第壱話
キーンコーンカーンコーン×2
国立学校法人・東都大学の構内に午前の講義が終わった事を知らせるチャイムがなる。
「はい、それじゃあ来月までにレポートの方を提出してください。テーマは「冊封体制と列強帝国主義の比較」です。これを出さなきゃ単位はあげません、よって進級できません」
中年の教授が課題を説明して文学部史学科東洋史専攻の午前の講義は終わった。
「さてと、今日の講義はもう無いし、これからどうしようか」
「いよぅ、同志よ。今はお暇かい?」
帰り支度をしながら考え事をしていた優一は声をかけられた。
今時風にまとめ上げた髪型に雑誌から丸々取ってきたようなファッション、顔つきはジャニーズ事務所に今からでもオーディションにでも行けそうな・・・、いわゆる「イケメン」である。しかし、その人物の本性を知っている優一からしてみればこれでやっとプラスマイナスがゼロになる。
「何だ拓真、言っておくが美少女フィギュアは買わないからな」
優一はそのイケメン、御堂 拓真に否定的な返事をした。実は彼、いわゆるアキバ系だ。
「おいおい優一、オタクに「フィギュアを買うな」は死活問題だぞ。どうせ暇ならサークルに来ないか?姉貴や由佳里ちゃんも来るってよ」
「ふむぅ、それじゃあご一緒させてもらおうかな。それとレッドもいるのか?」
「ったぼーよ、かく言うお前もアカツキちゃんはいつも一緒だろう?」
「私とマスターはいつも一心同体です!」
「それを言うなら以心伝心だろ」
カバンの中から出てきたアカツキに優一は的確なツッコミを入れた。
「おーやっぱりいたか。こんにちはアカツキちゃん。それとどっちもハズレだぞ」
「ハーイアカツキ、ご機嫌いかがかしら」
拓真の上着の胸ポケットから彼の神姫、騎士型のモルドレッドが出てきた。
「拓真さん、レッドちゃんこんにちは。話は聞かせてもらいました。すると、無頼さんもメリッサちゃんもいるんですね」
「そう言うことだ。ささ、行こうぜ」
「はい」
「はい、それじゃあ来月までにレポートの方を提出してください。テーマは「冊封体制と列強帝国主義の比較」です。これを出さなきゃ単位はあげません、よって進級できません」
中年の教授が課題を説明して文学部史学科東洋史専攻の午前の講義は終わった。
「さてと、今日の講義はもう無いし、これからどうしようか」
「いよぅ、同志よ。今はお暇かい?」
帰り支度をしながら考え事をしていた優一は声をかけられた。
今時風にまとめ上げた髪型に雑誌から丸々取ってきたようなファッション、顔つきはジャニーズ事務所に今からでもオーディションにでも行けそうな・・・、いわゆる「イケメン」である。しかし、その人物の本性を知っている優一からしてみればこれでやっとプラスマイナスがゼロになる。
「何だ拓真、言っておくが美少女フィギュアは買わないからな」
優一はそのイケメン、御堂 拓真に否定的な返事をした。実は彼、いわゆるアキバ系だ。
「おいおい優一、オタクに「フィギュアを買うな」は死活問題だぞ。どうせ暇ならサークルに来ないか?姉貴や由佳里ちゃんも来るってよ」
「ふむぅ、それじゃあご一緒させてもらおうかな。それとレッドもいるのか?」
「ったぼーよ、かく言うお前もアカツキちゃんはいつも一緒だろう?」
「私とマスターはいつも一心同体です!」
「それを言うなら以心伝心だろ」
カバンの中から出てきたアカツキに優一は的確なツッコミを入れた。
「おーやっぱりいたか。こんにちはアカツキちゃん。それとどっちもハズレだぞ」
「ハーイアカツキ、ご機嫌いかがかしら」
拓真の上着の胸ポケットから彼の神姫、騎士型のモルドレッドが出てきた。
「拓真さん、レッドちゃんこんにちは。話は聞かせてもらいました。すると、無頼さんもメリッサちゃんもいるんですね」
「そう言うことだ。ささ、行こうぜ」
「はい」
―十分後・サークル棟内部・神姫同好会部室―
東都大学は他の大学の類に漏れず武装神姫のサークルがある。優一と拓真が所属している「神姫同好会」もその一つだが、初戦は同好会で、活動費用は全員で負担している。
「姉貴ー、クロ連れてきたぞ」
「ご苦労だったな我が弟よ」
部室の一番奥のいすに座った女性が拓真からの報告を受ける。パッチリとした切れ長の二重まぶたにすっきりとした目鼻立ち、髪の毛は焦げ茶のロングヘアーで何も飾り付けはしていないが、よく手入れされている印象を受ける。早い話が「べっぴんさん」だ。彼女の名は御堂 春香(みどう はるか)、拓真の姉であり、この同好会の会長も務めている。
