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クリスマスイブってのは人によって過ごし方が違う。
うちの場合は……

「形人、なに考えてるの?」
「モノローグを邪魔するな」

今年はクリスマスパーティをしている。
本来は25日にやるべきだが、うちでは必ず24日なのである。

けっこう広い僕の家、だからこそのパーティだ。
呼んだ面々は一深に風間、先輩と光一、張也のヤローは勝手について来た。
あと…

集まりから外れ、一人炭酸を飲む男。
そう、神崎だ。
「神崎、お前が神姫の集まる場所に来るとは予想外だよ」
風間、以前の件をまだ根に持ってるのか?
「…俺は"MMSの人間性"を否定したのであって、MMS自体は否定していない」
「そうかい。……正直、お前が神姫を持ってる方が驚きだよ」

リックとグレースを相手に、楽しく(?)話す小さい影。
不動の人気機種、ストラーフだ。

「…本当に"心"が無いかどうかを確かめるのには、実際に住んでみれば分かる。いわば実験体だ」
「ふーん…」
風間は非常にニヤニヤしている、見てるこっちが気色悪い。
素直じゃあないからな、あいつは。

「形人、ジーナスはどこだい?」
「ん、あいつならツーリング中だ。…パーティよりも走ってる方がいいのかアイツは…?」



~・~・~・~・~・~・~




センターから少し遠い、図書館脇の公園。
大きな池やそれの中心に浮かぶ小さな神社などがある大きな公園だ。

しかし冬の夜にもなると売店は当然のこと、人影一つ見当たらない。
そして地面を少しずつ覆ってゆく白銀の結晶。


公園の東門に時代おくれのスポーツカーが停まる。
エンジンノイズが収まり、二人の男が降りる。

「先輩、銃は持ってるか?」
「当たり前だ。俺の射撃技術のなめんじゃねぇ」
そう言って南雲は懐から銃を取り出す、警察で一般的に使われている32口径・SIG Sauer P230だ。
「上が予算通さねぇし消極的かつ無関心だからな。MMS関係の事件は全てこいつで解決したもんよ」
「警視庁の某刑事みたいに武芸を磨けよ。撃ちまくってるから予算も通らないんだ」
「うるせぇ」
かく言う長瀬も手には金属バットを持っていた、ぶっちゃけ唯の不審者にしか見えない。


そのような会話を見て、ラースタチュカはある話を切り出した。
「二人共、ここは私たちに任せてはもらえないでしょうか?」
「ラスター? アンタ何言ってんの」

「体格の違いがありすぎますし、何より相手は人間に対しても躊躇しないと思います。それなら私たちでけで行った方が確実でしょう?」
「一理あるな」
「それに、仮にも街中ですから下手に銃を乱射されると季節はずれの花火遊びでは済みません。相手が身を隠すのに長けている以上、二人の身の為にも私たちだけがよろしいかと?」
「……それを言われるとなんとも言えんなぁ…」

「よし、頼むぞ」
長瀬は即断した。
それを聞いて、二人の小さな影は公園へと消えてゆく。


どうして聖夜の夜には、何かが起きるのだろうか?



………
……






無頼24「聖なる夜よ、奇跡あれ」













すぐ隣に池が広がる。
そんなに深くないが、ボートを漕ぐことが出来るくらいは深い。
空は曇り、星は見えない。

「本当に来るのかねぇ?」
「相手を信じるしかないでしょう。私たちにはそれしか選択肢がないのですから」
二人は動かず、ただ時間待で待った。
雪は二人を覆い隠そうといわんばかりに振り続ける。


……


そして約束の時間。


「…来た」
木の蔭からゆっくりと、"奴"が歩いてくる。
ジュラは反射的に銃を抜こうとするがラスターがそれを抑える。


「こんばんわ。来ると思っていた」
「挨拶するとは律儀なものねぇ?」
「ジュラーヴリク、黙って。……私はラースタチュカ、あなたの名前は?」
「名はない」


間がひとつ。


「何故、決着を望んだのです?」
「この前のお前との戦闘で、バッテリーに重大なトラブルが発生した。私の命は最早風前の灯、だから決着を望む」


さらに間がひとつ。


「あなた、私たちの仲間になりませんか?」
「ラスター! アイツは十三人殺しの通り魔よ!? なのに」「黙りなさい」
普段はまず聞くことのできない低音、ジュラは素直に黙るしかできなかった。

「継接ぎだらけの体も、壊れたバッテリーも、その顔も。直してあげます。勿論身柄は保証します、だから……」
手を差し伸べる。


ガシャン


"彼女"の背部クローユニットが振るわれたのと、気づいたラスターが手を引くのは同時だった。
「……何故?」

「お前と出会う直前、同じような事を言った奴が居た」
「……」
「だがそいつは何かしらの賞金稼ぎでな、一旦銃を下ろした途端に攻撃してきた。近くに潜んでいたオーナーらしき男は、瞬殺されたのを見て逃げ出した」


