遠く聞こえる雨音の中、その部屋の中には男女の荒い息遣いと、ヒトの脳髄を甘く痺れさせてしまうような独特の汗と体液のない交ぜになった香りが漂っている。
やがて、乱雑に肌蹴た服を繕うようにして、女がその裸体をゆるりと起こす。
「……何も、聞かないの?」
まだベッドに寝そべったままの男に背を向けた格好のまま、ポツリと呟く美砂。
「んー……そうだね。久々だからか締め付けがきつくてとってもよかっt ゴフッ!?」
サイドボードの上に置かれていた目覚まし時計が、メキョリと男……志郎の顔にメリこんでいる。
「HAHAHA、少しは元気が出てきたんじゃないかねマイハニー」
「……馬鹿ッ」
それでも尚にこやかに笑う志郎と、顔を背けつつも、先程まで全く存在しなかった微笑みを浮かべる美砂。
「まぁ聞いて欲しいならいくらでも聞くけど、そんな事をしても解決しないんだろう?
ならばキミが自分で悩み、行動して解決すべき問題さ」
「アンタこんな時だけ、正論言うのね。……まぁ、そうなんだけど」
「ボクは何時でも品行方正な正論家さ。
それに、ボクに頼ってしんみりしてるキミよりも、ツンデレで何時も自信に溢れてハキハキとしてる方が何倍も魅力的だしね!」
「う゛~~~~~、アンタって人はッ!?」
美砂は呆れ半ば怒って志郎へ振り返る。
と、何時の間にか起き上がっていた志郎が素早く、美砂の唇に軽く触れる程度のキスをして。
「ま、今のボクに出来るのはコレくらいさ、マイハニー☆ 良い気分転換になっただろっ」
「……そうね。じゃあお言葉に甘えて」
美砂の瞳が、ふっと妖艶な女のソレに変わった瞬間、志郎の肩を掴んで、そのままドサリとベッドに押し倒す。
「もうちょっとだけ、気分転換に付き合ってよね……今晩だけで、いいから」
少しだけ哀しげな表情を浮かべた後、美砂は自ら唇を奪うように重ね、二人は熱情の世界へと堕ちてゆく……
やがて、乱雑に肌蹴た服を繕うようにして、女がその裸体をゆるりと起こす。
「……何も、聞かないの?」
まだベッドに寝そべったままの男に背を向けた格好のまま、ポツリと呟く美砂。
「んー……そうだね。久々だからか締め付けがきつくてとってもよかっt ゴフッ!?」
サイドボードの上に置かれていた目覚まし時計が、メキョリと男……志郎の顔にメリこんでいる。
「HAHAHA、少しは元気が出てきたんじゃないかねマイハニー」
「……馬鹿ッ」
それでも尚にこやかに笑う志郎と、顔を背けつつも、先程まで全く存在しなかった微笑みを浮かべる美砂。
「まぁ聞いて欲しいならいくらでも聞くけど、そんな事をしても解決しないんだろう?
