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ウサギのナミダ
アスカ・シンカロン
引きこもりと神姫
キズナのキセキ
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2014年

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悪魔に憑かれた微駄男
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えむえむえす ~My marriage story~

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キズナのキセキ
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浸食機械
引きこもりと神姫
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戦うことを忘れた武装神姫
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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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神姫☆こみゅにけ~しょん
アルトアイネス奮闘姫
ロンド・ロンド

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双子神姫
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犬子さんの土下座ライフ。
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武装神姫のリン
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戦う神姫は好きですか
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武装神姫~ストライカーズ・ソウル~
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ホワイトファング・ハウリングソウル
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  新しい朝が来た、希望の朝だ。
ってなモンで今日はホビーショップエルゴの棚卸し日である。
普段は早めに店を閉めて棚卸をするのだが、今回はちと大掛かりのため臨時休業と
相成ったのだ。
「うしっ!始めるかぁ」
頬を軽くたたいて気合を入れる。ジェニーも今日だけはジェネシス姿でお手伝いだ。
さぁ、今日は忙しい一日になりそうだぜ。

  その時だ。唐突にシャッターを叩く音がする。誰だ、こんな朝に。
「すいません、今日は臨時休業なんですが…どのようなご用件…っで!?」

…その時、俺の脳内では確かに室井管理官のテーマが流れていた。

  シャッターを開けた向こうに立っていたのは年のころ20代後半、黒いスーツに
胸元全開、染めたと言わんばかりの痛んだ金髪をポニーテールに束ね、ケバケバしい
ファー付きコートにピンヒール、さらにサングラスまで装備した女だ。

「久しいじゃないかG。元気にしていたかn…」
全力でシャッターを降ろす。が、その抵抗は女の片腕一本で容赦なく防がれた。
「おいおい…っ…つれないじゃ…ない…かっ!?
  せっかく遊びに来てやったというの…にっ!」
「帰れ!今日は忙しいんだよっ。お前の相手はっ…してられないんだっ、D!」
シャッターを降ろす力と上げる力が拮抗し、鍔迫り合いのような緊張感を生む。
ええい、さわやかな朝を返せ。

  この女は通称「D」今まで何度も激戦を繰り広げてきたライバル。
…という事になるんだろう、不本意ながら。
セカンドリーグのチームバトルに君臨し、表裏を問わずバトルを生きがいとする
現役ランカー。
そして、報酬次第で汚れ仕事もこなす裏稼業の傭兵神姫使いでもある。
Dフォースと呼称する改造神姫小隊を従え、望むがままに戦乱を飲み干す姿は
まさに悪鬼。
「破壊大帝」なぞというどっかで聞いた二つ名まで持つ俺の宿敵だ。
何よりコイツは…

「マスター、そろそろ始めませんと……あら?秋奈さん。お久しぶりです」
奥から現れたジェニーが明るく声を掛ける。

そう…何よりコイツは…俺の実の姉なのだ。




  日暮 秋奈。近所の高級マンションに住む職業編集者、副業エロ作家な俺の姉。
全てにおいて俺の師匠である女。
ただ、無類の快楽主義者でバトルマニア、ダークヒーロー主義のこの姉と、
ヒーロー主義の俺の争いは絶えた事が無い。

神姫に対するスタンスでも交わりそうで交わらない平行線を行く間柄である。
そして、Gとしての俺の最初の敵でもあった…
当時、違法賭けバトルに興じる連中の神姫誘拐事件を追う俺の前に現れた敵。
それがDだった。
目の前にコスプレ同然の漆黒のコートで実の姉が現れた時の居た堪れなさといったら…
もうね、「おまえファミレスの深夜バイトだったんとちゃうんかいっ!?」
と思わず叫ばずには居られなかったあの日の夜。
結局、姉貴…Dのフリーダムっぷりにほとほと嫌気が差していた連中の裏切りにより
勝負はうやむや。
連中は俺と姉貴の両方を敵に回し(主に姉貴によって)壊滅的な被害を
こうむったのだった。
「強い光はより濃い影を作り出す…また会おう、G!」
などとお決まりの台詞と共に去っていくDと家の玄関前で鉢合わせた時にはおもわず
殺意もわいたが、正義の味方など始めた俺を指差して笑いつつ「それでこそ我が弟」と
うそぶく姉に、何も言い返せなかったのも思い出の彼方。

  無論その後も事あるごとにその場のノリと勢いで暴れる姉ことDと激戦を繰り広げる
事になったのは言うまでも無い。
気が付けば、Gとして関わった事件の2割はD絡みだった気すらする。
ワガママでオタクで芝居掛かってて派手好き、ドSでドMでトラブルメーカーで…
とにかく間違いなく俺の天敵なのだ、コイツは。




「で?姉上の来訪を蹴ってまでの用事とは何だ、愚弟」
「つーかマジで何しに来やがったこの極楽トンボ」
肩で息をする俺とは対照的に息一つ切らさない姉貴。
くそう、体力勝負じゃ勝ち目は無いか。化物め。
「父さんが夏彦のとこにじゃがいも送ったから取りに行けと」

親父の仕業かぁぁぁぁぁぁーッ!!

