第四話
新たに入学してきた学生達もそろそろ大学生活に馴染んでくるだろう五月のある昼下がり、昼食を終えて優一がベンチでくつろいでいると不意に彼のモバイルパソコンのスピーカーからメールの着信を知らせるメロディーが発せられる。
「もうちょっとゆっくりしたかったのに、全くアネゴもちょっとはタイミングを考えて欲しいものだよ」
メールの差出人は優一が「アネゴ」と呼んだ人物、治安局サイバー犯罪捜査課・主任捜査官の肩書きを持つ安田聡美警部だった。
優一にとっては姉とも言える存在で、ハッキング等の依頼を持ってくるのも彼女である。
「えっと、何々?おいおい、よりにもよってカタロンのデータ入手かよ。確かにあそこはやたらと秘密が多いからってサイバー犯罪捜査課の出る幕じゃ無いと思うが・・・」
《後々必要になるからよ。それに、現段階で一番信頼できるハッカーがあなただけだっただけなの》
いきなり画面上にいかにも「デキル女」と言った感じの女性が現れた。
「うおっ?!ビックリしたぁ。ボイスチャットしてくるならそうしてくれよ」
《メールを送った5秒後に思い至っただけだわ。それとこれから言うことをよーく聞いて今から12時間以内に実行して。一度しか言わないから》
「一度だけ言う」の言葉に優一も真剣な表情になる。
《単刀直入に言うわよ。指定されたロットナンバーのサーバーにハッキングを仕掛けてちょうだい、ターゲットは表向きはPMC(民間軍事会社)、裏では神姫テロリズムシンジゲートとして活動している「カタロン」の秘密文書よ。会計支出、新型機の設計図からOLのグチまで、集められるだけ集めてちょうだい》
「了解了解、それで報酬の方は?」
《いつもの口座に振り込んでおくわ。頼むわよ”トルネード”》
そう言って通信はとぎれた。
「やれやれ、ハッカーはつらいよ」
「とか言っておきながら楽しんでいるようにも見えますよマスター」
「永きにわたって変化しない場は腐敗の温床となる。適度に刺激を与えなきゃ人生やっていけないさ。午後の講義が終わって家に帰ったらすぐにでも作業開始だ。場合によっては防衛プログラムとの戦闘もあるから気をつけろよ」
「了解です!」
「もうちょっとゆっくりしたかったのに、全くアネゴもちょっとはタイミングを考えて欲しいものだよ」
メールの差出人は優一が「アネゴ」と呼んだ人物、治安局サイバー犯罪捜査課・主任捜査官の肩書きを持つ安田聡美警部だった。
優一にとっては姉とも言える存在で、ハッキング等の依頼を持ってくるのも彼女である。
「えっと、何々?おいおい、よりにもよってカタロンのデータ入手かよ。確かにあそこはやたらと秘密が多いからってサイバー犯罪捜査課の出る幕じゃ無いと思うが・・・」
《後々必要になるからよ。それに、現段階で一番信頼できるハッカーがあなただけだっただけなの》
いきなり画面上にいかにも「デキル女」と言った感じの女性が現れた。
「うおっ?!ビックリしたぁ。ボイスチャットしてくるならそうしてくれよ」
《メールを送った5秒後に思い至っただけだわ。それとこれから言うことをよーく聞いて今から12時間以内に実行して。一度しか言わないから》
「一度だけ言う」の言葉に優一も真剣な表情になる。
《単刀直入に言うわよ。指定されたロットナンバーのサーバーにハッキングを仕掛けてちょうだい、ターゲットは表向きはPMC(民間軍事会社)、裏では神姫テロリズムシンジゲートとして活動している「カタロン」の秘密文書よ。会計支出、新型機の設計図からOLのグチまで、集められるだけ集めてちょうだい》
「了解了解、それで報酬の方は?」
《いつもの口座に振り込んでおくわ。頼むわよ”トルネード”》
そう言って通信はとぎれた。
「やれやれ、ハッカーはつらいよ」
「とか言っておきながら楽しんでいるようにも見えますよマスター」
「永きにわたって変化しない場は腐敗の温床となる。適度に刺激を与えなきゃ人生やっていけないさ。午後の講義が終わって家に帰ったらすぐにでも作業開始だ。場合によっては防衛プログラムとの戦闘もあるから気をつけろよ」
