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えむえむえす ~My marriage story~

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ウサギのナミダ
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武装神姫のリン
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 前略。
 マヤアとデート中。
 後編 Let'go!!



鋼の心:番外編 ~Eisen Herz~

ネコデート(後編)




「さて。次は、と……」
 ファミレスを出て暫し、当て所無く繁華街を歩く祐一とマヤア。
「……マヤアは相変わらず行きたい所無いのな?」
「う~ん。……三直屋でタイヤキを―――」
「―――食べ物関連以外で」
 祐一は、まだ喰うつもりのネコを指先で小突く。
「むぅ。……ハードル高いのな」
「高くない、高くない。……全然、高く無い」
 むにゅ~。と謎の唸り声を漏らしつつ、腕組みして考え込むマヤア。
「……何でも良いんだよ。……食べ物関連じゃなければ」
「そうか、では……」
 顔を上げ、ビシリと一点を指差すマヤア。

……ラブホに行こう!!

行かねぇよ!!

 温厚な祐一も流石に怒鳴る。
「何故だ!? 何処でも良いと言ったばかりじゃないか!?」
「何で寄りにも寄ってラブホなんだよ!?」
「うむ。とりあえず祐一ゃんの事を考えた結果だ」
「は?」
 意外な返答に戸惑う祐一。
「食欲が満ちたので、そろそろ睡眠欲か性欲を満たしたかろーと思って、どちらも満たせる場所を選んでみたのだが……」
「なんで三大欲求を順繰りに満たさないと気が済まない様な男に見られちゃっているんですか僕は」
「祐一ゃん、発音変だぞ?」
 誰のせいだと思っているのだろう?
「まぁ、安心しろ。ネコはこう見えても 床上手 だと、 ご近所の奥様方に大評判 なのだ!!」
「いらないよ、そんな評判!! …って言うか、絶対単語の意味を勘違いしているだろ!?」
「ん? 床上手って、 Hが上手 って意味だろ?」
「合ってるし!?」
 と絶叫後暫し沈黙。
「……あのさ。ご近所の奥様方って、具体的に誰?」
「セタ坊だけだが?」
「奥様じゃ無ぇ!! ご近所じゃ無ぇ!! 複数じゃ無ぇ!!」
 怒涛の如き三連突っ込み。
「それから、何故にセタ坊?」
「ん~、ネコは定期的に発情期とかあるし。偶然居合わせたセタ坊を……」
「……哀れな。……襲われたか……」
 相手が相手だけに組み付かれたら成す術もあるまい。
 祐一は不幸な家族に黙祷を捧げた。
「うむ、ネコは異性同性区別しないぞ」
「しろよ」
「何を言う、ネコは祐一ゃんの妻だし、……浅葱は……、まぁ、嫌いじゃない、よな、多分……。それからついでにセタ坊はネコの 肉奴隷 だし?」
「色々突っ込み所が多すぎて、何処から突っ込んだものやら……」
「いや。突っ込める所なんて、精々3つしかないぞ?」
「何処と何処と何処だか言ってみろ!! 具体的に!!」
「……ね、ネコの口からそんな猥語を? ……あれか、女の子がHなセリフを喋ると興奮するタイプ? …… 羞恥プレイ好き ?」
「違うわ!!」
「……ああ、 既に始まってんのね 。羞恥プレイ」
「始めて無ぇ!!」
「ん~。そんじゃあ、祐一ゃんの好みに合わせて、 パンツとか脱ぐか ?」
「そもそも穿いて無ぇ!!」
「―――!! す、 既にプレイ中だったか !? ネコは祐一ゃんに、 ノーパンで街中連れ回されてんのかーっ !?」
「叫ぶなーっ!!」
「調教中~、ネコは祐一ゃんに調教中です~っ!!」
「違うわーっ!!」
「……はっ!? と言う事は、まさか……」
 ゴクリ。と息を呑み、マヤアは恐る恐る祐一の表情を伺う。
「……す、既に 調教済み ?」
「んな訳あるかーっ!!」


 数分後。


「……はぁ、はぁ。……無駄な体力を使ってしまった」
「6回は多すぎるよぅ、ネコ壊れるかと思った……❤」
「❤、じゃ無ぇ!! そもそも6回って言う回数はどこから出てきた!?」
「あ~、それ。……なんか適当に、な?」
 分かるだろう? とばかりにうりうりと頬を小突くネコ。
「仕方が無い。こうなったら僕の行きたい所に行くしかないか……」
 行き先一つ決めるのにこの苦労だ。
(もうコイツには相談し無ぇ……)
 気づくのが遅いと思うが……。
「んで、何処行くのさ、祐一ゃん?」
「……それはもちろん。……僕のフィールドさ……」
 祐一の笑顔は微妙に壊れていた。