「台所にあるから持って失せろ。こっちは棚卸で忙しいんだっての」
「棚卸ね…こんな朝からそう急くような用件とも思えんが」
帰る気はさらさらないらしい姉の呟きに溜息をつきつつ答える。
「神姫のバトルシステムをバージョンアップして数増やしたんだよ。二階全改装して」
「ウチのお客さんも増えてきたし、セカンドリーグ登録者もぼちぼち増えてきたからな。
  店としては利益を還元せにゃ」
店内を見回す姉が納得したように頷く。
「そういえば筐体が無いな。しかし、上の商品はどこに陳列するんだ?
  ここにはそんなスペースなかろう」

  説明めんどいなぁ…俺は嘆息し、店内レイアウト図をPCに表示しながら解説を
始めた。
「いいか?コレが予定図な。先ずは一階から」
「入り口がココ、レジがココ。神姫関連商品は入り口から見て右側に配置」
「…一階の七割じゃないか。下手なコンビニよりデカイぞ」
「ウチはそういう方針です。んで、レジの前がジオラマスペース。
  今は神姫の教室だけど、休校日とかはイベント仕様に改装してる」
姉貴の突っ込みに怯まず切り返す…いいじゃないか、実際お客さん喜んでるんだし。
「イベント仕様?」
「正月は神社とか夏場はプールとか」
「お前のような馬鹿な弟を持って誇らしいぞ、愚弟」
「呆れられないのは気がラクだが…嫌な気分だぞ、その反応」
こちらの肩など叩いてくる姉貴をなんとも言えない表情で見つめる。

「んで、左側が玩具模型の新商品コーナーと二階への階段な。次二階」
マウスを操作してもう一枚のレイアウト図を表示する。
「こっちはレイアウトはだいぶ簡単だけど。センターに大型モニタ、筐体が6台。
これで3on3までは対応できる」
「ま、本格的なセンターにゃ勝てんけど、ウチの規模の精一杯ってトコだな」
「また随分張り込んだな…儲かってるのか?この店」
驚いたように尋ねる姉貴に誇らしげに答える。
「神姫関連の営業努力が実ってか結構評判良い。
  こないだなんか15万円分も一気買いしてくれる有り難いお客が来たし」
「…罰ゲームじゃないのか、ソレは」
「確かに尋常な雰囲気じゃなかったが。プレゼントとかじゃないか?」
「まぁ、イベントに行けばそのぐらいは使うか。遠出してきたのかも知れんしな…」
思案顔の姉貴。そんなにウチの売上が不思議か、コラ。

「ランカーの常連さんとかも多いんだぜ?姉貴が対戦した相手も来てるかもな」
「表の個人バトルには偶にしか出ないからな。
  …面白いヤツが居るなら戦ってみたい物だが」
姉貴のDフォースは洒落にならない程強い。姉貴の趣味的なスタンスのせいで
セカンドを抜ける事は無いが実力だけならファーストでも通用すると俺は思っている。
…だからなおさら真っ当に生きて欲しいんだが。
「そういや今日は…Dフォースの連中居ないのか?」
店内を見渡す。いつも勝手に入り込むからな、あの連中。
「ベルセルクだけ連れて来ているよ。警戒されては適わんから散歩させてる」
なるほど。ベルセルクってのはDフォースのリーダーで剣術仕様のストラーフだ。
「雷龍剣」(サンダーソード)のD-ベルセルクと言えば個人バトルでも名の知られた
上位ランカーである。
我が姉ながら所属機の装備に四聖獣の名前とか何とも厨臭い。
ちなみにベルセルクは青龍。
いや、人の事言えんケド。
「何か今…失礼な事を考えていなかったか?愚弟」
不審げな姉貴の突っ込みが入る。やべ、顔に出てたか。
「さてね、んで、説明の続きだけど後は順番待ちや休憩の為のラウンジに
  スペース割いてるくらい。後は自販機と端末かな」
「一回のレジ横にも同じ物置いてるんだが、リーグ用の端末以外にウチの商品注文用の
  端末を置いてみた」


