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「暗い夜」


何故、アタシはこんな所に居るのか?
何故、アタシはこんなに涙を流しているのか?
何故、アタシの胸はこんな痛みを訴えているのか?
何故?
何故?
何故?



 病院。
 白い壁。
 リノチウムの床。
 硬いソファー。
 人気の無い薄暗いロビーには、時折車のヘッドライトの光が入り込む。
 手の中に固い感触。
 その存在感が、かろうじてアタシの意識を保たせていた。
廊下に響く硬質な足音が耳朶を打つ。
その音は徐々にアタシに近づき、そして目の前で止まった。
「刹奈、おいで」
 その声に反応して、アタシの手の中でおとなしくしていた刹奈が、ゆっくりと動く。
 アタシは刹奈に指示をしたその声の持ち主の顔を見た。
 それは夢絃と似ていて、それで居てまるで違う女性。
 露草流音。
 夢絃の妹。
「……こんな事言っても、きっと何の慰めにもならないのだろうけど、聞いて欲しい事があるの」
 流音はそう言って、呆けているアタシの隣に腰を下ろす。
「夢絃が死んだのはあなたのせいじゃない。ただそれは、アイツのスケジュールが早く進んだだけ」
 酷く淡々とした声だった。
 夢絃が本当に死んだのだと、人の言葉によって改めて付きつけられる。それが事実なんだと、アタシの中に侵食していく。
 夢絃。
 夢絃。
 夢絃。
 夢絃――――
 いくら呼んでももう夢絃は返事をしない。
 もう、夢絃はいない。
「ちょ……『マスター』! そんな言い方、ないだろ!?」
 刹奈のその言葉に、それでもアタシは驚いた。
 マスター、だって!?
今確かに刹奈はマスターって言った。夢絃じゃなく、流音の事を。
そうでなくても悲嘆にくれ、罪の意識に苛む思考はその処理速度を低下させていて、新しく得た情報にアタシはただ混乱する事しかできない。
「でも、ちゃんと伝えるには、少しでも客観視しないと、ダメだから」
「ちょっと待ってよ! 一体どういう事? 流音がマスターって、一体何!?」
 感情が上手く制御できないままに、アタシは泣き叫ぶように問う。
 上手く表現できないけど、裏切られたような気がした。
「…………それも、順を追って説明するから、落ち着いて。ね」