 目的地までは歩いて数分。
 雑居ビルの一階から地下までを占める大規模な店舗がそれだった。
「……あみゅーずめんとぱ~く。りあるふぁいと?」
「うん、最新鋭の筐体から昔懐かしのストⅡまで、僕好みのゲームが目白押しだ」
「ん~」
 曖昧な返事をするネコを肩に乗せたまま、祐一は嬉々として電子音の渦巻く店内に飛び込んだ。


 甲高い駆動音を響かせながら、紫の異形が滑るように疾駆する。
 迎え撃つは銀と砂上迷彩の施された鉄人。
 瞬間移動をすら思わせる踏み込みから、展開させた左右のビームトンファーで挟み込むような連撃を見舞う!!
「甘い!!」
 しかし、異形の反応はそれをすらも凌駕する。
 ―――否。
 トンファーを展開するより遥か以前に、既に異形の巨躯は跳躍の為の準備動作に入っていた。
 即ち。
 それは敵の動きを完全に読み切っているという事に他ならない。
「そして!!」
 空振りした敵機の眼前に、強引な緊急着地で飛び込むと同時に、異形は右腕部から巨大なビームクロウを展開。
 殴りかかったその瞬間に。
 ―――掻き消えた。
『!?』
 敵機が息を呑んだのがはっきりと分かる。
 トンファーによる連撃を空打ったとは言え、敵の建て直しは極めて迅速だった。
 それは、異形が敵機に爪を突き立てるより早く、再度展開したトンファーを叩き込める程に。
 しかし、異形はそれをすらも予測の範疇に収める。
 故に、近接攻撃を囮に、今度こそ確実な隙である背後を取りに回ったのだ。
 異形の眼前で、敵は無防備な背後を晒しながら、つい先ほどまで異形自身が居た筈の虚空に向けて無様にトンファーを振るっている。
 時間にして2秒弱の隙でしかない。
 しかし。
 1秒あれば致命打を打ち込めるこの状況において、それは余りにも長い2秒だった。
「終わりだ」
 左腕を突きつけて、迸る火炎で相手を包み込むや否。
 融解した装甲に今度こそ巨大なビームクロウを捻じ込み、抉り出す。

 攻撃が終わった時、そこには縋るように手を伸ばしながら爆発炎上。
 力なく崩れ落ちる敵機が居た。

 YOUWIN!!

 祐一の操る愛機は、眼前の爆炎に照らされながら、何に捧げるのか体をくねらせ舞を踊る。
 それは。勝鬨代わりに溢れ出す、勝利のダンス。
 正に、魂の雄叫びだった。



「ふ~。やっぱこういう空気は落ち着くなぁ~」
 滅多に見せない緩みきった表情で一息つく祐一。
 筐体を挟んだ反対側でまた誰かが乱入して来たらしく、祐一の画面にもワーニングが警告音と共に表示される。
「……ん、今度はバイパーか……面白い」
 以降の続編では、同系列の機体に祐一自身も乗り換えている高機動型だ。
 装甲は薄いが、回避力も攻撃力もトップクラスの危険な相手と言える。

 だがしかし。

 祐一の敵では無かった。



「……あ~、堪能したぁ~」
 50円で7人抜きした後、CPUモードをエンディングまで見れば取り敢えずは満足する。
 ミッションを終え、半壊した状態で宇宙を漂う愛機を背に、ようやく祐一は立ち上がり……。
「……あれ?」
 マヤアが居ない事に気がついた。
「ま、マヤア?」
 迂闊だった。
 目を離すべきではなかったのだ。
 それが判っていて尚、抗い難い魔力を放つ筐体の多いこと、多いこと。
『マジで行かなきゃヤバイぜ!!』
「……うわぁ、2012あるし!!」
『ふん、貴様の負けじゃぁ!!』
「……ジョ、ジョジョまで入ってる!?」
『さぁ、運命を統べるマジックソードも照覧あれ。世界が、何れを選ぶかを…!!』
「……式神2!? ……ああ、コンシューマじゃなくコレをプレイできる日が来るとは……!!」
 どれも数十年前の基盤だ。
 貴重ななのは言うまでも無いが、全部50円と言うのは、もう如何してくれようコンチクショウって感じである。
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、お前なんかぁーーーーーーっ!!』
「ば、馬鹿なッ!? キカイオーだとぉーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
 絶叫した。
 せざるを得ない!!
 此処はまさに祐一にとっての楽園だった。
「あぁ。僕、もう一生此処に居る~❤ ……って、そうじゃなくて、マヤア。マヤアを探さないと!!」
 奇跡的に正気に返った。
 多分クリティカルでも振ったのだろう。
 運の良い奴である。

