年末は大騒ぎ
「いずる君、ホーリーちゃん、おかげで今回のクリスマスは助かったよ」
恒一の紹介で、いずるとホーリーは近くのロボットショップでクリスマスフェアのバイトをしていた。もともとホーリーはサンタ型神姫であるため、店のアピールにはうってつけだったためである。しかも、バトルでのランクも上がっているため、知名度も上がっていた。当然、ホーリー目当ての客もこの店に駆けつけてきたのだった。
「いいえ、私たちは当たり前のことをしただけですよ。それに、この店の神姫たちもがんばったじゃないですか」
いずるは近くで整理をしている看板神姫たちを指差した。そこには、在庫整理をしていた神姫たちが忙しそうに駆け回っていた。
ここのショップは、小規模な割にはさまざまな種類のパーツが常時そろえてあるため、ここを利用する客の数が多い。しかも今の時期はクリスマスシーズンなので、多くの人が出入りする状態になる。そうなると当然、人手(神姫手)が足りなくなる。いずるとホーリーは増員ということでこのショップでバイトすることになったのだった。
「そうだね、みんながんばってくれた。ところでいずる君、お礼がしたいんだけど」
「え?そんな…。お礼なんて…」
店長は奥からあるものを持ってきた。
「少し遅いけど、これは、ぼくからのクリスマスプレゼントだ。遠慮なくもらってほしい」
それは両手にもてるくらいの大きさの箱だった。
「これ、何が入ってるんですか?」
いずるが箱の中身のことを聞いたが、店長は首を横に振って答えた。
「ここであけないで、必ず帰ってから開けるんだ。いいね」
その言葉を残して、店長は仕事に戻っていった。
「…いずる、一体何が入ってるのかな…?」
「さ、さあ…」
二人は不思議がりながら、帰路につくのだった。
恒一の紹介で、いずるとホーリーは近くのロボットショップでクリスマスフェアのバイトをしていた。もともとホーリーはサンタ型神姫であるため、店のアピールにはうってつけだったためである。しかも、バトルでのランクも上がっているため、知名度も上がっていた。当然、ホーリー目当ての客もこの店に駆けつけてきたのだった。
「いいえ、私たちは当たり前のことをしただけですよ。それに、この店の神姫たちもがんばったじゃないですか」
いずるは近くで整理をしている看板神姫たちを指差した。そこには、在庫整理をしていた神姫たちが忙しそうに駆け回っていた。
ここのショップは、小規模な割にはさまざまな種類のパーツが常時そろえてあるため、ここを利用する客の数が多い。しかも今の時期はクリスマスシーズンなので、多くの人が出入りする状態になる。そうなると当然、人手(神姫手)が足りなくなる。いずるとホーリーは増員ということでこのショップでバイトすることになったのだった。
「そうだね、みんながんばってくれた。ところでいずる君、お礼がしたいんだけど」
「え?そんな…。お礼なんて…」
店長は奥からあるものを持ってきた。
「少し遅いけど、これは、ぼくからのクリスマスプレゼントだ。遠慮なくもらってほしい」
それは両手にもてるくらいの大きさの箱だった。
「これ、何が入ってるんですか?」
いずるが箱の中身のことを聞いたが、店長は首を横に振って答えた。
「ここであけないで、必ず帰ってから開けるんだ。いいね」
その言葉を残して、店長は仕事に戻っていった。
「…いずる、一体何が入ってるのかな…?」
「さ、さあ…」
二人は不思議がりながら、帰路につくのだった。
「へえ、こんなもんもらったのか」
家に帰ったいずるたちは、途中で合流した恒一たちにプレゼントのことを話した。
「結構大きいですね」
「うん、とーっても大きいです」
シュートレイもソルティも、箱を興味ありそうに眺めていた。
「早速開けてみるか?あの店長のことだから、きっと面白い物が入ってるに違いないぜ」
そのとき、玄関から呼び鈴が鳴った。
「いずる君、2日ほど遅くなったけど、クリスマスプレゼント持ってきたわよ」
どうやら小百合がここへ尋ねてきたようだ。
「あれ、小百合さん、今日は非番なの?」
紅茶を入れながらいずるは小百合に聞いた。
「仕事が速く終わったのよ。で、いずる君とホーリーにプレゼントを持ってきたわけ」
