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第八話:撤収姫



「バカな……こちらは七体、それもレベル的にはこちらが上のはず……。どうすればこんな……」

 リーダー格は今、目の前に広がる自分たちの神姫が転がっているというこの光景を信じられないとでも言うかのように呆然とした表情を浮かべている。
 それもそうだ。敵はいくら高性能なイーダプロトタイプである紫貴がいたとしても倍の戦力は自分達にはあったと思っていたのだから。
 実際、こちらもそう思っていた。こうして勝利できたのは皆が一丸となって連携を繋ぐ事が出来たからといっても過言ではない。

「俺達も俺達の目的がある。悪く思わないでほしい」
「僕達だって目的があるんだ!! このままじゃ孤児院が……!!」

 俺は少年から放たれたその言葉に一瞬、驚いた。賞金目当てであったにしろこうした使い道をする人間もいるという事は自分でも予想していなかった。
 紫貴を生贄に捧げれば多くの子供を救うことができる。その言葉に自分の心が苦悩しているのを感じる。
 心を閉ざしていた紫貴をまた裏切る事になる結果と孤児院を潰すという二択が自分の良心に深く突き刺さる。
 この戦いでは俺達が勝利したのだからこちらが問答無用に去っても問題はない。だが、「孤児院はどうなる?」という枷がそうさせようとはしない。
 良心の呵責が俺を動けなくしていく。

「よせ。私達は負けた。そんな事を言って同情を買おうと思うな」

 リーダー格の女性は少年の肩に手を置いて首を横にゆっくりと振った。負けは負けなのだから俺達に権利があるという事を彼女は教えようとしているようだった。

「でも!!」
「何。こういうのは出来たらそれに越した事はないというもの、手段はまだ残っている。お前達がプライドで突っぱねていたあの手段がな」
「あんな事をしたって信用できないよ! あいつら!!」
「確かに過信は出来ないが手段の一つではある。それに……こんな賞金でホイホイ事が運ぶわけじゃない。確かに百万があればその場は凌げるだろう。しかし、それはいつまでも持たせられるような軍資金になる訳じゃない」

 この話を聞いているとリーダー格の女性は、本当はこの賞金を得ることで孤児院を救おうとはしてはおらず、思考が未熟で浅はかな少年達の考える『出来る事』に協力していただけだったらしい。

「そんなの! これが出来れば何とかなる方法が見えてくるよ!!」

 彼女自身は既に資金を何とかする手段を持っていたらしい。しかしそれは少年達にとっては不本意な事であり、その相手は彼らにとって気に入らないものだったようだ。

「……気は済んだだろう?」
「ぐっ……」
「ああいう意志の強い奴がこういう戦いでは勝てるんだ。私達は何も考えずにただ『百万があれば助かる』と思っていた。しかし、それは間違いだった。だから負けた。……それだけのはずだ」

 その時、リーダー格の女性の携帯電話が鳴った。彼女は無造作にそれをとると耳に当てて会話を始めた。そしてニッと笑いながら会話を進め、それが終わるとすぐに電話を切って少年達に向き直る。

「よく聞きな。県からの補助金を得る交渉を以前からやっていたが、ようやく補助金が下りる事になった。いつまで続くかはわからんがな」
「だからいつまでも続く様にするためにこうして戦ったんじゃないか! それじゃあ、また切り捨てられちゃうかもしれないんだよ!?」
「そうかもしれんが、何もやらずに安易な方法にすがりつくよりはよっぽどマシだ。賞金なんてどれだけ不安定なものかわからない訳じゃないだろう?」

 女性が語る。賞金百万円は確かに高額だ。しかし、それを孤児院の運営費に回したとしてどれだけ持つのかといえばもって一、二ヶ月が限界だ。
 手に入れば全て何とかなるという少年の考えは非常に浅はかなものである。
 二ヶ月経てばまたお金がなくなるかもしれない。残っていてもちゃんと維持していけるかといえばそれは難しい話だろう。
 ただでさえ子供が多く、一箇所に多くの人が集まる孤児院において維持していく費用というのは普通の家庭以上に高くつくのである。