ならばキミが自分で悩み、行動して解決すべき問題さ」
「アンタこんな時だけ、正論言うのね。……まぁ、そうなんだけど」
「ボクは何時でも品行方正な正論家さ。
それに、ボクに頼ってしんみりしてるキミよりも、ツンデレで何時も自信に溢れてハキハキとしてる方が何倍も魅力的だしね!」
「う゛~~~~~、アンタって人はッ!?」
美砂は呆れ半ば怒って志郎へ振り返る。
と、何時の間にか起き上がっていた志郎が素早く、美砂の唇に軽く触れる程度のキスをして。
「ま、今のボクに出来るのはコレくらいさ、マイハニー☆ 良い気分転換になっただろっ」
「……そうね。じゃあお言葉に甘えて」
美砂の瞳が、ふっと妖艶な女のソレに変わった瞬間、志郎の肩を掴んで、そのままドサリとベッドに押し倒す。
「もうちょっとだけ、気分転換に付き合ってよね……今晩だけで、いいから」
少しだけ哀しげな表情を浮かべた後、美砂は自ら唇を奪うように重ね、二人は熱情の世界へと堕ちてゆく……
ねここの飼い方・その絆 ~七章~
「……ぅ。……んーっ……」
カーテンの隙間から入る日差しが眩しくて目が覚めてしまい、しょうがないのでゆっくりと上半身を起こして、軽く伸びをする。
それからベッドの傍に脱ぎ捨ててあったシャツに袖を通す。前は……面倒だから、いいや。少し肌がカピカピするし。
「……マイハ……そんなもう一度?……らめぇ…………。ガクリ」
隣でうめき声のような寝言?言いつつ、誰か干からびている気がするけども、気にしない。
「さて……っと」
ちょっと重い腰をよいこらせと持ち上げ、シャワーを浴びる為にゆっくりとした足取りで一階に下りてゆく。
「……ま、ありがとね」
ベッドから離れる前に、一寸だけアイツの頬にご褒美のキスをしてから、ね。
カーテンの隙間から入る日差しが眩しくて目が覚めてしまい、しょうがないのでゆっくりと上半身を起こして、軽く伸びをする。
それからベッドの傍に脱ぎ捨ててあったシャツに袖を通す。前は……面倒だから、いいや。少し肌がカピカピするし。
「……マイハ……そんなもう一度?……らめぇ…………。ガクリ」
隣でうめき声のような寝言?言いつつ、誰か干からびている気がするけども、気にしない。
「さて……っと」
ちょっと重い腰をよいこらせと持ち上げ、シャワーを浴びる為にゆっくりとした足取りで一階に下りてゆく。
「……ま、ありがとね」
ベッドから離れる前に、一寸だけアイツの頬にご褒美のキスをしてから、ね。
頭から熱い湯を浴びると、気持ちがキリリと引き締まってくる。今までの色んなの老廃物が流れていく気分。
そんな中、ふと、アイツの正論が思い出される。
「今の私に、できる事……か」
そんな中、ふと、アイツの正論が思い出される。
「今の私に、できる事……か」
『ねここを、信じる事』
それしかない。あの子を信じないという事は、引いては自分すら信用していないという事。
だってねここは、私にとって……
頬に、シャワーの湯以外の熱いものが流れ落ちてゆく。
それは哀しさじゃなくて、一瞬でもあの子を信じてあげられなかった自分への、黒い憎しみと怒りの念。
「……そうだね」
だからこそ、『今の』ねここの為に精一杯できる事を。
だってねここは、私にとって……
頬に、シャワーの湯以外の熱いものが流れ落ちてゆく。
それは哀しさじゃなくて、一瞬でもあの子を信じてあげられなかった自分への、黒い憎しみと怒りの念。
「……そうだね」
だからこそ、『今の』ねここの為に精一杯できる事を。
「んふー、気持ちいいの~☆」
澄み渡る青空の中、窓から入ってくる朝の爽やかな日差しを浴びながら、うーんと大きく伸びをするねここ。
昨夜の雨が、空の濁りを全て洗い流してくれたかのような、爽やかな秋空だ。
そして、ねここの表情も、その空のようにスッキリと晴れ渡った顔をしている。
「おはようございます。早いのですね」
と、その姿に後ろからシンメイが声をかける。
此方も昨夜の鬱積とした表情とは違い、とても健やかだ。