「へえ、今日は二つもプレゼント貰えたわけだな。お前はいいよな」
少しふてくされた顔になった恒一は、いずるが注いだ紅茶を飲み干した。
「そうふてくされないでくださいよ、隊長もプレゼントもらったじゃないですか」
「あ、そうだった」
なんと恒一もプレゼントを小百合からもらっていたのだ、しかも数日前に。
「ま、それはそれで。ところでいずる、早くプレゼント開けようぜ。俺も中身気になるし」
「そうか、せっかくみんなが集まってるんだし、この状況で開けるのも悪くないかな」
いずるはゆっくりとプレゼントのリボンを解き、包装紙をゆっくりはがした。そして、箱のふたを開けたそのとき…。
家に帰ったいずるたちは、途中で合流した恒一たちにプレゼントのことを話した。
「結構大きいですね」
「うん、とーっても大きいです」
シュートレイもソルティも、箱を興味ありそうに眺めていた。
「早速開けてみるか?あの店長のことだから、きっと面白い物が入ってるに違いないぜ」
そのとき、玄関から呼び鈴が鳴った。
「いずる君、2日ほど遅くなったけど、クリスマスプレゼント持ってきたわよ」
どうやら小百合がここへ尋ねてきたようだ。
「あれ、小百合さん、今日は非番なの?」
紅茶を入れながらいずるは小百合に聞いた。
「仕事が速く終わったのよ。で、いずる君とホーリーにプレゼントを持ってきたわけ」
「へえ、今日は二つもプレゼント貰えたわけだな。お前はいいよな」
少しふてくされた顔になった恒一は、いずるが注いだ紅茶を飲み干した。
「そうふてくされないでくださいよ、隊長もプレゼントもらったじゃないですか」
「あ、そうだった」
なんと恒一もプレゼントを小百合からもらっていたのだ、しかも数日前に。
「ま、それはそれで。ところでいずる、早くプレゼント開けようぜ。俺も中身気になるし」
「そうか、せっかくみんなが集まってるんだし、この状況で開けるのも悪くないかな」
いずるはゆっくりとプレゼントのリボンを解き、包装紙をゆっくりはがした。そして、箱のふたを開けたそのとき…。
パッカーン!!
ものすごく大きな音を立てて何かが飛び出してきた。
「な、何だ?」
「今、何かが飛んでいったような…」
一同は驚いた顔で上を見てみた。するとそこには、一羽の鳥らしき物体が飛んでいた。
「パータパタパタパタァーーーー!!メリークリスマス&ハッピーニューイヤー!!!」
「え、これって…ニワトリ?」
ホーリーがつぶやくと、それに反応したかのようにニワトリ(?)がテーブルに降りてきて、自己紹介を始めた。
「ふふん、ニワトリとは失礼な、我輩は『コーネリ』という名があるのであ~る」
コーネリと名乗ったロボットニワトリは、偉そうに周りを見回した。
「コーネリ?変な名前~」
「変な名前とは失礼な!これでも由緒正しきアガヅマ製のペットロボットであるぞ」
「アガヅマ…?聞いたことないメーカーだな。でもこいつ、ニワトリにしては変な格好だな」
恒一の一言で、コーネリは怒りをあらわにした。
「し、失礼だぞ!我輩に向かって、何たること!」
そしてそのまま恒一の方に向かって走っていった。しかし…。
「な、何だ?」
「今、何かが飛んでいったような…」
一同は驚いた顔で上を見てみた。するとそこには、一羽の鳥らしき物体が飛んでいた。
「パータパタパタパタァーーーー!!メリークリスマス&ハッピーニューイヤー!!!」
「え、これって…ニワトリ?」
ホーリーがつぶやくと、それに反応したかのようにニワトリ(?)がテーブルに降りてきて、自己紹介を始めた。
「ふふん、ニワトリとは失礼な、我輩は『コーネリ』という名があるのであ~る」
コーネリと名乗ったロボットニワトリは、偉そうに周りを見回した。
「コーネリ?変な名前~」
「変な名前とは失礼な!これでも由緒正しきアガヅマ製のペットロボットであるぞ」
「アガヅマ…?聞いたことないメーカーだな。でもこいつ、ニワトリにしては変な格好だな」
恒一の一言で、コーネリは怒りをあらわにした。
「し、失礼だぞ!我輩に向かって、何たること!」
そしてそのまま恒一の方に向かって走っていった。しかし…。
ドッシーン!!
