。蒼貴、たまには勝たせてやれ。お姉ちゃんだろうがよ」
「しかし、ゲームとは死力を尽くして敵を出し抜くものではないのでしょうか? 手加減しては相手に対して失礼ではないかと……」

 蒼貴はというと手加減というものを知らない。何をするにも全力投球だ。確かに良いっちゃ良いんだが、裏を返せば、紫貴の言う通り、大人気ないという事になってしまう。

「いやさ。メチャ勝ちしすぎたら相手がもう勝てないってサジを投げちまうだろ。そうしたら仲が悪くなる。勝ちにこだわるのはバトルロンドだけにしとけ」
「……わかりました」

 蒼貴は少しむすっとした顔をしながら俺の言う事を聞く事にし、トランプを切り直し始めた。
 紫貴はというと自分のわがままが通ったと思って少し喜んでいた。これで勝てるかもとか思っているのかもしれない。

「紫貴、お前もちゃんと練習して俺に泣きついて来ない様にしてくれよ? 甘えれば何とかなるってもんじゃねぇんだからな」
「……は~ぃ」

 釘を刺された彼女は自分にも非がある事を知らされてしょぼくれてしまった。

「全く、来てみればまるで下らない三文芝居を見ているようね」

 直後、俺達以外の誰かの声がした。しかもそれは最近、聞いた声であったため、少し驚いてその声のする方を向いた。
 そこには以前、紫貴の存続を賭けて戦った相手、イリーガルアークが窓に立っているのが見えた。

「あんたは……」
「お久しぶりというべきかしら。ミコちゃん」
「その名で俺を呼ぶな。そんなのはあいつだけでたくさんだ」

 アークに言われたデッドワードに俺は嫌な顔をして返す。
 真那以外にそう呼ばれるのは金輪際、勘弁してほしい。いつから俺はそんな可愛く改竄される事になったのかと思うと苦悩しか思い浮かばない。

「そう。まぁ、いいわ」
「で、何の用だ。言っとくがここでリターンマッチはお断りだぞ。俺が許さん」
「それはしないわよ。今回は聞きたい事があってここに来たの」
「あ?」
「その前にこれまでの無礼を謝るわ。許してもらえるとは思わないけれど……ごめんなさい……」

 なんとこれまで傲慢な態度を示していたアークがどういう気持ちの変化なのか俺達に頭を深々と下げた。
 突然、頭を下げるアークに蒼貴と紫貴は驚きを隠せず、どういう反応をしたらいいのかわからず、俺を見ていた。
 無理も無いが、こいつらにはわからない事かもしれない。
戦いが終われば、うらみも何も関係ない。スポーツの勝敗が終わった後は何のしがらみも無く、互いを認め合う。そんな理屈を。

「気にするな。お前が『知らなかった』だけだろ? その分、キッチリ言い返させてもらったからそれでチャラって事で俺はカタがついてんよ。こいつらはまだ飲み込めてねぇみたいだがな」
「そう……」

 アークは「やっぱりすぐには無理か」と思っているのか、寂しげな顔を浮かべた。しかし、自分が知るべきことのためにこうしている場合ではないと気を取り直して俺たちにしっかりとした目を向けた。

「貴方達の強さはどうすれば手に入るの? 性能では明らかに私が上のはずだった。だけど私は負けた。その理由が聞きたいの」

 アークは真剣な顔をして俺に問う。
 その目にはもう慢心や見下すような負の感情は少しも見当たらない。心のそこから本当の意味で強くなりたいという迷いのない良い目をしていた。
 この決意を無碍にしないためにも俺もまた真剣にならなくてはならない。そう思えた。

「……こいつらはな。弱いんだ。俺という弱みを持っている」
「……どういう事?」
「お前は確かに強ぇよ。だがお前には自分以外に何か大事なものはあんのか?」
「それは……」
「確かに『オーナーのために』というのは何かダセェよな。蒼貴は捨てられてもバカみてぇに人間信じて俺にベタベタとどこまでも付いていこうとするし、紫貴はまだまだ甘ったれたガキンチョだ。お前が見ていてムカつくのも何となくわかる」