 とは言え。中々の広さがある店内で、身長僅か15cmの神姫を探すのは骨が折れる。
「いない」
 ゴミ箱の中、確認。
「いない」
 自販機の取り出し口、確認。
「いない」
 景品がお菓子のゲーム機内、確認。
「……流石にこんな所には居ないか……」
 苦笑しながらもう一回りしようとした時、ふと人垣が出来ているのが目に止まった。
「……UFOキャッチャー?」
 行って見る。
 居た。
「ふわふわぁ~」
 武装神姫のぬいぐるみに囲まれて、眠りこけるアホネコ一匹。
「なんだあれ? 景品?」
「ぬいぐるみじゃないわよね?」
「取れるかな?」
「やってみようか……」
 誰かが挑戦し始めたらしい。
「……………」
 とりあえず顛末を見守る祐一。
「もうちょい、もうちょい!!」
「コレは行ける、行けるぞ」
 うい~ん。がしっ!!
「んゆっ!? なんじゃこりゃぁ!?」
 目を覚ますネコ。
「あ、動いた!?」
「ね、ネコを如何する気だ貴様!! やんのか、コラあぁん!?」
 アームを掴んで、広げるとクルリと上に飛び乗り……。
「ネコキック、ネコキック、ネコキック!!」
 げしげし足蹴にして……。
「トドメのネコベアバック!! 『ネコなのにベアとはこれ如何に!?』ver!! ……って言うかネコとクマで猫熊になる~、知ってるか、猫熊ってパンダって意味なんだぞ~。攻撃ぃ!!」
 技名、長っ。
 しかし、威力は本物。
 鉄製のアームがみしみし音を立てて歪んでゆく。
「……ま、待て待てマヤア。ストップストップ!!」
「およ、祐一ゃん?」
 ぴょんと、取り出し口から外に出るマヤア。
「何やってるのさ!?」
「んゆ~、なんと言うかネコの群れが、ネコを誘う安眠の誘いみたいな感じ?」
「訳分からんわ!!」
「だろ~な。祐一ゃんには少し難しいだろ~」
 へへんと、得意になるネコ。
「……てっきりマヤアの事だから、食べ物関連だと思って油断した……」
 最初からUFOキャッチャーも含めて探していれば、これほどの惨事にはならなかったかもしれない。
 半ばでねじれたUFOキャッチャーのアームを背に、祐一はコソコソと逃げ出した。