足元にあったコードに足を取られ、そのまま転んでしまった。
「おい、大丈夫か…って」
恒一はコーネリの近くに寄って様子を見たが、なんと転んだ拍子なのか、頭が外れていたのだ。
「まさか、壊れたんじゃないよなぁ…」
「外れただけかもしれないじゃないか」
しかし、恒一たちの心配とは裏腹に、コーネリは起き上がってきた。
「ははは、脅かしおって…。たかがコードひとつで怖がる我輩ではないわ」
何事もなかったかのように恒一たちの方へと歩み寄ってくるコーネリ。だが、恒一たちの顔は、なぜか険しかった。それもそのはず、コーネリの頭が外れた箇所には、女の子らしき頭が覗いているからである。
「おや、どうしたのかね。我輩の顔にでも何かついているのかね」
重大なことに気づいていないのか、不思議がるようにコーネリは周りを見回す。自分の首がなくなっているのを知らずに…。
見るに見かねたいずるが、コーネリに質問した。
「あの、頭、落ちてるんですけど…」
その言葉にコーネリはハッとし、同時に青ざめた表情になった。
「そ、それを早く言って!」
恥ずかしげにうずくまるコーネリ。どうやらアガヅマ製のペットロボットというのはうそのようだ。
「どうやらあなた、神姫のようね。どうしてこんなことしたの?」
うずくまっているコーネリに、小百合が優しげに話しかけた。
「…じ、実は、主に言われて、こんなことを…」
気ぐるみを着ていたときとは打って変わって、おとなしい口調でコーネリは本当のことを話し始めた。彼女はいずるたちを驚かせるために着ぐるみを着てプレゼントの中に入ったこと、そしてそれを計画した張本人が主である店長であることも…。
「わ、私はこんなことしたくはなかったのですが、主の命令で…」
「なるほど、あの店長のやることだ、こんなことすると思ってたよ」
納得する一同。店長のいたずらを手伝ったコーネリに罪はないのだ。
「で、店長のことだけど…」
恒一が少し怖い顔になってコーネリを見つめた。
「あ、あの、主のこと、怒らないでくださいね。こう見えても、親切にしてくれるいい人ですから」
「そう、別に悪気がないんだし。ホーリーも怒ってないよ」
ホーリーもこのことについては怒るつもりはないようだ。コーネリはほっと胸をなでおろし、少し落ち着いた表情になった。
「ありがとうございます。これで私も安心して帰ることができます」
そう言うとコーネリは、お辞儀をして帰っていった。
「おい、大丈夫か…って」
恒一はコーネリの近くに寄って様子を見たが、なんと転んだ拍子なのか、頭が外れていたのだ。
「まさか、壊れたんじゃないよなぁ…」
「外れただけかもしれないじゃないか」
しかし、恒一たちの心配とは裏腹に、コーネリは起き上がってきた。
「ははは、脅かしおって…。たかがコードひとつで怖がる我輩ではないわ」
何事もなかったかのように恒一たちの方へと歩み寄ってくるコーネリ。だが、恒一たちの顔は、なぜか険しかった。それもそのはず、コーネリの頭が外れた箇所には、女の子らしき頭が覗いているからである。
「おや、どうしたのかね。我輩の顔にでも何かついているのかね」
重大なことに気づいていないのか、不思議がるようにコーネリは周りを見回す。自分の首がなくなっているのを知らずに…。
見るに見かねたいずるが、コーネリに質問した。
「あの、頭、落ちてるんですけど…」
その言葉にコーネリはハッとし、同時に青ざめた表情になった。
「そ、それを早く言って!」
恥ずかしげにうずくまるコーネリ。どうやらアガヅマ製のペットロボットというのはうそのようだ。