「……帰るぞ。もう私達に賞金は必要ない。そして彼らもまた賞金は必要ないそうだ。……金のために動いても無駄だ」

 女性が言葉を発すると少年少女達は悔し涙を流しながら各々の神姫を回収して自分達の孤児院に帰るために工場を出て行った。
 彼らが消えた事でこの場には俺と真那とまとめ役の女性だけが残った。

「迷惑をかけたな」
「お前らは賞金首を追っていただけだ。謝られる理由はねぇよ」
「それもそうか。……ここに長居はしない方が良い。私の行きつけの修理屋に行かないか? 互いにボロボロだからな。それと話しておきたい事もある」
「どうするの? 信用していいのかしら?」

 突然の女性の申し出に真那は警戒して俺に話しかけてきた。

「少なくともあの無鉄砲なお子様達を帰してくれたわけだし、多少は信用できるさ。あいつの言いたい事も気になる」

 確かに突然、手の平を返すのはかえって怪しいと思うのは自然だ。しかし、互いに疲弊しており、互いに余計な戦いを避けたく思っている。
 卑怯な手段をこの女性が考えている可能性はあまりないだろう。
 それに彼女ら以外に襲ってくる敵がいる可能性も考えれば、修理や補給はしておきたい。

「どうやら決まりの様だな。……行こう」
「ああ。……どうした? 蒼貴」
「ごめんなさい……! オーナーが……オーナーが初めてくれたプレゼントを壊してしまいました……っ!!」

 蒼貴は折れた鎌に跪いて泣き出していた。そういえば、これはこいつに初めてくれてやった装備だったっけな。
 ゴミ山から見つけて修繕して使っていた代物だったが、そろそろ限界が来ていたか……。

「ゴミ山からたまたま見つけた代物だ。いっくら研いであってもいつかは壊れるもんさ。気にするこたぁない。その内、新品を買ってやるから。な?」
「私にとっては大事なものなんです! オーナーが拾ってくれて……戦う術を教えてくれて……ようやく勝った時の物なんです! 私の宝物なんです!」
「……形あるモノってのはな。いつかは朽ちてしまうものなんだよ。人間である俺もじいちゃんになれば死ぬし、神姫であるお前もCSCがダメになってしまえば死んでしまう。物も同じ。いつかは壊れてしまうものなんだ」

 確かに宝物の喪失は凄く痛いものだ。それぐらい俺にだってわかる。だが、それが武器や道具といった消耗品である場合、いつの日か壊れてしまう。
 それを無くさない様にする事などどうしようもなく難しい事であり、いつかは覚悟しなくてはならないものである。

「でもな。壊れたってお前の中にある思い出が消える訳じゃない。お前が覚えている限り、それは死なない。壊れない。その鎌が折れたのはお前を最後の最後まで守り抜いて、たった今、その役目を終えたに過ぎない。だから……その折れた鎌は胸の中で大事にしまっておこう。……な?」
「……はい」

 何とか俺の説得に納得した蒼貴は涙を拭うような仕草をすると壊れた鎌の破片を集め始めた。どうあってもそれを持ち帰りたいようだった。
 俺たちと女性はその光景をかけがえのないものを見る様な目で見守る事にした。
 自分達もいつかはそういう事を覚悟するかのように……。

 蒼貴の用事を見守り、女性に案内されてやってきた所は喫茶店だった。そこは木製の古臭い空間であり、今時というよりも古きよき時代を目指したデザインをしている。
 カウンターから見える空きっぱなしのドアの先には神姫の修理装置が設置されており、ここのオーナーは喫茶店と同時に神姫の修理も行って店を経営しているようだ。
 俺達が入るとカウンターから髭を生やした黒人が肩に作業服と髭メガネという珍妙な格好をしたマオチャオタイプの神姫を乗せて颯爽と現れた。

「OH! 緑ちゃん! よく来たネ! 孤児院の方は大丈夫なのかイ!?」

 やけにハイテンションな彼は縁というらしい女性に片言の日本語ながら早口で話しかける。縁というらしい彼女はそれになれているらしく、ニッと笑いながらそれに答える。このやり取りを見ていると彼と彼女は結構仲がいいらしい。

「ああ。大丈夫だ。前々から進めていた補助金の話もついたしな」
「それは良かったネ! ……それにしてもヒルダがボロボロじゃないカ。何があったんだイ?」
「孤児院の子供達と戦って逆にこの二人に手酷くやられてしまってな。我ながらまだまだ未熟だと思い知らされたよ」