 言われたい放題の蒼貴と紫貴は俺に嫌な目を向けてくる。回りくどい言い方しか俺は出来ないから仕方のない事だがな。

「だが、こいつらは俺なんて口の悪い奴のためにどうしてだか戦うんだ。自分達が信じているオーナーのために。自らの意志で踏みにじられたくないプライドや大事なものを守るために」
「守る……」
「臭い言葉だけどさ。愛だの友情だの形のないものが力になるんだ」

 そう。信念、誇り、絆といった形無きモノは時として弱点になり、強さにもなる。やる気があるのかとないのかの違いのようなものだ。
 何か大事なモノがピンチになると普段以上の力が出てくるのはそれが失われたら自分が許せなくなるから嫌だ、などの意地が働くからなのだ。

「形のないモノ?」
「性能では計れない不確定要素を持つことが強さに繋がるんだよ。不完全であるってのはまだ可能性がある事を言うんだぜ? 完全になったら成長はない。考えた事、ないんじゃないか?」
「……完璧が絶対だと思っていた。だが、今は違うと思う。これは正しいの?」
「それはお前が決めるこった。俺がどうこう言う事じゃないな」
「自分で決めろ。か」
「そうだ。俺はあくまで俺の考えを言っただけだ。これが絶対正しいって訳じゃねぇ。結局はお前の考えはお前のものでお前にしか組めないんだ」

 そう。自分の考えを絶対とし、相手に押し付ければ、それはエゴにしかなりえない。あくまで自分の答えでしかなく、他人の考えも理解しなくてはならない時もあるだろう。
 その考えを実践するのはたった一人、自分だけだ。

「俺が言えるのはこれぐらいだ。まだまだ二十歳の若造なんでご立派な考えになっちゃおらん。つーか、こんな臭い言葉を喋らせるな。あ~もう何でこんな事言ったのやら」
「……そう。ありがとう」
「礼には及ばん。……お前はこれからどうするんだ?」
「外の世界で答えを探してみたいと思う。本社の中じゃ、それは見つからないと思うから」
「くれぐれも賞金首にならないでくれよ。また騒ぎに狩り出されたら敵わん」
「その辺は安心して。私はほとんど見放されているから今、いてもいなくても同じようなものよ」

 アークがウエストラボラトリーの現状を語ってくれた。今までアークの圧勝によって支えられていた実績は先の戦いで崩れ、イーストラボラトリーに上層部が興味を持ち、そちら優先の企業方針に取って代わられてしまったため、ウエストラボラトリーの研究チームは必死になって新型のパーツを作っている。
 しかしその時、イリーガルであるアークは一切使われる事はなかった。
何故ならイリーガルではない躯体で負かされてしまったため、上層部を振り向かせるには通常の躯体で成功を収めなくてはならないと研究チームが判断したためだ。
それ故にイリーガルアークはほとんどお払い箱状態で放置されているらしい。だからこうして俺の所にいるというのに騒ぎが起きないのだろう。

「……そうか。見つかるといいな。答えとやらが」
「ええ。どのくらいかかるかわからないけれど」
「……また、来いよ。紫貴みたいにバッテリー、パクるのは流石に困るからお前の充電ぐらいならやってやってもいい。こいつらも……まだ、戦いで嫌な気持ちはあるだろうが、いつか互いに歩み寄れるだろうさ」

 そう言うと紫貴が怒り始めた。まぁ、やってしまった後だから何も言えないんだがな。
 その様子にアークは笑う。羨望の眼差しの混ざったそれはこれまで見せなかった顔だった。彼女もまた成長を始めようとしているようだ。

「そう。確かにバッテリーは死活問題だし、甘えさせてもらうわ。……いつか、バトルロンドで正々堂々戦える様になったらまた戦いましょう」

 アークがそういった瞬間、窓から姿を消し、代わりにトライクの駆動音が唸り始めた。
 その音は少しずつ小さくなっていき、最後には消えてしまった。

「オーナー。あのアーク。大丈夫でしょうか?」
「大丈夫さ。もうあいつはこの前の戦いのあいつじゃない。それにバッテリーが無くなりかけたらまたここに来るさ。その時は見聞きした事でも聞こう」
「はい」

 俺は蒼貴と紫貴と共に窓の向こうをしばらく見続けた。
アークの成長を祈る様に静かに……。



第二部 『深み填りと脱走姫』―終―






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