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Memories of Not Forgetting 第一話・3

 そして。優花がのの字を書き始めて、数分が経過する。
「というか、商品をきちんと確認しないのがいけないのデスよー。此処に書いてあるのデスよー。素体はありません。って」
「く、クローバー! 優花ちゃんを追い詰めないのっ!」
 たしなめるように、ルーシィ。クローバーは、しまった、という表情をしてから、
「あう、ごめんなさいなのデスよー」
 と頭を下げた。
「ああ、まあ、いいんです、いいんですよ……あたしが確認しなかったのは事実だし……道理で、他の神姫より若干安いわけだ」
 ようやく立ち直ったのか、優花が微苦笑を浮かべつつ、立ち上がった。
「仕方ないです、その、素体って、一体いくらくらいなんですか?」
 その言葉に、ルーシィは微笑んで、掌をパーにして、優花に向けた。
「五千円? そ、それならもうちょっと頑張ればなんとか」
「五万円よ」
「はい?」
「最低ラインがそれよね。上を見ればもっと高くなるし。そうそう、CSCっていう、神姫用のコアシステムがあるんだけど、それは別売りだから、それも買わないといけないのよ。で、CSCの基本セットが二万円から。だから、最低、動かそうと思ったら」
「もぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお駄目だぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
 絶叫を上げながら、優花は頭を抱えてのたうち回る。
「おー、優花ちゃんが面白いのデスよー!」
 きゃっきゃっ、と笑いながら、一緒になって机の上で転げまわるクローバーの首根っこを掴み、ルーシィは苦笑を浮かべた。
「まぁ、仕方ないわねぇ。今回は特別よ?」
 ルーシィは言うや、足下からひとつ、箱を拾い上げ、カウンターの上に置いた。
 縦20cm、横10cm程。プラスチック製の箱であった。蓋を取り上げると、中に一体の神姫が横たわっている。紫と黒を基調とした素体。
「これって…………たしか、エウクランテの」
 優花が呟く。
 エウクランテ。空戦、運動性能に優れた「空の王者」である。射撃攻撃を主とした武装や、それ単体で運用可能なリアパーツなどの装備は、性能面でも、ビジュアル面でも高い水準を誇っており、多くのマスターに愛され、使用される神姫の一つに数えられる。
 だが――。
「これ、コアパーツが……」
 言い淀む。
 その神姫には、コアパーツ――頭がなかった。首から下だけが、綿に包まれるようにして、眠っていた。
 人の姿を模しながら、あるべき個所を失ったそれは、不安定さと、おぞましさを持ち合わせていた。まるで禁忌の所業に触れてしまったような背徳と恐怖を、優花は覚えた。
「ええ。先週持ち込まれた…………ジャンク。それを再生したもの、よ」
 ルーシィが答える。廃品、と呼ぶことに、彼女は少しの躊躇いを見せた。
「持ち込まれたのはボディだけ。それも、かなりボロボロの状態だったわ。なんとか修復して、使えるような状態にするのに一週間近くかかった」
 素体を取り出し、慈しむように撫でる。
 ルーシィは、マスター登録を取り消された神姫や、破壊された神姫、あるいはそのリアパーツなどを買いとり、修理修復を行い、再生品として売り出す、という商売をしていた。
 マスターを失った、志半ばで倒れた神姫達を再生し、新たな生を、異なる道を歩めるようにと、その願いから始めた行いである――と、優花は聞いていた。
 元持ち主の名誉のために記しておくが、彼女に自らの神姫を売り渡すマスター達も、軽い気持ちでその所有権を放棄しているわけではない。
 さまざまな、やんごとない事情から、パートナーを手放すことになってしまった彼らは、一縷の望みをかけて、彼女に己が神姫を託すのだ。
 彼らの思いは一つ。神姫達が、幸せになれるように。
 無論、批判的な意見があることは事実ではあるが、それでもルーシィは、それが正しい事なのだという信念のもと、それを行っていた。
「大切にしてくれる?」
 ルーシィがほほ笑む。優花は、面喰ったように声をあげる。
「え、え? いいんですか? でも、これ、売りものじゃ」
「いいのよ。……貴女が初めての神姫を手に入れる、その前日に、この子も再生できた。運命、というモノを信じているわけじゃないけれど、それでも、何か意味があると思うわ。……まぁ、そうだったら面白いな、っていう、それだけのことなんだけどね」
 そう言って、子供のように笑う。
 願ってもいない話だった。これから、優花が新たに素体を手にいれるには、再びの長い時間を待たなければならない。
 遠慮の気持ちもあった。エウクランテの再生には、それなりの費用と時間が費やされているはずだ。
 だが、それ以上に、今すぐにでも自分の神姫を手に入れたいという気持ちがあった。
「遠慮せず、もらってしまえば良いのデスよー」
 クローバーが、言った。
「優花ちゃんは良い人なのデスよー。きっとこの子も、幸せになれるのデスよー」
 無邪気な笑顔であった。彼女はきっと、優花がこの素体を大切に使う事を、心から信じているのだろう。
「それにー、ケチなルーシィが素体をプレゼントなんて、そうそうある事じゃないのデスよー」
「誰がケチよ、誰が」
 クローバーを小突く真似をするルーシィ。楽しげに逃げ回るクローバー。
 優花には、そんな二人がとても、羨ましく思えた。
 神姫は、ただの玩具に過ぎない。しかしそれでも、心を持った一己の人格として、人のパートナーたり得る存在なのだ。
 あの日、フォートブラッグに魅せられてから、優花は武装神姫に関する情報を、動画を、文章を、データを、貪欲に求めた。それはバトルの記録であったり、神姫との何気ない日常を記したモノであったり、技術的な情報であったりした。
 そこで、優花は見た。
 人と、神姫の関係。
 それは時に主従のようで、兄弟のようで、友人のようで、親子のようで、師弟のようで、恋人のようですらあった。
 人と共に、多様な関係性の中有り続ける、体長十五センチのパートナー。
 彼女たちとの生活、世界。
 この一年間、優花の中にあり続けた、その世界に加わりたいという思いが、この瞬間に、弾けんばかりに肥大していった。その欲望に抗う事無く、優花は口を開く。
「あの、じゃあ…………頂きます」
 優花の答えに、ナットハンガーの店員二人は、嬉しそうにほほ笑んだ。





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