「商品注文用端末?」
頬杖ついて聞いてくる姉貴。何リラックスしてんだオイ。
「さっき姉貴が突っ込んだ通り、ウチにゃ展示スペースに限りがあるからな。
  欲しい商品を検索するシステムってワケ」
「注文が確定されると奥のバックヤードからキャリーロボが商品を持ってきてくれる。
  本来はトイジャラスみたいな大型店用のシステムなんだけど」
「ウチの店員は基本俺とジェニーだからな…足りない分はテクノロジーでカバーだ」
「なるほど…色々考えてるワケだな。感心感心」
説明を聞いた姉貴が満足そうに頷いて顔を上げる。
「どれ、感心ついでに一つ手伝ってやろう。偶には家業の手伝いも悪くない」
「いや、いいからとっとと帰ってくれ」
「そう言われるとムクムクと労働意欲が湧くな」
ダメだ、コイツがオレの意図通りに動くことなんぞ無いらしい。
「お前も手伝ってやれ、ベルセルク」
「ヤー、ボス」
何時の間にか陳列棚の上で腕組みしている青い神姫が居た。
無表情にこちらを見下ろすコイツこそがベルセルク。
姉貴お手製のコート型ジャケットアーマーを身に纏い、腰にビームソードを二本差す
その姿はまさに剣士。
「ひさしぶりじゃねぇかベルセルク。調子はどうだ?」
「まずまず。ボスのメンテは完璧」
無表情で答えてくる。むぅ、相変わらずクールなヤツ。
「あら、ベルセルク。居たの?」
奥からモップ(神姫サイズ)片手に現れたジェニーをベルセルクが一瞥する。
「…無様」
「何とでも」
意に介さない、という風に横を通り過ぎて掃除を続けるジェニーに憮然とした表情を
返すベルセルク。
こいつら…仲悪いのかそうでもないのか解らん。




「さて…んじゃ、オレはネットワーク点検するから姉貴は商品陳列頼む。パクるなよ」
「誰がパクるか。一段目表はホビー誌、雑誌、神姫専門誌…書籍か。
  エロ本は置かんのか?」
さっそくかい。アホ姉貴。
「志村ー、ウチ玩具屋」
「フム、たまには姉の印税生活にも貢献してみたらどうだ」
「神姫エロで一発当てたエロ作家の漫画を神姫ショップが置けるか。空気嫁」
オレと姉貴の遣り取りは基本的に万事これである。まぁ、仲が悪くは無いんだろうが…
微妙だ。実に微妙だ。
「ジェニー、クレードルに接続してくれ。新型のマクロ試すから」
「はい。マクロですか?」
ジェニーのアーマーを外し、クレードルに接続してシステムを走らせる。
「ああ。大明神モードじゃレジが打てないって言ってたろ。
  確かにそうだからネット閲覧以外に改良をな」
「ああ!そうですよ、前回はたまたま静香が居てくれたから良いような物を」
「いや、反省してるって」
「だからクレードルからレジ操作出来る様にマクロ組んだんじゃないか。どうだ?」
ジェニーが意識を集中すると、画面上に数字が現れ、オペレート通りにレジが動く。
おし、成功。
「大丈夫みたいです…でも、コレって素体用意した方が早いんじゃ?」
ジト目で呟くジェニーに、一段目の陳列を終えた姉貴まで加わる。
「なんだ、未だに素体を買ってないのか?もう何年だ」
「いいだろ。俺はあの姿にも愛着持ってんの」
「ダルマ萌えか。変態め」
「お願いだから少し良識を持て、アンタは」
我が姉ながら頭を抱える。置いといて。
「生徒のみんなもオレも、大明神様は大明神様で好きなんだ。ま、頼むよ」
両手を合わせてジェニーを拝む。
「…しょうがないですねぇ。また、誤魔化されてあげます」
システムを終了させて伸びをしながら立ち上がったジェニーが、ウインクしながら
そう言った。
…サンキュ。心の中でそう呟く。
「…見せ付けてくれるじゃないか」
ニヒルに笑いながら空気の読めない人がチャチャを入れてきた。
「あー…こほん、陳列進んでねぇじゃねぇか。ちゃんと働け」
さくさくと姉貴をスルーして俺も陳列に向かった。