「了解です!」
- 2時間後・優一の自室-
「さてと、ハッキングモードに切り替えますか」
そう言って優一はパソコン本体に仕込んだスイッチを押す。
すると、ロボットアニメの登場人物が描かれたスクリーンセーバーが一瞬で英語の筆記体で「トルネード」と書かれたそれに切り替わった。
アカツキは本体に横付けされたクレードルの上にスタンバイしている。
「アクセスプログラム現在正常に動作中、各種武装データ、本体とのシンクロ異常なし。アカツキ、調子はどうだ?」
「万事良好、問題有りません。いつでもどうぞ」
「ようし、行ってこい!」
優一がリターンキーを押すとクレードルのハッチが閉まった。アカツキの本体と武装データがコンピューターに転送され、モニター上に実体化される。
「それじゃ、ミッション開始だ。通信のパターンをあちらさんに合わせる必要が有るからしばらくはバックアップに回れそうに無いが、大丈夫か?」
《私は大丈夫です。マスターはマスターの仕事に専念してください。信じていますから》
「それを聞いて安心した。がんばれよ!」
「はい!」
アカツキが電脳空間に出撃したのとほぼ同時刻、カタロンのネットワーク管制室では一つ、いや複数の問題が発生していた。管制室のコンピューター端末全てにワームプログラムが発生したのだ。オペレーター達は最低限の作業のみを続行し、ワームの撃退に忙殺される。
「第一サーバー以外は全ての作業を中止!ワクチンプログラムで追い払え!!」
「プログラムだけでは対応しきれません!アムドライバーの発信許可を!!」
待機用サーバーから次々とアイゼン・ケンプタイプのアムドライバーが発進していく。すると、ワームは我先にと逃げ出し始めた。
《こちら第二サーバー保安隊、連中は大したこと有りません》
《こちら第三サーバー保安隊、間もなく掃討完了します》
「了解、手の空いた者から他のサーバーの応援に向かえ」
程なくして全てのワームは駆逐されたが、その隙を縫って一体の神姫が第一サーバーに侵入したことに気付かなかった。
そう言って優一はパソコン本体に仕込んだスイッチを押す。
すると、ロボットアニメの登場人物が描かれたスクリーンセーバーが一瞬で英語の筆記体で「トルネード」と書かれたそれに切り替わった。
アカツキは本体に横付けされたクレードルの上にスタンバイしている。
「アクセスプログラム現在正常に動作中、各種武装データ、本体とのシンクロ異常なし。アカツキ、調子はどうだ?」
「万事良好、問題有りません。いつでもどうぞ」
「ようし、行ってこい!」
優一がリターンキーを押すとクレードルのハッチが閉まった。アカツキの本体と武装データがコンピューターに転送され、モニター上に実体化される。
「それじゃ、ミッション開始だ。通信のパターンをあちらさんに合わせる必要が有るからしばらくはバックアップに回れそうに無いが、大丈夫か?」
《私は大丈夫です。マスターはマスターの仕事に専念してください。信じていますから》
「それを聞いて安心した。がんばれよ!」
「はい!」
アカツキが電脳空間に出撃したのとほぼ同時刻、カタロンのネットワーク管制室では一つ、いや複数の問題が発生していた。管制室のコンピューター端末全てにワームプログラムが発生したのだ。オペレーター達は最低限の作業のみを続行し、ワームの撃退に忙殺される。
「第一サーバー以外は全ての作業を中止!ワクチンプログラムで追い払え!!」
「プログラムだけでは対応しきれません!アムドライバーの発信許可を!!」
待機用サーバーから次々とアイゼン・ケンプタイプのアムドライバーが発進していく。すると、ワームは我先にと逃げ出し始めた。
《こちら第二サーバー保安隊、連中は大したこと有りません》
《こちら第三サーバー保安隊、間もなく掃討完了します》
「了解、手の空いた者から他のサーバーの応援に向かえ」
程なくして全てのワームは駆逐されたが、その隙を縫って一体の神姫が第一サーバーに侵入したことに気付かなかった。