「うん、早くみさにゃんの元へ帰りたいな……って思ったら、早起きしちゃったの」
「ハイハイ、昨夜あのあと散々らヴらヴ話をすれば、そりゃ早く会いたくなるだろうよ」
続いてリゼがシンメイの後ろからのっそりと顔を出す。此方はやや気だるげな様子だ。
「でもにゃーたちだっていっぱーいにゃーさんとのらヴいお話聞かせてあげたしっ」
「うるせッ、あんな木っ恥ずかしい話、シラフじゃなかったとはいえよく出来るな!」
更にひょっこりとエルガが現れ、静かだった朝の一時が、たちまち女性(型)ならではの姦しさに取って代わられる。
澄み渡る青空の中、窓から入ってくる朝の爽やかな日差しを浴びながら、うーんと大きく伸びをするねここ。
昨夜の雨が、空の濁りを全て洗い流してくれたかのような、爽やかな秋空だ。
そして、ねここの表情も、その空のようにスッキリと晴れ渡った顔をしている。
「おはようございます。早いのですね」
と、その姿に後ろからシンメイが声をかける。
此方も昨夜の鬱積とした表情とは違い、とても健やかだ。
「うん、早くみさにゃんの元へ帰りたいな……って思ったら、早起きしちゃったの」
「ハイハイ、昨夜あのあと散々らヴらヴ話をすれば、そりゃ早く会いたくなるだろうよ」
続いてリゼがシンメイの後ろからのっそりと顔を出す。此方はやや気だるげな様子だ。
「でもにゃーたちだっていっぱーいにゃーさんとのらヴいお話聞かせてあげたしっ」
「うるせッ、あんな木っ恥ずかしい話、シラフじゃなかったとはいえよく出来るな!」
更にひょっこりとエルガが現れ、静かだった朝の一時が、たちまち女性(型)ならではの姦しさに取って代わられる。
「……っと。そろそろ出るんだろ?」
グダグダな流れになり始めた(実際なっていたけども)所で、リゼが会話の流れを力技で元の方向へ軌道修正。
「あ……うん」
「……ま、元気でな。何ならまた遊びに来ても構わんぜ」
一瞬しょんぼりとするねここ。
リゼはそれに構わず言葉を続け、そして、ニカっと人懐っこい笑顔を浮かべて。
「アンタの大好きなマスターと一緒に、ね」
「ぁ、うんっ!」
それは全く同じ言葉なのに、正反対の意味で応えるねここ。その顔は、何時ものねここらしい満面の笑みで溢れていて。
「よし、その元気ならもう大丈夫だな。ねここにとうへい!早く帰ってやりなっ」
「りょーかいっ、なのっ☆」
リゼの威勢のいい激励に応えて、元気いっぱいにビシっと敬礼するねここ。……しかし二等兵は酷い。
「あ。ねここちゃん、ちょっと待ってください」
「すとーっぷ」
そのまま窓の外に飛び出そうとしたねここに声がかかる。振り返ると、そこにはシンメイとエルガの姿があった。
「その……足の事で……ですね」
「わかってるの」
やや言い難そうにどもってしまったシンメイ。だけども、それに対するねここの言葉には一片の澱みもなくて。
「そうですか。……なら、これは私たちからの選別です。受け取ってください」
「にゃーたちが一生懸命作ったのだ! もってけドロボーッ」
2人がねここの前に持ち出したのは、神姫の身長に匹敵するサイズのスケートボード。
「動力機関を組み込んでありますので、今の貴方の状態でも、十分1人で家に戻る事が出来ます。
操作は本体にあるケーブルを汎用ジョイントに繋いでいただければ、あとはオートで思い通りに操れるようになるので、大丈夫な筈です」
「にゃーのとっておきを使ったから、すっごいよー!」
沈着冷静に使い方を説明するシンメイと、本能的な勢いでおしまくるエルガ。対照的な2人だが、感じられる優しさは同じように思われる。
「……ありがとなの!それじゃ、またねっ」
「あ、言い忘れましたが本当にエルガがカリカリにチューンしたので……」
シンメイがそこまで言った瞬間、部屋中に爆音が轟く。
ねここがエンジンの回転を上げた瞬間、ガラスがビリビリと震え、部屋中の置物が落下寸前になり、外の野良猫が悲鳴のような叫びをあげる。嘗てのジェット戦闘機の騒音被害も真っ青に成る程の強烈な破裂音が周囲を満たす。
「…!!!……!……!!ッ」