「一段目裏が雑貨、二段目が表衣服、裏武装、三段目が本体と拡張パーツ。
  んで、側面が大型関連、奥がウチのオリジナル商品だ。んじゃ、総員状況開始!」
『イェッサー!』
俺たちは其々散って商品陳列を始める。
「随分と良い服扱ってるな…種類も豊富だ。こっちの趣味にも目覚めたか?」
「専属のデザイナー兼バイトの子が居るの。ドキドキハウリンのマスターって言えば
  解るか?」
「ああ、あの有名人がね…かなりの美少女らしいじゃないか。そろそろ三次元にも
  目を向けてはどうだ?」
「ッ!?あのなぁ、彼女はウチの大事なお客さんでデザイナーさんなの。
  妙な勘ぐりやめい」
盛大に噴き出す。何を言いやがるかこのアマ。
「しかしいい年になって童貞もツラかろう?早い者は10代前半で経験すると言うぞ?」
あーもー、こいつは何故にコレ系の話好きかね。
うんざりしつつ其方を見るとジェニーが口を挟んだ。
「秋奈さん!マスターは童貞なんかじゃありません…素人童貞です!」
ジェニィィィィィッ!?何を抜かすかぁぁぁぁぁぁっ!!?
「ほぉ、kwsk」
肩など抱きつつ姉貴が目を光らせてくる。もうほっといて下さい…orz




こうして何かを失いつつ俺達の商品陳列は終わった。現在は二階の清掃と
バトルシステムの試運転をしている。
「ジェニー…オレは今夜お前を銅像色に塗るかもしれん」
「ごめんなさい…いや、悪気はなかったんですよ…?」
何かを忘れるようにマニュアル片手に作業するオレにジェニーが恐る恐る声を掛ける。
「男が細かいことをグダグダと。器が知れるぞ愚弟」
「お前のせいじゃぁぁぁぁぁっ!?」
一声叫んで息を吐く。まぁ、確かにしょうがない。
「はぁ。姉貴、ベルセルク…仮接続してシステム不具合チェック頼む」
「了解」
姉貴が慣れた手付きでベルセルクを筐体に接続する。
合図を受けて診断プログラムを走らせ。
「どうだ?ベルセルク」
「問題ない。システムオールグリーン」
よし。ネットワーク関連も正常だしこれなら明日から無事に営業できそうだ。
時計を見れば午後六時を回っていた。
「うわ、昼メシも食わずにこの時間かよ。結構掛かったなぁ」
「姉の協力に感謝したらどうだ、愚弟」
「はいはい、助かりましたよ」
恩着せがましいのか素なのかどっちだ。
「んで、メシどうするよ?食ってくにしてもロクなモンねぇぞ?」
「甲斐性無しめ。仕方無い、奢ってやろう。私の車でファミレスにでも行くぞ」
「じゃ、それで。代金はオレが出すよ」
大きく伸びをする。やれやれ。結局忙しない一日だったぜ。
「ん?ベルセルク…どした」
無言でランカー検索を行なっていたベルセルクがオレの声に顔を上げる。
「…何人か興味深い神姫を確認。ボス、シングルバトル許諾を要請」
「ほう眼鏡に適うのがいたか、いいだろう。とはいえ忙しい身でな。先ずは挨拶
  でもしておけ」
無言で頷くベルセルク。その顔は微かに笑っているようにも見えた。




「で、誰っスかお気に入り」
胸ポケットにジェニーを、肩にベルセルクを乗せた俺は姉貴の車を流れる景色を
眺めながら聞いてみた。
「たくさん。強い神姫も居るし、同じ雷撃使いも居る」
「…ボスの様に、悪を名乗る神姫も居た。皆楽しみ」
…コイツにしてはよく喋る。物騒な事にならなけりゃ喜ばしい事かも知れないが。
「ま、そのうち会えるだろ」
「問題無い。しばらく愚弟の店に通う」
待てい。姉貴が付いてこないとは言え、コイツらに溜まられると厄介だ。
「あー…ベル?こっちも仕事なんだが…」
「じゃ、お前の学校に入学させるから面倒見てやれ」
言い訳する暇も無く姉貴が話を捻じ込んでくる。
「問題解決。後は諦めて」
ベルセルクがぽんぽんと俺の頭を叩く。撫でているつもりらしい。
つうか、そのアクションは俺に同情していると言う事か。
解っててやってるならこれ以上逆らっても無駄ですか、そうですか。

嘆息一つ、再び夜景を眺めつつ思う。
世は全て事もなしってのは、案外素晴らしい事かも知れない。
夜の街の明りは個人の感傷なぞ何処吹く風とばかりに眩く輝いていた。






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