「……だから、ですね?」
「ああ。お前の言葉を信じる事は出来ない。もし私を連れて行きたくば、実力酷使しろ」


背部からミサイルの群れが飛び出したのは次の瞬間、二人は飛びあがり回避する。
「そんな事いうのなら、そうさせてもらいます!!」
「ホントにお人よしね、ラースタチュカ」



~・~・~・~・~・~・~



「始まったらしいな」
「ああ」

公園前、二人はそこに立っていた。
「本当に行かなくていいのか? 長瀬」
「信頼されてる以上、こちらも二人を信頼するしかない。……いざとなったら向かうよ」
煙草に火を点ける。
南雲も吸おうと懐を弄るが、どうやら忘れてきたらしい。
「おい長瀬、一本くれ」
「ラッキーストライク以外吸わないんじゃなかったっけ?」
「たばこはコミュニケーションの一貫だろが、私用以外はメンソール以外なら吸う」
「……ふぅん」

ケントの箱を差し出す、南雲は一本失敬すると火を点けた。


そんな二人の横に、一台のオートバイが停まった。
ただ、そのサイズは十二分の一。

「こんばんわ」
「……誰?」
「お前も来たのか。……まあ気づかれない程度に援護してやってくれ」
「後で何かプレゼントくださいよ? なんていっても、明日はクリスマスですからね」
言い終わると、バイクは公園へと消えていった。


「……なんだ? あの神姫は?」
「さぁな、何を考えてるかは俺にもわからん」



~・~・~・~・~・~・~



「サイ・ジェッター!!」
腰から取り出した二振り一対の釵を投げつけるジュラ。
柄頭からロケット噴射が開始され、"怪物"へと一直線に向かってゆく。

サイを一つは弾き、もう一つはクローアームで撫でるように軌道を逸らされた。
ジュラ、背後に回ってそれを回収。それと同時に下方からラスターが翼端のレーザー砲で攻撃する。

"彼女"は宙返りをしてそれをかわす一方、ボールビット(オプションの一種、六基一組の浮遊型攻撃ユニット)を飛ばし二人を狙う。
ラスターはバックパックの余剰スペースから誘爆式フレアを射出、ジュラはそれを逃げずに斬りはらう。


「キリがない!」
「ジュラ、真下!!」

足を折り身を屈めた直後、鉛筆大のロケット弾がジュラの足元を通過する。
「新手か!?」
「ジュラ、そちらを頼みます。あの人は私が!」
「OK!、自分で言ったんだからちゃんと果たしなさいよ?」
軽く交わしたのち、ジュラは身を翻し降下していった。


……


ラスターは"彼女"と対峙する。
「これで一対一、だな」
「今のは誰です?」
「奪った部品と、そこらから拾った廃品パーツから組上げたバトルマシンだ。……元は気を紛らわせる為に作ったんだがな」
「寂しい方ですね……。何故人を頼ろうとしなかったのですか!?」

「さあな、それは"私"を作った者に聞いてくれ。身体ではなく、私の人格を作った人に」


戦闘は再開された。


それぞれの言葉の合間には無数の弾丸が交わされる。
"彼女"が両腕のミニ・バルカンで集弾性の低い弾幕を張れば、ラスターは推進力を生かして上へと逃れる。
ラスターが推進器を狙いピンポイント射撃すれば、"彼女"は重い自重を生かした急降下でやり過ごす。

「相手の弱点は……!?」
パイロンに懸架してあったレールライフルに装填された擲弾を乱射する、あくまで牽制。
それを"彼女"はバレルロールで弾幕を潜りぬける。


……


「ラスターの奴、もうちょっと本気を出しなさいよ…」
地上で戦闘器と戦っているジュラは、少しもたっとしている戦い方に舌打ちした。
しかしこちらも思った以上に相手が固く、中々決着を付けれそうになかった。

結局、彼女は傍らから見れば幻想的とも見えるこの空中戦を無視するしか選択肢がなかった。


……


「例え命が尽きようとも、するべき事をやり遂げる」
バックパックのミサイルサイロが開く。
「私は、最初に言われた事をやり遂げる。……"自分だけでどこまで行けるか"」
マイクロミサイルが全弾一斉に発射される。

「なら…!」
PDW9を両手に構える。
目の前には無数のミサイル。
「なら私もあなたを救って見せます!! 自分の信念を貫き通すために!!」


引き金を引き、次から次へとミサイルを落としてゆく。
右へ…左へと向きを変えながら。
それでも追いすがるミサイルへは推力カット、キリモミ降下しながら撃ち落とした。
装備のあちこちに設置された迎撃用マイクロガトリングが吠える。