そしてそのまま、窓から音速を突破してるのではないかと錯覚するほどの勢いで飛び出す。いや吹っ飛んでいくねここ。
「アイタタタ…………。まったく、無茶シヤガッテ」
落ちてきた調度品やら本やらに埋もれかけてしまっていたリゼが、埃塗れになりつつそれらの隙間から顔を見せる。
「全く、相変わらずですね……。そんな古いボケやってないで、片付けるの手伝ってくださいよ」
アニメのような糸目状の遠い目をして、何故か虚空に向かって敬礼などしているリゼに向かってバシンと一発突っ込むシンメイ。
「でも最後まで、ありがとう、って言ってくれてたのだ」
「お前こそ死亡フラグ立ててないか、ソレ」
「……きっと、なんとかなりますよ」
グダグダな流れになり始めた(実際なっていたけども)所で、リゼが会話の流れを力技で元の方向へ軌道修正。
「あ……うん」
「……ま、元気でな。何ならまた遊びに来ても構わんぜ」
一瞬しょんぼりとするねここ。
リゼはそれに構わず言葉を続け、そして、ニカっと人懐っこい笑顔を浮かべて。
「アンタの大好きなマスターと一緒に、ね」
「ぁ、うんっ!」
それは全く同じ言葉なのに、正反対の意味で応えるねここ。その顔は、何時ものねここらしい満面の笑みで溢れていて。
「よし、その元気ならもう大丈夫だな。ねここにとうへい!早く帰ってやりなっ」
「りょーかいっ、なのっ☆」
リゼの威勢のいい激励に応えて、元気いっぱいにビシっと敬礼するねここ。……しかし二等兵は酷い。
「あ。ねここちゃん、ちょっと待ってください」
「すとーっぷ」
そのまま窓の外に飛び出そうとしたねここに声がかかる。振り返ると、そこにはシンメイとエルガの姿があった。
「その……足の事で……ですね」
「わかってるの」
やや言い難そうにどもってしまったシンメイ。だけども、それに対するねここの言葉には一片の澱みもなくて。
「そうですか。……なら、これは私たちからの選別です。受け取ってください」
「にゃーたちが一生懸命作ったのだ! もってけドロボーッ」
2人がねここの前に持ち出したのは、神姫の身長に匹敵するサイズのスケートボード。
「動力機関を組み込んでありますので、今の貴方の状態でも、十分1人で家に戻る事が出来ます。
操作は本体にあるケーブルを汎用ジョイントに繋いでいただければ、あとはオートで思い通りに操れるようになるので、大丈夫な筈です」
「にゃーのとっておきを使ったから、すっごいよー!」
沈着冷静に使い方を説明するシンメイと、本能的な勢いでおしまくるエルガ。対照的な2人だが、感じられる優しさは同じように思われる。
「……ありがとなの!それじゃ、またねっ」
「あ、言い忘れましたが本当にエルガがカリカリにチューンしたので……」
シンメイがそこまで言った瞬間、部屋中に爆音が轟く。
ねここがエンジンの回転を上げた瞬間、ガラスがビリビリと震え、部屋中の置物が落下寸前になり、外の野良猫が悲鳴のような叫びをあげる。嘗てのジェット戦闘機の騒音被害も真っ青に成る程の強烈な破裂音が周囲を満たす。
「…!!!……!……!!ッ」
そしてそのまま、窓から音速を突破してるのではないかと錯覚するほどの勢いで飛び出す。いや吹っ飛んでいくねここ。
「アイタタタ…………。まったく、無茶シヤガッテ」
落ちてきた調度品やら本やらに埋もれかけてしまっていたリゼが、埃塗れになりつつそれらの隙間から顔を見せる。
「全く、相変わらずですね……。そんな古いボケやってないで、片付けるの手伝ってくださいよ」
アニメのような糸目状の遠い目をして、何故か虚空に向かって敬礼などしているリゼに向かってバシンと一発突っ込むシンメイ。
「でも最後まで、ありがとう、って言ってくれてたのだ」
「お前こそ死亡フラグ立ててないか、ソレ」
「……きっと、なんとかなりますよ」
「むしろ、こっちをなんとかしないと……」
三者三様のコメントを残しつつ、一瞬にして廃屋と見まごうばかりの惨状になった部屋を片付け始める神姫たちであった。
「……おはよぅ、マイハニー……。
天国と地獄を同時に味わった気分なんだが……
