『キメろフラン!両断しろ!』
『いけぇムラクモ!お前の一撃叩き込んでやれ!』
『いけぇムラクモ!お前の一撃叩き込んでやれ!』
「マスターの求めるものは、全て!」
「マイマスターの為にッ!」
「マイマスターの為にッ!」
オーナーの叫びが交差すると同時に、神姫たちが駆け出し、また、お互いの言葉が交差する。
紅い神姫は、手にしたリボルバーから大粒の弾を吐き出しながら、ホイールのうなりと共に。
黒い神姫は、左手でハンドガンを取り出しつつ、迫りくる銃弾を右手の大太刀で切り払いながら。
「なっ、あんな大きな刀を片手でッ!?」
『信じられねぇ、どういう間接してやがる!?オマケにスラッグを切り払うなんざ、どんなスキルだ!』
3発の銃声の後、専用ローダーで素早く弾を交換、青いショットシェルを詰め込む。
「鍛え方と、勝利への貪欲さが違うからさ!」
『勝つために培ってきた技と強化駆動系、ナメてもらっちゃ困るんだよ、三輪車が』
なおも飛来し続ける弾を切り払い、黒い神姫は走り続ける。
『スラッグじゃだめだ!バックショット、赤いヤツ!』
「い、イエスッ」
今度は赤いショットシェルを詰め込む。九つの顆粒弾が詰まったバックショット。
まもなくインファイトレンジ、銃よりも刀が勝る距離。
『ムラクモ!ナイフ!』
「オーライっ!」
左腿のスペーサーに装着されていたナイフを取りはずし、装填の終わったローダーを捨て、空いている左手に握る。
「近接戦闘でぼくと殺ろうっての?覚悟は良いけど……」
その間、既にインファイトの距離に入った黒い神姫、フランドール。
「そんなオモチャで、勝てると思うなよぉッ!」
右手の大太刀、斬破刀を上段に振りかぶり、垂直に下へと振り下ろす。
金属同士がぶつかり合う高い音が辺りに響き渡る。
「う、くぅ……ッ!」
先ほど抜いたナイフで、振り下ろされた斬破刀を受ける紅い神姫、ムラクモ。
「ふふっ、だぁからいっただろ?勝てると思うなって」
ギリギリと嫌な音を立てるお互いの刃物。
しかし、フランドールのパワーを抑えきれないのか、じわりじわりとムラクモの頭上へ迫る。
「フルパワーで振り下ろしたらすぐ終わっちゃうしね、このまま……ゆっくりと斬らせてもらうよ?」
「さ、せ……るか……っ」
2mm、3mmと少しずつ近づく凶刃、そして、刃を進めるフランドールの顔は、楽しげに嗤っていた。
「あと何秒かな?あとどれくらいで、キミのその、メットの下の柔らかーいお肌に食い込むのかなぁ……?」
ソレに対し、必死に抗うムラクモ、しかし、迫る刃を抑えているナイフはカタカタと震えている。
「(だめ、なのか……ッ)」
ムラクモがそう思ったとき、不意を付くようにマスター側からの叫び。
『今だ!バックショットならその距離でいける!』
ハッ、としたように、ムラクモはリボルバーをフランドールの腹部に向ける。
『フラン撃たせるな!ストライクで先にブチぬけ!』
舌打ちをしつつ、左手のハンドガンをムラクモの頭に向ける。
直後、トリガーを絞った二人。
2種の銃声が、ほぼ同時に轟いた。
紅い神姫は、手にしたリボルバーから大粒の弾を吐き出しながら、ホイールのうなりと共に。
黒い神姫は、左手でハンドガンを取り出しつつ、迫りくる銃弾を右手の大太刀で切り払いながら。
「なっ、あんな大きな刀を片手でッ!?」
『信じられねぇ、どういう間接してやがる!?オマケにスラッグを切り払うなんざ、どんなスキルだ!』
3発の銃声の後、専用ローダーで素早く弾を交換、青いショットシェルを詰め込む。
「鍛え方と、勝利への貪欲さが違うからさ!」
『勝つために培ってきた技と強化駆動系、ナメてもらっちゃ困るんだよ、三輪車が』
なおも飛来し続ける弾を切り払い、黒い神姫は走り続ける。
『スラッグじゃだめだ!バックショット、赤いヤツ!』
「い、イエスッ」
今度は赤いショットシェルを詰め込む。九つの顆粒弾が詰まったバックショット。
まもなくインファイトレンジ、銃よりも刀が勝る距離。
『ムラクモ!ナイフ!』
「オーライっ!」
左腿のスペーサーに装着されていたナイフを取りはずし、装填の終わったローダーを捨て、空いている左手に握る。
