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第三話 エイダ


  クエンティンは混乱していた。
  まばゆい光に包まれたと思ったら、ボディが今までのとぜんぜん違うものにすげ変わっていたのだから混乱しないはずがない。いや、すげ変わっていたのではなく、これは本来のボディそのものが変化したのだ。見たこともないエネルギーラインが体を取り囲み、見たこともない装甲が全身に取り付けられている。というよりは装甲そのものも体の一部のようだった。
  あまつさえ当たり前のように空中に浮遊している。アーンヴァルのような推進器の類はなく、背中に生えた小さな羽根からしゃわしゃわと出ているエメラルド色の粒子だけで、轟音も地面に吹き付ける風圧も無く、ただ浮いているのだ。
  こんなことになった原因はすぐに分かった。あの銀髪の変な神姫だ。あの変な神姫が自分の頬を触ったと思ったら、消えて、なぜかその神姫の声が今は自分の中から聞こえてくる。
  ということはその神姫は自分の中にいるという解釈がごくごく自然に成り立つが、ちょっと待った、とクエンティンは類推を引き止めた。
  ありえない。そもそも自分の中にいるというその事実こそがありえない。純然たる世界の物理法則からして、二つのものが一つになるなんて絶対に起こらない。いや、一つになって質量が単純に二倍になるならいい。それは合体であり、物理法則になんら抵触していない。
  一つになったのに質量が二倍に達していないのが問題なのである。たとえあの神姫自体がこの珍妙なアーマーに変形したのだとしても、二倍には程遠い。せいぜい一.三、四倍くらいだ。残りの六、七割はどこへ行ったのか。消えるということは無い。なら、融合したとしか考えられないのだが……。

『そのとおりです』

  あの声がまた中から聞こえた。頭ではなく、胸の中、心臓の辺りから聴覚センサーを経由せず、陽電子頭脳の意識レベルに直接響いてくるらしかった。

「ちょ、ちょっと待ってってば、どーゆー原理でそうなってるわけ? そもそもアンタ誰?」

  声に出して、クエンティンは訊いた。理音を含む周囲には独り言にしか聞こえないのではないかと彼女は思った。

『いま説明している時間はありません。ボギー、総数一二機。包囲されています。危険度レッド。脅威度イエロー。今すぐ戦闘行動を開始してください。ボギー1、8、来ます!』

「ええっ!?」

キルルルルッ

  包囲している一つ目どものうち二体が、小さな羽根からオレンジの粒子を撒き散らして接近してくる。
  クエンティンは慌てた。フロストゥ・クレインは足元はるか下に置き去りにされており、取りに行く暇は無い。

「ぶ、武器は!?」
『使用可能武装情報および取り扱いマニュアル、オープン』

  声がそう言った途端、クエンティンはいくつかの武器がこの体にあることと、その使い方を思い出した。教えられたのだ、口頭ではなく情報として、やはり直接、陽電子頭脳へ。
  右手を前方の一つ目、識別名ボギー1へかざす。

ツ、ツ、ツシュッ!

  胸部の球体から右手へ伸びるエネルギーラインが点滅し、手のひら下のスリットから、全身を走ったり羽から出たりしているエネルギー粒子と同じ色をした粒子の塊が高速で三連射された。
  三つのエネルギー塊は突進してくるボギー1にすべて命中し、足止めを果たす。
  その流れで、手首にフォールドされているあの細長いブレードを展開、上体を右に回転させ、右後方へ切りつける。

シュパンッ!

  そこに丁度接近していたボギー8が、胴体から真っ二つに切り離された。

『ボギー8撃破』

  そのままの流れで、もう眼前に肉薄していたボギー1へ、返す刀を真上から脳天へ振り下ろす。

シバッ!

  刃を受けたボギー1は縦に半分にされて地面に落下、そのまま爆発した。

『ボギー1沈黙、8を除くボギー2から12、来ます』

  残りの十体が一斉に突撃する。
  衝突寸前、クエンティンは左手でボギー7をがっちりと引っつかむ。吸い付くような感触。グラブ機能だ。
  そのまま最大出力で真下へ離脱する。小さな羽根からエメラルド色の粒子が大量に放出され、クエンティンは猛スピードで地面へ接近する。思わぬ加速に彼女は面食らった。

『衝突警告!』
「ぐうっ……!」

  むりやり推進ベクトルを真横に切り替える。

バ、シャウッ!

  地面すれすれで、たいしたGも無くすんなりと、クエンティンは真横に移動することができた。
  そのまま真上を振り返り、敵集団へ左手のボギー7を力任せに投げつける。
  目にも留まらぬ勢いでボギー7は敵集団へ衝突。それを含む三体のボギーはその衝撃で爆砕。

『ボギー2、7、12、撃破』

  続いてクエンティンは背中に意識の一部を集中。
  視界の生き残ったボギーにそれぞれロックオンシーカーが表示される。

ガシォーン!