「祐一ゃんは探し物下手な~」
「マヤアが普段と違う事するからだよ」
「んゆ?」
 首を傾げるネコ。
「マヤアと言ったら食べ物関連。……ゴミ箱か、自販機か、お菓子キャッチャーだと思うよ、普通」
「お菓子キャッチャー?」
「ああ、ああいうの……」
 ショベルなどを使って、筐体の中を回っている駄菓子をすくうモノだ。
 駄菓子の値段を考えれば、遊ぶ金を駄菓子屋で使った方がお得なのだが、これはこれで楽しいらしい。
 祐一は門漢外なのでやった事は無いが、多くのゲームセンターにある事を考えれば、それなりの需要があるのだろう。
「では、お邪魔しまして……」
「……って待てコラ。何、ナチュラルに侵入しようとしてやがる!?」
「離せ、祐一ゃん!! お菓子がネコを呼んでいるのだ!! 行かねばならぬ、行かねばならぬのだぁ~!!」
 ネコだけに、祐一に首根っこ掴まれ、ジタバタ暴れるマヤア。
「入るな、喰うな、そもそもそういうゲームじゃ無ぇ!!」
 とりあえず、マヤアの拘束を緩めぬまま、片手で100円を取り出し、挿入。
「ああ、自販機みたいなものな」
「少し違うが、金なしで食べるのは絶対ダメだ」
「んゆ~」
 正解だった。
 先に食べ物関連を当たって正解だった。
 もしもマヤアがこれに気付いていれば、今頃中身は全滅だっただろう……。
(まぁ、基本はUFOキャッチャーと似たようなものか……)
 無理はしない、出来ない。
 その辺りを押さえておけば、何とか取れる。
「ほら、ふ菓子取れたぞ」
「おお~」
 喜んで受け取るマヤア。
「……あと2回出来るのか……。…じゃ次は……」
 マヤアの好みは判らないが、多分お菓子なら何でも良い筈だ。
 とりあえず大きそうなのを狙ってアームを動かし……。
「ストップ!!」
 マヤアの声に驚き、ボタンを離してしまう。
「な、なんて声出すのさ!?」
 UFOキャッチャーと同じで、一度離すともう動かせない。
 後は横軸のアーム操作だけでお菓子を狙わねばならぬのだが……。
「祐一ゃん、ネコにやらせろ」
「…? 良いけど」
 ひょい、とコントロールパネルの上に飛び降りたマヤアは、タイミングを見計らい両手でボタンを押し込んだ。
「……これ、以外に難しいんだけどね……」
 そう簡単には取れないと思っていたが……。
「嘘!?」
 マヤアの操作するアームが駄菓子の山を崩し、大量の駄菓子が取り出し口に雪崩れ込んだ。
「うわ~い、大漁だぁ❤」
 歓喜するネコ。
「…………………………」
 そして、最後の操作で再び多量の駄菓子をゲットするマヤア。
 しかも、先の操作で新たに出来た山を狙うという高等テクニックだった。
「…………ちょっと待ってて、両替してくる……」
「んゆ?」
 プライドがある。
 どうしても譲れないものがある。
 祐一にだって、それはある。
「……ゲーセンでマヤアに負けるなんて無いだろ……」
「おぉ、頑張れ祐一ゃん!!」
 なにやらプライドに障ったらしく、剥きになって駄菓子取りに励み始めた祐一を、マヤアは頼もしそうに見つめていた。


「……ふっ、どうだ!!」
 店員から貰った紙袋に駄菓子を詰め込み、祐一とマヤアはゲーセンを後にした。
「むぐむぐ、ぬーぼー美味めぇ~」
 祐一の肩の上で、昔懐かしの駄菓子(賞味期限は大丈夫か!?)を齧りつつ、とろけた表情を隠そうともしないマヤア。
「まぁ、僕が本気を出せばあの程度のゲーム、訳は無い」
「最後に一個だけ残ったアポロチョコは残念だったが……」
「う゛っ!?」
 確かに、最後に一つだけアポロチョコを取り逃がしている。
「あれが取れればコンプリートだったんだがにゃ~」
「し、仕方ないだろ。お金がもう無い」