よく覚えていないと言うか、なんというか、記憶まで曖昧になった気がしてるよ……」
うーん……やっぱりこんな短期間じゃ無理かな。でもせめて、日常用だけでもなんとかしないと。
詳細はねここが帰ってこないとデータが取れないけれど、概要くらいはやらないと、ね。
「あの……もしもーし?」
よし、ついでに改良プランの方も進めちゃおう。
ねここがもうしないって言ったら意味の無い物だけど、今できる事は全てやりたいし。
「みさちゅわーん?ずっとPCと睨めっこしてないで、こっちにスウィートスマイルを向けてくれないかなー?」
でも、もし帰ってこな………うぅん。
天国と地獄を同時に味わった気分なんだが……
よく覚えていないと言うか、なんというか、記憶まで曖昧になった気がしてるよ……」
うーん……やっぱりこんな短期間じゃ無理かな。でもせめて、日常用だけでもなんとかしないと。
詳細はねここが帰ってこないとデータが取れないけれど、概要くらいはやらないと、ね。
「あの……もしもーし?」
よし、ついでに改良プランの方も進めちゃおう。
ねここがもうしないって言ったら意味の無い物だけど、今できる事は全てやりたいし。
「みさちゅわーん?ずっとPCと睨めっこしてないで、こっちにスウィートスマイルを向けてくれないかなー?」
でも、もし帰ってこな………うぅん。
私は、信じる。
「あの、昨日のプレイで疲れてボクお腹すいちゃったんだけど……むぐがっ」
「食パンでもどうぞ。バターは冷蔵庫の下段にあるから、適当に」
これで静かになった。
「ふぉぐふぁふぃふちふぃふぃっこぐヴぁんヴぇ(いきなり口に突っ込むなんて)……酷いじゃないかっ!」
聞こえなーい。
「……ま、それでこそボクの愛するマィスウィートハニーだ。
ソレでこそ、ヤリがい……もとい、落としがいもあるってものだからね。HAHAHA!」
……うぅ、だから聞こえないんだってばっ!
「わかったわよ、ご飯作ってあげるからそれ以上背中が痒くなるような事、言わないの」
時間が惜しいのに……ちゃんとお礼はさっきしてあげたのにね。
「食パンでもどうぞ。バターは冷蔵庫の下段にあるから、適当に」
これで静かになった。
「ふぉぐふぁふぃふちふぃふぃっこぐヴぁんヴぇ(いきなり口に突っ込むなんて)……酷いじゃないかっ!」
聞こえなーい。
「……ま、それでこそボクの愛するマィスウィートハニーだ。
ソレでこそ、ヤリがい……もとい、落としがいもあるってものだからね。HAHAHA!」
……うぅ、だから聞こえないんだってばっ!
「わかったわよ、ご飯作ってあげるからそれ以上背中が痒くなるような事、言わないの」
時間が惜しいのに……ちゃんとお礼はさっきしてあげたのにね。
「――――あ」
「どうしたんだい、急に――?」
すぐに椅子から立ち上がって、キッチンじゃなく、玄関へと一寸だけ歩みを早くして向かう。だって……
玄関からはカタリと、本当に小さな音が、静かに響く。それは何時も聞こえてた。うぅん、感じてた事で。
私は歩きながら、まるで自分の顔を確認するように、意識的に表情を整える。
だって、常に笑みを絶やさないあの子の前では、何時だって私も微笑んでいられたから。
だから、今日もまた、何時ものように、微笑んで出迎えないと。
すぐに椅子から立ち上がって、キッチンじゃなく、玄関へと一寸だけ歩みを早くして向かう。だって……
玄関からはカタリと、本当に小さな音が、静かに響く。それは何時も聞こえてた。うぅん、感じてた事で。
私は歩きながら、まるで自分の顔を確認するように、意識的に表情を整える。
だって、常に笑みを絶やさないあの子の前では、何時だって私も微笑んでいられたから。
だから、今日もまた、何時ものように、微笑んで出迎えないと。
きっと、ねここも……笑顔で帰ってくるから。
「おかえり。ねここ」
「ただいま。みさにゃん」
昨日までの続きを。今日からの始まりを。
2人で微笑んで、歩いてゆける日々を……また……
2人で微笑んで、歩いてゆける日々を……また……