「こんちわっす春香さん。由佳里はまだみたいですね」
「ああ、ゼミで少し遅くなると連絡を受けた所だ。どうせヒマだし、一戦どうだ?無頼もかまわないだろう」
「拙者は主殿の命に従うまでのこと、拒否はせぬ」
傍らに座していた春香の神姫・侍型の無頼も乗り気のようだ。
「ここで引き下がるのは俺の筋に反しますし、良いでしょう。受けて立ちますよ。行くぞアカツキ」
「はい」
実を言うとアカツキは無頼とあまり戦ったことが無く、しかも少ない試合の中で全て負けている。それも無頼本来の戦法が使われたのは一度もない。
「今回ばかりは拙者も本気で征かせてもらうぞ、アカツキ殿もそれでよかろう」
「こちらこそ、全力で征くよ」
「姉貴ー、クロ連れてきたぞ」
「ご苦労だったな我が弟よ」
部室の一番奥のいすに座った女性が拓真からの報告を受ける。パッチリとした切れ長の二重まぶたにすっきりとした目鼻立ち、髪の毛は焦げ茶のロングヘアーで何も飾り付けはしていないが、よく手入れされている印象を受ける。早い話が「べっぴんさん」だ。彼女の名は御堂 春香(みどう はるか)、拓真の姉であり、この同好会の会長も務めている。
「こんちわっす春香さん。由佳里はまだみたいですね」
「ああ、ゼミで少し遅くなると連絡を受けた所だ。どうせヒマだし、一戦どうだ?無頼もかまわないだろう」
「拙者は主殿の命に従うまでのこと、拒否はせぬ」
傍らに座していた春香の神姫・侍型の無頼も乗り気のようだ。
「ここで引き下がるのは俺の筋に反しますし、良いでしょう。受けて立ちますよ。行くぞアカツキ」
「はい」
実を言うとアカツキは無頼とあまり戦ったことが無く、しかも少ない試合の中で全て負けている。それも無頼本来の戦法が使われたのは一度もない。
「今回ばかりは拙者も本気で征かせてもらうぞ、アカツキ殿もそれでよかろう」
「こちらこそ、全力で征くよ」
今回のバトルフィールドは「円形闘技場」、ローマにあるコロッセオをモチーフにした最もシンプルかつ最も腕が現れるステージである。
アカツキと無頼は既に初期配置に着いている。
今回アカツキはリアウィングを装備していない。その代わりにヴァッフェバニーのバックパックをスラスターとして背中に、アークの後輪を両足に取り付けてランドスピナーとしている。左腕にはシールドではなく、どこぞの戦闘装甲騎からぶんどってきたスタントンファーを装備しており、右手にはビームサブマシンガン持っている。それ以外はいつもと同じだ。
対する無頼は胴と胸、腰回りは紅緒のデフォルト装備だが、左肩に装備されたシールドにはデカデカと「無頼」の文字がペイントされている。手には黒光りする太刀が握られており、左腕には刀の操作に支障が無いよう速射砲を装備している。対抗するつもりかどうかは知らないが、アカツキと同様にランドスピナーを装備している。
「今回は制動刀か・・・、アカツキ、間合いをよく考えて行くんだ」
「わかりました。無頼さん、行きます!」
「先手は譲ろう。いつでも来い!」
天使と武者、紅白が今、ぶつかろうとしていた。
第弐話へ
アカツキと無頼は既に初期配置に着いている。
今回アカツキはリアウィングを装備していない。その代わりにヴァッフェバニーのバックパックをスラスターとして背中に、アークの後輪を両足に取り付けてランドスピナーとしている。左腕にはシールドではなく、どこぞの戦闘装甲騎からぶんどってきたスタントンファーを装備しており、右手にはビームサブマシンガン持っている。それ以外はいつもと同じだ。
対する無頼は胴と胸、腰回りは紅緒のデフォルト装備だが、左肩に装備されたシールドにはデカデカと「無頼」の文字がペイントされている。手には黒光りする太刀が握られており、左腕には刀の操作に支障が無いよう速射砲を装備している。対抗するつもりかどうかは知らないが、アカツキと同様にランドスピナーを装備している。
「今回は制動刀か・・・、アカツキ、間合いをよく考えて行くんだ」
「わかりました。無頼さん、行きます!」
「先手は譲ろう。いつでも来い!」
天使と武者、紅白が今、ぶつかろうとしていた。
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