 残金、僅か83円。
 残りは全部ゲーセンで散財した。
「……なるほど、浅葱と同じで“けいざいかっせー”に一役買ったのだな、祐一ゃんも……」
「あぁ、普段のセンセはそう言ういい訳するんだ……」
 半目になって遠くを見つめる祐一。
 確かに、斉藤浅葱の言いそうな事である。
「……んで、祐一ゃん。この後は如何する?」
「帰るけど?」
「馬鹿なっ!?」
「え、そんなに驚く所、ココ?」
「何言ってんだ祐一ゃん!! いいか、デートはココからが本番だ!! 夕食も食べて無ぇし、ラブホにも行って無ぇ!!」
「ラブホネタ引っ張るなー、何かあるのか?」
 二時間ほど前まで溜まっていたストレスをゲーセンで発散したからか、祐一の寛容さが復活していた。
「……あんな、ココだけの話だが……」
「うんうん」
「ラブホではね、電話一本でピラフやピザを届けてくれるステキシステムが……」
「結局食べ物ネタかよ?」
「まぁ、そう言うな。エロい事しても良いぞ。…… セタ坊に
「それは流石に自分でやれって」
「ん、ネコのカラダが御所望か? ……まぁ、祐一ゃんになら良いような気もするが。あれだ……」
「……ん。あれ?」
「そう、あれだ。……まずは食欲を満たしてからに……」
「だから、金が無いって言うの」
 流石に残金83円で出来る事などありはしない。
「……無いのか? ホントに」
「無いの」
「では、 コンビニでお金降ろそう
「……骨の髄までしゃぶる気だな、お前」
「やだもう、祐一ゃんたらぁ❤ 食い物にされるのはむしろネコの方、って言うか美味しく頂いちゃってください~っ、…って感じだ」
「なんかもう、とことんカオスだな……。けど、今日はもうお終いだ」
「ん~。それじゃあ、タダで食べられる店に行こう」
「は?」
 マヤアの言葉に興味を引かれてしまったのが敗因だったかも知れない。
 導かれるまま、のこのこ付いて行った先は……。
「タダで食べられる中華屋さん。『極道的無差別射撃問答無用』だ!!」
 夜の中華街のど真ん中で、何故か誇らしげに看板を指差すネコ。
「……」
 因みに、祐一もよく知っている店だった。
「ん~、今日は糸目のねーちゃんも居るし、ツケとか言うので食べれるぞ」
 窓越しに店の中を覗き込めば、確かに祐一と同世代の少女がチャイナ服でウエイトレスをやっている。
 もちろん、祐一の知り合いだった。
「……ここはパスしないか?」
 なんか嫌だ。
 ここに、コイツを、連れて、入っては、いけない、そんな、気がした。
 いやもう切実に……。
「コンビニで金降ろす。……そこらでファミレスに入ろう。……3000円位なら食べていいからさ……」
「いらっしゃいませ~。極道的無差別射撃問答無用にようこそ!!」
「……って、何勝手にドア開けてやがりますか!? って言うかよく開けられるな、人間用のドアを!!」
「ふははははは、ネコにかかれば造作も無い。見直せ、祐一ゃん!!」
「あら? 祐一さん?」
 名前に反応したのか、件の少女が入り口まで出てきていた。
「あ、いやその。先輩、お久しぶりです」
「糸目でせーとなねーちゃん、お久しぶりだ。ネコを覚えているか?」
「ええ、マヤアさんは有名ですもの。……色々な意味で……」
 哂…。と幽かに笑い、少女は二人を店内に招きいれる。
「……さぁ、お二人ともまずはお入りくださいな。今日はターレン自ら腕を振るっています。……いつもよりも少し美味しいかもしれませんよ?」
「え、いやその。違うんです。今、お金なくて……、その……」
「あら?」
「大丈夫、 コンビニに行けばある !!」
「そこだけしっかり聞いてるんじゃ無ぇよ!!」
 もう泣きそうだった。