  ロックオンレーザーである。直進しかしないはずのレーザーが、何十本、生き物のように曲がりくねって、数本ずつ一つ目どもに向かってゆく。
  命中。
  衝突でダメージを受けていた二体がそれで機能を失い落下した。

『ボギー4、5、撃破』

  残り五体は距離をとって態勢を立て直す。

「何、この機動性……」

  ここまでかかった時間は五秒にも満たない。性能を極限まで追及したアーンヴァルでさえ、こうはいかない。

「アンタ何者?」

  クエンティンは声の主に訊ねる。

『独立型武装神姫総合戦闘支援システムプロトタイプ、エイダです』

  エイダと名乗った声の主は、抑揚の少ない口調で答えた。

「ンなの聞いたこと無いわよ」
『公に対する情報開示はまったくなされていません』
「じゃあ聞くけど、アンタどこ製?」
『回答不能』
「同郷? BLADEダイナミクス? 少なくともカサハラインダストリアルじゃないわよね」
『回答不能』
「……もしかしてEDEN本社?」
『回答不能』

  クエンティンは頭に来た。

「アタシのボディ間借りしといて回答不能は無いでしょ!?」
『申し訳ありません。情報プロテクトがされており、責任者の許可が無ければ開示できません』

  そっけなく、エイダは答えた。
  だったらなんで、独立型うんたらかんたらプロトタイプって自己紹介できたのよ。
クエンティンは憤りを禁じえなかった。
  まったく、とんだ災難に巻き込まれちゃったわ。

「こんな道端のど真ん中で氷雪浴してた理由も回答不能?」
『申し訳ありません』
「もういいわよ」

  はあ、とクエンティンはため息を吐く。本当に災難だ。

「そうだ、お姉さまは!?」

  あたりを見回す。電柱の影で手を振っている理音の姿が見えた。
  良かった、無事だわ。

キリキリキルッ

  それにつられたのか、残った五体の一つ目どもが理音のほうを向いた。
そのまま彼女へ近づいてゆく。

「なんで!?」

  クエンティンは反射的に飛び出した。
  明らかに一つ目どもはお姉さまを襲おうとしている!
  ロボット工学三原則、改名、人工知能基本三原則にばっちり抵触しちゃってるじゃない! なのになんで!?
  簡単に一つ目どもを追い越し、クエンティンは立ちはだかった。

「アンタたち、人間を襲うの!?」

  一つ目どもは答えない。発声器官が無いのだ。
  突撃が答えだった。

「ちくしょー!」

  クエンティンはブレードを展開、一番近いボギー10に急接近し袈裟懸けに切りつける。主エネルギーラインを断ち切られたボギー10は力を失って墜落。
  切りつけた勢いを反転させ――やはり不思議なことに反動は無かった――正反対を飛んでいたボギー6の頭部を貫き、ブレードに挟ませたままその場で八の字にぶん回す。ボギー3,11がぶつかり、三体はまとめて爆発四散。

『ボギー10、6、3、11、撃破。敵、残り一体です』
「きゃああ!」

  理音の悲鳴。
  唯一残ったボギー9が、もう理音の目の前まで近づいていた。両手を真上に掲げている。
  両手の先からオレンジ色のエネルギーカッターが伸びる。

「しまった!」

  クエンティンは彼女の元へ飛ぶ。
  だめだ、間に合わない!
  ボギー9が理音へカッターを振り下ろす。

パンッ、パンッ!

  まったく予想外の方向から甲高い破裂音が響き渡った。
  ボギー9は何か強烈な勢いを持ったものに弾かれ、電柱に激突し破裂した。
  理音とクエンティンは音のした方向を振り返る。
  高級そうな白いスーツを着た、金髪オールバックの、眼鏡をかけた長身の青年が、煙を吐いている拳銃を持って立っていた。本物の拳銃である。
  彼の後方には頑丈そうな真っ黒いサルーンが停まっている。

「こんなところで貴様に会うとはな」
「あなた……」

  理音はその青年を知っていた。
  以前とあるセンターの、リーグ無差別エキシビジョンマッチにおいて戦い、すんでのところでクエンティンが敗北した、「ルシフェル」という武装神姫のオーナー。
  鶴畑コンツェルンの御曹子、長男、鶴畑興紀である。

「まさか拳銃で壊せないとは。たいした新型だ」

  鶴畑興紀は地面に転がっている一つ目の残骸を見ながら、ひどく感心した様子で言った。

キルキルキルキルキルキル
キリキリキリキリキリキリ

  さらに生糸を引っかくような音が何重にも聞こえた。
  理音たちの後ろの道から、吐き気を催すような大量の一つ目
どもが現れ、近づいてきたのだ。

「こんなにいるなんて!?」
「チッ、乗れ!」

  興紀は二人に手招きをし、サルーンへ乗り込んだ。
  理音とクエンティンは一瞬迷ったが、選択の余地は無かった。このままこの場に居たのでは確実に嫌なことになる。

「何をしている!」

  興紀は怒鳴った。
  二人はバックを始めているサルーンへ飛び込んだ。
  ドアが自動で閉まる。

「じい、出せ」

  興紀は運転席の執事に命じた。
「かしこまりました。お二人とも、シートベルトをきちんとお締めになってくださいませ」
  興紀も理音もベルトを締め、理音は懐へクエンティンを忍ばせた。

「行きますぞ!」

  白髪の執事はシフトレバーを切り替え、アクセルを踏み込む。
  狭い道路を、大型のサルーンがぶつかることなく颯爽と走り抜ける。
  サルーンは逃走に成功した。
  しばらくその場でうろうろしていたが、ややあって、一体残らずどこかへ飛んでいってしまった。
  裏路地に静寂が戻った。


つづく





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