 苦笑しながら縁が俺達との戦いを語ると黒人は信じられないとでも言いたげに俺と真那を見た。確かに頭数でも戦力でも劣る俺達が勝ったというのだからそう思いたいと思う気持ちもわからないでもない。

「君達があの孤児院の子供達を全員相手にしたってのかイ!? ……こいつは只者じゃなさそうだネ」
「そんな事はありませんよ。ただ、こちらが負けられない理由があったに過ぎません。申し遅れました。私は尊と名乗る者です。こちちは友人の真那。以後よろしくお願いいたします」
「こちらこそヨロシク! 僕の名はカルロス! ここで喫茶店と神姫の修理屋をやっているもんさ!」

 黒人の神姫技師 カルロスは笑いながら俺に握手を求めてきた。俺はそれに応じ、彼と握手を交わした。

「早速だが、カルロスさん。修理を頼みたいんだ。私と彼らの神姫を」
「OK! 丁度暇していた所さ! よし! ミーちゃん! 修理の準備だ!!」
「了解ニャ!! それにしてもその素体、ミーも見たことないニャ」
「そういえばその紫髪の神姫って何なんだイ? 見た事もない機種っぽいけド……」

 やはりと言うべきか紫貴を見たカルロスは不思議そうな顔をしてきた。まだ、未公開の代物であるイーダプロトタイプ。技術者であればそれが規格外な代物であることぐらいは一目でわかってしまうのはわかっていたが、ここまで不思議に見られるとなると紫貴は相当、まずいものならしい。
 幸い、賞金騒ぎに関しては、彼は知らない様なのでそれで持っていかれるという事はないとは思うが、何か興味を持たれるとまずい。

「僕は試作のテスターをやっている者でしてね。修理は専用の所でやるべきなのですが、緊急の措置という事で秘密裏にしておいてもらいたいです」
「ああ……。なるほド。そうなのかイ。僕も流石にその手の事には巻き込まれたくないシ、深くは追求しない事にするヨ。それと修理できるのは素体だけだヨ? トライクは見た事もないから下手にいじれないしネ」
「そう言ってくださると助かります。修理に関しては素体のダメージの修繕で十分です」

 一応の釘をさすとカルロスは大人しく引き下がってくれた。確かにこういう厄介ごとに巻き込まれる事を考えると彼の判断は正しいものだと思う。
 それに彼はかなりハイテンションでシンプルに考える人のように見えるが、実際にはかなり頭がよく、物事の判断が上手そうだった。

「それでよろしくお願いいたします」
「OKOK! そんな硬くならなくていいヨ! 僕だって仕事と興味はキッチリ分けるサ! 縁ちゃん! 待っている間、皆で紅茶を用意してあげてヨ!」

 カルロスは蒼貴、紫貴、ルナ、ヒルダを預かり、自分の神姫のミーと共に修理をするべく、彼女達と共に作業場へと入っていった。
 それを見ると縁は彼に言われた通り、カウンターに入って紅茶を作り始めた。かなり手馴れているらしく、手際がいい。
 紅茶が淹れ終わると縁は紅茶を持ってカウンターに俺達のも合わせて三つの紅茶を並べ、自身はカウンターの席に腰掛けた。
 それを見た俺達は縁に倣って彼女の隣の席に座った。

「改めて聞こうと思うんだが……お前、名は?」
「……尊だ。本名は伏せておくさ」
「そうか。私の名はカルロスさんが言った通り、縁(ゆかり)だ。さっきの話の通り、孤児院の経営の手伝いをしている。あいつらには手を焼いているよ」

 リーダー格の女性……縁は簡単な自己紹介をしてくれた。
 彼女はここの近辺にある孤児院の孤児の中でも一番の年長者で大学に行き、アルバイトをしながら、そうした経理をしていたりするらしい。
 アルバイトというのはカルロスとの会話からここがバイト先なのだろう。
 それにしてもこんな仏頂面をしておいて縁なんて可愛げのありそう名前をしているこのギャップには少し驚かされる。こういうのを意外性って言うんだろうな。