「近接戦闘でぼくと殺ろうっての?覚悟は良いけど……」
その間、既にインファイトの距離に入った黒い神姫、フランドール。
「そんなオモチャで、勝てると思うなよぉッ!」
右手の大太刀、斬破刀を上段に振りかぶり、垂直に下へと振り下ろす。
金属同士がぶつかり合う高い音が辺りに響き渡る。
「う、くぅ……ッ!」
先ほど抜いたナイフで、振り下ろされた斬破刀を受ける紅い神姫、ムラクモ。
「ふふっ、だぁからいっただろ?勝てると思うなって」
ギリギリと嫌な音を立てるお互いの刃物。
しかし、フランドールのパワーを抑えきれないのか、じわりじわりとムラクモの頭上へ迫る。
「フルパワーで振り下ろしたらすぐ終わっちゃうしね、このまま……ゆっくりと斬らせてもらうよ?」
「さ、せ……るか……っ」
2mm、3mmと少しずつ近づく凶刃、そして、刃を進めるフランドールの顔は、楽しげに嗤っていた。
「あと何秒かな?あとどれくらいで、キミのその、メットの下の柔らかーいお肌に食い込むのかなぁ……?」
ソレに対し、必死に抗うムラクモ、しかし、迫る刃を抑えているナイフはカタカタと震えている。
「(だめ、なのか……ッ)」
ムラクモがそう思ったとき、不意を付くようにマスター側からの叫び。
『今だ!バックショットならその距離でいける!』
ハッ、としたように、ムラクモはリボルバーをフランドールの腹部に向ける。
『フラン撃たせるな!ストライクで先にブチぬけ!』
舌打ちをしつつ、左手のハンドガンをムラクモの頭に向ける。
直後、トリガーを絞った二人。
2種の銃声が、ほぼ同時に轟いた。
銃声の後。
弾をもらって、お互いに倒れこむ。
辺りに立ち込める硝煙と、カツン、と1個だけ空薬莢が落ちる。
弾をもらって、お互いに倒れこむ。
辺りに立ち込める硝煙と、カツン、と1個だけ空薬莢が落ちる。
―――ドローゲームか!?ギャラリー、オーナーともどもそう思ったそのとき。
<Win ムラクモ>
合成音声からジャッジ判定が述べられた。
それからほんの1秒程度、ゆっくりと、赤い腕が真上に上がり、親指をぐっと立てる。
「……勝っ……たよ」
それからほんの1秒程度、ゆっくりと、赤い腕が真上に上がり、親指をぐっと立てる。
「……勝っ……たよ」
そんな間抜けな勝ち台詞の後、VRスペースから排出され、筐体から現実へ。
「うぉおおおおおおすげぇえええええ」
「このヌルいセンターでこんなアツいバトル観るとはおもわなんだ!」
「ふぉぉおおおおおムラクモたんふぉぉおおおおおおッ!」
「ムラクモたん愛してるぅううううううう!」
「ムラクモー!ム、ムラー!ムーッ!」
「さすがここ期待のルーキーだ、いいガッツだぜぇ」
「(゚∀゚)むーらっくも!むーらっくも!」
「(゚∀゚)むーらっくもッ!むーらっくもッ!」
「このヌルいセンターでこんなアツいバトル観るとはおもわなんだ!」
「ふぉぉおおおおおムラクモたんふぉぉおおおおおおッ!」
「ムラクモたん愛してるぅううううううう!」
「ムラクモー!ム、ムラー!ムーッ!」
「さすがここ期待のルーキーだ、いいガッツだぜぇ」
「(゚∀゚)むーらっくも!むーらっくも!」
「(゚∀゚)むーらっくもッ!むーらっくもッ!」
「いやぁ、あのムラクモたんでここまで苦戦する相手が現れるとはなぁ」
「うむー、あのストラーフちゃんもいいガッツだったぜぇ」
「鍔迫り合いんときのあの凶悪な笑みがたまらないわぁ」
「まったくだ、あの顔で斬られてみてェ」
「うむ、オレ超胸キュン。様付けで呼びてェ」
「ストラーフ様カッコよかったなうふふ」
「凶悪そうな感じがなんともだなうふふ」
「ムラクモたんに新たなライバル出現だな、いろんな意味でうふふ」
「いやだからそのうふふってやめろよ!?キモいって!?」
「うむー、あのストラーフちゃんもいいガッツだったぜぇ」
「鍔迫り合いんときのあの凶悪な笑みがたまらないわぁ」
「まったくだ、あの顔で斬られてみてェ」
「うむ、オレ超胸キュン。様付けで呼びてェ」
「ストラーフ様カッコよかったなうふふ」
「凶悪そうな感じがなんともだなうふふ」
「ムラクモたんに新たなライバル出現だな、いろんな意味でうふふ」