PDWのエネルギーが尽きた頃に、ミサイル反応が消滅した。
爆煙で辺りが見えなくなり、ラスターはヘッドセンサーに追加装備したHMDを作動させる。
同時にPDWを投棄し、脚の格納スペースからLP4レーザー・ハンドガンを取り出す。

相手の位置は変わらず、むしろこちらが迎撃の際に離れていったらしい。

[警告、敵対物に射撃反応]
LP4を構える。
[中型擲弾、接近中]

風切り音複数、ミサイルではなく擲弾。
ブースターで無理やり体を前のめりにし、推力方向を変更。

同時に高速で擲弾が無数に通り過ぎる。


爆発音。
「!!」


一瞬、ラスターは気が遠くなった。飛んできた擲弾は六発、内命中一発。

命中点は右膝、着弾時の爆発で左下半身の機能も停止した。
「ぐっ…」


だが一瞬の油断が命取りになる。次の瞬間には短針の群れが襲う。

姿勢制御の中核が機能しない今、ラスターは航空機と同等の動きしかできない。
推力偏向ののちカットしての急速降下、それでも何発かは容赦なく突き刺さった。

鮮血が舞う。
実際は腹部の衝撃吸収材の浸透液なのだが、赤い着色の為に血のように見えた。

わき腹には深く針が刺さり、浸透液が滴っていた。
えぐり取られた左主翼の一部の断面から燃料が漏れ出る。
水面上に静止した時、水に弾かれて浸透液が溜まりを作り上げる。


[脚部機能喪失、姿勢制御システム作動不能]
(リアウイング付属テールシステムに機能移管)
[浸透液漏出中、腹部への衝撃吸収率現在35%低下]
(無視!)
[破損箇所より漏電中、該当部への供給をカット]
(自動認可)
プログラムが悲痛な報告を読み上げる。ラスターはそれをコンマ単位でチェックした。


「(このまま長期戦に持ち込んだ場合、私はもとより彼女が持たない)」

継接ぎだらけの体、死にかけのバッテリー。
ラスターには、見上げた彼女の姿の後ろに死神が居るようにも感じた。


「こちらから行こうか、満身創痍に近いのでは辛いだろう?」
「その気遣い、そっくり返させていただきます!」


直後、全推進機関を全開にしてラスターは飛び上がった。
各部の不要な武器や装備品を全て捨て、身軽となりながら。

「何をする気だ」

"彼女"よりはるかに高く舞い上がったところで、全推力カットと共にエクステント・ブースターが切り離され、一瞬自由落下状態となる。
そして身体の向きと同調した視界が"彼女"の姿を捉えた瞬間、ロケットブースターとエアー・ジェットエンジンが再び唸りを上げた。



今、ラスターは一つの流れ星と化した。



~・~・~・~・~・~・~


「あの馬鹿!! 何早まった戦法とってるn……くっ」
こちらも一進一退、クローが接近を阻む。

「このッ、さっさとくたばりやがれーっ!!」

ジュラが振った片手のフォービド・ブレードが一文字に切り裂くと同時に、それを抑えようとしたクローが正体不明の銃撃で破砕され
もう片方に握ったブレードが相手を縦に切断した。

「ラスター!!」


~・~・~・~・~・~・~



「特攻だと!? 何故そのような……」
"彼女"は残った火器を全てラスターに向けて発射する。
それと同時に背部クローアームも展開、回避コースを採る為に体を捻ろうとした瞬間



腹部を銃弾が貫いた。



「身体が……」
動かない。
どうやら動きを集中制御している回路が破壊されたらしい。
復旧まで4.1秒。


4秒後、ラスターと"彼女"は激突した。
わずか0.1秒差。


「………!!」
「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」




三秒後、一つの爆炎が上がった。








「……」

この状況の一部始終を覗いていた男が、その爆炎を見て引き上げようとする。
この男こそが…

「ありきたりだが、そこを動くな」

止める声。
男が振り向くと、そこには警察手帳を開いた南雲が立っていた。
「強盗殺人、ならびに一連の器物損壊の疑いで任意同行願いたい。拒否権は認める訳にはいかない」
それを聞き、男は懐に手を入れ


金属音


取り出した銃が弾かれた。
「……まさしく本物。21時24分、銃刀等違法所持の現行犯で確保。と」
手袋をはめた片手で銃の真贋を確認しつつ時間を確認、もう片手は男の手に手錠を掛けていた。