「どうやらあなた、神姫のようね。どうしてこんなことしたの?」
うずくまっているコーネリに、小百合が優しげに話しかけた。
「…じ、実は、主に言われて、こんなことを…」
気ぐるみを着ていたときとは打って変わって、おとなしい口調でコーネリは本当のことを話し始めた。彼女はいずるたちを驚かせるために着ぐるみを着てプレゼントの中に入ったこと、そしてそれを計画した張本人が主である店長であることも…。
「わ、私はこんなことしたくはなかったのですが、主の命令で…」
「なるほど、あの店長のやることだ、こんなことすると思ってたよ」
納得する一同。店長のいたずらを手伝ったコーネリに罪はないのだ。
「で、店長のことだけど…」
恒一が少し怖い顔になってコーネリを見つめた。
「あ、あの、主のこと、怒らないでくださいね。こう見えても、親切にしてくれるいい人ですから」
「そう、別に悪気がないんだし。ホーリーも怒ってないよ」
ホーリーもこのことについては怒るつもりはないようだ。コーネリはほっと胸をなでおろし、少し落ち着いた表情になった。
「ありがとうございます。これで私も安心して帰ることができます」
そう言うとコーネリは、お辞儀をして帰っていった。
「結局、あの店長って何をやりたかったんだろう」
コーネリが帰った後、いずるはさっきのことについて話し始めた。
「きっと、いずるくんのこと、気に入っているのかも知れないわね。わざわざこんなことをしてまでするんだし」
「そ、あの店長、ちょっと変わったところがあるから。気にすることないぜ」
恒一も小百合も、さっきのことについては気に留めていない様子だ。
「それよりも、パーティーパーティー。遅くなったけど、ご馳走食べに行こうぜ」
「そうね、今日は私がおごるから。いいところがあるのよ」
早速外出の準備をする恒一たち。気が早い連中である。
それを横目で見るいずるに、いつものようにホーリーが話しかけてくる。
「ねえ、いずる。来年もよろしくね」
「何だよ、気が早いなぁ」
そして、いずるの耳元に来て、何か小声で話してきた。
「…いずる、大好き」
その瞬間、いずるの顔が赤くなった。
「お~い、早く行かないと、目当ての物なくなっちまうぜ」
玄関の向こうで恒一の声がこだまする。
(来年も楽しく過ごせればいいな)
玄関に向かいつつ、いずるとホーリーは同じことを思うのだった。
コーネリが帰った後、いずるはさっきのことについて話し始めた。
「きっと、いずるくんのこと、気に入っているのかも知れないわね。わざわざこんなことをしてまでするんだし」
「そ、あの店長、ちょっと変わったところがあるから。気にすることないぜ」
恒一も小百合も、さっきのことについては気に留めていない様子だ。
「それよりも、パーティーパーティー。遅くなったけど、ご馳走食べに行こうぜ」
「そうね、今日は私がおごるから。いいところがあるのよ」
早速外出の準備をする恒一たち。気が早い連中である。
それを横目で見るいずるに、いつものようにホーリーが話しかけてくる。
「ねえ、いずる。来年もよろしくね」
「何だよ、気が早いなぁ」
そして、いずるの耳元に来て、何か小声で話してきた。
「…いずる、大好き」
その瞬間、いずるの顔が赤くなった。
「お~い、早く行かないと、目当ての物なくなっちまうぜ」
玄関の向こうで恒一の声がこだまする。
(来年も楽しく過ごせればいいな)
玄関に向かいつつ、いずるとホーリーは同じことを思うのだった。