「いやだからそのうふふってやめろよ!?キモいって!?」
「ふぃー……おつかれ、ムラクモ」
「ん……マイマスターこそ、おつかれさま」
溜息を長く吐きながら、筐体から這い出るように出てくる神姫とオーナー。
「おつかれムラクモたーん、あと晃」
「いいバトルだったぜー、熱かったぜムラクモたーん、あと晃」
「ん……マイマスターこそ、おつかれさま」
溜息を長く吐きながら、筐体から這い出るように出てくる神姫とオーナー。
「おつかれムラクモたーん、あと晃」
「いいバトルだったぜー、熱かったぜムラクモたーん、あと晃」
「なんでオレの名前が後なのよお前らは」
口を尖らせる、ヒカルと言われた高校生くらいの少年。
口を尖らせる、ヒカルと言われた高校生くらいの少年。
「そらおめー、男よりかわいー女の子に言うほうがいいべ?」
「ムサい男にいってもなー、なんかなー」
「だよなー、ムラクモちゃんのがかわいーもんなー」
言いたい放題のギャラリーたち。
「ちぇー、まいいけどさ。あとムラクモちゃんはかなりお疲れみたいよ、いつものツッコミ返ってこないもん」
胸ポケットの中で、ぐったりとした紅い神姫。表情からも疲労感が伺えるほど。
「あんだけ派手にやりあえば疲れもするか……オレのために、本当におつかれさん」
桃色の髪を撫でながら、オーナーが今日の勝者へ賛辞を送る。
一方勝者は、疲れた顔から少し気持ちよさそうに賛辞とオーナーの指を享受している。
「そんじゃ行きますか」
「……行くって?」
「対戦相手ンとこ。あの子といろいろと話、してみたいぜ」
「ムサい男にいってもなー、なんかなー」
「だよなー、ムラクモちゃんのがかわいーもんなー」
言いたい放題のギャラリーたち。
「ちぇー、まいいけどさ。あとムラクモちゃんはかなりお疲れみたいよ、いつものツッコミ返ってこないもん」
胸ポケットの中で、ぐったりとした紅い神姫。表情からも疲労感が伺えるほど。
「あんだけ派手にやりあえば疲れもするか……オレのために、本当におつかれさん」
桃色の髪を撫でながら、オーナーが今日の勝者へ賛辞を送る。
一方勝者は、疲れた顔から少し気持ちよさそうに賛辞とオーナーの指を享受している。
「そんじゃ行きますか」
「……行くって?」
「対戦相手ンとこ。あの子といろいろと話、してみたいぜ」
「まさか……あんな僅差で負けるなんてね」
一方、未だ筐体の中で、中のシートに寄りかかるゴシックパンク調の少女。
小さめのその身体から、溜息と共に自嘲気味に言葉が吐かれた。
「マスター……その……ぼく……」
少女は、その視線を消え入りそうな声の主に向けた。
「……ごめん、なさい……」
試合前の覇気はすっかり無くなり、黒い神姫はただうなだれるだけ。
そんな神姫に対し、少女は柔らかく微笑んだ。
「怒ったりしないから大丈夫」
「で、でも、また……壊されたら……ぼくは」
その言葉を指で制し、もう一度溜息。その後寄りかかった身体を起こしつつ、少女は語る。
「……そのときは私が守る……体差し出してでもね」
筐体から排出されるオーナーズカードを取る。
「でも、こういうのはある意味望んでたことだろ?こっちが負けるような強敵に出会えたんだ」
手を、黒い神姫の方へ。
「おいでフラン、アイツの名前、聞いとこう」
一方、未だ筐体の中で、中のシートに寄りかかるゴシックパンク調の少女。
小さめのその身体から、溜息と共に自嘲気味に言葉が吐かれた。
「マスター……その……ぼく……」
少女は、その視線を消え入りそうな声の主に向けた。
「……ごめん、なさい……」
試合前の覇気はすっかり無くなり、黒い神姫はただうなだれるだけ。
そんな神姫に対し、少女は柔らかく微笑んだ。
「怒ったりしないから大丈夫」
「で、でも、また……壊されたら……ぼくは」
その言葉を指で制し、もう一度溜息。その後寄りかかった身体を起こしつつ、少女は語る。
「……そのときは私が守る……体差し出してでもね」
筐体から排出されるオーナーズカードを取る。
「でも、こういうのはある意味望んでたことだろ?こっちが負けるような強敵に出会えたんだ」
手を、黒い神姫の方へ。
「おいでフラン、アイツの名前、聞いとこう」