 少女の名は『宵 銘月(シャオ メイユェ)』。
 祐一と同じ学校に通う一つ上の先輩であり、中国系イギリス人でありながら、生まれも育ちも純日本という変わったヒトだった。
 常に細められている目が気にならなければ、文句無しに美人で、賢く、家柄気立て共によし、文武両道で才色兼備な、言わば学園のアイドル的な位置に立っている少女だ。
 もちろん、祐一もその例には漏れない。
 恋の対象と言うのではないが、好意を抱かずには居られないタイプの人間だった。
 たとえば、そう。今日の顛末を語らずには居られない位に…。

「……なるほど、それはご災難。……でも、詰まらなかった訳では無いのでしょう?」
「まぁ、そうですけど……」
「うむ、ネコの魅力(みりき)に祐一ゃんはクラクラだったぞ」
「……まぁ、ふふふ」
 口元に拳を軽く当て、更に目を細めるメイユェ。
「それで、本日の締めに当店をお選び下さったのですね。……流石はマヤアさん、ご慧眼です」
「うむ、何故か祐一ゃんは嫌がっていた様だが」
「嫌じゃないよ。……マヤアと一緒に来る事以外は……」
「それとな、糸目のねーちゃん」
「はい、何でしょう。マヤアさん」
 神姫の視線に合わせるように、静かに膝を折るメイユェ。
「この後、ネコと祐一ゃんは ラブホに行く 。ココが最後ではないぞ」
「あらまぁ、お二人は、その…、禁断のご関係なのでしょうか?」
「違います、行きません」
「ラブホ行ってピラフ食うの」
「……ピラフですか」
 ふむ、と考え込む事暫し。
「……マヤアさん。ターレンならばより美味しい炒飯をお作り出来ると思いますが……?」
「おおぅ、そうか。それならココでちゃーはん食べよう。良いか、祐一ゃん?」
「良いも悪いも、最初からラブホなんて行く気無いよ」
「……もう少し、深い仲になってから。……ですか?」
 からかっているのだろう。
 くすくすと笑いながら、メイユェは立ち上がる。
「……それでは、少々お待ち下さい。お二人のデートの締めに相応しいコースで御持て成し致します」
 ペコリ、と軽く頭を下げ、メイユェは厨房の方へと去ってゆく。
「………さて、と」
 立ち上がるマヤア。
「………」
 見守る祐一。
「………ふむ(くんくん)」
「………」
「マヤア、醤油は飲まない方が良いと思う」
「うん」
 素直に醤油瓶から手を離すマヤア。
「なぁ、マヤア」
「んに、どった。祐一ゃん」
「はいっ、気をつけ!!」
「応!!」
 びしっ、と背筋を伸ばすネコ。
「はい、捕まえた」
 がしっと、そんなマヤアを鷲掴みにする祐一。
「な、何をする。離せ祐一ゃん!?」
「暴れるな。離すとお前、何するか分からんだろう!?」
「だからと言って、力づくなど~」
「言っても聞く訳無いからな、実力行使だ。……ココで暴れるのだけは許さんぞ」
「う~っ、離せ、離すのだ。祐一ゃん。力づくなんて嫌だぁ」
「えらい力だな、おい!?」
 片手では押さえきれない。
 両手で握り潰す様にマヤアを拘束するが、最早気の抜けない状況だった。
「料理来たら離してやる。それまで大人しくしてろ」
「嫌ぁ~、乱暴しないでぇ~」
「……ひっ!?」
「は?」
 突如、聞こえてきた第三者の声に振り返る祐一。
「……あ、あわわ。……マスターに言われて来て見れば、とんでもない現場を目撃してしまいましたぁ……」
 真紅のスーツも鮮やかなメイユェの神姫、ハウリンの焔星と目が合った。
 小刻みにプルプル震えている焔星は、同じく震える指先を祐一に向け……。
「……ご、 強姦魔 !!」
 そう、叫んだ。
「え?」
「マスター、大変です!! 祐一様が、祐一様が 神姫を手篭めに~ !!」
報告しに帰るなぁ!!
 流石にそれはマズすぎる。
 マヤアの拘束を片方解き、焔星を捕まえようと片手を伸ばすが、焔星は身軽に飛びのいて臨戦態勢をとる。
「わ、私まで犯すつもりですか!? ……そ、そうは行きません!! 来なさい、光阴、闇阳!!」
『も゛っ!!』
『ぎゅっ!!』
 焔星の呼びかけに応じ、出現する二体の大型ぷちマスィーンズ。光阴、闇阳。
「むっ、祐一ゃんに何するか!?」
 愛する(ご飯くれる)祐一の危機に真の力に覚醒したマヤアが、祐一の拘束を解いて立ち向かう。
「プロトン砲が無くとも、無装備の神姫の一人や二人……。かかれ、光阴、闇阳!!」
『も゛~っ!!』
『ぎゅ~っ!!』
「祐一ゃんはやらせんぞぉ!! 死ね~ぇ!!」
「ちょ、待てお前ら!?」
 いきなり勃発する神姫大戦。
 光阴を蹴り飛ばし、闇阳の砲撃を避わして焔星本体に肉薄。
 一瞬で距離をつめたマヤアが、必殺の拳で鳩尾を狙う。
「甜(甘いッ)!!」
 焔星側には本体にまともな攻撃手段が無い為、逆に防御に集中している。
 腹部への攻撃を腕でブロックすると、その反動で距離を離し、取り残されたマヤアに闇阳の砲撃を見舞う。
「……っ、やるな!?」
 直撃だけは回避し、至近弾となった榴弾の爆風を逆に利用し大きく跳躍。
 追撃に来ていた光阴を避わし、窓際まで跳んで距離を取る。
「殺(シャァーッ)!!」
「ぬっ!?」
 光条一閃。
 解き放たれたプロトン砲は回避したマヤアの背後。即ち窓ガラスを直撃し瞬時に爆砕する。
「……って、 焔星フル装備かよ!?
 何時の間にやらプロトン砲とバックユニットを持ち出している焔星。
 流石のマヤアも無装備では分が悪い。
「……よもやこれを使う日がこよーとは」
「まて、何するつもりだ、マヤア!?」
「カモン!! アーテリーワン!! ……レインディア、バスター!!」
 窓ガラス(の、割れていない部分)を突き破り、真紅のレインディアバスターが店内に飛び込んでくる。
 そして、マヤアの元まで飛来すると、瞬時に分解しアーマーと武器になって装着。
「ネコ、参上っ!!」
「ま、待て。お前らが全力で戦ったら……!!」
 参上じゃ無ぇ、元から居たわ。と言う突っ込みをする暇も無い。
 完全装備になった二体の強豪は周囲の迷惑を顧みず、全力で闘い始めた。
 ……そりゃぁもう、 全力 で……。