「しかし今のは何だ…? こんな小さい銃弾、神姫用しかない筈だが」
銃に刻まれた弾痕を見て、呟いた。



~・~・~・~・~・~・~



「小物な犯罪者ほど、銃に頼ろうとしますねぇ。……まぁ、あの人が小物かどうかは置いといて」
園内の中でもかなり背丈の高い木の上。薬莢受けを外しながら、ジーナスは呟いた。
「しかし対人戦でも有効に扱えるっていうのは大きなアドバンテージですかね、やっぱり」
対神姫狙撃銃をしまい、木に引っ掛けたワイヤーで下に降りる。


「っと」
愛用のオートバイの上に着地。
「気取るものじゃないけど、ボクに出来るのはこのぐらい。……さーて、プレゼント何にするかなぁ…?」
バイクは闇夜へと消えてゆく、余韻はない。



~・~・~・~・~・~・~


……


燃え盛る炎、プラスチックが溶けて気化した臭い。
駆動モデル用液体燃料独特の、シンナーにも似たツンと来る臭いも混じっていた。



「私の負けだ」
「ふふ……なんだか知らないですけど、乱入者が居たのである意味引き分けですよ。」

燃え盛る炎をバックに、ラスターと"彼女"は腰を下ろしていた。
というより、"彼女"は腰から下が焼失していた。今頃炎の中で溶けているだろう。


地面に激突寸前、落下角度を上向きに修正。そして自身はリアウイングを排除し、体当たり時に装備が剥がれた"彼女"を抱えて腰の補助ロケットで落下速度を減らしつつ滑走。
僅かとはいえ雪が積もっていた芝生のおかげで摩擦熱も最小限で生還する事に成功したのだ。


「信念をヘシ折られた私は生きる意味を失った。……後はお前達の好きなようにしてくれ」
「さっき言ったでしょ? 私たちの仲間にするって」
「……そういえばそんな事言ってたな…」


「ラスター!」
「その様子だと無事……とはいかなくとも大丈夫そうだな」
長瀬とジュラがやってきた。

「ええ。それよりもキャプテン、早くこの子の修理をしましょう。予備も含めバッテリーが残り少ないようです」
「本当に仲間にするの?」
「本人の承諾も得ています、あとはキャプテンが決めて下さい」
三人の視線が長瀬に集まる。


「オーケー。犯人も捕まったし、もう終わった事だ。……と、名無しのままじゃ駄目だな」
「名前……?」


「よし、今からお前はグラーチュだ。いいか?」
「ミヤマカラス……ていうかSu-25じゃん、祁音」
「そろそろネタ切れ起こすんじゃんないですか? その命名基準」


「…ふっ。基準はさておき悪くない」
"彼女"は歪んだ顔で笑った。


「私はグラーチュだ」


「よし。じゃあ先輩が応援を要請したらしいし、帰るぞ」
「なんか忘れてない?」


「おう。グラーチュの改修が終わったら、少し遅くなったがクリスマスパーティだ」


………

……








夜更け、形人の部屋の窓から入る影一つ。
ジーナスである。

「パーティをほっぽいてどこに行ってたんだ?」
照明がついた。
目の前には形人が佇んでいた。

「…人助けですよ、ちょっとした」
悪びれることもなく答えた。

形人は少し判断に困ったが
「そうか、ほどほどにしとけよ? お前がどうにかなったらこっちが大変だからな」
口元をニヤリとさせた。

「さて、お前の分のケーキはしっかり取っといてあるぞ。今持ってくる」
そう言って形人は部屋を出た。


「ジーナス、お疲れ様」
見ると、ヒカルがパジャマ姿でクレイドルに転がっている。
「先輩、歌ってくれませんか?」
「歌? …わかった」


…声が響く。



"降り続く 白い結晶が
大地を染めてく"


肌を凍らせる外気に、詩は流れてゆく。
静かに降り続く雪の空に


"今日は聖夜の夜 楽しくそして悲しい"


他の警官に犯人が連行されるのを見ながら、南雲はシケモクに火を着けた。


"感情すべて覆い尽くす 冷たく優しい白い雪"


公園に散った焼け跡も、全てを覆ってゆく。


"それは奇跡を呼ぶ 自然のおまじない"


長瀬のマンションでパーティが開かれている。


"たとえ寂しくなっても 必ず手が差し伸べられる"


ケーキに墜落して犬神家状態のラスター、笑いながらフライドチキンをほおばるジュラ。


"悲しくない だって今夜は奇跡の命日"


それを優しい目で見つめる長瀬、そして……


"どんなに冷たい思い出も 覆い尽くしてくれる"


黒い髪を揺らし、優しさに頬を緩ませる小さな少女。


"きっと"





「……メリークリスマス」
ジーナスはそっと呟いた。








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