「元々夢絃は、そんなに体が丈夫なほうじゃなかったの」
 自動販売機で買ったジュースに口を付けつつ、流音は話し始める。
 アタシが落ち着くのを十分すぎるほど待ってからの事だった。
「先天的に心臓に疾患があったらしくって。でも、そんな事、つい最近まで私も知らなかった」
 そう言って、流音は視線を落とす。その先にはおとなしく座る刹奈の姿がある。
「私と夢絃って、苗字違うじゃない。実は両親離婚しててさ。仲が悪い訳じゃないけど、疎遠だったんだよね」
 流音はアタシに視線を向ける。その表情は大人びて見えた。
「久しぶりに会いに来たかと思ったら、もう余命いくばくも無いとか言うし、信じられないでしょ?」
 それはもう諦観しきった顔。悲嘆にくれて、そしてそれを受け入れた、そんな顔。
「……なーんで双子の私はこんなに元気なのにって、本当に運命を呪った」
「え? 双子?」
 話の腰を折ってしまわないようにおとなしく聞いていたが、その言葉に反応して思わず声にでる。
「ん? 言ってなかったっけ?」
「うん。アタシと同じくらいだと思ってた」
「そっか、まだ女子高生で通るか」
 そう言って少しだけ笑う。
「ま、それは置いといて…… だから、事故に遭わなかったとしても、今年の冬には夢絃はいなくなっていたはずなんだ」
 それが慰めになるか、判らないけど。と流音は続けた。
「でね、そんなアイツが、私に何言ったと思う? 最期の願いに神姫のマスター気分を味合わせてくれ。だって。よりにもよって最期の願いがそんなって、もう、ホントに馬鹿」
「…………は?」
 さすがにそれには呆れた。
「ま、それにも一応アイツなりに理由はあったんだけどね。自分が確かにこの世界に存在した証を、機械である神姫に残しておきたいとか、ヴァーチャルな世界にでも神姫と戦った自分を残しておきたいとか。人間の曖昧な記憶とかじゃなしに、神姫やネットワーク上のメモリーに、自分を残しておきたいって言ってた。そんな事言われたら、文句も言えなくなるじゃない」
 ……そう言われると、アタシも何も言えなくなる。
 正直理屈は良くわからないけど、それでも夢絃なりに真剣に考えた事なんだと思う。
「だから私は刹奈を夢絃に預けたの。それくらいしか、私には出来ないから」
「でも、そんな事出来るの?」
 ここでアタシが聞きたいのは初めて会ったあの時の事。つまり正規のオーナー以外の人間が他人の神姫を使ってバトル出来るのか、という疑問だった。
「初期のBATTLE RONDOなら兎も角、現行のシステムならそこらへんはかなり自由が利くようになってるのよ。少しだけ手続きが必要だけど」
「なるほど…… すっかり騙されたなぁ。まるっきり自分の神姫みたいに扱ってるんだもん」
 正直少しだけ拗ねている。ちゃんと教えてくれてもいいじゃん。って。
「でも、夢絃は一度だって、自分の神姫だ、とは言わなかったんだ」
 刹奈が小さな声で初めて会話に加わる。
「自分がオーナーじゃないって、誰よりも強く思っていたから、夢絃はあたしを一度だって自分のものだとは言わなかったよ」
 確かに、そうだった。一番近い表現でも、出会ったばかりの時に言った「人の神姫を抱きしめるな」という言葉。あれは自分のという意味ではなく、本当の意味で『他人の』という意味だったんだ。
 と、そこでアタシは思い出す。確か夢絃は「一人と神姫とで暮らしてる」とも言っていなかったか?
 アタシのそんな疑問に、刹奈が答える。
「それはさ、まだ起動させてもいない神姫の事を言ったんだ。その神姫は限定品で、注文してから届くまでかなり期間が空いてさ。……注文した時は自分の体の事、まだ知らなかったんだってよ」
「でもだったら、その神姫でバトルとか参加すればよかったんじゃないの?」
「ははは。朔良は神姫に詳しくねーからなぁ」
 そう前置きして、刹奈は説明し始める。
 神姫はただ一人をオーナーとして登録し、そのオーナーとの絆が途切れてしまえば、その活動が停止してしまう事を。
「自分の命が長くないと知った夢絃は、それだからこそ神姫を起動させる事を躊躇したのよ」
 でも、それを他の人……友人とかには言えなかったんだって。と流音は言うと、僅かに残ったジュースを飲み干す。
「で、夢絃が唯一、本当の意味で所有していた神姫が、今あなたのバッグの中にある神姫よ」
 そういわれてアタシは急いでバッグの中からその箱を取り出す。
 MMS TYPE DEVILと記されている段ボール製のその箱を。
 今の今まで気が付かなかったが、そこには、LIMITED EDITIONと印刷されていた。
「だから、あなたが罪の意識を感じてたりしたら、夢絃も浮かばれない。……こんな言い方、冷たいかもしれないけど、残り僅かだった命を、それを託せる程に信頼していたあなたを助けるために使えたんだから」
 そこで初めて、流音の頬に涙が伝う。
「だから兄のためにも、喜んであげてよ。兄の命が、無意味に失われなかった、その事を」
 アタシは、その流音の言葉にただ頷いた。
 今はまだ、心の底から罪悪感を払拭できなくても、でも夢絃のためにそう思おうと決心して。
 夢絃に助けてもらったアタシを大切にしようと思えるようになりたいと、祈った。






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