 この後、何が起こったのか。
 祐一は良く覚えていない。
 ただ一つだけ分かることは、祐一が目を覚ましたとき、半壊した店の中でマヤアと焔星が並んで正座をしていた事だけだ。
 何故かガクガク震えながら。
 涙など流しつつ。
 イヌネコそろって神妙に正座。
「……な、何があったんだ……?」
 呆然と呟く祐一。
「……恐えー。糸目のねーちゃん、超恐えー」
「……マスターの怒った所、始めてみました……。……二度目はいいです……。結構です……。充分です……」
「申し訳ありませんでした、祐一さん」
「え、あ。はい……?」
 背後からした声に振り向けば、メイユェの姿。
(今、気配無かったよな……)
 返す返すも只者ではないらしい。
「あの二人にはきちんとお話をしておきました。……このような事は二度とさせませんので、どうかお許しを……」
「え、いや。……むしろ謝るのは僕の方じゃ……」
「いいえ、祐一さんには責任はありません。……全てはマヤアさんと斉藤教諭。それに星(セイ)と私の責任です」
「あ、斉藤センセも同罪なんだ」
「ええ、もちろん」
 言い切ったその表情は笑顔だが、細められた目はちっとも笑っていなかった。



 後日。
 斉藤浅葱はかく語る。
「宵さん、恐えー。超恐えー」
 と。


「あー、えらい目にあった……」
「だなー」
 お前が言うな、と言う気力も残っていない。
 とりあえず、マヤアを浅葱に返却する為の帰り道。
「……」
「……」
 二人の間に一瞬、沈黙が訪れた。
「あのさ」
「あんな」
 その声が重なる。
「……なにさ、マヤア」
「んゆ」
 少し言いよどみ、マヤアは笑顔を浮かべてこう言った。
明日のデートの待ち合わせだが―――
―――しねぇよ!!
 祐一絶叫。+涙付き。
 無理も無いったら無理も無い。

終われ。
ちゃんちゃん。





















「あ~えらい目にあった……」
「如何したの、祐一?」
「ああ、姉さん。実は……」

 5分後。

「―――って訳なんだ……」
「ふ~ん。マヤアちゃんと楽しんできた訳だ……」
「あ~、楽しかったのかな? 少なくとも退屈はしなかったけど……」
「ふ~ん」
「あのさ、姉さん」
「何?」
「何、着替えてるの?」
「出かけるからよ」
「何処に?」
「デートしに」
「……誰と?」
もちろん祐一と
なんでさ!?
「マヤアちゃんとだけデートするなんてズルイ!! お姉ちゃんも祐一とデートするの!!」
なんでさ!?
「祐一が居なくなったら、あたし生きていけないもん!!」
「んな大袈裟な……」
「ホントだよ!! 祐一が居なくなったら、 誰がご飯作るのよ!? 誰がお洗濯するのよ!? 誰がお掃除するのよ!?
「……ああ、そっち系の意味で……」
「と言う訳で早速出発よ!!」
「あのさ、今日は流石に疲れたんだけど……」
「ダメ」
「……」
「……」
「……ぁ―――」
「―――ダメッ!!」
「……」
「ぐすん」
「……」
「……」
「……わかったよ。流石にもう夜なんで、やってない店にはいけないけど軽食と深夜映画位なら付き合うよ」
「わ~い、祐一大好き❤」
「……」
「でもその前にさ……」
「?」
「コンビニ、寄って良い?」
「?」

今度こそ終われ。
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閑話休題。

テムジン、バイパーⅡ、バルバスバウ。
ウォン、エミリオ、キース。
ジョゼフ(老)、花京院、DIO。
ロジャー、光太郎、キム。
ディクセン、ラファーガ、パルシオン。

まぁ、好きなキャラはこんな感じで。

後は、センコロとかエグゼリカとかダライアスとか……。
シューティングは声が出ない事も多いので描写に困るわけでした。

さて、過去に嵌まったゲームたちですが、全部判る人はどの位居るのやら……。
(特にサイキックフォースとキカイオーが鬼門っぽい……)












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