「ども、おつかれさーん」
少年は軽い口調で、対戦の相手の少女に声を掛ける。
「おつかれ、今日の勝者」
対する少女は、棘を含ませるような言い方で返す。
「アイヤー、強いねキミ、勝てる気がちょっちしなかったわーHAHAHAHAHA」
「イヤミ?勝ったくせに」
エセっぽい外人笑いとまたも棘を返す少年と少女。
「あーいや、勝てる気がしなかったのは割りとマジ。自分でもこの結果にはびっくりさ」
「結果が全てじゃないか、負けたやつが悪いのさ」
「そーいう言い方は少し関心できないぞお兄ちゃん、そんな歳からそういう考え方は良くない」
「でもそういうセカイだろ?ここは。どっちが強くてどっちが弱い。それで勝った負けたじゃないか」
少女の物言いに、少年は少し困った顔をした。
「でも、負けたほうが得られるものが大きかったりするんだぜ?どこが悪かった、とか、いろいろ考えることもできるし」
「生憎と、負けて次があったことがないんだ……失ったことしかない」
少女と、黒い神姫の表情が少し曇った。
「なんだそれ……とりあえず、なんだ、場所変えよう」
急に小声になって、少年は少女に提案を申し付ける。
「ここじゃギャラリーが多すぎる。ゆっくり話できないだろ?」
少女がふと、周りを見渡すと、先ほどまで観戦モニターに釘付けだったギャラリー連中が集まっていた。
―――視線は主に少女と神姫二人に集中してるようだが。
「な、ここはヘンタイという名の紳士が多いから」
「……どこまでヌルいんだここのバカどもは」
少年は軽い口調で、対戦の相手の少女に声を掛ける。
「おつかれ、今日の勝者」
対する少女は、棘を含ませるような言い方で返す。
「アイヤー、強いねキミ、勝てる気がちょっちしなかったわーHAHAHAHAHA」
「イヤミ?勝ったくせに」
エセっぽい外人笑いとまたも棘を返す少年と少女。
「あーいや、勝てる気がしなかったのは割りとマジ。自分でもこの結果にはびっくりさ」
「結果が全てじゃないか、負けたやつが悪いのさ」
「そーいう言い方は少し関心できないぞお兄ちゃん、そんな歳からそういう考え方は良くない」
「でもそういうセカイだろ?ここは。どっちが強くてどっちが弱い。それで勝った負けたじゃないか」
少女の物言いに、少年は少し困った顔をした。
「でも、負けたほうが得られるものが大きかったりするんだぜ?どこが悪かった、とか、いろいろ考えることもできるし」
「生憎と、負けて次があったことがないんだ……失ったことしかない」
少女と、黒い神姫の表情が少し曇った。
「なんだそれ……とりあえず、なんだ、場所変えよう」
急に小声になって、少年は少女に提案を申し付ける。
「ここじゃギャラリーが多すぎる。ゆっくり話できないだろ?」
少女がふと、周りを見渡すと、先ほどまで観戦モニターに釘付けだったギャラリー連中が集まっていた。
―――視線は主に少女と神姫二人に集中してるようだが。
「な、ここはヘンタイという名の紳士が多いから」
「……どこまでヌルいんだここのバカどもは」
「い、いま罵った!バカどもって罵った!」
「オレだ!オレに言ったに違いない!」
「いやオレだ!というかバカどもだからここのみんなに違いない!」
「うぉおおおおン!もはや説明不要!」
「その目イイヨイイヨー」
「オレだ!オレに言ったに違いない!」
「いやオレだ!というかバカどもだからここのみんなに違いない!」
「うぉおおおおン!もはや説明不要!」
「その目イイヨイイヨー」
「そらいくぞ!いつまでもこんな紳士どもの視線にこの子晒せるか!」
「ちょ、ちょっ、引っ張るな!聞いてんのかコラ!?おい!?」
「ちょ、ちょっ、引っ張るな!聞いてんのかコラ!?おい!?」
少年と少女は駆け出した
「逃がすな!追え!地球の裏まで追うんだ!」
「おのれさせるか、オレがいくんだ!」
「てめぇ抜け駆けすんじゃねェこのくそはなせぇ!」
「ひかるぅー!次会ったらブチ殺してくれるぅぅうう!」
「うぉおおおおおン!」
「おのれさせるか、オレがいくんだ!」
「てめぇ抜け駆けすんじゃねェこのくそはなせぇ!」
「ひかるぅー!次会ったらブチ殺してくれるぅぅうう!」
「うぉおおおおおン!」