「同情するよ。随分と無鉄砲な奴らだ」
「全くだ。そうそう。カルロスさんはバイト先の店長さんなんだ。こんな人だが、信用はできると思う。腕は確かだ」
「そのようだな。ところで話したい事って何なんだ? このままでは終わらないって言うなら俺も予想はしているぞ」
「やはり予測はしていたか。そう。お前が保護したからといって終わる訳じゃない」
「え? どういう事? 紫貴ちゃん、保護したんだし、後は神姫の登録をすればいいんじゃないの?」
「そんなんで終わるならこのままセンターに行ってそうしているさ。ここで肝心なのはまだ紫貴が賞金首だって事だ」

 これはどういう事か。単純な話、紫貴が安心して生活ができないのである。
 仮に俺の家で暮らしていたとしても賞金であるという話は消えていないため、一度見つかれば、また賞金に目のくらんだ輩に追いかけられてはそれを倒すという悪循環に陥る。
 で、それはどうすれば解決するかだが、手っ取り早い話は紫貴の賞金を解除してもらえばいい。しかし、そう簡単にはいかない。
 廃人探偵事務所に調査を依頼して判明した事だが、紫貴はやはり重要なデータを積んだワンオフ機の実験機だった。
 詰まる所、そのデータを明け渡せばいいのだが、そこに持っていくまでにどうするかが問題だった。
 正直、データはどうでもいい。問題なのは俺の手元に紫貴という神姫が残るかどうかの一点だけだ。これさえクリアできれば、後は何だっていいのである。

「そっか……。じゃぁ、どうすれば止まるのかな?」
「簡単な話はその賞金を提供している所に行く事だが、そこまでが問題だな。仮に本社に行ったとして何が起こるのかが正直、予測が出来ん」

 縁の言う通りだった。まず、そこに行くまでに間違いなく、紫貴は狙われる。そしてその本社に行って頼みごとをする時にも何か問題が起こる。
 これをどう対処するかが問題になってくる訳だが……。

「だったらさ。賞金要らないから紫貴ちゃんをくれってストレートに言っちゃうのは? その……賞金がどうって事は……ないんだし……」

 真那は賞金が名残惜しそうな口調で提案してきた。確かに手に入るはずの賞金を返上して紫貴を得るというのならば一応の釣り合いは取れる。
 これならば交渉次第で或いはいけるかもしれない。

「お前のいいたい事はわかった。それで行ってみよう。正直、俺達は交渉することでしか相手とは渡り合えねぇし。……ワリィな」
「もう諦めてますよーだ」

 俺が真那のわがままに付き合ってやれない事を謝ると彼女は膨れっ面をしてそっぽを向いた。俺はそれを苦笑してみている事にした。
 これ以上に動いたらこいつに何をされるかわかったものじゃない。

「ふふっ。仲が良いな」

 縁がフッと笑いながら俺達のやり取りを見てそんな言葉を漏らした。その瞬間、真那がトマトみたいに顔を真っ赤にして焦り始めた。
 友人として仲が良いって事がそんなに悪いのかよくわからないが、どうにもあいつにとっては焦る事ならしい。よくわからん。

「な、何でこんな陰険メガネと仲良くしないといけないのよ! 百万をチャラにしちゃってくれるし!!」
「その割にこの状況を楽しんでいるんじゃないか? 百万以上の価値が目の前にはあるようだしな」
「そんな訳ないじゃない! ミコちゃんも何か言ってよ!」

 引っかかる彼女に縁は意地悪をしたくなったらしく、真那に色々とちょっかいを出し始める。そうすると真那はさっき以上に焦ってあたふたし始め、俺に助け舟を求める。

「とりあえず陰険メガネは心外とだけ言っておく。ついでに言えばこれは伊達メガネだ」
「言うとこ違~う!!」

 とりあえず答えてやったのだが、彼女にとっては、それは違うらしい。では何なんだと言いたいのだが、空気がそうさせてくれない。

「ははは。まぁ、いいじゃないか。私もその内……冗談だ」
「だ~! 何なのよぉ!?」

 訳もわからない話の中、時はただ流れていく。
 全ては明日。明日ケリがつくはずだ。それを成すためにも今はこの時間を大事にしておこうと思う。
 そんな考えを思い浮かべた俺は神姫たちの修理が終わるまでこの二人と共に談笑を続け、明日という時を待つことにした。






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